戻入ってなに?生命保険における戻入規定をしっかり理解しよう

今回は生命保険をお勧めする保険代理店と保険会社との間に起こる戻入規定について詳しくお伝えしたいと思います。「契約者の急な解約・失効」「退職後の戻入返還請求」などでお困りの保険代理店の方、またこれから生命保険に加入するか悩んでいる方も参考に見ていきましょう。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

生命保険における手数料戻入規定とは

保険会社と代理店側で結ばれる手数料戻入規定とは、主に保険代理店の営業担当者が生命保険の契約を成立させた後に支払われた手数料を返還してもらう規定です。

しかし請求できるのは生命保険契約の前払い手数料のみで、契約者が早期解約もしくは失効した場合にのみ保険会社が代理店に対して支払った手数料の返還を求めることが出来る規定です。


生命保険が解約、失効されると、保険会社側はこれまで支払われた手数料を戻し入れることができる

なぜこの戻入を代理店が嫌がるのかというと代理店側は先に渡された手数料を返すだけではないからです。

代理店は契約を成立させると保険会社から報酬を事前に支払われます。しかし、契約者が解約または失効をした場合に保険会社は本来受け取れるはずだった契約者からの契約金を受け取れず代理店に報酬を払ってしまいます。

このとき、保険会社は代理店に支払った報酬(手数料)を返してもらうよう請求をします。
ですが一度支払われた手数料には税金がかかるため保険会社から支払われた手数料を戻すと代理店は不利益になってしまいます。
特に契約から2年未満の場合は戻入率も高く契約者の契約金が手数料に満たない場合が殆どなので代理店の痛手となるわけです。

それって……契約者にはあんまり関係ないんじゃ?
そう思った方もいらっしゃると思うので、生命保険を契約し解約しようと考えている方に戻入規定による契約者にたいする影響について下の記事を確認してみてください。

保険が解約された場合、営業マンは手数料を保険会社に戻入しなければならない?

生命保険の代理店は契約者からの解約時期により保険会社への戻入率が変わります。
ある保険会社の戻入規定を参考にすると。

契約から3ヶ月以内の解約の場合は既払い手数料100%の返還
契約から9ヶ月以内の解約の場合は既払い手数料50%の返還
契約から15ヶ月以内の解約の場合は既払い手数料30%の返還
契約から21ヶ月以内の解約の場合は既払い手数料10%の返還
契約から28ヶ月以内の解約の場合は既払い手数料5%の返還
このようになります。

また、代理店の営業マンの人たちは解約された際の手数料を戻入するだけではなく、個人成績や評価の対象にもなります。
そのため、契約者に対する早期契約解除をさけるために手続きの遅れや解約に何ヶ月もかける。
そんな営業マンもいるなんて話も聞きます。
しかし、解約の連絡をした際の解約をさせない行為はコンプライアンスに引っかかります。

どうやったら生命保険の解約ができる?
たしかに生命保険を契約してから2年以内の解約は、営業マンも阻止したいため様々な理由をつくるなどをして逃れようとする場合もあります。

トラブルが少なくスムーズに生命保険の解約をする場合は、保険会社のコールセンターに電話をするか、窓口に出向いて解約の手続きをすすめる方法がオススメです。

保険の担当者のみ解約手続きが可能な場合を除いてスムーズな解約が望めます。

もし、「担当者でないと解約できない」となった場合はどうすれば良いのか。
すぐに担当者から連絡が来た場合は生命保険を解約する意思を伝えてそのままスムーズに手続きが進んでいくことが望めますが、保険会社から代理店への戻入規定により稀に解約を遅らせようと連絡を先延ばしにする代理店または営業担当もいます。

このような場合は、まず初めに次回の保険料支払いまでの日にちを確認しましょう。
残りの日数を確認するだけで代理店の担当者から連絡が遅くなっても冷静に対処がしやすくなります。

数日待っても連絡がこない……そうなってしまった場合は再度コールセンターに電話をして担当者に取り次いでもらうか、窓口にこれまでの連絡の有無などを伝え解約の手続きをしてもらいましょう。


それでも契約の解除に対して先延ばしにされそうになった場合は、必要

書類を持参し強気に解約の意思を示しましょう。


解約をするのは自分自身ですので連絡がこないことを理由にあきらめず明確な意思表示をしましょう。

保険会社は戻入規定に基づき、代理店側に手数料の戻入を請求できる

契約者が生命保険に加入し代理店側に保険会社から24ヶ月ぶんの手数料を支払ったが、契約者から24ヶ月に満たない期間に解約や失効などを行った場合は、解約された際ののこりの月数によって全額または一部を請求できます。


このようにきちんとした戻入規定の場合は保険会社は代理店側にたいして請求できます。

しかし、この戻入規定が元に起こった事件もあります。

手数料戻入規定を巡って裁判で争われたことも

戻入とは生命保険の契約成立後に支払われた手数料の戻し入れです。


保険会社が代理店側に支払った手数料を戻入する場合に、戻入した場合の支払調書を保険会社も代理店側も提出しなくてはなりません。

しかし、修正した調書の再発行をしていない場合に修正申告は出来ないため、戻入した際に保険会社に返すだけではなく、本来得るはずだった手数料に対する税金などを支払うために代理店側は不利益が多くなります。

いっぽう保険会社は戻入された金額を修正申告していないので収入の隠ぺいと戻入分の追加納付がされていないため脱税の形になります。

そうならないためにも各種申請書類などの期日を明確にしきちんと申請しましょう。

代理店側が廃業手続きを行った後も手数料戻入を請求できる?

「保険会社は戻入規定に基づき、代理店側に手数料の戻入を請求できる」で記載したように、契約者が生命保険に加入し代理店側に保険会社から24ヶ月分の手数料を支払ったが、契約者から24ヶ月に満たない期間に解約や失効などを行った場合は、解約された際ののこりの月数によって全額または一部を請求できます。

戻入するのは生命保険の手数料のうちの「前払い手数料」

戻入制度のなかで保険会社が代理店側から請求できるのはあくまで前払いで支払われた手数料のみです。


前払い手数料分の契約料を生命保険の契約者から回収が出来た場合に、保険会社は代理店側に対して請求をすることは出来ません。
もし請求された場合は第三者に相談をしてみましょう。

まとめ

生命保険の戻入のことを知っていかがでしたか?
生命保険には契約者と保険会社だけではなく、代理店と保険会社の間にも規定があるんです。

早期解約をさけるために代理店側も、契約者に対する適切な生命保険選びをする必要を感じますね。

生命保険の選び方が気になるという方はぜひこちらを読んでみてください。

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