更新日:2019/02/02
将来、年金がもらえない可能性がある?年金制度の実情を解説!
少子高齢化が進み、また年金未払い問題により年金制度への不信感が募り、そして未払いの若者の増加など、様々な原因で年金が将来もらえないのではないかと噂されたりしていますよね。実際に年金がもらえない可能性はどのくらいあるのか、実情はどうなっているのかを解説します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 年金をもらえない世代が生まれる?
- 年金の仕組みとは?もらえる人の条件とは?
- 将来年金がもらえない可能性があると言われている理由とは?
- 少子高齢化が進んでいるから
- 「払っても無駄、払いたくない」という未払い・未納の若者が増えているから
- 運用利回りが高い数値を保てるとは限らないから
- 国が年金制度に関して嘘をついているわけではない
- 税金も使われているので、年金財政が破綻する可能性は低い
- ただし、将来、年金が払った分よりもらえない可能性はある
- また、将来、受給開始期間が65歳から後倒しになる可能性はある
- 年金がもらえない可能性に対して、今の20代30代40代はどうするべきか
- 自分でしっかりと貯金をしておくこと
- 個人年金保険を用いて、自分で自分の年金を用意する
- 最近はiDeCo(個人型確定拠出年金)を用いた資産運用も人気
- まとめ
目次
年金をもらえない世代が生まれる?
この年金制度は、ご自分が退職した後も安定した生活を送るために支給される、公的な仕組みです。
しかし、最近では、年金が将来もらえなくなるのでは、あるいは受け取る金額が大幅に減るのでは、と不安を覚える方々が増えています。
そこでこの記事では「年金がもらえない可能性」について、
- 年金の仕組みと条件
- 将来年金がもらえない可能性があると言われている原因
- 年金がもらえないリスクにどう備えるか
以上のことを中心に解説していきます。
この記事を読んでいただければ、年金を取り巻く状況や、年金がもらえないリスクへの対策を知ることに役立つかと思います。
年金の仕組みとは?もらえる人の条件とは?
年金は、日本に住んでいる20歳~60歳未満のすべての方々が加入しなければなりません。年金加入者は次のように分かれます。
- 第1号被保険者:日本国内に住んでいる20歳~60歳未満の自営業者、農業、漁業、学生、無職者、その配偶者(第3号被保険者を除く)が該当します。
- 第2号被保険者:サラリーマン等のように厚生年金に加入している会社員および公務員が該当します。
- 第3号被保険者:第2号被保険者に扶養されており、原則として年収130万円未満の20歳~60歳未満の人が該当します。
年金を受けるためには、以前ならば保険料を25年以上払い続けなければ受給できませんでした。しかし、平成29年8月1日より、年金の受給資格期間が10年以上に変更となりました。
10年間にわたって年金保険料の支払いがあれば、将来年金を受け取ることが約束されます。当然、支払い期間が長くなればより多くの年金を受け取ることができます。
また、年金の仕組みは3階階に分かれています。下表を参考にしてください。
年金 | 被保険者 | 受け取れる年金 |
---|---|---|
国民年金 | 第1号被保険者、第3号被保険者 | 国民年金 |
厚生年金 | 第2号被保険者 | 国民年金・厚生年金 |
企業年金等 | 第2号被保険者(一部) | 国民年金・厚生年金・企業年金等 |
将来年金がもらえない可能性があると言われている理由とは?
こちらでは、年金がもらえないと考える国内の現状を説明します。
少子高齢化が進んでいるから
少子高齢化が現在よりも更に進めば年金保険料を払う世代は減少し、逆に受け取る世代が増えてしまうことになります。
そのため、将来的にみると保険料を負担する世代の保険料は上がり続け、一方、年金を受け取る世代の受給額が減少する可能性があります。
そして、いずれは年金がもらえない事態になると危惧する方々も多くいます。
「払っても無駄、払いたくない」という未払い・未納の若者が増えているから
一方、保険料を払う意思はあるものの、収入が低いなど経済的な事情により、支払が難しい若者も増加しています。
しかし、若者をはじめとした保険料を支払う世代が、年金を支払わないと年金システムが即座に崩壊し、年金がもらえない事態になるわけではありません。なぜなら、年金の半分は国民の税金でまかなわれているからです。
ただし、少子高齢化が進展し、それに加え年金を払わない若者が増加すると、年金システムを維持するために、更なる増税および受け取る年金額が減ることも考えられます。
運用利回りが高い数値を保てるとは限らないから
平成27年度の運用利回りは-3.64%と非常に低い数値であったため、持ち直したといえます。
平成28年度は、国内外の株価の大幅な上昇が理由とされているものの、今後このような数値が継続または上昇するかどうか依然として不透明です。
国が年金制度に関して嘘をついているわけではない
- 国民年金の老齢基礎年金は、1/2が国庫負担(税金)で賄われているので、年金保険料で足りなくなった場合は税金で補うことになる。
- 厚生労働省の試算によると、若い人でも将来受け取る年金額は、納めた額以上に受け取ることができるとされている。年金がもらえないどころか、納めた額以上の恩恵をご自分が将来受けることもできる。
この様なアピールに少なからず不快感・不信感を示す方々もおられるでしょうが、国もいろいろな工夫をして年金制度を維持する努力はしています。
税金も使われているので、年金財政が破綻する可能性は低い
逆に、我々が日頃支払う税金も使用されている以上、年金保険料を支払わず、年金がもらえない事態になれば、それこそ税金を支払続けてきたのに損をしてしまうことになります。
ただし、将来、年金が払った分よりもらえない可能性はある
この様々な原因によって、今後、支払った保険料よりも受け取る年金額が少ない可能性はあり得ます。
また、将来、受給開始期間が65歳から後倒しになる可能性はある
ただし、年金財制のひっ迫によって、今後、支給開始年齢がどんどん上がっていくことも考えられます。
現在の日本は医療の進歩や健康の志向の高まりで、平均寿命が男性80.75歳、女性は86.99歳(2017年度)と過去最高を更新していますが、だからといって安易に支給開始年齢を遅らせることは妥当といえません。
年金がもらえない可能性に対して、今の20代30代40代はどうするべきか
しかし、支給される年金額が減少したり、支給開始年齢が上がってしまったりすることは考えられます。
そこで若い方々(20代~40代)は、そのリスクを軽減するための備えを事前に用意しておきましょう。こちらでは、そのための方法を説明します。
自分でしっかりと貯金をしておくこと
個人年金保険を用いて、自分で自分の年金を用意する
円建て個人年金保険について
個人年金保険には、「円建て個人年金保険」という商品があります。この個人年金保険は、年金保険料を日本円で支払い、年金も受け取りも日本円で行う商品です。
日本円で積み立てるので、為替変動の影響を受けることなく安定して運用が期待できます。堅実な運用で、将来の見通しが立てやすいことが特徴です。
また、中途解約する場合でも保険料の支払を開始して何年目で、返戻率の高いお金(解約返戻金)を取得できるかが容易に判断できます。
外貨建て個人年金保険について
こちらは、主に米ドルを中心とした外国の通貨により運用される保険商品です。円建て個人年金保険より利率が高く、支払う保険料は安いことが特徴です。
効率的に貯蓄する必要性を強く感じている方には魅力的な保険ですが、為替変動に影響される一面もあります。
為替変動は、国内・海外の好況・不況のみならず、戦争・大規模テロ・自然破壊・大災害によって大きく変動します。
これら突発的な緊急事態の発生により、受け取る年金が予想外にもらえない、というリスクも十分考慮にいれる必要があります。
最近はiDeCo(個人型確定拠出年金)を用いた資産運用も人気
なお、「iDeCo(イデコ)」とは個人型確定拠出年金の愛称のことです。この年金の特徴として、運用は投資信託・定期預金等で行われます。この運用の良し悪しにより将来に受け取る年金額は変動することになります。
個人型確定拠出年金のメリット
メリットは主に2つです。
- 税金面で非常に有利:掛け金を積み立てている時は、その全額が「小規模企業共済等掛け金」として扱われ、全額所得控除の対象です。また、運用期間中の運用益は非課税となります。年金を受け取っている時ならば、退職所得・年金所得として扱われ、税金がかかりにくくなっています。
- 預けている証券会社等が破綻しても影響無し:年金の資金運用は加入者ごと個人単位で管理しています。そのため、お金を預けている証券会社、銀行が破綻してもご自分の運用資産に影響はありません。
個人型確定拠出年金のデメリット
デメリットは次の2つです。
- 月額手数料の発生:運用コストとして管理費が毎月170円~600円程度と、運用する投資信託の信託報酬がかかります。
- 中途解約は不可能:こちらの年金は途中で解約しても返戻金はもらえないことになります。ただし、掛け金を変更して減らす対応ならば可能です。
まとめ
今回の記事のポイントは、
- 年金が不安視されているが、年金保険料を納付していれば年金がもらえないというリスクはまず無い
- ただし、受け取る年金額の減少や、年金の支給開始年齢が上がる場合は考えられる
- 年金をあまりもらえない可能性を想定して、早いうちから貯金・個人年金保険・個人型確定拠出年金で老後の資金を運用する
でした。
老後に年金がもらえないなら、生活保護があるので大丈夫と考える方もいます。しかしながら、生活保護の受給にはいろいろな制約も存在します。
ご自分が老後になって悠々自適な生活を送るためには、公的年金の納付はもちろん、民間の保険商品を活用した事前の備えも考慮する必要があります。