天引きなのに介護保険料の納付書が届いた?気になる普通徴収とは?

65歳になったら年金から天引きされる介護保険料にはもう一つの納め方があります。この普通徴収についてどのような方が対象になるのか?納め忘れたらどうなるのか?天引きされているのに納付書が届いた!など介護保険料の普通徴収について様々な疑問を解決します。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

介護保険料の特別徴収と普通徴収


普段年金からの天引きで介護保険料を納めているのに、突然介護保険料納付書が届いてびっくりした、という事があります。このような時二重払いにならないか?と少し不安になってしまいますが、介護保険料の納付方法について知っていると慌てずに対処が出来ます。


どのような時に納付書が届くのか、年金からの天引き以外の方法で介護保険料を納める場合の対象となるケースや、滞納時の措置などについて詳しくご説明します。

特別徴収とは

65歳からは介護保険料が年金から天引きされるのが通常ですが、他にも普通徴収という納め方があります。


 公的な介護保険制度では、40歳以上になると介護保険料を納める義務が発生する事は皆さんご存知ですよね。65歳の誕生日を迎えた日からは第1号被保険者となり、介護保険料の納め方が変わります。

65歳以上の第1号被保険者の介護保険料の納め方は、特別徴収と普通徴収の2種類があります。

まず、公的な年金を受給している場合に、年金から天引きされる方法が「特別徴収」です。

その都度納めに行く手間が省け、納め忘れを防ぐのにも効果的な事から、ほとんどの方が特別徴収で介護保険料を支払っています。

普通徴収とは

一方で、普通徴収は、特別徴収が出来ない場合に該当します。

市区町村から「介護保険料納付書」が送られてきますので、直接市区町村や金融機関で納めるか、口座振替で介護保険料を納めます。

介護保険料の徴収方法は基本的に特別徴収である

介護保険料の納め方には2種類ありますが、基本的には年金から天引きされる特別徴収になります。

介護保険法の定めにより年金の受給額によって徴収方法が決められていますから、「私は天引きではなく普通徴収にしたい」というように、個人でどちらか好きな方法を選ぶことはできません。




特別徴収の対象者

では、どのような方が特別徴収の対象となるのでしょうか。

日本には国民年金や厚生年金といった年金制度が充実しており、多くの方が一定の年齢になると年金を受給しています。

その点に着目して、介護保険制度では年金からの天引きという方法をとっています。


65歳以上の方で公的年金を受給している方は、その受給額が1年間に18万円以上受け取っている場合に特別徴収となります。


特別徴収対象の年金

対象となる年金は、次の3つになります。

老齢福祉年金

明治44年4月1日以前に生まれた人のうち、一定の所得がない人や他の年金を受給できない人に支給される年金


遺族年金

生計の担い手である被保険者が死亡した時、国民年金や厚生年金保険、各種共済組合などから、一定の要件を満たす遺族に給付される年金


障害年金

心身に障害を受け一定の受給要件を満たした人に給付される年金

特別徴収による徴収額について

介護保険料は、その年度における本人・世帯の市民課税状況、前年度中の所得に基づいて計算されます。


保険料は仮算定と本算定の2回に分けて算定します。

仮算定分は4月と6月に支給される年金から天引きされる介護保険料分で、この仮算定分は同年2月期の同額を支払います。


実際に介護保険料が確定するのは、市町村において所得把握が終わる6月頃になります。

確定した介護保険料と年度前期で徴収した仮算定分との差額を年度後半の徴収で調整する、という仕組みになっています。

介護保険料の普通徴収について

では、年金から天引きされる特別徴収以外の介護保険料の納め方について見ていきましょう。

65歳以上の方の介護保険料は特別徴収が多数を占めていますが、他にも市区町村からの納付書もしくは口座振替で納める場合があります。

普通徴収の対象者

介護保険料の普通徴収の対象者は以下の通りです。

年金の支給金額が特別徴収に該当しない

公的年金を支給されている方の中には、1年間の支給額が18万円に満たない場合があります。また、年度の初めの時点において、年金の支給開始がなされていないケースも、普通徴収になります。


年度途中で65歳になる方

第1号被保険者になる65歳からは、年金からの天引きになりますがその手続きには時間がかかります。特別徴収に切り替わるまでの間は納付書か口座振替での支払いとなります。


転入してきた方

以前住んでいた市区町村では特別徴収だった場合、転入して半年から1年間は普通徴収での納付になります。


年金支給が一時差し止めになった方 

公的年金の現況届の未提出や提出遅れで年金の支給が一時的に差し止めになった場合、介護保険料が天引きされないため普通徴収になります。


年金受給権を担保に供している方

年金受給権を担保にして貸付制度を利用している方は、普通徴収になります。


普通徴収の納期期限

普通徴収の納期期限は各市区町村で取り扱いが異なります。

6回・8回・10回に分けて納めるか12回の毎月介護保険料を納めるかは、ご自分の住んでいる市区町村に確認しましょう。


納付書による普通徴収の場合は、納付の自己管理が必要です。自動的に天引きされる特別徴収と違って期限内にきちんと介護保険料を納めなければなりません。


納付書を紛失した、うっかり納期期限を忘れていたなど保険料の滞納に繋がりやすいのでほとんどの自治体では普通徴収の方には口座振替を勧めています。


介護保険料を滞納してしまうと

もし、普通徴収の納期期限を守れず滞納が続くと督促手数料や延滞金が追加されてしまいます。それでも支払いが出来ず1年以上滞納した場合は法的な措置が取られます。


介護保険制度では1~2割負担で介護サービスが利用できますが、介護保険料の滞納が長期間続くと十分なサービスが受けられなくなります。

介護が必要な状態になりいざ介護サービスを利用しようとしても、本来なら1割の自己負担で済むところをいったん全額支払い後日申請して9割分の払い戻しを受けなければならなくなります。


それでも滞納が解消されない場合は後日払い戻される9割分から滞納している介護保険料に充てる、さらに介護保険料が時効によって支払えなくなった場合は介護サービスの自己負担額が1割ではなく3割に引き上げられる、といった厳しい措置が取られます。


介護保険料を納付できる場所

介護保険料を納付書で納める場合、市区町村役場以外でも納付できます。

以前は銀行や信用金庫などの金融機関でしか取り扱いがありませんでしたが、最近では市区町村と委託契約を結んだコンビニエンスストア等でも支払いが可能になりました。


休日や夜間でも支払いが可能ですので、日中は仕事で忙しく市区町村役場や金融機関に足を運べない方でも便利で安心です。


特別徴収で収めながら普通徴収でも納める場合もある

年度途中で確定申告のやり直しや修正を行うと、介護保険料が増額となる場合があります。

年金から天引きされる介護保険料の額は途中で変更が出来ないため、普通徴収で不足が生じないように追加分を納めます。特別徴収と併行して、追加分を年度末までの残りの納期で振り分けて納めます。


普段は年金から天引きされている方で介護保険料納付書が届いた場合は、二重払いにならないか?と心配されるかもしれませんが、追加分のみの徴収ですので問題はありません。

まとめ

40歳以上の方なら必ず支払う介護保険料。

年金から天引きされる特別徴収と特別徴収で納付できない時の方法についてご説明しました。

年額18万円以下の方や年度の途中で65歳の誕生日を迎えた方、他の市区町村から転入してきた場合には、普通徴収で介護保険料を納めます。滞納は介護サービスが必要になった時に十分なサービスが受けられなくなりますので、納め忘れの無いようにしましょう。

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