更新日:2022/12/28
生前贈与に契約書の作成は必要?贈与契約書のひな形を紹介します!
生前贈与をする際に、贈与契約書という書類は必ず作成した方が良いです。そして、生前贈与をするときの贈与契約書には3つの種類とひな形が存在します。そこで、記事では生前贈与をするときの贈与契約書を書く理由やひな形について紹介していきます。
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 生前贈与に契約書は必要?
- 生前贈与するなら贈与契約書なしではだめ!
- 生前贈与のとき贈与契約書を書くメリット
- 贈与契約書の書き方のひな形を解説
- 生前贈与するときの贈与契約書には3種類ある!
- 贈与契約書の書くべき5つの要素!
- 贈与契約書を書く時の注意点
- 贈与者が書いていないことが証明されれば契約書は無効
- 贈与契約書を書く前に当事者で話し合う
- 贈与契約書は2つ作る
- 印紙が必要な場合がある
- 贈与者が未成年の場合記名捺印が必要
- 公正証書の作成で信憑性を高める
- 生前贈与についてよくある質問を解説
- ①0歳の子供に生前贈与することもできる?
- ②贈与契約書は110万円以下の非課税内でも必要?
- ③現金の手渡しでも贈与契約書は必要?
- 贈与契約書の作成は専門家へ依頼しよう!
- まとめ:生前贈与に必要な契約書は注意点に気をつけよう!
目次
生前贈与に契約書は必要?
相続問題はケースバイケースでは、親族間のトラブルに発展することだけに、ご自身が健康な内に生前贈与で受贈者を決めるケースが増えています。
しかし、民法を正しく理解し、法的な手続きを進めないと贈与がスムーズに進みません。
特に、生前贈与の契約書があるのとないのでは、今後の贈与の展開に大きな影響を与える恐れがあります。
今回の記事では、
- 生前贈与をする際に贈与契約書がなぜ必要であるか
- 贈与契約書を作るメリット
- 贈与契約書の書き方
- 贈与契約書を書く時の注意点
- 生前贈与についてのよくある質問
生前贈与するなら贈与契約書なしではだめ!
生前贈与については、民法第549条にて「贈与する側が受贈者にその意思を伝えることで生前贈与が成り立つ」という内容が記載されています。
つまり、贈与契約書が必ずしも必要ではありませんし、当事者間が納得すれば口頭でも大丈夫です。
しかし、民法第550条を見ると、書面を交えない生前贈与契約について以下のように定められています。
「書面によらない贈与は、各当事者が解除することができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りではない」
民法第550条の規定がないと、親子喧嘩などのなんらかのトラブルで将来的に双方の気持ちが変わって、生前贈与が無効になってしまうことがあるためです。
また、贈与税が非課税対象である110万円の控除額の範囲内で毎年生前贈与がされていた時に、贈与契約書がないと贈与に該当しないとみなされて課税対象になる場合があります。
人間はいつ病気や事故で死別するか分かりませんし、意思代わりすることが考えられるだけに、生前贈与が決まった時点で贈与契約書を作成しておくことが大切です。
生前贈与のとき贈与契約書を書くメリット
贈与契約書を交えて生前贈与を行うと、
- 生前贈与が法的な執行力を持つため、トラブルがなく贈与ができる
- 生前贈与の撤回でできなくなり、確実に贈与を受けられる
- 税務調査が入った時に贈与の有無を証明できる
贈与契約書を作成せずに、口約束で生前贈与の取り決めをして、後々「言った言わない・・」などのトラブルが多々ありますし、関係がこじれてしまって気持ちが変わってしまう事が多いものです。
贈与を受ける側としては、生前贈与によって資産を築くチャンスですし、これを機会にマイホームの建て替えなどを検討する方が少なくありません。
受贈者によっては贈与契約書を作成しておく事で契約がすんなりと遂行されますが、贈与者によっては生前贈与の事後取り消しができない恐れがあります。
また、税制面でも贈与契約書があると、税務調査があった時に掲示をして生前贈与の契約の事実を証明できるため、的確な控除を受けて資産を引き継げます。
ただし、分割で贈与をする場合には1年ごとに贈与契約書を作成する事が必要です。
なぜなら、一括贈与とみなされて高い税率で贈与税がかかってしまう危険を防ぐためです。
贈与契約書の書き方のひな形を解説
贈与契約書と聞くと初めてのことだけに、作成が難しいように感じられますね。
大丈夫、ひな形を使えば、すんなりと作成できますし、贈与契約書のフォーマットを使うと必要な箇所を記入するだけなのでとても簡単です。
ただし、土地、金銭、株券のなに対して生前贈与契約を結ぶかによって、使用する贈与契約書が異なるうえ、必要事項に記入漏れがあると「契約がなし」になってしまう可能性があります。
そこで、こちらの章では、
- 生前贈与契約書の種類
- 贈与契約で絶対に必要な5つの記載事項
生前贈与するときの贈与契約書には3種類ある!
贈与契約書には、
- 金銭贈与契約書
- 不動産贈与契約書
- 株式贈与契約書
贈与契約書の書くべき5つの要素!
贈与契約書に公式に定められた書式はありませんが、必要事項を記載しないと法的な効力を失ってしまい作成した意味がなくなってしまいます。
贈与契約書を作る時には、以下の5つのことに気を付けましょう!
- 贈与者が誰であるか、またどこに住んでいるのか(贈与する人の氏名と住所)
- 受贈者が誰であるか、またどこに住んでいるのか(受贈者の氏名と住所)
- 生前贈与契約を結んだ年月日(締結日と執行日の両方を記載)
- 何を贈与するのか(贈与種目、贈与物に関する詳細な内容)
- どのような方法で贈与するのか(贈与する方法)
贈与契約書を書く時の注意点
贈与契約書のみ交わしても、債権の権利者の氏名や預貯金を保有者の氏名を名義変更しておかないと後々、トラブルに繋がりかねません。
贈与契約書の制作と併せて、
- 金銭を贈与する時は手渡しではなく、金融機関を通して振り込むこと
- 預金通帳と印鑑は受贈者に渡し管理を任せること
- 株式、不動産の名義変更を行うこと
- 名義変更をした旨を証明できる登記事項証明書を贈与契約書と一緒に保管すること
贈与者が書いていないことが証明されれば契約書は無効
贈与者の意思に関係なく、財産を相続したいあまりに受贈者自らが贈与者になりすまして、生前贈与の契約書を作成する悪質な事件さえあります。
もちろん、贈与者自らの手で「日付」と「氏名」を執筆した贈与契約書でなければ、法的な意味を為しませんし、万が一不正がばれてしまった時には契約書そのものは無効になります。
ただし、高齢のために自署が難しいケースもあるでしょうし、全てプリントアウトして作成される方も少ないないはずです。
その場合は、贈与者が生前贈与に合意していれば、自筆でなくても大丈夫ですし、パソコンなどを使って日付、氏名が印字された贈与契約書でも構いません。
しかし、自署でないと後々になって生前贈与が正当な契約であるか、疑われるケースが考えられますから、第3者を挟んで贈与契約書を交わすと安心です。
贈与契約書を書く前に当事者で話し合う
生前贈与契約そのものは、贈与者にとってリスクが高いため、受贈者に相談しないで単独で細かい内容を一方的に決めてしまう方が多いです。
しかし、贈与契約書を作成してしまうと後々の変更がしにくいですから、前もって贈与者と受贈者がよく話しあった上で、取り決めることをおすすめします。
また、資産を引き継ぐことで借金などの負の負債を受贈者が背負うことがあり、これを負担付き贈与と呼びます。
負担付き贈与は受贈者の将来にも大きな影響を与えかねないだいに、必ず当事者間の話し合いが必要です。
さらに、負担付き贈与は債務が増える上、税率が高くなるケースが度々見れるため他の方法で贈与や相続を検討した方がいい場合があります。
贈与契約書は2つ作る
贈与契約書は贈与者と受贈者用の2通が揃って初めて、効力が発揮されるものです。
手書き、PCによるひな形と書式は問いませんが、世間的な信用性を高めるためには、年月日、氏名、住所は自筆した方が無難です。
どうしても手が不自由であるなどの、なんらかの理由で贈与契約書の作成が難しい時には、誰か信用できる方に立ち会ってもらうと、「生前贈与の契約が事実である」と証明されてトラブル回避になります。
また、押印欄は巷で売られているような格安の三文判ではなく、印鑑登録済みの実印を押すことをおすすめします。
印鑑の種類1つで信用度がグーンとアップするので安心です。
印紙が必要な場合がある
車、株券、金銭などの贈与契約書を作る際には、収入印紙を貼る必要はありません。
ただし、
- 土地
- 建物
贈与者が未成年の場合記名捺印が必要
贈与者が満20歳未満の未成年であると、贈与契約書を作成しても法的な威力を発揮できず、無効になってしまいます。
これは未成年者は年齢的に贈与について正しい判断ができないため、資産を贈与する事で損害を被る恐れがあるためです。
そのため、未成年者が贈与者になる時には、必ず親権者(法定代理人)の
- 住所
- 氏名
- 押印
が必要になります。
また、未成年者が受贈者になる時も法定代理人に該当する親権者の住所、氏名の併記並びに、押印をしないといけません。
未成年者が贈与者または受贈者となった、いずれの場合でも親権者の併記がない場合は契約締結にはならないのです。
公正証書の作成で信憑性を高める
贈与契約書を作成するほとんどの方が、第3者を間に入れないで当事者間で行っています。
そのため、なんらかの理由で税務調査が必要になった時に「生前贈与が妥当であるか」疑われる恐れがあります。
万が一、信憑性を問われても証明者がいないですし、証拠がなたいため「贈与契約が正当である」と断言しにいくですね。
特に、多額の預貯金が動く定期預金の贈与や、契約締結日、執行日を遥かにオーバーした贈与については税務局の監視の目が厳しいため注意が必要です。
お近くの公証役場で贈与契約者の公正証書を作成してもらう事で、生前贈与が事実に基づいた契約取引であるという書類を作れて、信用性を高められます。
生前贈与についてよくある質問を解説
生前贈与は人生の中で、そう何度とない経験だけに贈与する側も、受贈される側もなんらかの不安を感じるものです。
また、節税対策として毎年110万円内でコンスタントな贈与を検討している方も少なくないでしょう。
そのような生前贈与を検討されているみなさんが抱える
- 乳幼児への生前贈与は可能であるか
- 非課税内の贈与の際にも贈与契約書は必要か
- 手渡しで現金を贈与する際に贈与契約書は作成すべきか
①0歳の子供に生前贈与することもできる?
0歳児、1歳児といった乳幼児も、満20歳未満の未成年に該当するため生前贈与が可能です。
ただし、通常の成人への生前贈与とは贈与の際に異なる点があるので注意してください。
例え、受贈者が乳幼児であっても生前贈与を円滑に行い、税務調査に引っかからないために以下の3つの点を踏まえて贈与を行うと安心です。
- 口座振り込みで生前贈与を行う・・・金銭の取引きが目で確かめられるので、生前贈与が行われたことを証明できる
- 定期贈与は避ける・・・毎年節税対策のために連続贈与をするならば、1年ごとに贈与契約をして贈与税控除を受ける。定期贈与だと増税となってしまうため
- 乳幼児であっても贈与契約書は必要・・・生前贈与の事実を証明し、万が一のトラブル防止のためにも贈与契約書があった方が良い
また、未成年者が贈与契約書を作る時には、法定代理に該当する親族の氏名と住所を記載しないといけません。
さらに、小さなお子さんが受贈者であっても納税義務があるため、受贈者の法定代理人にあたる親権者が税務署に申告する必要があります。
②贈与契約書は110万円以下の非課税内でも必要?
生前贈与の金額が110万円以内であれば、非課税となって税制面での優遇を受けられます。
ところで、贈与金額が110万以内の時も贈与契約書が必要なのでしょうか?
税務調査時に適正な生前贈与が行われた事を証明するためにも、贈与契約書を作成し、さらに受贈者の金融機関口座に振り込む事が大切です。
なぜなら、不正な生前贈与であると税務局に指摘されてしまうと、高い税率で課税がなされてしまうためです。
また、毎年連続して110万円以内で生前贈与をする際には、1年ごとに贈与契約書を作った方がいいです。
毎年、同じ額の金銭を同じ時期に同一の受贈者に生前贈与していると、はじめからまとまったお金を渡す定期贈与とみなされる可能性があり、高税率で贈与税が課せられる恐れがあるためです。
③現金の手渡しでも贈与契約書は必要?
金融機関を通して生前贈与を行えば、「いつ誰がいくら誰に生前贈与したのか」証明することができます。
しかし、現金を手渡して生前贈与をすると事実を証明する判断材料がなく、税務調査が行われた時にトラブルになりかねません。
節税対策の一つとして「現金で生前贈与をすれば税務署にばれずに済んで税金がかからないのでは」と考える方が非常に多いですが、多額の資金のやり取りだけに隠匿してもばれる確率が高いですし、脱税になるため多額の税金が課せられてしまいます。
逆に資産を目減りさせてしまいますので、違法行為はやめましょう!
現金を手渡しでやり取りするからこそ、身の潔白を証明できる贈与契約書があれば、税務署から指摘された時にスムーズに受け答えができて安心です。
贈与契約書の作成は専門家へ依頼しよう!
生前贈与される項目によっては贈与契約書の作成を専門家に依頼した方が都合がいいケースがあります。
専門家を通して贈与契約書を作成した方が、適切なケースは以下の通りです。
- 不動産を贈与する時・・・贈与契約に加えて、登記簿名義人の変更、贈与税の申告があるため司法書士または税理士への依頼が適切
- 株式を贈与する時・・・同族会社の株式贈与の際には税理士に相談することがベスト。法定税申告書、株主名簿の名義人を速やかに変更できる
- 過去に行われた生前贈与の申告書を作成する時・・・脱税行為とみなされる危険があるため税理士を通して贈与契約書を作成した方が安全である
まとめ:生前贈与に必要な契約書は注意点に気をつけよう!
生前贈与に贈与契約書を作成すべきかどうかについてお話しさせていただきました。
今回の記事の要点を簡単にまとめると、
- 生前贈与をする際に贈与契約書を作成しておくと、贈与の事実を明確に証明できて後々のトラブルにしっかり備えられる
- 贈与契約書の書式に定めはないが、贈与対象物によって贈与契約書の種類が3種類ある
- 贈与契約書は必ず「誰がいつ受贈者に何を贈与し、いつから契約が執行されるのか」が分かるように贈与者、受贈者の氏名、住所、押印と日付の記載が必要
- 贈与契約書と合わせて公証役場で公正証書を作っておくと万全である
- 現金を手渡しで生前贈与する時は特に贈与契約書が要必須
- 分からない時は司法書士や税理士に贈与契約書の依頼すると安全である