生涯年収は手取りと異なる!サラリーマンと公務員の生涯年収も紹介

サラリーマンや公務員の生涯年収(生涯賃金)は大企業・中小企業で異なり、また学歴によっても異なります。一昔前までは生涯年収は3億円だと言われていましたが、現在は年功序列や終身雇用の崩壊などを理由に2億円弱となっています。サラリーマンや公務員の生涯年収・手取り金額を解説します。

生涯年収と生涯の手取りは異なる!生涯に受け取れる手取りの計算方法

年収と手取額は異なることをご存知でしょうか。

給与明細などを確認すると、額面の年収と実際に受け取っている給与に差があることがわかりますよね。

手取額は給与から様々な税金が差し引かれて手元に残るお金です。

生涯年収も同じで、生涯年収と生涯の手取りは異なるということを覚えておきましょう。

生涯の手取りの計算方法は以下の通りです。

  • 所得税を控除する
  • 住民税を控除する
  • 各種保険料を控除する
それぞれ詳しく解説していきましょう。

計算①:所得税を控除する

まずは手取から所得税を差し引きましょう。


所得税とは、所得のある人にかかる税金のことで所得が大きいほど引かれる税金も多くなっていきます。


毎月の給与から自動的に差し引かれているものですが、あくまで概算で計算しているものなので正確な金額ではありません。


会社で行われる年末調整や、自分自身で行う確定申告によって正しい所得額を計算し、所得税を清算してくれます。


その結果、払いすぎた所得税に関しては還付されることもあります。


会社で年末調整を行ってくれなかったり、給与所得が複数あったりする場合は正しい所得が計算できないことになるので、払いすぎた所得税の還付も出来ません。


その場合は確定申告を忘れずに行い、還付を受けるようにしましょう。

計算②:住民税を控除する

続いて、額面から住民税を差し引きます。


住民税は住んでいる都道府県や市町村へと納める税金のことで、その年の1月1日時点で住んでいるところへと税金の支払いが行われます。


都道府県へと納める税金と、市町村へと納める税金の率が合計10%程度になるように調整されています。


もちろん、住む市町村によって若干の税率の幅はありますが、ほぼ10%程度の税金がかかると覚えておくといいでしょう。


なお、住民税は前年度の所得に応じて税金額が決定されるので、前年の所得がない社会人1年目の方などは住民税はかかりません。


また、前年度の所得に応じて住民税がかかるので、退職後に前年度分の住民税の支払い通知が来ることもあるため注意が必要です。

計算③:各種保険料を控除する

各種保険料に関しても忘れずに計算しておきましょう。


健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険は毎月の給与から自動的に差し引かれます。


健康保険は医療にかかる際に原則3割の自己負担で医療サービスが受けられる保険です。


厚生年金は支払うことで自身が65歳以上になった時に年金を受け取ることができる保険です。


雇用保険は失業した時、次の職が見つかるまでの間に失業手当を受けることができる保険です。


サラリーマンをしている限り、これらの保険料の支払いは義務となり避けることはできません。


また、40歳以上になると介護保険料の支払いもあるため、40歳未満に比べて手取り額は少し変化することでしょう。


これらの保険料は給与から自動的に天引きされるので、気にしたことのない方もいるかもしれませんが、いくらかかっているのか一度給与明細を確認してもいいかもしれませんね。

参考:年収から控除される所得税について詳しく解説

所得税について、よくわからない人も多いのではないでしょうか。


計算もなんとなく難しいイメージだし、よくわからない単語も出てきて理解できないなんて思っている人もいることでしょう。


所得税についてわかりにくい以下についてまとめました。

  • 早見表を使った所得税の簡単な計算方法
  • 所得税計算時の用語解説
  • 所得別計算シミュレーション
難しいイメージに思えますが、ひとつひとつじっくりと知っていくことで理解もできるはずです。

詳しく解説していきましょう。

年収別所得税率早見表

所得税の速算表は以下の通りです。
課税される所得金額税率控除額
1,000円 から 1,949,000円まで5%0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで10%97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで 20%427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで23%636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで33%1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで40%2,796,000円
40,000,000円 以上45%4,796,000円 

参考:国税庁


所得税の計算方法は「課税所得×税率-控除額」です。


課税所得とは所得税の計算対象の金額のことで、基礎控除や経費などを差し引いた額のことを差します。


基礎控除など様々な控除額を引いた金額が600万円として試算すると以下の通りになります。


600万円(課税額)×23%(税率)-636,000円(控除額)=744,000円


つまり、課税額が600万円の場合、所得税として支払わなければならない金額は744,000円ということになります。


所得税の計算は難しいと思われがちですが、表などを参考にひとつひとつじっくりと計算すると自ずと出てくるので、一度自分の所得税がいくらくらいかかるのかを計算してみてもいいですね。

所得税計算で使われる4つの用語

所得税を計算するにあたって、給与明細の額面がそのまま課税対象額になるのではありません。


様々な控除が適応され、給与明細の額面から控除を差し引いた金額に何パーセントかの税金がかかるイメージです。


先ほどもお伝えしましたが、この控除を差し引いた課税対象額のことを「課税所得」と言います。


では、どのような控除が差し引かれるのか、具体的に解説しましょう。


まずは「給与所得控除」が差し引かれることになります。


給与所得をもらっていないフリーランスの方は仕事で使うパソコンなどを経費として課税所得から差し引くことができますよね。


会社員の方は自分の給与から経費を差し引くことはできないので、公平性を保つためにサラリーマンには「給与所得控除」が差し引かれることになります。


収入の大きさによって控除額が異なりますので、気になる方は一度確認しておきましょう。


続いて、基礎控除や配偶者控除などを含めた「所得控除」が差し引かれます。


適応される控除が多いほど控除額は大きくなりますので、こちらも自分がどれくらい適応されているのか気になる人は調べてみてもいいですね。


課税所得が決定されると、「復興特別所得税」も合わせて支払う必要があります。


こちらは、東日本大震災の復興を目的とした税金で、所得税額の2.1%を税金として納めなければなりません。


なお、復興特別所得税は2037年まで適応される予定となっています。

所得税額の計算シミュレーション①:年収300万円の場合

具体的に所得税額のシミュレーションをしてきましょう。

以下の条件にて計算をします。
  • 年収:300万円
  • 基礎控除:48万円
  • 生命保険料控除:10万円

給与所得控除額

年収300万円の場合は以下の計算式が適応されます。

収入金額×30%+80,000円

これに当てはめると以下の通りです。

300万円(収入)×30%+8万円=98万円

年収から給与所得控除を差し引くと

300万円-98万円=202万円

となり、所得金額は202万円になります。


所得控除

続いて、基礎控除や生命保険料控除も所得金額から差し引きましょう。

計算式は以下の通りです。

所得金額-所得控除(基礎控除など)=課税所得

上記で計算した所得金額と条件に当てはめると

202万円(所得金額)-48万円(基礎控除)-10万円(生命保険控除)=144万円

となり、課税所得は144万円になることがわかります。


所得税の計算

課税所得がわかったら、いよいよ所得税の計算ができます。

上記の早見表によると、課税所得が144万円の場合以下の計算式で計算できます。

144万円(課税所得)×5%(税率)-0円(控除額)=72,000円

となり、所得税は72,000円であることがわかりました。


復興特別所得税を上乗せ

所得税がわかったら、それにさらに復興特別所得税を上乗せしましょう。

復興特別所得税の計算方法は

所得税額×2.1%

となり、計算式に当てはめると以下のようになります。

72,000円(所得税額)×2.1%=1512円(復興特別所得税)

所得税額と復興特別所得税を足した、73,512円が支払わなければならない所得税です。


なお、こちらは配偶者控除などを加味していない、独身の方を想定した計算になります。

自分の年収に近い場合はぜひ参考にしてくださいね。

所得税額の計算シミュレーション②:年収600万円の場合

それでは続いて条件を変えてシミュレーションをしてきましょう。


今回の条件は以下の通りです。

  • 年収:600万円
  • 基礎控除:48万円
  • 生命保険料控除:20万円

給与所得控除


年収600万円の場合は以下の計算式が適応されます。

収入金額×20%+440,000円

これに当てはめると以下の通りです。

600万円(収入金額)×20%+44万円=164万円

給与から給与所得控除を差し引くと

600万年-164万円=436万円

となり、所得金額は436万円になります。


所得控除

続いて、先ほどと同じように基礎控除や生命保険料控除も所得金額から差し引きましょう。

計算式は以下の通りです。

所得金額-所得控除(基礎控除など)=課税所得

当てはめるとこのようになります。

436万円(所得金額)-48万円(基礎控除)-20万円(生命保険料控除)=368万円

課税所得は368万円ということがわかりました。


所得税の計算

さて、所得税の計算をしていきましょう。

課税所得が368万円なので計算早見表によると計算式は以下の通りになります。

368万円(課税所得)×20%(税率)-427,500円(控除額)=261,000円

所得税は261,000円であることがわかりました。


復興特別所得税の上乗せ

所得税が判明したので、復興特別所得税を上乗せしましょう。

261,000円(所得税額)×2.1%=5,481円(復興特別所得税)

所得税と復興特別所得税を合わせた所得税合計額は、266,481円です。


こちらも配偶者控除などはない、独身の方を想定したシミュレーションになります。

年収300万円の方に比べて所得税が3倍以上かかることがわかりました。

年収が倍になったからと言って、所得税も単純に倍になるというわけではないと言うことですね。

サラリーマンの生涯年収を学歴別・企業規模別・雇用形態別に紹介



サラリーマンの生涯年収は学歴や企業規模、雇用形態などによって違いがあります。

一律にサラリーマンと言えど、生涯年収に大きな差があることも。

どのような違いがあるのか、以下の項目についてまとめました。

  • サラリーマンの学歴別生涯年収
  • サラリーマンの企業規模別生涯年収
  • サラリーマンの雇用形態別生涯年収
それぞれについて詳しく解説していきましょう。

サラリーマンの学歴別生涯年収

サラリーマンの学歴別生涯年収をご紹介します。


学歴別生涯年収をまとめると以下の通りです。

学歴男性女性
中学卒1億9400万円1億3750万円
高校卒2億730万円1億4640万円
高専・短大卒2億1450万円1億7530万円
大学・大学院卒2億7000万円2億1670万円 

参考:
独立行政法人労働政策研究・研修機構の『ユースフル労働統計2017』


大学や大学院など、学歴を積むほどに生涯年収が高くなっていくのがわかりますね。


また、女性よりも男性の方が生涯年収が高いです。


女性は妊娠や出産などでキャリアを継続するのが難しいこともあり、その分生涯年収が低くなる傾向にあります。


中学卒に比べて大学卒の方が生涯年収が高く、学歴が年収に大きく影響することがわかります。


企業によっては就職の条件のひとつに大学卒をあげているところもあるなど、学歴は就職にも大きく影響するものです。


もし学生のうちに生涯年収を高めたいと考えているのなら、大学へ進むなど学歴を積み上げてみるのもひとつの方法といえるでしょう。


社会人になってからも大学進学は可能なので、大学進学の費用と今後の年収が上がる期待を天秤にかけて、より良い道を選びましょう。

サラリーマンの企業規模別生涯年収

サラリーマンの企業規模別生涯年収平均を見ていきましょう。

企業規模別生涯年収平均は以下の通りです。
株式会社の資本金生涯年収平均
2,000万円未満
1億3093万円
2,000万円以上1億4238万円
5,000万円以上1億4567万円
 1億円以上1億6404万円
10億円以上2億1630万円

生涯勤続年数を35年として算出

参考:国税庁長官官房企画課 民間給与実態統計調査


企業規模が大きいほど生涯年収の平均が大きいことがわかりますね。


資本金が10億円以上の大企業になると生涯年収平均は2億を超え、他の企業に比べて生涯年収が高いです。


資本金が少ない中小企業に比べて、大企業の方が平均給与も高くなるため、自ずと生涯年収が高くなることがわかります。


生涯年収を高めたいと考えているのならば、能力をあげて大企業に転職することも考えてもいいかもしれませんね。


もちろん、仕事のやりがいなどを考えると大企業への転職が一番だとは言えませんが、年収の低さに不満がある場合は年収をあげるためのひとつの方法として考えてもいいでしょう。

サラリーマンの雇用形態別生涯年収

雇用形態も生涯年収に大きな差が生まれる要因のひとつです。


雇用形態別に生涯年収の違いを見ていきましょう。

雇用形態男女計
正規1億9649万円1億3611万円1億7619万円
非正規7896万円5327万円6111万円

生涯勤続年数を35年として算出

参考:国税庁長官官房企画課民間給与実態統計調査


正規雇用と非正規雇用では生涯年収が大きく違うことがわかりますね。


男女で見ても、妊娠や出産などキャリアの継続にとっての壁があることから女性の方が生涯年収が低いことがわかります。


正規雇用はボーナスや昇給もあるので、生涯年収も自ずと高くなる傾向です。


非正規雇用はボーナスなどがなく、また、景気の悪さなどで雇用を切られるなど勤続が難しい面もあり、生涯年収も低くなる傾向にあります。


正規雇用と非正規雇用で生涯年収が倍以上異なることから、生涯年収をあげたいと考えているのなら正規雇用を目指した方がいいでしょう。


現在もし非正規雇用で働いているのならば、まずは正規雇用を目指して進むことがいいかもしれませんね。

サラリーマンの生涯の手取りを計算



一般的に手取りは額面の金額からおよそ2割を差し引いた金額とされています。


もちろん人によって扶養家族の有無や額面の金額の差がありますが、おおよその手取り額を知りたい場合は額面の金額から2割を差し引いた金額から算出できます。


サラリーマンの生涯年収を2億円と仮定して、生涯の手取り額を試算してみましょう。


2億円×20%=4000万円


額面2億円に対して、差し引かれる税金等はおよそ4000万円であることがわかりました。


2億円-4000万円=1億6000万円


この計算から、サラリーマンの生涯年収の手取りはおよそ1億6000万円程度であることがわかります。


自分の生涯年収のおおよその手取りを知りたい場合はぜひ試算してみてくださいね。

公務員の生涯年収を国家公務員・地方公務員に分けて紹介

今までは企業別の生涯年収についてご紹介しました。

それでは公務員の生涯年収はいかがでしょうか。

公務員は生涯年収が高いと思われがちですが、実は一般企業とさほど差はありません。

以下の項目について公務員の生涯年収をまとめました。

  • 国家公務員の生涯年収
  • 地方公務員の生涯年収
それぞれ詳しく解説していきましょう。

国家公務員の生涯年収

国家公務員は一般職と総合職の二種類あります。


国家公務員の一般職は、総合職が決めた政策に則って業務を進めていく仕事で、主に事務処理などを担当する職業です。


一般職の国家公務員の生涯年収は2億8000万程度です。


国家公務員一般職は出世しても一般企業でいうところの課長クラス程度が最高です。


とはいっても、一般企業の課長クラスの人よりも生涯年収は高い傾向にあることがわかります。


同じ国家公務員でも総合職になると生涯年収は高くなります。


総合職の国家公務員の生涯年収は3億8000万程度です。


国家公務員の総合職は、いわゆる「キャリア官僚」と呼ばれる人々のことで、政策の企画や実行を決める重要な仕事を担っています。


一般企業の人に比べて生涯年収は高いですが、その分求められるスキルや知識も高く、この程度の生涯年収は妥当といえるのかもしれませんね。

地方公務員の生涯年収

それでは地方公務員はどの程度の生涯年収なのでしょうか。


一概に地方公務員と言っても、その働く場所で大きく生涯年収が変わってきます


地方公務員の種類とその生涯年収を以下にまとめました。

種類生涯年収
都道府県庁 261,385,681円
政令指定都市281,451,920円
市役所254,880,386円
町村役場231,086,137円

先ほど国家公務員の一般職の生涯年収を2億8000万円程度とお伝えしましたが、地方公務員でも政令指定都市の人は同額程度の生涯年収であることがわかりますね。


町村役場は地方公務員の中では生涯年収が低いですが、一般企業の大企業の人と同額程度もらっているようです。


公務員に就職を考えている人は、どこで働くかによって生涯年収に違いが出ることを覚えておくといいかもしれません。

公務員の生涯の手取りを計算



公務員の生涯の手取りを試算してみましょう。


公務員もサラリーマンの生涯手取と同じように、額面の金額からおおよそ2割程度を差し引いた金額が手取となります。


国家公務員一般職、総合職、地方公務員に分けて計算してみましょう。


まず、国家公務員一般職の生涯年収は2億8000万円とお伝えしました。


2億8000万円×20%=5600万円(差し引かれる金額)


2億8000万円-5600万円=2億2400万円


国家公務員一般職の生涯手取はおよそ2億2400万円です。


続いて、国家公務員総合職の生涯年収はおよそ3億8000万円です。


3億8000万円×20%=7600万円(差し引かれる金額)


3億8000万円-7600万円=3億400万円


国家公務員総合職の生涯手取はおよそ3億400万円です。


最後に、地方公務員の町村役場で勤務している人の生涯年収は2億3000万円程度です。


2億3000万円×20%=4600万円


2億3000万円-4600万円=1億8400万円


地方公務員で町村役場勤務の人の生涯手取はおよそ1億8400万円です。


ひとくちに公務員と言えど、かなり差があるのがわかりますね。

サラリーマンの生涯年収と手取りに関する5つの疑問を解決

サラリーマンの生涯年収について平均値などをお伝えしてきました。

自分とはかけ離れている数値のように感じましたでしょうか。


続いては、生涯年収と手取に関する疑問について、以下の項目の通りご紹介します。

  • サラリーマンの生涯年収の中央値は?
  • 転職した方が年収は上がる?
  • 高卒と大卒は結局どちらが経済的なの?
  • サラリーマンの生涯年収はどう推移している?
  • 正規雇用と非正規雇用は生涯年収にどのくらい差がある?
それぞれ詳しく解説していきましょう。

疑問①:サラリーマンの生涯年収の中央値は?

サラリーマンの生涯年収の平均値をお伝えしてきました。


平均値は特に低い数値や高い数値があると数値が跳ね上がったり下がったりする要因になるので、実態は大きくかけ離れた数値になることもしばしばあります。


そこで、データの真ん中の数値を算出した、我々にとって身近な数値である中央値も参考にするといいでしょう。


サラリーマンの生涯年収の中央値は以下の通りです。

種類生涯年収中央値
労働者全体1億3680万円
男性労働者1億17100万円
大卒男性労働者2億1280万円
女性労働者9120万円

勤続年数を38年として算出

参考:国税庁の民間給与実態統計調査結果


大卒の男性サラリーマンの中央値は2億1280万円程度です。


女性の労働者の中央値が9120万円と、性別によって大きく差が生まれているのがわかりますね。

疑問②:転職した方が年収は上がる?

転職した方が年収が上がると思いがちですが、実際はどうなのでしょうか。


以下の表は、転職ありとなしで生涯年収の違いについてまとめたものです。

学歴転職あり転職なし
高卒(男性)2億730万円2億5380万円
高卒(女性)1億4640万円1億8710万円
高専・短大卒(男性)2億1450万円2億5220万円
高専・短大卒(女性)1億7530万円2億650万円
大学・大学院卒(男性)2億7000万円2億8920万円
大学・大学院卒(女性)2億1670万円2億4210万円

学歴や性別にかかわらず、転職をしない方が生涯年収が高い傾向にあることがわかりますね。


日本は勤続年数に比例して昇給がある会社が多いことや、退職金も勤続年数が多い人の方が高いことなどから、ひとつの会社に継続して勤めていた方が年収が上がりやすい傾向のようです。


もちろん、圧倒的に年収の高い会社へと転職できるのならば生涯年収も高くなります。


しかし、同じ規模の会社への転職など、転職しても年収に変わりがないと言うことならば、転職しない方が生涯年収を高くキープできることでしょう。

疑問③:高卒と大卒は結局どちらが経済的なの?

高卒と大卒では大学卒の方が経済的と言えるでしょう。


もちろん、大学に通うためにはそれなりの費用や勉強の時間などをかけなければなりません。


大学受験のための塾代もかかりますし、地元以外の大学に通う際はひとり暮らしのための生活費も余分にかかることでしょう。


しかし、高卒と大卒では生涯年収に6000万円相当の差が生まれていることから、大学にかける費用を差し引いても、大卒の方が経済的と言えるでしょう。


また、大学で培った知識は知的財産として活用することができます。


万一、不況に煽られて働き口がなくなったとしても、大卒という武器は大いに活用できることでしょう。

疑問④:サラリーマンの生涯年収はどう推移している?

大卒サラリーマンの生涯年収はかつて3億円前後と言われていた時代もあります。


実際に、2000年の大卒サラリーマンの生涯年収は男性で2億7900万円、女性で2億2910万円と、3億に届きそうな数値が発表されていました。


しかし、2008年に起きたリーマンショックの影響で日本全国に不況が広がり、生涯年収は2億5000万円~2億8000万円まで減少してしまいました。


サラリーマンの生涯年収の推移は以下の通りです。

男性女性
2000年2億7900万円2億2910万円
2005年2億7010万円2億1010万円
2010年2億5410万円1億9800万円
2015年 2億6220万円1億9890万円

こちらは5年ごとのデータですが、2008年のリーマンショックがあってからの2010年のデータ以降、女性の生涯年収は2億に届いていないことがわかります。


リーマンショックをきっかけに広がった不況は、生涯年収にも大きな影響を及ぼしたようですね。

疑問⑤:正規雇用と非正規雇用は生涯年収にどのくらい差がある?

正規雇用と非正規雇用では生涯年収に大きな差が生まれます。


先ほどもご紹介しましたこちらの表をご覧ください。

雇用形態男女計
正規1億9649万円1億3611万円1億7619万円
非正規7896万円5327万円6111万円

生涯勤続年数を35年として算出

参考:国税庁長官官房企画課民間給与実態統計調査


男女計の項目を見ると、正規雇用の生涯年収は1億7619万円、対して非正規雇用の生涯年収は6111万円と、1億円以上の差があることがわかります。


非正規雇用はボーナスや昇給がないことから、生涯を通しての給与額に大きな差が生まれるようですね。

生涯年収の国と性別による違いを紹介

生涯年収は国や性別によっても違いがあります。

働いている国が違うだけで、あるいは性別が違うだけで生涯年収に大きな差が生まれるのが事実です。

それぞれ以下の項目で違いを見ていきましょう。

  • 生涯年収の国による違い
  • 生涯年収の性別による違い
それぞれ詳しく解説していきます。

生涯年収の国による違い

OECD(経済協力開発機構)が発表した平均年収ランキング2019年度版によると、年収が高い国ランキング1位はルクセンブルクとなっています。


ランキングトップ3は以下の通りです。

順位年収(USD)
1
ルクセンブルク68,681
2アイスランド68,006
3スイス66,567

アメリカドルが110円とすると、ルクセンブルクの人々はおよそ755万円の平均年収で働いていることがわかります。


勤続35年とすると、生涯年収はおよそ2億6425万円が平均となります。


ちなみに、日本はOECD加入国35か国中、24位です。


35か国平均が48,587ドル、日本の平均年収は38,617ドルなので、日本人は世界の平均よりも低い年収で働いていることになります。


国によって生涯年収の差が大きく開いているのがわかりますね。

生涯年収の性別による違い

生涯年収の違いは性別にも大きく影響しています。

こちらは先ほどもご紹介した、学歴別生涯年収の違いを表した表です。

学歴男性女性
中学卒 1億9400万円1億3750万円
高校卒2億730万円1億4640万円
高専・短大卒2億1450万円1億7530万円
大学・大学院卒2億7000万円2億1670万円

参考:独立行政法人労働政策研究・研修機構の『ユースフル労働統計2017』  


見ていただくと一目瞭然で、女性よりも男性の方が生涯年収が高いのがわかりますね。


全体を通しておよそ4000~6000万円程度の生涯年収の差があります。


妊娠や出産で職を離れたり、時短勤務を選択したりすることで女性は年収が低くなりがちですが、生涯年収にも大きな影響を及ぼす結果になっているようです。

生涯年収の高い企業ランキングトップ10

生涯年収の高い企業はどれくらいの年収なのでしょうか。

生涯年収が高い企業をランキング形式でご紹介します。


トップ10は以下の通りです。

順位企業名生涯年収(推定)
1M&Aキャピタルパートナーズ13億4379万円
2キーエンス7億3683万円
3日本商業開発6億6703万円
4ヒューリック6億4576万円
5三菱商事5億9504万円
6伊藤忠商事5億7907万円
7日本M&Aセンター5億4381万円
8ストライク5億3889万円
9丸紅5億2537万円
10住友商事5億1340万円

参考:東洋経済


あくまで推定値とはなりますが、生涯年収トップ10入りの企業はどれも5億円以上の生涯年収を獲得していることになります。


サラリーマンの生涯年収がおよそ2億程度と言われている中、倍以上ももらっていることになりますね。


年齢や役職、勤務年数などによっても異なるのでこれらの企業に就職すると必ずこの生涯年収になるという保証はありませんが、就職や転職時の参考になることは間違いありません。


就職や転職時には生涯年収のランキングも参考にするといいかもしれませんね。

生涯年収の低い企業ランキングワースト10

生涯年収が低い企業はどこなのでしょうか。


生涯年収が低い順にランキングをご紹介します。


ワースト10は以下の通りです。

順位企業名生涯年収(推定)
1トスネット9261万円
2ショクブン9755万円
3井筒屋1億347万円
4太平洋興発1億379万円
5倉元製作所1億396万円
6カワサキ1億791万円
7ヤマノホールディングス1億815万円
8日本製麻1億848万円
9日本管財1億987万円
10新都ホールディングス1億1333万円

参考:東洋経済


こちらもあくまで推定値ではありますが、ワースト10入りの企業はどこも生涯年収が2億に満たない企業ばかりです。


ワースト1には生涯年収が1億に満たない企業がランクインしています。


サラリーマンの生涯年収が2億程度という中、生涯年収が1億に満たないと言うことはかなり低いということがわかります。


ただし、生涯年収が低いからといって業績に不安を抱えていたり利益率の少ない事業を手掛けていたりという証拠にはなりません。


地方に本社を置いていたり、本社は大都市だけど全国に幅広く展開していたりと、給与の低さがその地域の水準に影響を受けることもしばしばあります。


地方は大都市に比べて家賃や生活費を抑えることができるので、給与水準が低い傾向にあります。


就職や転職の参考にするには生涯年収だけで判断をするのではなく、その企業がどう事業を展開しているかなども加味して検討するようにしましょう。

サラリーマンと公務員の生涯年収や手取りに関するまとめ

サラリーマンと公務員の生涯年収などについてご紹介しました。


年収に差があると、それが積もり積もって生涯年収にも大きな差が生まれることがわかりましたね。


サラリーマンは性別や学歴、雇用形態によって生涯年収に差がある一方で、公務員の性別の差などによる生涯年収の差はあまりないようです。


もし現状の年収や、今後もらえる年収の見込みなどで算出した生涯年収に納得がいかない場合は、転職や社会人になってからも学歴を積むこともひとつの選択でしょう。


ただし、転職などは大きなエネルギーを使うし、転職しても年収が大して変わらなくては意味がありません。


自分の求める年収や働き方をよく考えて、後悔のないような選択をしてくださいね。

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