今さら聞けない日本の年金制度とは?年金の仕組みをわかりやすく解説

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国民年金、厚生年金、個人年金・企業年金、どれも日本の年金制度の用語ですが、仕組みや年金のシステムを正しく説明できますか?また国民年金の障害年金や遺族年金についてわかりやすく説明できますか?日本の年金制度の仕組みについて、どこよりもわかりやすく解説します。

日本の年金制度の仕組みをわかりやすく解説


2000万円問題が金融庁から発表されたものの、日本の公的年金制度をよくわかっていない…でも今さら人に聞けない…という人も多いはず。

また、「自分は公的年金制度をちゃんと理解している」と言っている人でも勘違いしているポイントがあります。

公的年金制度はシンプルな仕組みではありますが、「国民年金」「厚生年金」「個人年金」「企業年金」「老齢基礎年金」「障害基礎年金」などと、難しい専門用語があるために難しく感じてしまいます。

そこで今回は、日本の年金制度の仕組みをわかりやすく解説します。
  • 3階建ての年金制度の仕組み
  • 国民年金保険・厚生年金保険とは何か
  • 国民年金と厚生年金の仕組みの違い
  • 一般の人が年金制度で勘違いやすいポイント

最後に、韓国や中国、アメリカの年金制度との比較を通して、日本の年金制度を客観的にみていきます。

年金制度は国民年金・厚生年金・個人年金・企業年金の3階建て【図解】

日本の年金制度のうち、公的保険は日本年金機構が管理・運営しています。基本的な内容から細かい内容までここを見れば網羅されていますが、日本年金機構のサイトよりもよりわかりやすく体系的に解説していこうと思います。


年金制度は3階建て」とよく言われますが、よく見かける図を用いて年金制度の仕組みをまずは解説します。


年金3階建ての仕組み【図解】

年金3階建て【図解】

この図で大まかな年金制度についてはわかりやすいかと思います。

「日本の年金制度」を公的年金制度とするなら、1階と2階の部分がするため、正確には2階制度です。


  • 1階:国民年金保険は、20歳から60歳未満の全国民が加入(義務)している年金制度になります。  
  • 2階:厚生年金保険は、会社員・公務員が加入(義務)しています。自営業の方は国民年金基金(緑色)へ任意で加入しています。
  • 3階:私的年金と呼ばれています。個人年金(iDeCo(イデコ)で有名な個人型確定拠出年金や民間の個人年金保険)、企業年金(詳細あと)があります。

会社員や公務員の方はわかると思いますが、「国民年金保険」「厚生年金保険」の保険料は、給料から天引きされています。(公的年金の保険料の半分は会社が負担している、というのもご存知ですよね。)


また、近年増加しているフリーランスの方や、成人している学生は、第一号被保険者にあたるので、自分で国民年金保険を支払わないといけません。

年金制度の3階、企業年金の仕組みとは?わかりやすく解説

企業年金は、従業員の老後の生活をより豊かにする目的で、公的年金に加え、企業が選択的に設けている年金です。企業年金は3種類に分けられます。下図をみていただければ、わかりやすいかと思います。

企業年金の3種類

企業年金の3種類
いずれも設立には厚生労働大臣の認可または承認が必要となります。

  • 厚生年金基金:
    企業連合会のサイトはこちら
  • 確定給付企業年金:
    労働金庫連合会のサイトはこちら
具体的にイメージできたでしょうか?会社員の方はご自身が追加で積立していたでしょうか?

企業年金や個人年金など私的年金は難しい用語があり、企業によって中身が異なるケースがるので、正確に把握したい、わかりやすく積立計画を建てたい方は、FP相談がおすすめです。保険などの押し売りは一切しません。

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年金制度①:国民年金保険の仕組みをわかりやすく解説

国民年金保険は、前述した通り公的年金制度の1階建て部分に位置する制度です。

わかりやすくいえば、公的年金の基礎部分を構成する年金といえます。

20歳になれば、厚生年金保険加入者・共済組合加入者、またはその配偶者に扶養されている人を除き、国民年金第1号の加入手続きをする必要があります。


20歳の誕生月の前月または当月上旬に日本年金機構から「国民年金被保険者資格取得届書」が送付されます。必要事項を明記しお住まいの市区町村役場へ提出します。


提出後、次のような書類が送付されます。

  • 年金手帳:保険料納付の確認および将来年金を受け取る際に必要な手帳です。大切に保管しておきましょう。
  • 国民年金保険料納付書:こちらの納付書で保険料を納めることになります。

国民年金とは、原則20歳から60歳までの全員加入する公的年金

国民年金は、日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満のすべての人が加入しなければなりません。わかりやすくいえば、日本国内に住んでいる人なら、日本人のみならず外国人も国民年金に加入する必要があります。また、20歳以上であるなら、仕事を持っていない学生であっても、無職の人であっても加入することになります。

被保険者は3種類に分かれる

国民年金には、「第1号被保険者」「第2号被保険者」「第3号被保険者」の3種類の被保険者に分かれます。 


  • 第1号被保険者:自営業者、自由業者、農業等に従事する方、学生、フリーター、無職の人が該当します。 
  • 第2号被保険者:厚生年金保険の適用を受けている事業所へ勤務する従業員等が該当します。 
  • 第3号被保険者:第2号被保険者の配偶者で20歳以上60歳未満の人が該当します。ただし、年間収入が130万円以上で健康保険の扶養となれない人は第1号被保険者となります。 


第3号被保険者は要注意

第3号被保険者は第2号被保険者に扶養されているため、個別に保険料を支払う必要がありません。(正確には、第2号被保険者の厚生年金保険料から支払われる仕組みです。)上記の配偶者が60歳になるまでの期間、納付された保険料に応じて、老齢基礎年金が支給されます。 


ただし、主に次のケースでは第3号被保険者から第1号被保険者への切り替え手続きが必要です。

第3号被保険者が60歳になる前に、 

  • 第2号被保険者の配偶者が退職した
  • 第2号被保険者の配偶者が自営業者になった
  • 第2号被保険者の配偶者が65歳になった
  • 第2号被保険者の配偶者が亡くなった
  • 第2号被保険者の配偶者と離婚した
  • 第3号被保険者であるご自分の年収が増え、配偶の扶養から外れた

場合があげられます。

国民年金の保険料の支払い期間はどのくらい?

年金を受けるためには、以前ならば保険料を25年以上払い続けなければ受給できませんでした。

しかし、平成29年8月1日より、年金の受給資格期間が10年以上に変更となりました。

  

10年間にわたって年金保険料の支払いがあれば、将来年金を受け取ることが約束されます。


わかりやすく言えば、10年よりも支払い期間が長くなればなるほど、それだけ多くの年金を受け取ることができます。

国民年金の保険料の金額はいくら?

平成30年度の1カ月当たりの保険料は16,340円です。

ただし、毎月納付するだけではなく、いろいろな納付方法があります。

毎月の納付が面倒な方は、納付方法を変更することで手間を省くことができたり、保険料額を抑えたりすることも可能です。


保険料を払う方法については後述します。

国民年金の種類と、それぞれの受け取れる条件

国民年金には3種類あります。それぞれ受け取れる条件が異なります。


老齢基礎年金

1.対象者

国民年金被保険者の方が該当します。


2.年金を受け取る条件 

最低でも10年以上の保険料の支払いを必要とします。20歳~60歳になるまで(40年間)全期間の保険料を納めた方は、65歳から満額の老齢基礎年金が支給されます。


障害基礎年金

1.対象者

国民年金に加入中、①障害の原因となった病気・ケガについて初めて医師(または歯科医師)の診療を受けた日(初診日)がある方、②一定の障害状態にある方が該当します。


2.年金を受け取る条件

初診日の前日において、次のいずれかの要件を満たす必要があります。ただし、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日があった場合、納付要件はありません。 

  • 初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間、保険料を納付済または免除されている
  •  初診日に65歳未満で、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がない

遺族基礎年金

1.対象者 

死亡した人によって生計を維持されていた

  • 子のある配偶者
  • 子(18歳到達年度の年度末を経過していない方、20歳未満で障害年金の障害等級1・2級の方が該当します。)

2.年金を受け取る条件 

次の条件が必要です。

  • 被保険者または老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上ある者が死亡した場合
  • 亡くなった人が、保険料納付済期間または保険料免除期間が加入期間の2/3以上あること(※平成38年4月1日前の場合:死亡日に65歳未満であれば、死亡日の属する月の前々月までの1年間の保険料を納付しなければならない期間のうちに、保険料の滞納がなければ受けられます。)

年金制度②:厚生年金保険の仕組みをわかりやすく解説

サラリーマンのように厚生年金保険に加入している人は、厚生年金保険の制度を通じて国民年金に加入する第2号被保険者に分類されます。

国民年金の給付である「基礎年金」に加えて、「厚生年金」を受けることとなります。


厚生年金の加入手続きは、厚生年金の適用事業所となっている会社(事業所)が従業員を採用した場合、事業主側から事業所の所在地を管轄する年金事務所へ届け出ます。


サラリーマンの年金についてはこちらで詳しく解説していますので、ぜひ読んでみてください。

厚生年金とは、会社員や公務員を対象にした公的年金

厚生年金とは、厚生年金保険の適用を受ける会社に勤務する全ての人が対象となります。

また、同じく公的年金制度の2階部分に位置しているのが「共済年金」です。

共済年金は、国家公務員、地方公務員や私立学校の教員等として常時勤務する組合員、および私立学校教職員共済の加入者が対象となります。

厚生年金の保険料の支払い期間はどのくらい?

厚生年金の保険料の支払い期間は70歳までとなっています(厚生年金保険法第9条)。

わかりやすく言えば、通常であるなら65歳で退職するわけですが、企業等で働き続ける限りは、70歳に達するまで厚生年金の保険料を支払い続けなければいけません。

つまり、年金は65歳から受給開始されますが、65歳を超えても働き続ける場合には、年金の受給を受けながら、保険料も支払うことになります。

厚生年金の保険料の金額はいくら?

厚生年金保険の保険料は、毎月の給与(標準報酬月額)および賞与(標準賞与額)に共通の保険料率をかけて計算されます。


もっとも、この保険料は被保険者(従業員)が全額負担するわけではなく、事業主と被保険者とで半分ずつ負担します。


毎月の保険料額

保険料額は、「標準報酬月額×保険料率」で計算されます。この標準報酬月額は、現在、1等級(8万8,000円)~31等級(62万円)までの31等級に分かれています。


賞与の保険料額

保険料額は、「標準賞与額×保険料率」で計算されます。


賞与支給1回(同月に2回以上支給された場合は合算)につき、150万円が上限となります。


この標準賞与額に該当するのは、賞与・ボーナス・期末手当・繁忙手当等、どのような名称のものであっても、年3回以下の回数で支給されるもの、および定期的でなくても一時的に支給されるものが該当します。

厚生年金の種類と、それぞれの受け取れる条件

厚生年金には3種類あります。それぞれ受け取れる条件が異なります。

老齢厚生年金

1.対象者 

厚生年金保険の適用を受けている事業所へ勤務していた従業員等が該当します。 


2.年金を受け取る条件 

①厚生年金の被保険者期間があり、②老齢基礎年金を受けるのに必要な資格期間を満たした方であれば、65歳から老齢基礎年金に上乗せして老齢厚生年金が支給されます。 


障害厚生年金

1.対象者 

厚生年金に加入中、①障害の原因となった病気・ケガについて初めて医師(または歯科医師)の診療を受けた日(初診日)がある方、②一定の障害状態にある方が該当します。


2.年金を受け取る条件

初診日の前日において、次のいずれかの要件を満たす必要があります。

  • 初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間、保険料を納付済または免除されている
  • 初診日に65歳未満で、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がない

遺族厚生年金

1.対象者 

次の被保険者の親族となります。

  • 妻(30歳未満の子のない妻の場合、5年間の有期給付となります。)
  • 子、孫(18歳到達年度の年度末を経過していない方、20歳未満で障害年金の障害等級1・2級の方が該当します。)
  • 55歳以上の被保険者の夫、父母、祖父母(支給開始は60歳からです。)

2.年金を受け取る条件

次の条件が必要です。

  • 被保険者が死亡、または被保険者期間中の傷病が原因で初診日から5年以内に死亡
  • 保険料納付済期間または保険料免除期間が国民年金加入期間の2/3以上あること※(平成38年4月1日前の場合:死亡日に65歳未満であれば、死亡日の属する月の前々月までの1年間の保険料を納付しなければならない期間のうちに、保険料の滞納がなければ受けられます。)
  • 老齢厚生年金の受給資格期間について25年以上ある方が死亡した
  • 1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けられる方が死亡した

国民年金と厚生年金の仕組みの違い

国民年金と厚生年金をわかりやすく比較すれば次の表の通りです。
年金制度国民年金(基礎年金)厚生年金
窓口市区町村役場事業所
(管轄:年金事務所)
加入対象者日本に住む
20歳~60歳未満の全員
厚生年金に加入している
企業へ勤務する70歳未満の人
保険料納付方法毎月16,340円を
振込/口座振替/窓口持参
給料から天引き
最低加入期間10年会社に在職する限り
(70歳になるまで)

以下では、国民年金と厚生年金の支給額の違いを説明します。

老齢基礎年金と老齢厚生年金の支給額の違い

老齢年金の支給額の違いは、わかりやすく説明すると次の通りです。


老齢基礎年金の支給額

65歳より満額が支給される場合、平成30年4月分から年金額は779,300円です。

ただし、加入の期間が短ければその分、支給額は減ります。


老齢厚生年金の支給額

65歳より「老齢基礎年金+老齢厚生年金」が支給されます。受給額は、加入期間の長さ・給料に応じて変化します。

障害基礎年金と障害厚生年金の支給額の違い

障害年金の支給額の違いは、わかりやすく説明すると次の通りです。

障害基礎年金の支給額(平成30年4月分~)

  • 障害等級(1級):779,300円×1.25+子の加算
  • 障害等級(2級):779,300円+子の加算

子の加算は次の通りです。

  • 第1子・第2子:各224,300円
  • 第3子以降:各74,800円

障害厚生年金の支給額(平成30年4月分~)

  • 障害等級(1級):(報酬比例の年金額)×1.25+〔配偶者の加給年金額(224,300円)〕
  • 障害等級(2級):(報酬比例の年金額)+〔配偶者の加給年金額(224,300円)〕
  • 障害等級(3級):最低保障額584,500円

遺族基礎年金と遺族厚生年金の支給額の違い

遺族年金の支給額の違いは、わかりやすく説明すると次の通りです。

遺族基礎年金の支給額(平成30年4月分~)

  • 障害等級(1級):779,300円×1.25+子の加算 
  • 障害等級(2級):779,300円+子の加算 

子の加算は次の通りです。  


  • 第1子・第2子:各224,300円
  • 第3子以降:各74,800円

遺族厚生年金の支給額(平成30年4月分~)

報酬比例部分の年金額は、原則として「本来水準」の計算式の金額になりますが、「従前額保障」の計算式の金額の方が高い場合には、「従前額保障」の計算式の金額が年金額となります。 


  • 本来水準:(平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月までの被保険者期間月数+平均標準報酬月額×5.481/1000×平成15年4月以後の被保険者期間月数)×3/4
  • 従前額保障:(平均標準報酬月額×7.5/1000×平成15年3月までの被保険者期間月数+平均標準報酬月額×5.769/1000×平成15年4月以後の被保険者期間月数)×0.999×3/4

被保険者ごとの国民年金と厚生年金の保険料の支払い方法

国民年金と厚生年金の保険料の支払い方法をわかりやすく示すと、下表のようになります。なお、前納制度では毎月支払う場合と比較した割引額も表示しています。

支払い方法国民年金厚生年金
毎月の
納付方法
毎月16,340円を
振込/口座振替/窓口持参
給料から天引き
前納制度
(口座振替前納)
2年前納:1回あたりの納付額
377,350円(割引額15,650円)

1年前納:1回あたりの納付額
191,970円(割引額4,110円)

6カ月前納:1回あたりの納付額
96,930円(割引額1,110円)

当月末振替:1回あたりの納付額
16,290円(割引額50円)

翌月末振替:1回あたりの納付額
16,340円(割引額なし)
なし
前納制度

(クレカ前納)
2年前納:1回あたりの納付額
378,580円(割引額14,420円)

1年前納:1回あたりの納付額
192,600円(割引額3,480円)

6カ月前納:1回あたりの納付額
97,240円(割引額800円)
なし

【必見】勘違いしやすい年金制度の仕組み

年金制度で一般の方がよく勘違いしているポイントがいくつかあります。

まず1つ目が、国民年金保険・厚生年金保険は「将来の年金」のためだけではないという事実です。ここまでで詳しくわかりやすくまとめてきたので割愛しますが、「遺族年金」(遺族基礎年金・遺族厚生年金)「障害年金」(障害基礎年金・障害厚生年金)が含まれています。

将来、年金がもらえないから年金を払わない、なんて人を聞いたことがありますが、死亡時や障害時にも保障される「保険」としての仕組みがあることを理解しておきましょう。

国民年金保険・厚生年金保険は国が運営している年金制度なので、保障額は小さいにせよ、民間の保険よりもかなり割安な保険制度といえます。

そのほかにも年金制度の仕組みを勘違いしやすいポイントをまとめていきます。

10年以上、保険料を支払わないといけないことに注意

国民年金の保険料を全く支払わない場合、当然年金はもらえなくなりますが、10年間払い続ければ、年金受給資格を得ることができます。

逆に、9年支払ってもその後に支払を止めてしまうと、わかりやすく説明すれば1円も国民年金は受け取れません。


保険料を支払うお金が家計を圧迫してしまうならば、後述する保険料の免除・猶予制度を活用しましょう。


年金の受給資格についてはこちらで詳しく解説していますので、ぜひ読んでみてください。

国民年金には保険料の免除や猶予制度というメリットがある

国民年金保険料を支払うと、家計が厳しくなる場合もあります。

そんな時は次の制度を活用しましょう。わかりやすく説明します。

いずれの制度も申請が必要です。

  • 納付猶予制度:50歳未満の国民年金の第1号被保険者で、本人・配偶者の前年所得が一定以下の人に対し、保険料の納付を猶予する制度です。10年間は追納が可能です。
  • 学生納付特例制度:大学・専修学校等の学生で、国民年金の第1号被保険者に該当し、本人の前年所得が一定以下の人ならば、在学期間中、保険料の納付を猶予することができます。10年間、追納が可能です。
  • 免除税度:国民年金の第1号被保険者本人等が所得の低いとき等に、全額または一部の納付義務が免除されます。この制度には、全額免除・四分の三免除・半額免除・四分の一免除があります。免除を受けた期間は、基礎年金・一時金の受給資格期間に算入されます。

保険料が社会保険料控除の対象となるメリットがある

確定申告書の所得金額から差し引かれる金額欄に、社会保険料控除という項目があります。

この社会保険料控除の一つとして認められているのが国民年金保険料です。

個人事業主の場合は、確定申告時期(毎年2月16日~3月15日)に申告します。


保険料の全額が所得控除の対象になります。


わかりやすく言えば、国民年金保険料を支払っていればその分、納税金額も減ることを意味します。


なお、厚生年金も社会保険料控除の対象ですが、会社の年末調整で所得税に相当する源泉徴収税が清算されるので、従業員が申告する必要はありません。

保険料が値上がりしているデメリットがある

国民年金の保険料の場合は、平成28年4月~平成29年3月は16,260円、平成29年4月~平成30年3月は16,490円、平成30年4月~平成31年3月は16,340円と微増・微減を繰り返しています。


厚生年金の場合は、平成29年9月を最後に引上げが終了し、以降の厚生年金保険料率は18.3%で固定されると政府から発表されています。


しかし、今後の日本の社会経済状態によっては、保険料の更なる値上がりも想定されます。仕組み上、仕方ないでしょう。国民年金・厚生年金いずれにしても、その後の保険料の推移は注目するべきでしょう。

まとめ:どこよりもわかりやすい日本の年金制度の仕組みの解説

どの記事よりもわかりやすく年金制度の仕組みを解説しようとしましたが、いかがでしたでしょうか。

年金のシステムは単純ではなかったでしょうか?

今回の記事のポイントは、

  • 国民年金も厚生年金も納付条件等によっては、被保険者本人のみならず、配偶者・子等に遺族年金という形で支給できる
  • 国民年金と厚生年金では年金保険料の支払方法も、年金受給額もそれぞれ異なる
  • 年金の保険料については免除制度が活用できることや、保険料を支払えば税負担の優遇措置が受けられる

でした。


年金制度をわかりやすく言えば、自分の老後を安定させるための仕組みだけではなく、ご自分がまさかの事態になった場合に、その家族へも恩恵が約束される優れた仕組みといえます。

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