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保険金詐欺は少額でも犯罪!!車両保険不正請求の手口と防止策

保険金詐欺は生命保険のイメージが強いですが、実際には自動車保険の車両保険をつかった詐欺行為が多くを占めています。車両保険は単独、自損事故でも補償されるタイプもあり、複数人で自作自演の事故を装うケースが見られます。車両保険の手口と防止策の解説をします。

自動車保険の車両保険を使った保険金詐欺を大解剖!

保険金詐欺と聞くと、生命保険を使った殺人などの犯罪をイメージしますが、実は保険金目的の殺人や医療費搾取などの犯罪行為は、かなり少なく発生件数も年間でも数件程度です。


実際に保険金の不正請求で多いのは、自動車保険の車両保険や火災保険などの損害保険がターゲットにされるケースがほとんどです。


特に車両保険の不正請求は、保険会社が行う社内研修や代理店向けのニュースなどで毎月のように事例の報告が上がっています。


実際にどのようなケースで車両保険を使った不正請求のケースがあるのか、解説します。

自動車保険で不正請求などの保険金詐欺が行われやすい理由

生命保険を使った保険金詐欺は、受取人を第三者にする必要があり、第三者が受取人の契約は、必ず保険会社のチェックが入り、契約自体が難しく、また受取人が身内でも不審な点があれば、警察などの介入があり、保険金の受け取りはかなり難しいことがあります。

一方で車両保険などは、自損事故で車両に損害を受けた、車両が盗難された、実際の修理費用より多く水増しして別事故での損害も請求するなど、かかわる人数も少なくてできるため、保険金詐欺が行われやすい状況があります。

修理費用の水増し請求などは、少額のため罪の意識が低く、より多くの保険利益を求めるあまり、不正請求をするケースもあります。

保険金詐欺の罪状、刑法246条と民法709条を簡単に解説

保険金詐欺の罪状ですが刑法と民法で定めらています。刑法では懲役、民法では損害賠償の罪を問われます。


刑法246条(詐欺)

第246条人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

出典: https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%88%91%E6%B3%95%E7%AC%AC246%E6%9D%A1


保険金詐欺で欺く相手は保険会社になります。最高で十年の懲役が適用されます。また、この詐欺に協力・加担した者も同じ罪状になります。


民法709条(不法行為による損害賠償)

第709条故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。 

出典: https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC709%E6%9D%A1


民法では、不法行為による損害賠償になり、被害者である保険会社から損害賠償請求をされます。不正に取得した保険金を保険会社へ返さなければなりません。

 

自動車保険の車両保険を使った詐欺のやり方はパターン化されている

自動車保険の車両保険を使った保険金詐欺のやり方は、パターン化しています。


理由は車両保険の保険金請求は単独、自損事故でも補償されるもので、事故の報告や現場調査など自分で容易に操作できることにあります。

自動車事故による保険金支払い事案は、保険会社にとって日常的に発生しています、また事故当初の状況は、事故を起こした本人および事故の相手にしかわかりません。


保険会社は契約者などから事故の報告があると事故対応をしますが、物損のみの事故では警察への届け出も必要がなく、事故を起こした本人や事故の相手の状況報告で事故処理が進められます。



また車両の修理費用を実際の損害額より、大きい金額で請求する架空請求があります。架空請求は高級車やスポーツカーなど修理費用が高い車両をわざとキズを付け、高額な保険金を請求するものです。


車両保険を利用した保険金詐欺は、複数人の協力で自作自演の事故および架空請求するというパターン化しています。

パターン①:友人らを利用して計画的な事故をする「自作自演」

車両保険を利用した保険金詐欺で最も多いのは、友人らを利用して「自作自演」で事故を装い、不正に保険金請求を行うパターンです。

複数人の証言や事故の相手の承認があれば、示談などの交渉が早く進みます、保険会社は事故処理を進めやすくなり、保険金も早めに支払いがされます。

逮捕事例:愛知で自演事故(2017年5月)福島で少年が事故偽装(2016年2月)

最近でも、車両保険の保険金詐欺による逮捕事例がありますので紹介します。

2017年5月愛知県で保険金搾取未遂で男女3人が逮捕された事例です。


2017年の5月末日、無職の男性が交通事故の偽装で、損害保険金をだまし取ろうとしました。

これは詐欺未遂に終わりましたが、愛知県の警察はこの無職の男性を含む、3人の男女を逮捕しました。

この無職の男性が関係した事故が多発して、不審に思った保険会社からの情報提供がされました。


2016年2月福島県で少年ら4人が逮捕された事例です。


福島県では少年4人が故意に車と車を衝突させて、保険金をだまし取ったとして逮捕されました。最初「アクセルとブレーキを間違えた」としていましたが、4人の勤務先が同じで請求内容に不審な点があったとして保険会社からの通報で警察が捜査しました。

パターン②:実際の修理額より大きい金額を請求する「架空請求」

次に、実際の修理金額より大きい金額を請求する「架空請求」のケースがあります。

主に高級車やスポーツカーなど、普通より修理金額が高い車種を使いでわざとキズを付けて、保険会社へ修理代を水増しするなどして保険金請求することです。

外国産の高級車やスポーツカーは、一般的な車より修理金額が高くなるケースが多く、輸入部品や塗装費用を実際には修理していない分まで修理見積もりに含めて、車両保険の保険金請求をします。

逮捕事例:2014年1月国生さゆりの元夫が車両保険金詐欺で逮捕

2014年1月、女優の国生さゆりさんの元夫が複数人の協力で、高級スポーツカーにわざとキズを付けて、保険金をだまし取った詐欺で、逮捕状が出ました。

高級スポーツカーに他人がわざとキズを付けて、高額な修理費用を保険会社へ車両保険金の請求を出し925万円をだまし取りました。


保険会社の調査は厳しくなっており、逮捕事例も多い

保険会社は近年、高級車の盗難多発や、不正請求などで被害額が増え、同様の事故案件については調査を厳しくしています。

調査を厳しくした結果、保険会社からの報告や情報提供により逮捕される事例も多くなりました。

保険会社が行う調査のやり方とは?

保険会社は車両保険の事故報告があった場合、相手がある事故なのかを確認し、警察の届出の有無を確認にします。警察への届出がない場合は事故の状況を事故を起こした本人に直接聞き取ります。

本人からの報告は、事故現場の詳しい場所の写真、時刻、自車両の詳細な写真の提出を依頼します。また修理工場へ保険会社の調査員(アジャスター)が事故車両の立ち合い調査をして見積もりを出し、修理工場から出てきた見積もりと照らし合わせます。


相手のいない単独、自損事故の場合は、上記のほかに運行経緯書の提出を依頼します。事故から最低6時間遡った時点から、本人の行動を時系列に書き出してもらいます。


本人から提出された運行経緯書をもとに保険会社は本人の立ち寄り先への聞き取りなどの調査を行います。ここで不審な点が出てきた場合は車両保険などの保険金支払いを止められます。


複数の保険会社をまたぎ、同じような手口で過去に保険金請求をしていた事実を知る方法はいままではありませんでしたが、一般社団法人日本損害保険協会は新システムを導入して、情報を各保険会社間で共有するシステムの導入がされました。

もし自動車保険金詐欺で捕まったらどうなるの?

自動車保険金詐欺で逮捕された場合の流れをまとめてみました。

  1. 逮捕
  2. 48時間以内(2日)に検察庁に送検
  3. 拘留請求10日間必要に応じて追加請求10日間(最大20日)
  4. 起訴、不起訴の決定、不起訴なら釈放
  5. 公判
  6. 判決
  7. 服役または執行猶予
自動車保険金詐欺で逮捕された場合は、起訴まで最大22日間拘留され起訴になれば、公判で2回裁判が行われ判決となります。

保険金詐欺になる?と悩んだ方のためのQ&A事例集

全損の事故を起こしてしまったが、故意と自然事故の境界はどこ?

単独事故で自動車を全損させてしまい、車両保険の保険金を請求するにあたり、保険金詐欺を疑われるのでは?と悩まれる場合、故意と自然事故の境界がどこにあるのかを説明します。

事故の状況では、客観的な判断材料が重要です。事故当時の天候、他物の損害、警察への届出、ケガの有無など細かく聞き取りします。また運行経緯書などで行動の裏付けができれば自然事故として処理されます。


故意と疑われる場合は、上記の部分でどこかに矛盾点があり、さらに調査が行われ、現場の詳細な写真や目撃者を探すなどの調査が入ります。

車が盗難されてしまい車両保険を使ったが、車が発見された場合に保険金は返還しないといけない?

車の盗難に遭い車両保険を使った場合ですが、車両保険金が支払われた時点で、車は保険会社の所有になります。のちに車が発見された場合は保険会社が引き取ることになり、保険金の返還の必要はありません。

どうしても愛着のある車でもう一度所有したい場合は、保険会社との交渉になりますが、保険会社から買い戻す形になります。注意することは支払った保険金と同額になる保障はありません。

まとめ:車両保険での保険金詐欺は絶対に行なってはいけません

いうまでもなく、保険金詐欺は犯罪行為であり絶対に行ってはなりません、少額でも詐欺行為は許されることはありません。

問題はこのぐらいなら何とかできるだろうという罪意識の低さです。どうせ事故で車両保険が使えるからついでに古いキズも直してしまおうと、修理業者や保険代理店に圧力をかけてうその報告をするように強いる人もたまにいらっしゃいます。


この場合、従ってしまった人も同様の罪に問われ、自分だけの問題ではなくなります。

車両保険の保険金詐欺で困ったら、弁護士に相談しましょう

車両保険で保険金詐欺を疑われ困ったときは、弁護士へご相談されることをおすすめします。一般の人では事故の知識もなく保険会社との交渉を行うことは非常に困難です。

時間はかかりますが、弁護士に依頼すれば保険金詐欺と判断される材料などを細かく検証し、保険会社との交渉を行うことも可能です。

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