共働きの場合の遺族年金は不公平?夫が死亡・妻が死亡の場合

夫や妻が亡くなった時に配偶者や子供がもらえる遺族年金。気になるのが共働きの場合どのくらいもらえるのかだと思います。この記事では夫が死亡した場合と妻が死亡した場合に分けて共働きの家庭で遺族年金がいくらもらえるのかを解説していきます。

共働きの場合の遺族年金はどうなる?

昔とは違い、今は子育てをしながらも働く女性が増えていることから、不慮の出来事を想定して遺族年金について考えるご家庭も多いのではないでしょうか。


夫婦どちらかが亡くなった場合、一気に家計が苦しくなるため遺族年金に頼る人も多いと思います。


しかし、遺族根金は共働きの夫婦の場合、夫が亡くなった場合妻が亡くなった場合では条件が変わってくるため、ご家庭の状況によっては遺族年金がもらえないこともあります。


そこで、今回は共働きの場合の遺族年金について、

  • 共働きで退職前の夫が亡くなった場合の遺族年金の条件・支給方法
  • 共働きで退職前の妻が亡くなった場合の遺族年金の条件
  • 共働きのパターン別、遺族年金支給額のシミュレーション
以上のことを解説していきます。

この記事を読めば、共働き夫婦の場合の遺族年金の条件や専業主婦との違いなどがわかると思います。ぜひ、最後までご覧ください。

共働きで退職前の夫が亡くなった場合の遺族年金・3つの支給方法とは?

まず最初に、共働きで退職前の夫が亡くなった場合は、どのような条件が必要となるのでしょうか。


ここでは、

  • 妻が遺族年金をもらえる条件
  • 遺族年金の3つの支給方法・支給金額の決め方
  • 専業主婦と比べるとどうなるのか
以上のことについて解説します。

結婚しているのだから、夫が亡くなった場合は遺族年金が必ずもらえるものだと思う人は多いと思います。

遺族年金がもらえる条件や支給方法など、しっかりと確認していきましょう。

夫が亡くなった場合、妻が遺族年金をもらえる条件は?

遺族年金には、遺族厚生年金遺族基礎年金の2種類があります。


遺族厚生年金の条件

妻の年齢子供の有無受給期間
30歳未満一生涯
×5年間
30歳以上関係なし一生涯

遺族厚生年金は、亡くなった人によって生計を維持されていた配偶者(もしくは子供)が条件となります。


また、妻の年齢と子供の有無によって受給期間が変わってきます。ポイントは、30歳未満で子供が居ない場合は受給期間が5年となるということです。


そして、亡くなった人(夫)の年金加入実績に応じた金額が支給されるため、支給額は一定ではありません。


遺族基礎年金の条件

受給者子供あり子供なし
×

遺族基礎年金は、「亡くなった人によって生計を維持されていた、子供のいる配偶者(もしくは子供)」が条件となります。

子供というのは、高校を卒業する前の18歳未満までの子のことを指します。もし、子供が障碍者である場合は20歳未満が条件となります。

また、共働きの場合は妻の年収が850万円以上の場合、遺族厚生年金・遺族基礎年金が支給されない可能性があります。 

何故かと申しますと、条件にある生計を維持されていたという基準が、
  • 生計が同じであること
  • 受け取る人の年収が850万円未満、もしくは、所得が655万円5千円未満であること
このように設けられているからです。

遺族年金支給方法3つ・支給金額の決め方について

共働きでバリバリ働いていた夫婦でも、夫に先立たれてしまいますと夫婦でもらえるはずだった年金がすべてもらえなくなります。

しかも、夫が年金受給前に亡くなった場合、もらえる年金はさらに変わってきます。妻がもらえる年金は3つの支給方法があり、基礎年金は妻の分しかもらえません。

1つ目の支給方法

  • 妻の年金のみ
ご自身の老齢厚生年金だけが支給され、夫の遺族年金は1円ももらえません。また、夫が支払った年金保険料はすべて召し上げとなります。

2つ目の支給方法

  • 妻の老齢厚生年金の半額
  • 夫の老齢厚生年金の半額
夫と妻の老齢厚生年金を折半して支給されます。この場合、夫婦で支払った年金保険料の半分は召し上げとなります。

3つ目の支給方法

  • 夫の遺族年金のみ
夫の遺族年金だけが支給され、自分の老齢厚生年金は1円ももらえません。専業主婦の遺族年金と扱いは同じになり、妻が支払った年金保険料はすべて召し上げとなります。

支給方法は妻が基本的に選択しますが、夫と妻の年金額によって受給額が最も高くなるパターンが決まります。

専業主婦と比べると損?不公平?

共働き世帯の年金額と片働き世帯の年金額は、当然共働き世帯のほうが多いですが、夫が亡くなった場合は話が大きく変わってきます。


先に夫が亡くなると、夫の厚生年金の4分の3が遺族厚生年金として受け取れます。


仮に夫の厚生年金が16万円だったとすると、4分の3の金額は12万円です。ここで気を付けなくてはいけないのが、自分の年金にプラスして12万円が受け取れるということではないということ。


遺族厚生年金と老齢厚生年金を受ける権利がある共働きの妻は、ご自分の老齢厚生年金をまず受給します。そして、遺族厚生年金は老齢厚生年金に相当する額が支給停止となってしまうのです。


仮に、妻の老齢厚生年金が10万円だった場合、差額の2万円が遺族厚生年金として受け取れますが、それ以外の金額は支給されません。専業主婦の妻のように、ご自身に厚生年金の加入経験が無ければ遺族年金は12万円全額支給されます。


では、専業主婦と共働きの妻の年金額は同じなのかと言いますと、実は専業主婦よりも損してしまう可能性があります。

  • 専業主婦の場合、遺族厚生年金の12万円は非課税
  • 共働きの妻の場合、ご自分の老齢厚生年金10万円は課税対象

同じ12万円でも専業主婦は12万円が非課税になりますが、共働きの妻の場合、老齢厚生年金分の10万円が課税対象となり、実際の手取額は少なくなると考えられます。

共働きで退職前の妻が亡くなった場合の遺族年金

近年では、専業主婦ではなく共働きの世帯のほうが増えていると言われています。


そのため、退職前の妻が亡くなる可能性も高くなり、遺族年金はどうなるのかと考える男性も多くいるのではないでしょうか。


ここでは、

  • 妻が亡くなった場合の遺族年金をもらえる条件
  • 夫はいくらもらえるのか、年収によってどれくらい変わってくるのか
以上のことについて解説します。

妻が亡くなった場合、夫が遺族年金をもらえる条件とは?

妻が亡くなった場合、遺族基礎年金遺族厚生年金がもらえる条件は以下となります。

年金の種類子供あり子供なし
遺族基礎年金×
遺族厚生年金子供が受け取る条件次第による

遺族厚生年金は男女格差があると言われており、また子供が居るか居ないかによっても変わってきます。遺族厚生年金の「条件次第による」とは、夫の年齢が55歳未満になります。


もう少し細かく見ていきましょう。


子なしの新婚世帯、夫が55歳未満

  • 遺族基礎年金・なし
  • 遺族厚生年金・なし
子なしで夫の年齢が55歳未満の場合、遺族基礎年金も遺族厚生年金もありません。

18歳未満の子どもがいる世帯、夫が55歳未満

  • 遺族基礎年金・あり
  • 遺族厚生年金・子供に支給される(夫には受給資格なし)
末の子が18歳の年度末を迎えるまでの受給となります。

18歳未満の子どもがいる世帯、夫が55歳以上

  • 遺族基礎年金・あり
  • 遺族厚生年金・あり
まず、末の子が18歳の年度末を迎えるまで受給となりますが、そこで一度支給がストップとなります。

そして、夫が60歳になると遺族厚生年金の支給が再開されます。

子なしで55歳以上の夫婦

  • 妻が亡くなったときに夫が55歳以上であれば、遺族厚生年金を受け取れる
この場合、受給できるのは原則として60歳以上からになります。

残された夫はいくらもらえる?年収によってどのくらい変わる?

遺族年金の支給対象者は、配偶者の年収が850万円未満(所得が655万円5千円未満)となるため、残された夫や妻の年収がそれ以上だった場合は遺族年金は支給されません。


遺族厚生年金は、妻は年齢要件はありませんが夫の場合は55歳以上という要件があります。ただし、55歳以上であったとしても、実際に受給できるのは60歳になってからです。


夫婦ともに22歳から会社員として働き、ともに現在40歳で8歳の子どもが1人居た場合、夫の年収が400万円・妻の年収が300万円だった場合で例をだしてみましょう。

  • 遺族基礎年金・あり
  • 遺族厚生年金・子供は18歳になるまで支給されるが、夫は55歳未満のため支給なし
※目安額となります。(実際の支給額を約束するものではありません。)

この場合、遺族基礎年金と遺族厚生年金の総支給額はおよそ1,300万円になります。

仮に妻が死亡時55歳以上だった場合は、夫は生涯遺族年金を受け取ることができます。

共働きのパターン別、遺族年金支給額のシュミレーション3つ

共働きの場合、遺族年金の支給額には様々な条件があることがわかりました。


ここでは、実際に、

  • 【夫死亡】夫の方が収入が多い場合に子なしの妻45歳がもらえる金額
  • 【夫死亡】妻の方が収入が多い場合に妻35歳と子供5歳がもらえる金額
  • 【妻死亡】夫の方が収入が多い場合に夫50歳と子供15歳がもらえる金額
  • 【妻死亡】妻の方が収入が多い場合に夫58歳がもらえる金額
以上の4つのパターンについてのシミュレーションをご紹介します。

パターン1:【夫死亡】夫の方が収入が多い場合に子なしの妻45歳がもらえる金額

まず、夫のほうが妻よりも収入が多い場合で子供が居ないケースでは、遺族厚生年金と中高齢寡婦加算がなされます。

夫の平均標準報酬月額支給額
25万円月額約8.2万円
35万円月額約9.5万円
45万円月額約10.8万円

※目安額となります。(実際の支給額を約束するものではありません。)


子供が居ないため、遺族基礎年金は受け取れません。


子供が仮に居たとしても、全員が18歳を超えている場合は子供の居ない妻と同様の扱いとなります。

パターン2:【夫死亡】妻の方が収入が多い場合に妻35歳と子供5歳がもらえる金額

妻の年収が850万円以上で、夫が亡くなった場合は遺族年金を受け取れないことがあります。


遺族年金を受け取ることができる要件にある、亡くなった人によって生計を維持されていた配偶者などの所定の親族に引っかかってしまうからです。


生計を維持されていたとは、原則として生計が同一で年収850万円未満(所得が655万円5千円未満)でなくてはいけないため、収入が多い妻の場合は遺族年金が受け取れなくなるのです。


この場合、

  • 遺族基礎年金・なし
  • 遺族厚生年金・なし
  • 中高齢寡婦加算・なし
となり、61歳からもらえる妻の老齢厚生年金のみとなります。

パターン3:【妻死亡】夫の方が収入が多い場合に夫50歳と子供15歳がもらえる金額

15歳の子どもが居る家族で、50歳の夫の妻が死亡した場合の遺族基礎年金と遺族厚生年金について見ていきましょう。


まず、妻が自営業者だった場合の、遺族基礎年金は以下のようになります。

  • 遺族基礎年金・18歳まで月額約8.3万円

そして、妻が会社員だった場合の、遺族基礎年金と遺族厚生年金は以下のようになります。

妻の標準報酬月額支給額
25万円月額約11.7万円
35万円月額約13万円
45万円月額約14.3万円
※目安額となります。(実際の支給額を約束するものではありません。)

夫の年齢が55歳未満のため、子供が18歳になる3年間のみの支給となります。

子供が18歳以上になりますと、夫が65歳になるまで遺族基礎年金・遺族厚生年金の支給はありません。以降は、夫の老齢基礎年金が支給されます。

パターン4:【妻死亡】妻の方が収入が多い場合に夫58歳がもらえる金額

共働きで子なしの場合、妻のほうが収入が多く死亡した場合は、夫は遺族年金の支給要件に当てはまりません。


この場合、遺族年金をもらうことはできません。子供の有無関係なく遺族厚生年金が支給される要件は、夫の年齢が60歳以上に限ります。


遺族年金には男女格差があり、妻のほうが収入が多い場合は夫は苦労するかもしれません。

個人で遺族年金の問題に対応するには、民間の収入保障型の保険に加入するなどの方法があります。いざという時のためにも、ある程度はご自身で貯金をしておくのも良いかもしれません。

共働き夫婦は専業主婦の家庭より遺族年金がもらえない

共働き夫婦の遺族年金の夫と妻が死亡した場合の支給条件や支給額について解説しましたが、いかがでしたでしょうか。


今回の記事のポイントは、

  • 夫が亡くなった場合、妻の年齢や子供の有無により条件が変わる
  • 遺族厚生年金は非課税だが、老齢厚生年金10万円は課税対象となるため、専業主婦の家庭のほうが遺族年金の支給額が多くなる
  • 妻が亡くなった場合、夫の年齢が55歳未満だと遺族年金は支給されない
  • 遺族年金を受け取ることができる要件にある、「生計を維持されていた」とは、原則として生計が同一で年収850未満(所得が655万円5千円未満)である
以上になります。

共働き夫婦は、お互いが健康であれば収入も多いですが、どちらかが亡くなった場合は収入の多さや年齢、子供の有無によって遺族年金の条件が大きく変わってきます。

将来のためにも、夫婦健康でいつまでも長く生き続けられるようにいたいものです。

また、改めて遺族年金だけではなく、民間の収入保障型の保険などの加入検討もしておくと良いでしょう。

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