無配当の定期保険は有配当とどう違う?メリット・デメリット徹底解説

定期保険には、有配当と無配当の2種類があります。これだけ聞くと、配当がないのは何となく損である気がしますが、実際にはそれぞれメリットとデメリットがあります。定期保険への加入、見直しにあたって、有配当・無配当をどのように考えれば良いのか、まとめました。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

無配当定期保険について解説!主な特徴についてご紹介!

そもそも定期保険の配当とはどのようなものか、最初にご紹介しておきましょう。配当と聞いて一番ピンとくるのは、株式投資だと思います。株を持っている会社の業績が良い場合に、企業から株主に分配されるお金です。


いっぽう定期保険の配当は、保険会社の業績によるものではありません。保険の配当の原資は、利差益・死差益・費差益の3つです。利差益は、予定していた保険料の運用益を超えた場合、死差益は、予定していた死亡保険金の支払金額を実際の支払金額が下回った場合、費差益は、予定していた保険会社を運営する費用(人件費・事務所費等)を実際の費用が下回った場合、となっています。


このため、有配当の定期保険であっても、配当のある年とない年があります。また、配当金の金額は予想できるものではないので、契約者として配当金はあてにすべきお金ではありません。

特徴①:配当金は無いけどその分大きな保障が割安な保険料で補える

無配当の定期保険は、その名の通り、配当がないタイプの定期保険です。利差益・死差益・費差益がどれほど発生しても、配当はゼロです。しかし配当がない分だけ、有配当の定期保険と比べると、保険料が割安になっています。


そもそも安い保険料で大きな保障を買えるのが定期保険の特徴です。終身保険のような貯蓄性を定期保険には求めていないのですから、定期保険で配当を期待するというのは、少し目的と手段にずれがあると思います。


かりに保険金額1000万円の無配当定期保険の月払保険料が3,000円で、有配当定期保険の月払保険料が3,300円だとしましょう。有配当定期保険の月払保険料を無配当の保険料に合わせて3,000円にした場合、有配当定期保険の保険金額は約909万円となります。つまり、同じ保険料で比較した場合、無配当のほうが有配当よりも大きな保険に加入することができるということになります。

特徴②:保険期間をいろいろと選択することも可能

無配当定期保険は、保険期間を自由に選択することが可能です。保険期間は、一般的に10年満了、20年満了、60歳満了といったきりの良い期間が選ばれることが多いのですが、保険会社によっては、1歳刻みで加入できるものもあります。

特徴③:申出がない限り契約は80歳まで自動更新される

無配当定期保険で、保険期間が10年や20年といった比較的短い期間のものは、いったん保険期間が満了しても、保険契約者側から特に申し出がない限り、保険契約は80歳まで自動的に更新されます。

自動更新の最大のメリットは、更新時の健康状態を問わず無条件に更新することができることです。極端な話、更新時に余命宣告がされていたとしても、更新することが可能です。デメリットは、更新のたびに保険料が上がることです。ただし、これは契約時の保険金額のまま更新した場合の話であって、更新の直前までに保険金額を減らすことで、保険料も減らすことは可能です。

定期保険は無配当と有配当どちらがよいと言えるの?


では、定期保険は無配当と有配当のどちらを選べばよいのでしょうか。

前述のとおり、無配当のメリットは保険料が安いこと、有配当のメリットは予定外の収入を得られる可能性があることです。これらのメリットをどのように捉えれば良いのか、以下に説明したいと思います。

配当があるからこそ有配当定期保険は通常保険が高く設定されていることも

有配当定期保険が無配当よりも保険料が高いのは、言い換えれば、配当分の保険料をあらかじめ徴収しているからとも言えます。

たとえば無配当の保険料が3,000円で有配当が3,300円であれば、差額の300円は配当分先に徴収しているという理解も成り立ちます。この場合、年間の配当が3,600円(300円x12か月)あれば収支はトントンですが、3,600円を下回れば、無配当のほうが良かったということになります。


ただしこれはあくまで結果論に過ぎず、加入前にどちらが有利だとは言えません。

無配当定期保険と有配当定期保険はインフレとデフレに作用される!

実は、配当の受け取り方は現金で受け取るだけではなく、保険金の買い増しという受取方法もあります。たとえば年間3,000円の配当が出たら、それをお金で受け取るのではなく、定期保険の保険金額を買い増すという方法で配当金を受け取ることもできるということです。


この方法で配当を受け取ると、配当が出た年は保険金が増えるということになります。無配当の場合は、保険金が増えることはありません。お金の価値が下がるインフレの場合は、有配当保険は保険金が増えることで、インフレに対応することができます。

まとめ

無配当の定期保険は保険料が割安なため、安い保険料で大きな保障を確保したいというニーズにはピッタリです。

一方、有配当の定期保険は配当で保障を買い増ししていけば、インフレ対策になるというメリットがあります。加入の段階でどちらが有利か断定することは困難です。


将来どのような結果になっても後悔しないためにも、有配当・無配当を選んだ理由を明確にしておきましょう。

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