個人年金保険の受け取り金に課税される税金の種類とその条件を解説

個人年金保険で受け取る満期金も、収入として課税対象となります。年金方式か一時金形式か、受取人が本人か別人か、金融類似商品か否かで課税関係は異なります。保険料を支払っている期間は、生命保険料控除(個人年金保険料控除)の対象となり、所得税の負担が少し軽くなります。

個人年金保険の満期後に受け取る年金は課税対象!



一定の年齢になると年金を受け取ることができる個人年金保険。


実は、その年齢に到達して受給するようになった年金も、収入とみなされて所得税が課税されることになっています。


「自分が積み立てたお金なのに、なぜ課税されてしまうのか」


と意外に思う方もいるかもしれません。


しかし、個人年金保険契約に基づいて保険会社に支払った保険料よりも、増えて戻ってきた分は所得税の課税対象となるのです。


つまり、利益分が課税対象となります。


ただし、これは実際に保険料を支払った人が受取人である場合であり、保険料負担者と受取人が異なる場合は受け取った年金全額が課税対象となるという違いがあるので、その部分についても解説します。

個人保険年金保険金の受け取り方によって課税対象に変化あり?受給方法を紹介!

個人年金を契約する時に、毎月の保険料や年金の受取年齢などを重視してしまいがちですよね。

年金契約について詳しく説明してくれる保険会社の方はあまりいらっしゃいません。

「保険期間の間に保険料を〇〇万円支払って受け取る年金額は〇〇万円でいくらほどプラスの利益が得られます。」

このくらいの説明なら聞いたことがあると思います。


一方、細かい部分となると「契約者は誰?」「受取人はこの人の方が良い?」「年金の受け取り方は一括?年金払い?」など、ほとんど説明が無い方が多いでしょう。


しかし、年金契約は契約時である最初がとても重要です!

契約形態や、年金の受け取り方によっては課税対象に大きな違いが発生します。


個人年金を契約するときに知っておきたい4つの課税ポイントについて詳しくご紹介していきます!

個人年金保険を毎年受け取る場合

自分が掛けていた個人年金保険を、自分で年金形式で受け取る場合は「雑所得」となり所得税が課税されます。


課税所得は、収入から経費を差し引いたものを指します。


今まで支払った保険料が必要経費として認められます。


ただ、認められるのはその年の分だけです。


これを計算するには、まず、今まで払ってきた払込保険料総額を年金受取総額(見込額の場合もあります)で割ります。


その割合に、年金額を掛けたものがその年の必要経費です。

個人年金保険を一時金で受け取る場合

個人年金保険を一時金で受け取る場合には「一時所得」となりこちらも所得税が課税されます。


一時所得は不安定な収入なので課税関係は少し緩やかです。


つまり、保険金総額から払込保険料総額を差し引き、さらに特別控除の50万円を差し引きます。


しかも、課税される所得に合算されるのはその2分の1で済みます。

個人年金保険の年金を本人以外が受け取ると、贈与税扱い

個人年金保険を契約して保険料を支払っていた人と、年金を受け取る人とが異なる場合があります。


収入のある夫が、妻の老後のために個人年金保険に加入していたような場合です。


この場合、年金を受け取る人は、何も負担していないのに年金を他人からプレゼントされたような形になります。


自分が保険料を負担していない個人年金保険の年金を受給する場合、「年金受給権」がプレゼントされたとみなされるため、所得税に加え贈与税が課税され、その課税額は、次の3つの金額の中で最も大きな金額です。


つまり、「解約返戻金相当額」「一時金相当額」「年金金額×受給年数を複利で計算し、現在の価値に換算した額」のいずれか大きなものが評価額です。


この贈与税は110万円の基礎控除が認められており、この金額を超えた分に課税されます。

本人以外でも年金への課税がある

「年金受給権」を贈与されたために課税される「贈与税」を支払っただけでは課税は終わりません。


贈与税とは別に、2年目以降に受け取った年金にも、本人の場合と同じく所得税が課税されるからです。


年金形式で受け取れば「雑所得」、一時金で受け取れば「一時所得」です。


計算の仕方は、本人が受け取った場合と同じです。

個人年金保険は保険料控除を利用して課税所得をお得にできる?

現役世代で保険料を支払っている間、その保険料は保険料控除として課税所得から控除されるので、その分の所得税が控除されます。

生命保険料控除と呼ばれる制度ですが、一般の生命保険料とは別に、一定の条件を備えた個人年金保険ではその保険料が別枠で課税所得から控除されます。


個人保険年金を契約しただけでは自動的に控除されるものではありません。


源泉徴収されている人なら勤め先に届け出るなど、課税関係担当者に申し出る必要があります。

個人年金保険料控除の対象となる4つの条件



個人年金保険料が課税所得から控除されるには、4つの条件が必要です。


  • 「年金受取人が本人か配偶者」
  • 「年金受取人と被保険者が同じ」
  • 「保険料の払い込み期間が10年以上」
  • 「確定・有期年金の場合、年金受給開始日に60歳以上で、年金受取期間が10年以上」

この4つです。


これらを満たすと「個人年金保険料税制適格特約」が付加され、課税額がお得になります。


なお、変額個人年金保険の場合は一般の生命保険料控除です。

個人年金保険料控除の控除額

平成24年以降の契約の控除額は以下の通りです。


  • 払込保険料が2万円以下なら全額
  • 2万円超4万円以下なら払込保険料の2分の1+1万円
  • 4万円超から8万円以下なら払込保険料の4分の1+2万円
  • 8万円を超えると4万円

これらが所得税の課税所得額から控除されます。


4万円の所得控除があると、所得税の税率が20%の場合、4万円×20%で8.000円も所得税が安くなります。


平成23年以前の契約では控除額の上限は5万円です。

金融類似商品とは?課税関係について解説!

本来、保険は生活上のリスクに備えるためのものなので、金融商品だとはみなされません。


個人年金保険も、老後の「長生きリスク(老後資金リスク)」に備えるための保険です。


しかし、個人年金や養老保険には貯蓄機能もあるために、金融商品との違いがあいまいになってしまいます。


一定の条件に当てはまる保険は「金融類似商品」とされ、課税の取り扱いが一般の保険と異なることになっています。

金融類似商品として取り扱われる保険とは?

次のような条件にあてはまる保険は金融類似商品とみなされます。

  • 「死亡保険金が、満期保険金の5倍未満であるもの」
  • 「保険料の払い込みが一時払いであること」
  • 「保険期間が5年以下のもの」

一時払いの個人年金保険を5年以内で解約するような場合は注意が必要です。


終身保険は「満期」がないので、金融類似商品とはみなされません。

金融類似商品の課税関係

金融類似商品とみなされた保険は、金融商品の利子と同様に課税されます。


銀行などの預貯金は、あらかじめ20%ほどの課税額が差し引かれて利子がつきます。


金融類似商品とみなされた場合の保険の解約返戻金なども同様に、20%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税を含めると20.315%)が源泉分離課税となります。

まとめ



いかがでしたでしょうか?

個人年金保険は、お勤めされている方には税制控除が受けられるメリットがありながら、老後の蓄えをすることができる商品です。


さらに個人年金保険の凄いところは、保険会社で販売されている商品ですので「高度障害」に該当したときは保険料が免除となり、個人年金は生き続ける特約があります。


これは銀行などでコツコツ貯めている方法では、ありえない特約です。


この特約は保険会社によって異なりますが、多くの個人年金に無料特約として付加されていることが多いのです。


このようにメリットが多い一方で、契約形態や年金の受け取り方によって課税が変わりことがありますので、担当者の方としっかりと相談してから加入することをおすすめします!

この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、保険相談や選び方のポイントを伝える「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

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