仕送りに税金がかかる場合とは?贈与税がかかってしまう場合に注意

実家や学生に仕送りにする際には通常税金はかかりませんが、贈与税などの税金の対象になるものもあります。この記事では、学生や親への仕送り、また海外への仕送りをする際にどのようなものに税金がかかるのか解説します。ぜひ最後までご覧ください。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

仕送りに税金がかかる?仕送り先別に課税対象か解説


離れて暮らす実家の両親、一人暮らしをしてる子供への仕送りをしている人も少なくありません。


年間110万円を超える現金を受けると贈与税がかかりますが仕送りをする場合、税金はどうなるのでしょうか。 


通常、仕送りで税金はかかりませんが場合によっては贈与税が課せられることもあり注意が必要です。


そこで、この記事では

  • 仕送りで税金がかからないケース
  • 仕送りで税金がかかるケース
  • 海外へ仕送りをする場合は税金がかかるのか?
以上のことを中心に解説していきます。 

この記事を読んでいただければ、仕送りに関する税金についての基本的知識を得ることに役立つかと思います。

大学生に仕送りする場合、税金はかかる?

大学生の子供に生活費や教育費のために仕送りをする場合は原則非課税です。


年間110万円以上の財産を渡すと贈与税として税金が発生しますが、相続税法で「扶養義務相互者において生活費、教育費に充てる場合は課税対象外」と記載されているためです。


例えば毎月10万円を生活費として親が子供に振込していた場合、年間110万円を越えますが、この場合は生活費に充てているので課税対象にはなりません。


祖父母から入学祝いなどでまとまった金額を受け取ることもあると思います。


この場合も祖父母は扶養義務者に該当し、祝い金を生活費や一人暮らしに必要な家具などを買い揃えるために使うのであれば非課税です。


しかし大学の4年分の学費を非課税枠でまとめて贈与することはできないため、教育費を一括で贈与したい場合は教育資金一括贈与という制度を活用しましょう。


 教育資金一括贈与を活用すると最大1500万円まで非課税になります。 

税金がかからない生活費・教育費

税金がかからない生活費とは

  • 一人暮らしをしているアパートの賃料
  • 一人暮らしをするために必要な家具や電化製品を購入する費用
  • 生活のために必要な費用
  • 治療費、療養費など
これらも生活費として認められているので課税対象にはなりません。
そして課税対象にならない教育費とは
  • 教材費や授業料 
  • 文具費用
    通学のための交通費
  • 修学旅行などの参加費 
  • 学習塾 
  • 受験費用
これらが教育にかかる必要な費用として認められています。
逆に税金がかかってしまうケースは
  • 毎月の仕送りを使い切ることができなかったので貯金した
  • 仕送りを生活費や教育費ではないものに使った(車を購入したなど)
  • 仕送りを元に株式投資をした 
教育や生活のための仕送りですので、それ以外のことに使ってしまう(貯金する)と課税対象になるため毎月使い切れる金額を仕送りするよう注意しなけれければなりません。



ただ、仕送りが何に使われるのかは判断しづらく、生活水準は人それぞれ違いますので明確な金額の決まりはありません。 

だからといって「私の生活費は毎月1000万円だ!」などは社会通念上認められませんのであくまで常識の範囲で…ということになります。 

実家や親への仕送りする場合、税金はかかる?

実家の親へ仕送りをする場合も原則税金はかかりません。 


この場合も生活費に充てるための仕送りなら非課税ですが貯金したり株式の購入などに使った場合は課税対象となります。


また、離れて暮らす実家の両親の生活費や医療費などを仕送りする場合仕送りをする子側も所得税、住民税の節約、親の医療費控除を利用できるようになるメリットがあります。 


控除額は 

  • 親の年齢が69歳まで→38万円 
  • 親の年齢が70歳以上→48万円 
控除の対象になる条件は 
  • 配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族)
  • 生計を一にしている
  • 年間の合計所得金額が38万円以下
  • 青色(白色)申告者の事業専従者ではない
  • 事業専属者として年間で一度も給与の支払いを受けていない 
これらの要件を満たしていれば控除の対象となります。

親への仕送り平均は?

両親がまだ現役で働いており収入がある場合など、家庭によって仕送りの金額は異なりますので中には「毎月1万円を仕送りしている」という人や最大で75万円を仕送りしたという人も見られました。


また、60歳以上で離れて暮らしている両親へ仕送りをしている人の割合は約7%と、それほど多くないようです。


子供も自分の生活や家庭を守る必要があります。


両親が無職、年金だけで生活している場合「老後の生活が心細く感じているかもしれない」と仕送りをしたい気持ちはあるけれど仕送りをする余裕がないという人も多く見られました。

仕送り方法とは

仕送りする際にかかる振込手数料も毎月になるとバカにできませんので手数料がかからない方法も覚えておきましょう。


ゆうちょ銀行のキャッシュカードを使い、ゆうちょのATMからゆうちょ銀行の口座へ送金をする場合は手数料は無料です。


また、ゆうちょ銀行と労働金庫は代理人カードを無料で1枚発行することができます。


ゆうちょ銀行に仕送りをしたい家族名義の口座を開設し代理人カードを作って入金すれば手数料無料で引き出すことができます。


JAバンクのATMも手数料無料で利用でき、セブン銀行、ローソンATMなどコンビニに設置されているイーネットATMで入出金する場合の手数料も無料です。

親を扶養に入れた際に必要な仕送り証明

親を扶養に入れる条件は 

  • 年間の収入が130万円未満(60際以上か障害者であれば180万円未満)
  • 別居している親の収入が被保険者(子)からの仕送り額未満
  • 同居している親の収入が被保険者(子)の収入の半分未満 
同居しているかどうかに関わらず、親の収入が被扶養者(子)よりも低ければ扶養に入りやすくなります。

そして扶養に入れた際仕送りをしている証明が必要になります。
  • 銀行振込の利用明細や送金内容が記載されている通帳
  • 送金証明書 
  • 現金書留郵便の控え 
など、日付、仕送りした金額、送金人、受取人が記載されている書類を1ヶ月分提出します。

また、手渡しの場合は証明が難しいので認められませんので注意が必要です。

別居の親を扶養に入れるデメリットとは


親の年齢が75歳未満で健康なら扶養に入れることにメリットがありますが75歳以上の場合、後期高齢者制度の対象になり医療保険の扶養に入ることができません。


また、介護が必要な場合もデメリットの方が大きくなるため注意が必要です。


デメリット①高額療養費の払い戻しが減る可能性がある

1ヶ月間の医療費が自己負担額の限度を超えた場合、高額療養費制度によって払い戻しされます。

自己負担限度額は年齢と被保険者の所得によって決まるので子のほうが所得が高ければ親が被保険者の時よりも高額療養費の払い戻しが減ってしまいます。 

デメリット②介護費が軽減される制度を受けられない可能性がある

高額介護合算医療費用、高額介護サービス費、特定入居者介護サービス費などは世帯の所得により自己負担額が判断されます。

しかし扶養に入れることで高額になりがちな介護費用の負担を減らすことができる制度が受けられなくなる可能性もあります。

海外へ仕送りする場合、税金はかかる?

海外へ仕送りする場合も生活費や教育費できちんと手続きをしていれば税金はかかりません。


「海外への送金なら税務署には分からない」と考えてている人が多いですが国内外どこに送金しても分かります。 


そのため、何の手続きもせず仕送りをすれば調査や追加徴収され贈与税が課税されるので注意が必要です。 


海外の親や子供へ仕送りをする場合は「親族関係書類」と「送金関係書類」を提示します。 


親族関係書類とは

  • 戸籍の写しまたはパスポートの写し 
  • 在住する国の政府、地方公共団体が発行した書類
送金関係書類は
  • 生活費や教育費を支払ったことを証明するもの(融機関を通した送金の記録など)
どちらも年末調整を提出する際に添付します。

自分の仕送りが課税の対象か専門家にライフプラン相談をする

確定申告で扶養控除の申請をする場合、条件をクリアしていなければ扶養控除の対象にはなりません。


申請する際にも場合によっては多くの書類が必要になることもあります。


また、どこまでが生活費や教育費として認められているのか、自分の仕送りが課税の対象になっていないか?など素人では判断が出来ないことも多いと思います。 


仕送りをした後で「課税対象だった…」ということになっても困りますので、自分の仕送りが課税の対象になっているかどうか税金については専門家に直接聞いておくのが安心です。

まとめ:仕送りに関する税金について

仕送り関する税金について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。 

今回の記事のポイントは、

  • 大学生へ仕送りする場合、生活費、教育費なら非課税
  • 実家の親へ仕送りをする場合も生活費や医療費に使うなら非課税
  • 親を扶養に入れることで所得控除など節税できるメリットがある
  • 親が75歳以上、または介護が必要な状態なら扶養に入れるとデメリットがある
  • 海外へ仕送りする場合も生活費や教育費に使うなら非課税だが手続きをして送金しなければ課税対象になる
  • 課税対象になるのか税金に関することは専門家に相談したほうがよい
でした。

ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事を多数掲載しています。ぜひご覧になってください。

ランキング