相続税対策に生命保険ってあり?なし?メリット・デメリットを大公開

相続税の対策って難しいですよね。不動産を使うのか、生前贈与で渡すのか。それとも生命保険での相続税対策ってありなのでしょうか?今回は、生命保険での相続税対策のメリット・デメリットを解説します。また生命保険契約時の3つの疑問も解説します。

生命保険で相続税対策はどうやるの?メリット・デメリットを大公開

生命保険は、被保険者が万が一の事態になった時、受取人に保険金が下りる保険商品です。


被保険者が一家の大黒柱のご主人であれば、働き盛りの時に亡くなっても、遺族に多額の保険金が残せるので金銭的に当面は安心ですよね。


しかし、生命保険はまさかの事態への備えばかりではなく、相続税対策にも役立つことはご存知でしょうか。


そこで今回は、「生命保険を相続税対策として利用する場合のメリット・デメリット」について


  • 相続税対策として生命保険を利用する場合のメリット
  • 相続税対策として生命保険を利用する場合のデメリット
  • 生命保険契約のいろいろな疑問


以上のことを中心に解説していきます。                                
 


この記事を読んでいただければ、相続税対策として生命保険を利用すると有利になる点や、逆に注意点を知ることに役立つと思います。                      


ぜひ、最後までご覧ください。




【6つのメリット】相続税対策に生命保険はおすすめ

生命保険のメリットは、被保険者の死亡または高度障害状態になった場合に保険金が下りるというだけではありません。


生命保険に加入していると、相続税対策に役立つ場合があります。


保険料を支払って遺産を軽減すれば、それだけ相続税の負担は減っていきます。


こちらでは、相続税対策に生命保険を活用するメリットを取り上げます。

メリット1:非課税枠の利用で相続税対策      

相続税にも当然基礎控除額があり、その計算式は次のようになります。


3,000万円+600万円×法定相続人数


しかし、生命保険の死亡保険金が下りる場合、保険金を受け取る人にはさらに次のような非課税枠が設けられています。


500万円×法定相続人数=死亡保険金非課税枠 


つまり、相続財産の基礎控除額はありますが、この基礎控除額とは別に死亡保険金の非課税枠を利用できるのです。


メリット2:低解約型の契約で相続税対策

「低解約返戻型保険」とは聞き慣れない保険かもしれませんが、こちらも生命保険の1種です。


この保険で相続税対策をするためには、被相続人が保険料負担者で、相続人に該当する人が被保険者であることが必要です。


この保険の特徴は、保険料払込期間中は解約返戻金(解約した場合に戻るお金)が通常より低く抑えられることです。


この保険では、保険料払込期間中に解約すると返戻金がわずかしか戻ってこないので、この期間中での解約は損となります。


ただし、解約返戻金が低いものの、支払う保険料は割安であることが一般的です。


この保険の保険料払込期間中に保険料負担者(被相続人)が亡くなると、保険契約に関する権利は解約返戻金額で評価することになります。


低解約型の保険契約の場合には評価額が低くいので、相続税がそれだけ軽減されることになります。


また、無理に解約せず、被保険者である相続人が保険料の払込を被相続人から引き継ぎ、解約返戻率が高くなった時点で保険を解約すれば、既に支払った保険料分も回収できることでしょう。

メリット3:すぐに資金を調達できる      

被相続人が死亡したら、被相続人が口座を開設していた金融機関は、相続人からの勝手な引出を防ぐために、口座を凍結します。


この凍結を解除する場合には、手続きが必要となります。


相続人間での遺産分割協議等も行うと解除までに1ヶ月以上を要するケースもあります。


しかし、生命保険金の場合には保険契約で受取人を指定していた場合、受取人が保険金を請求すれば受取人の指定口座に振り込まれます。


その期間は、どの保険会社でも原則として、必要な請求書類が到着した日の翌日よりその日を含めて5営業日以内で保険金の振込手続きが完了します。


つまり、休日を含めて1週間程度あれば保険金が振り込まれることになるわけです。


ただし、書類の不備があれば保険会社から修正を要求される場合もあります。


そうなると、保険金の受け取りも遅れてしまうので、保険金請求の際は保険会社の指示に従い、請求書類等の正確な記載や、添付書類全ての提出を行いましょう。

メリット4:遺産分割で喧嘩にならない

被保険者が保険契約の際に死亡保険金の受取人を明示していれば、その死亡保険金が下りた場合、受取人の固有の財産となります。


つまり、遺産分割の対象とはなりません。 

 

受取人を除いた相続人は、死亡保険金を被相続人の遺産とは主張できないことになります。


つまり、原則として「特別受益」にも該当しなこととなります。


特別受益とは、相続人が被相続人から受けた生前贈与や、相続開始後に受けた遺贈を遺産分割の際に算定して、相続人の公平な分割のために調整する方法です。


ただし、裁判所は遺産と比較して不相当に多額の保険金ならば、特別受益に該当するとしているので注意も必要です。

メリット5:不動産よりリスクが少ない

不動産は、家屋の場合なら、経年劣化で価値が下がったり、不便な場所に家があると誰も相続人が相続したがらなかったりする可能性もあります。


また、土地は地価の変動や、家屋と同様に不便な場所のため誰も相続したがらないケースもあります。


しかし、死亡保険金ならば、保険契約時の金額通りに受取人へ保険金が下ります。

メリット6:銀行よりも利息がいい

現在の普通預金の利息は0.01%ときわめて低い状況です。


銀行預金はもはや「安全な場所にお金を保管しておくだけ。」という感覚で貯蓄している人も多いことでしょう。


一方、概ね生命保険の場合は約1.5%となっています。


銀行に預金しておくよりは生命保険に加入しておいた方が、何らかの理由で解約する場合には、利息が銀行の利息よりも多く戻り、被保険者が死亡した場合にはまとまった死亡保険金が受け取れます。

【4つのデメリット】生命保険も完璧ではない

何かと相続税対策に役立つ生命保険ですが、メリット・デメリットは必ず存在します。


生命保険のメリットばかりに着目し、デメリットを十分に確認していないと思わぬ損をしてしまうことも考えられます。


こちらでは、生命保険のデメリットについて取り上げます。

デメリット1:相続税以外の税金がかかる場合も            

生命保険には相続税以外の税金がかかるケースもあります。


事例をあげると主に次のようなケースが該当します。


(例)父・母・子の3人家族


  1. 契約者(保険料負担者):母、被保険者:父、保険金受取人:母→所得税
  2. 契約者(保険料負担者):母、被保険者:父、保険金受取人:子→贈与税

「1」のケースでは母が保険料を負担し、父の死亡で保険金を母親自身が得るので所得税(一時所得)が課税対象となります。

「2」のケースでは母が保険料を負担し、父の死亡で保険金を得るのが子となり、母親からお金を贈与された形になるので、贈与税が課税対象となります。

なお、養老保険でよくあるケースですが、

  • 契約者(保険料負担者):父、被保険者:父、保険金受取人:父→所得税

一定期間までに生存していたら受け取るお金である「満期保険金」の場合、保険料負担者・被保険者・保険金受取人が全て父親自身なら所得税(一時所得)が課税対象となります。

デメリット2:保険料が高くて、払えなくなるケースも

生命保険の中で終身保険と呼ばれるものは、一生涯保障が約束される保険ですので、契約者が解約等を行わない限り、生命保険会社は確実に死亡保険金を受取人へ支払う必要が出てきます。


そのため、終身保険の保険料は高額となる傾向があります。


設定保険金額によっては毎月の支払保険料が数万円にも上る場合があり、重い保険料負担で結局解約せざるを得ない状況になるおそれもあります。


そのため、ご自分の貯蓄を十分に把握したうえで保険契約を行いましょう。

デメリット3:見直しが難しい

生命保険の定期保険ならば、保障期間が定められているので、契約更新する前にご自分に有利な保険商品があればその商品に切り替える等、比較的容易に見直しができます。


しかし、終身保険の場合は解約返戻金もあって、「今、解約するのはもったいない」と、保険を見直ししようとしても二の足を踏んでしまい、なかなか見直しを決断し難いというデメリットがあります。

デメリット4:保険会社が破綻する可能性も

保険会社の私企業である以上、破綻する可能性もあります。


破綻した場合に、保険金が全く戻ってこないかと言えば、そうではありません。


ただし、我が国の生命保険会社は、「生命保険契約者保護機構」という保険会社が破綻した場合に契約者を救済する機構に加入しています。


こちらへ加入しているので、給付金・保険金の何割かは補償されることになります。

生命保険契約の疑問を解決

ここまで生命保険契約のメリット・デメリットを解説してきました。


生命保険金の受け取りは、通常の遺産相続と異なる点があることを確認できたことでしょう。


こちらではその他に生命保険契約の際、疑問に思う点を取り上げていきます。

孫には贈与できるの?

死亡保険金の受け取りは、法定相続人に限定されません。


例えば、ご自分のお孫さんに遺産を与えたい場合、ご自分の子が存命ならば孫をご自分の養子にするか、遺言書で孫に相続分を与える旨を明記しない限り、孫に相続権はありません。


しかし、保険契約を締結する際は孫を保険金受取人に設定することができます。


死亡保険金は孫の固有の財産になりますので、この保険金は遺産相続の対象からも外されることになります。

相続放棄した場合の保険金はどうなるの?

相続人の誰かが、遺産相続を放棄した場合には当然本人が遺産を受け取れないばかりか、その子が代わりに受け取ることも不可能となります。


ただし、死亡保険金はそもそも受取人の固有の権利ですので、相続放棄した人であっても死亡保険金の受取人が相続放棄した本人ならば、何の問題もなく受け取ることができます。

まとめ:生命保険のメリット・デメリット

生命保険を相続税対策として利用する場合のメリット・デメリットについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。          


今回の記事のポイントは


  • 生命保険の死亡保険金には、相続税の基礎控除とは別に非課税枠がある
  • 相続税対策として生命保険が役に立つだけではなく遺産分割の際のトラブルも回避できる
  • 相続税対策として生命保険を利用した場合、契約内容によっては保険料が重い負担なることもあるので注意する


でした。


生命保険を相続税対策として利用するためには、その特徴を十分に把握する必要があります。


そのメリット・デメリットを確認しながら相続税対策に役立てましょう。


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