働く世代必読!がん患者の障害年金受取可能レベルと就業不能保険とは

障害年金とは病気やけがによる障害のため、日常生活や働くことに支障が出た場合に支給される制度ですが、がんになった方もこの制度で受給できる場合があります。ここでは、障害年金を受給できるがん患者の条件や申請方法のほか、生活費をサポートする就業不能保険も紹介します。

がんで障害年金は受給できる?労働者に便利な就業不能保険とは?

がんに関する治療が発展したおかげで、がんは不治の病ではなくなりつつありますが、その分、がんの治療費については気になるところだと思います。

がん保険の加入率は約38%となっており、多くの方ががん保険に加入していますが、がん保険以外にもがん治療をサポートしてくてる制度があれば利用したいと思いますよね?

実は、国民年金に加入していれば給付される障害年金は、がんになった時でも一定の条件を満たせば受け取れる可能性があるのです。

そこで、この記事では「がんになったときに生活費をサポートしてくれる障害年金・保険」について、

  • 障害年金の概要と申請方法は?
  • がんでどのような症状になれば障害年金が支給されるのか?
  • 支給される金額や申請方法はどうなっているのか?
  • がん保険や就業不能保険でカバーする方法もある?

以上のことを中心に解説していきます。


この記事を読んでいただければ、がんになったときにどのようなサポートが受けられるのかがわかり、どういった保険に加入すれば良いのかの参考になると思います。


是非最後までご覧ください。


障害年金について

障害年金とは、国民年金に加入している方が、受けられる給付の一種で、病気やけがによって生活や仕事に支障をきたした場合に、受け取ることができる年金です。


障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があります。


国民年金に加入していた場合は「障害基礎年金」、厚生年金にも加入していた場合は「障害厚生年金」を請求することができます。


受給できる人の条件や申請方法について確認していきましょう。

障害年金を受給できる人の条件

障害年金を受給するためには下記の3つの条件を満たす必要があります。


初診日要件

国民年金に加入している期間中に、障害の原因となった病気やけがについて、医師等の初回の診療を受けていること(初診日) 。

障害状態要件

一定の障害の状態であること。

保険料納付要件

初診日の前日において、次のいずれかの要件を満たしていること。

①初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間で保険料が納付(免除)されていること。

②初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと。


自営業の方は、国民年金保険料を自ら納付する必要があり、うっかり支払いを忘れていると他の条件を満たしていても、障害年金が受給されない可能性があるので注意が必要です。


また、会社員の方は、病気やケガで働くことができない状態になったときに、加入している健康保険組合から「傷病手当金」を受給することができます。


ただし、同一の障害で、障害厚生年金を受給する場合は、傷病手当金は打ち切りになってしまいます。

申請方法と手続き期間

障害年金の受給を申請するにはお住まいの地域の年金事務所に必要書類を提出する必要があります。


提出に必要な書類は下記の通りです。

  • 年金請求書
  • 年金手帳
  • 戸籍謄本、戸籍抄本、戸籍の記載事項証明、住民票のいずれか
  • 医師の診断書
  • 受診状況等証明書
  • 病歴・就労状況等
    申立書
  • 受取先金融機関の通帳等
    (本人名義)

次に手続きの期間ですが、障害年金の申請手続きは、障害状態になった原因である病気やけがの初診日から1年6ヶ月経過した後に申請可能となります。

また、日本年金機構によると、障害年金の審査にかかる期間は障害基礎年金で約3か月、障害厚生年金で約3か月半とされています。

受給が決定した場合でも、年金受け取りまでには2か月程度かかるので、全て合わせると病気になってから年金を受け取るまで約2年の期間がかかってしまいます。

注意:障害保険の申請には年齢制限がある!

障害年金は65歳以降の老齢年金受給開始前に病気やけがで働けなくなり、収入がなくなった方のための制度のため、原則として65歳以降は請求することができません。


ただし、65歳を過ぎていても、65歳以前に障害認定日があり、そのときの状態が障害等級に該当していて、それを証明できるものがあれば請求は可能です。


また、65歳以降に初めて診断されたとしても、まだ会社に勤めていて厚生年金加入期間中である場合でも請求は可能となります。


障害年金は自身で申請しないと受給することができないので、年齢制限についてはしっかりと理解しておきましょう。

参考:障害年金は主婦でも申請可能!主婦申請の注意点とは

専業主婦の方でも、初診日の時点で、下記のいずれかの場合に該当した場合は、障害年金を受給できる可能性があります。


  • 配偶者の扶養に入っており、かつ配偶者が年金保険料を払っていた
  • 自身で国民年金に加入して保険料を支払っていた、または免除申請をしていた
  • 自身で厚生年金(共済年金)に加入して保険料を支払っていた


専業主婦の方でも、前述した「障害年金を受給できる人の条件」が適用されますので、自身が保険料納付要件を満たしているかを確認しましょう。


また、配偶者の扶養に入っている方は、障害年金を受給することによって年収が180万円以上になる場合は、扶養から外れてしまうので、国民健康保険や国民年金の保険料を納める必要がでてきます。


もし扶養に入りつつ、障害年金を受給しながら働く場合は、年収が180万円を超えないように働かなければならないので注意しましょう。

がんによる障害年金は受けられるのか?受給される症状とは?

ここまで障害年金の概要について説明してきましたが、ここからは実際にどのような状態になると受給できるのかを確認しましょう。


障害と聞くと交通事故などに起因するものをイメージされるかもしれませんが、けがによる障害だけでなく、あらゆる病気により障害状態になった場合も対象となります。


今回はのその中でも「がん」にスポットを当てて説明していきます。

がんによる障害年金の受給は難しい?

がんによる障害年金の受給は可能ですが、がんは診断を受けてから、身体機能低下などの症状が明らかとなるまでに時間を要することがあります。


さらに、がん患者の約7割が65歳と言われており、65歳以降に発症することも多く、障害年金の対象から外れてしまうケースが多々あります。


また、障害年金は「初診日」を証明する必要がありますが、発症から長い年月が経つとカルテが破棄されていたり、初診日を証明するのは簡単ではありませんでした。


しかし、厚生年金保険法施行規則等の一部が改正され、2015年10月1日以降、初診日を証明する方法が緩和されたので、受給できる確率は増えました。


実際に、平成25年度では国民年金と厚生年金の障害年金の受給者合計は約220万人でしたが、平成28年度には約231万人にまで増えています。


具体的には、下記のような証明方法が認められるようになりました。

  • 友達などの第三者証明であっても認める可能性がある。
  • 提出資料により初診日が一定の期間内にあると確認できた場合に、本人が申し立てた初診日を認める。
  • 受診した診療科が分かる診察券や入院記録等で初診日を認める。


障害認定日に手当が出る等級に達している必要がある

悪性新生物(悪性腫瘍)は、全身のほとんどの臓器に発生するため、現れる病状は様々であり、それによる障害も様々なので一概に受給の可否は断言できません。


悪性新生物による障害の程度は、組織所見や様々な検査等の結果、転移の有無、病状の経過と治療効果等を参考にして、具体的な日常生活状況等により、総合的に認定されます。


また、「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」には悪性新生物の等級基準が下記の通りに明記されており、障害認定日に等級に達している状態であるかで判断がされます。


障害の程度障害の状態
1級 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が認められる状態であって、
日常生活の用を足すことを不能とさせる程度のもの
2級身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が認められる状態であって、
日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を 加えることを必要とする程度のもの 
3級身体の機能に、労働が制限を受けるか、
又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの 


実際の事例:受給された場合とされなかった場合の症状とは

実際に受給された事例と受給されなかった事例を見てみましょう。


【ケース1】乳がんで障害年金が受給された事例

傷病名乳がん(全身転移)
経緯約10年前に左乳房全摘出手術を受け、その後抗がん剤の治療を開始。
その後も治療を継続するも5年前に肺と肝臓に転移、
3年前に全身転移し末期がんでステージ4と診断される。
現在の状態週5回訪問看護により点滴を行っている状況。
 倦怠感が強く殆ど横になり過ごし日常生活全般にわたりサポートが必要な状況。
申請結果障害年金2級に該当

【ケース2】直腸がんで障害年金が受給された事例

傷病名直腸がん
経緯人工肛門増設術及び肛門管切除術を実施。
現在の状態倦怠感・疲労感があり、日常生活は安静を要する。
一般労働は困難。
申請結果障害年金2級に該当

【ケース3】受給されなかった事例

傷病名悪性リンパ腫
経緯1週間おきに抗がん剤の点滴治療を開始。
血液検査データは「障害認定基準」の検査所見にあるような異常値を示していなかった。
現在の状況関節の痛みや食欲不振、だるさと手足のしびれ、
腹部から背中にかけての痛みなどで、夜も眠れない状況。
申請結果不支給
悪性リンパ腫は「障害認定基準」では「造血器腫瘍群」に分類され、その基準は、白血病などと同じ基準になるように定められており、血液検査データで異常値を示す必要があります。

基準は同じですが、白血病と悪性リンパ腫はまったく異なる病気で、悪性リンパ腫の場合は、血液データ上は正常になることがほとんどのため、上記の例の場合だと不支給となってしまいます。

実際に支給される金額はどのくらい?

障害年金で実際に支給される額ですが、一律同じというわけではなく、初診日に加入していた年金制度や、障害の等級などによって金額が異なります。


障害基礎年金で受給できる金額

等級支給額
1級年間:97万4125円(月額:81,177円)
2級年間:77万9300円(月額:64,941円)

障害基礎年金の場合は1級か2級に該当したときのみ障害年金が支給されます。


他に18歳未満の子どもの人数によっても金額が変わりますので、あくまで参考程度としてください。


障害厚生年金で受給できる金額

等級支給額
1級報酬比例の年金額×1.25+障害基礎年金1級(年間:97万4125円)
2級報酬比例の年金額+障害基礎年金2級(年間:77万9300円)
3級報酬比例の年金額(最低保障額年間:58万4500円)
障害手当金報酬比例の年金額の2年分(最低保障額:116万9000円)

障害厚生年金では、障害等級の1~3級に該当した場合に障害年金が支給され、障害年金に該当しない場合でも障害手当金という一時金が支給される場合があります。

  

報酬比例の年金額とはこれまでの給与額や厚生年金の加入月数に応じて支給される年金のことで、収入が多ければ多いほど、厚生年金の加入月数が長ければ長いほどもらえる金額は大きくなります。


報酬比例の年金額の計算方法は下記の通りです。

平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月までの被保険者期間の月数                   +                      平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以降の被保険者期間の月数

申請方法:がんの場合は診断書を2枚提出する

障害年金を申請する際に必要な「診断書」は症状ごとに細かく種類が分かれています。

がんについては専用の診断書がなく、「血液・造血器・その他の障害用の診断書」に記入して提出します。

ただし、「血液・造血器・その他の障害用の診断書」では記載できる内容が限られており、これだけを提出しても年金機構に必要な情報が伝わらず不支給となってしまう可能性があります。 

そのため、もう1枚別に症状にあった診断書を用意して、2枚を提出し、障害状態を審査してもらうことが重要となります。

例えば、抗がん剤の副作用で、間接や手足などが不自由になった場合には、「肢体の障害用の診断書」と「血液・造血器・その他の障害用の診断書」を提出すれば、正確な審査が受けられます。

がん保険や就業不能保険に加入しよう!

がんになった際の治療費は治療方法によっても大きく異なりますが、検査料・手術料・薬代などの医療費のほか、差額ベッド代・食事代など治療にまつわる間接的な費用も発生します。


退院後も、通院ごとに診察料や抗がん剤の治療費が必要となりことも珍しくありません。


保険が適用される部分なら、高額療養費制度を利用すれば自己負担を抑えられますが、保険適用外の治療を受けた場合には全額自己負担が原則となります。


治療費の補填として、がん保険に加入しておくことは一般的になりつつありますが、治療費として支出が増えるだけではなく、今までのように働けなくなり、収入が減少しまうことも考慮しなければなりません。


そこで、今人気があるのが「就業不能保険」という保険種類で、病気やケガによって働けなくなってしまった時に、毎月のお給料のように収入をカバーすることができます。


実際に、就業不能保険の給付金の支払い原因の半分以上ががんによるものとなっています。


現在では、がんの治療も日々進化していますが、それゆえに治療が長期化する場合があります。


がんの治療に専念できるように、がん保険と就業不能保険をあわせて検討することをおすすめします。

まとめ:障害年金と就業不能保険で生活費に少しでも余裕を

がんで障害年金保険を受給できる可能性とその不足分を補う方法として、がん保険と就業不能保険について、解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。

今回のこの記事のポイントは、
  • 障害年金は障害基礎年金と障害厚生年金にわかれており、初診日時点にどちらの公的年金制度に加入しているかによって、金額や保障範囲が異なる。
  • がんの場合でも基準を満たせば、障害年金が受けとれる可能性がある。
  • がんの備えとして、がん保険はもちろん、追加で就業不能保険の加入も検討する。
です。 

がんの場合でも障害年金を受け取れる可能性がありますが、受給できたとしても治療費に加えて、収入が減少する恐れがあるため、不十分です。

民間のがん保険や就業不能保険も検討して、いざというときに慌てないで済むように準備しておきましょう。

ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。

ランキング

  • がん保険は不要?「がん保険はいらない」という不要論を徹底検証!
  • 主婦にがん保険は必要?主婦が気になるがん保険について解説
  • 妻にがん保険って本当に必要?妻はがん保険に加入すべきなのか解説!
  • がん保険に入らないのは大丈夫?がん保険の必要性を再確認しよう!
  • がん保険のメリットとデメリットは?がん保険の必要性について解説!
  • がん保険に未加入でがんに罹るとどうなる?必要なお金はどのぐらい?
  • がんだけでなく、他の7大疾病も保障してくれるがん保険とは?
  • がん保険は何歳まで必要かについて加入前に考えてみることが必要
  • がん保険は本当に必要なのか?がん保険の必要性について考える
  • がん保険になる対象についてはまずしっかりと確認しておこう
  • 公的医療保険によるがん治療費の補助額とは?白血病についても解説
  • がんになったときはどのくらい治療期間が必要になってくるの?
  • がん治療費の自己負担額の平均はどのくらい?どんな公的保障がある?
  • がん保険の女性特約の必要性は考え方や環境によって変わります
  • 女性のためのがん保険とは?通常のがん保険との違いも解説!
  • 独身男性・独身女性が加入するがん保険のポイントはここだ!
  • 女性らしく生きるために。独身女性のがん保険選びでの3つのポイント
  • 女性のがん保険は掛け捨てがおすすめ!貯蓄型との違いも解説!
  • がん保険の診断給付金は必要?具体的にいくら必要かについても解説!
  • がん保険の複数加入で、保障を上手に組み合わせて良いとこどりしよう
  • がん保険における治療給付金とは?治療給付金の重要性を考える
  • がん保険に入っていてがんと診断されたらどうするかを考えよう!
  • あなたのがん保険はがんの再発に備えていますか?注目ポイントを解説
  • 【図解】がん保険とは?7つの基本保障内容と覚えておくべき3つの特徴
  • がんのリスクに対応するための、必要ながん保険の特約の選び方
  • がん保険における先進医療特約の必要性を徹底的に考えてみる
  • がん保険の抗がん剤治療特約が必要な人は一体どういう人なのか?
  • がん保険での通院保障は必要?メリットとデメリットの比較検討!
  • がん保険のリビングニーズ特約と余命宣告との関係を詳しく説明します
  • がん保険に在宅療養給付金がついてるけど家で療養すればもらえるの?
  • 高度先進医療である陽子線治療の負担金をカバーするのが、がん保険
  • がん保険に加入しているときの治療法として免疫療法は選べるか
  • 先進医療の分子標的薬、知っておきたいがん保険の活用法を解説!
  • がん保険に払込免除の特約は必要?詳しく調べてみたら驚きの結果が