住宅ローンで加入する団信とは?団信で加入できるがん保険は必要?

住宅ローンを組む際に加入する団体信用生命保険(団信)ではがん保険に加入することもできますが、自分に必要かどうかを判断するのは難しいですよね。そこで、住宅ローンの際に加入する団信について解説しながら、団信の選び方やがん保険の必要性を見てきます。

住宅ローンを組む際に必要な団体信用生命保険とは?

団体信用生命保険とは、正式には「機構団体信用生命保険特約制度」と言い、住宅金融支援機構が民間の生命保険会社と連携しながら行っている生命保険を使用した住宅ローンの保障制度のことです。



住宅ローンを組んでいる加入者が死亡又は所定の高度障害状態となった場合に、住宅ローンの残債を生命保険の保険金によって弁済し、残された家族が住宅ローンの支払いに困らないようにすることができます。


同様に、がんや三大疾病になった場合にローンの残債を消化してくれる保障が団体信用生命保険にはあるのです。


まずは、団体信用保険の種類を見ていきましょう。


団体信用生命保険の種類

団体信用生命保険には、大きく分けて、機構団体信用生命保険(機構団信)と三大疾病保障付機構団体信用生命保険(三大疾病付機構団信)の2種類があります。



機構団体信用生命保険


保険加入者が死亡又は所定の高度障害状態となった場合、保険金により残りの住宅ローンが全額弁済されます。


加入条件は以下のようになっています。


  • 満15歳以上満70歳未満
  • 保障は最長で満80歳の誕生日の属する月の末日まで

なお、機構団体信用生命保険には連帯債務者である夫婦2人で加入することができる制度(夫婦連生団信(デュエット))があります。


【夫婦連生団信(デュエット)】

夫婦のどちらか一方の加入者が死亡又は所定の高度障害状態となった場合に、住宅の持分や返済額等にかかわらず、残りの住宅ローンが全額弁済されます。


<加入条件>


  • 戸籍上の夫婦、婚約関係、内縁関係にある方々
  • 保険料は、1人加入の場合の約1.56倍


なお、この返済途中での通常の機構団体信用生命保険から夫婦連生団信への変更はできないので、初めから加入する必要があります。



三大疾病保障付機構団体信用生命保険


保険加入者が死亡又は所定の高度障害状態となった場合や、三大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)が原因で一定の要件に該当した場合、保険金により残りの住宅ローンが全額弁済されます。


つまり、機構団体信用生命保険の要件にがん・急性心筋梗塞・脳卒中の要件が追加された保険ということです。

医療保険やがん保険の保障に近いということです。


加入条件は以下のようになっています。


  • 告知日現在、満15歳以上満51歳未満(満51歳の誕生日の前日まで)
  • 三大疾病保障は最長で満75歳の誕生日の属する月の末日まで
  • 死亡又は所定の高度障害状態の保障は最長で満80歳の誕生日の属する月の末日まで
  • 過去にがんの診断を受けた方は加入できない


どちらの場合も、保険への加入申込期限は、住宅ローンの契約(金銭消費貸借契約)手続時までで、住宅ローンの返済途中に加入することはできません。


そして、保険金額の上限は1億円と定められているので、上限を超える住宅ローンを組んでいる場合は、たとえ保険金が支払われたとしても、全額完済されないこともあるので注意が必要です。


また、返済途中での、機構団体信用生命保険から三大疾病保障付機構団体信用生命保険への変更、もしくはその逆への変更はできないので、ご自身がすでに加入している民間の他の生命保険の保障内容とと照らし合わせてどちらに加入すべきか検討する必要があります。

団体信用生命保険のがん保険・三大疾病保険

機構団体信用生命保険がある中で、最近では後者のパターン、すなわち、住宅ローン自体に保険を付けて販売する金融機関が増えてきました。

もう一度簡単にまとめると、いわゆる「疾病保障付き住宅ローン」です。こちらも、契約内容に定める一定のがんや疾病となった場合に条件を満たせば住宅ローンの残高がゼロ円になる保険です。


保険料については、「通常の住宅ローンの金利に年○%上乗せ」のように、金利として支払うのが一般的です。

なので、住宅ローンの金額に応じて実質的な保険料が高くなったり低くなったりします。


この記事では、この三大疾病保障付機構団体信用生命保険の必要性について


  • 三大疾病保障付機構団体信用生命保険の具体的な保険料
  • 三大疾病保障付機構団体信用生命保険の具体的な保障
  • 八大疾病保障付の団体信用生命保険について

を徹底検証していきます。

住宅ローンのがん保険、三大疾病保険での掛金と保障とは

いわゆる「疾病保障付き住宅ローン」と一言で言っても、がん保険や三大疾病保険、さらには八大疾病保険など、保障内容が様々あります。

気になるのは、保障ごとの掛け金や保障内容かと思います。

それでは見ていきましょう。

がん保険・三大疾病保険の保障ごとの掛金と保障内容

機構団体信用生命保険の掛金について

では、まずは機構団体信用生命保険の掛金について見ていきましょう。

例1ケースを以下のようにします。

  • 機構団体信用生命保険
  • フラット35
  • 2,000万円・20年の借入
  • 元利均等返済
  • 金利:年1.50%
年数掛金
1年目71,600円
2年目68,300円
3年目65,100円
20年目2,300円
合計769,300円
(年平均)38,465円
(月平均)約3,205円

例2ケースを以下のようにします。

  • 三大疾病保障付機構団体信用生命保険
  • フラット35
  • 2,000万円・20年の借入
  • 元利均等返済
  • 金利:年1.50%
年数掛金
1年目109,300円
2年目104,300円
3年目99,400円
20年目3,500円
合計1,175,000円
(年平均)58,750円
(月平均)約4,896円

機構団体生命保険の保障内容について

三大疾病保障付機構団体信用生命保険は通常の機構団信の保障内容を含んでいるので、ここでは、三大疾病保障付機構団体信用生命保険の保障内容について見ていきましょう。

<債務弁済条件(保障内容)>

加入者が死亡又は所定の高度障害状態となった場合に加え、以下の①~③に該当する場合、残りの住宅ローンは全額弁済されます。


①がん

  • 保険期間中に、所定の悪性新生物(がん)に罹患したと医師によって病理組織学的所見(生検)により診断確定されたとき

ただし、この「がん」には上皮内がんや皮膚の悪性黒色腫以外の皮膚がんは含まれないので、注意が必要です。


②急性心筋梗塞

保障開始日以後の疾病を原因として、次のア又はイの状態となったとき

  • ア.急性心筋梗塞を発病し、その急性心筋梗塞により初めて医師の診療を受けた日からその日を含めて60日以上、労働の制限を必要とする状態(軽い家事等の軽労働や事務等の座業はできるが、それ以上の活動では制限を必要とする状態)が継続したと医師によって診断されたとき
  • イ.急性心筋梗塞を発病し、その急性心筋梗塞の治療を直接の目的として、所定の病院等において所定の手術を受けたとき

アの条件に注意していただきたいのが、60日以上の労働の制限が必要となるので、手術なしの場合、急性心筋梗塞となってもすぐには条件には該当しません。


③脳卒中

保障開始日以後の疾病を原因として、次のア又はイの状態となったとき

  • ア.脳卒中を発病し、その脳卒中により初めて医師の診療を受けた日からその日を含めて60日以上、言語障害、運動失調、麻痺等の他覚的な神経学的後遺症が継続したと医師によって診断されたとき
  • イ.脳卒中を発病し、その脳卒中の治療を直接の目的として、所定の病院等において所定の手術を受けたとき


こちらも、急性心筋梗塞の条件と同様、手術なしの場合は60日以上の労働の制限が必要となるので、注意が必要です。

八大疾病保障付き住宅ローンとは

では、一方で、さらに保障内容を広げた八大疾病保障付き住宅ローンとはどのようなものなのでしょうか。 

ここでは、三井住友銀行の八大疾病保障付住宅ローンを例に挙げて詳しく見ていきましょう。


例:三井住友銀行

  • 2,000万円・20年の借入
  • 元利均等返済
  • 毎月返済のみ
  • 超長期固定金利型(保障料外枠方式)
  • 繰上返済なし 

この場合で八大疾病保障付住宅ローンと通常住宅ローンの比較を比較します。

八大疾病保障付
住宅ローン
通常の
住宅ローン
金利年1.80%年1.50%
毎月の返済額約99,300円約96,500円

八大疾病保障付住宅ローンの場合、通常の住宅ローンよりも金利が0.3%上乗せされ、月々約3,000円の追加負担がかかる場合が多いです。


その分、八大疾病保険では、八大疾病に罹患した場合のローン残高を保障してくれます。


がん保険はその名の通り「がん」、三大疾病保険は「がん・急性心筋梗塞・脳卒中」ですが、八大疾病保険は三大疾病保険の疾病に、「高血圧症・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変・慢性膵炎」の5つの重度慢性疾患を加えた保険です。それぞれに定められた疾病に罹患し、所定の状態となった場合に住宅ローンの残高がゼロ円となります。


ただし、所定の条件とは、会社ごとにことなりますが、多くは以下の場合が多いです。


  • がんと診断された場合(ただし上皮がんは除く)
  • 急性心筋梗塞、脳卒中と診断され、60日以上継続して罹患していた場合
  • 就業不能状態が13ヶ月以上となった場合

これらはローン返済が厳しいと考えられるラインです。


また、八大疾病保険を紹介しましたが、九大疾病補償付住宅ローン、11大疾病保障付住宅ローンがあります。


九大疾病補償付住宅ローンは八大疾病に加えて、「ウイルス肝炎」が付帯されます。

11大疾病保障付住宅ローンは八大疾病に加えて、「大動脈瘤および解離、上皮内新生物、悪性黒色腫以外の皮膚がん」が付帯されます。

がん保険・三大疾病保険は必要か

ここまで、住宅ローンに付帯する生命保険について見てきましたが、一方で、民間の生命保険会社が販売している単体の「がん保険」や「三大疾病保険」もあります。果たして、住宅ローンに生命保険は必要なのでしょうか。

住宅ローンを組む人のがん保険・三大疾病保険の加入率

実は、住宅ローンを組む場合、機構団体信用生命保険への加入は強制となる場合が多いです。なぜなら、銀行側としても、無保険でローンを組んだとして万が一のことが債務者に起こった場合、貸付したローンを回収することができなくなるからです。

一方で「三大疾病付き」にするかどうかは任意なので、加入者の判断となります。


団体信用生命保険を選ぶポイント

機構団体信用生命保険は、あくまで住宅ローンを返済を担保してくれる保険です。

住宅ローン以外の生活費や治療費を保障してくれるものではありません。


よって、団信保険のみでは十分ではなく、残されたご家族のことを考える場合や、治療費のことを考えるならば別のがん保険や三大疾病保険などの生命保険に加入しておく必要があります。

団体信用生命保険のがん特約や三大疾病特約における注意点

機構団体信用生命保険ののがん保険特約や三大疾病保険特約を付ける場合、支払い条件に注意する必要があります。

一般的な、民間のがん保険や三大疾病保険と比べると、例えばがん保険の場合は、「上皮内新生物が対象外」だったり、診断確定後の条件が必要だったり、条件が厳しめです。

「支払われると思っていたのに、支払われなかった・・・」ということがないように、支払い条件を予め確認しておく必要があります。



まとめ:がん保険・三大疾病保険は必要か

機構団体信用生命保険にがん保険特約や・三大疾病保険特約は、高額な住宅ローンを組む場合は加入したおいた方が良いです。

がんや三大疾病になった場合、これまで通りに働けなくなる可能性があり、収入が激減する可能性があります。


比較的低額な住宅ローンを組む場合は、民間の生命保険のみで十分なことも考えられますが、高額な住宅ローンの場合は民間の生命保険のみでは、保障が十分ではなく、結局住宅ローンの支払いに苦労することになるかもしれません。


現在加入している生命保険の保障内容、あるいは新たに生命保険に加入することも併せて考えながら検討することが必要です。

この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、保険相談や選び方のポイントを伝える「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

ランキング

  • がん保険の団体割引とはどのような制度で共済と民間生保との違いは?
  • がん保険と医療保険の組み合わせについて考えてみることの重要性
  • 最適ながん保険とは?具体的な特徴から見る医療保険との違い
  • 入院保険とがん保険は何が違うの?それぞれでどんな保障があるの?
  • 「がんにはがん保険で備える」がセオリー。医療保険の明確な違いとは
  • がん保険と医療保険の両方に加入する場合、知らなければ損をする内容
  • がん保険は不要?「がん保険はいらない」という不要論を徹底検証!
  • 主婦が気になるがん保険。「わたしにがん保険は必要なの?」
  • 妻にがん保険って本当に必要?妻はがん保険に加入すべきなのか
  • がん保険に入らないのは大丈夫?がん保険の重要性を再確認しよう!
  • がん保険のメリットとデメリットは?きちんと知り適切な保険選びを!
  • がん保険に未加入でがんに罹るとどうなる?必要なお金はどのぐらい?
  • がんだけでなく、他の7大疾病も保障してくれるがん保険とは?
  • がん保険は何歳まで必要かについて加入前に考えてみることが必要
  • がん保険は本当に必要なのか?がん保険の必要性について考える
  • がん保険になる対象についてはまずしっかりと確認しておこう