更新日:2020/05/29
交通事故の際の過失割合の自己負担分は車両保険が適用?計算方法も紹介
もし事故を起こしてしまったとき、自動車保険で過失割合分の自己負担額は補償されるのでしょうか。また過失割合による賠償金はどのように計算されるでしょうか。この記事では、自動車保険や車両保険で過失割合分の自己負担額が補償されるかどうかや賠償金の計算方法を紹介します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
自動車保険で過失割合分の自己負担額は補償される?
交通事故には相手がいない自損事故(単独事故)、相手と双方の過失で起こる事故、相手の一方的な過失で起こる事故の3種類があります。
相手の一方的な過失で起こる事故は、全て相手側の過失になりますが、双方とも過失がある場合は過失割合が決められ、それに伴って支払う賠償金額が変わります。
そこで今回は、
- 過失割合による自己負担額は車両保険が適用されるのか
- 過失割合はどのように決まるのか
- 過失割合による損害賠償金の計算方法
自分の過失割合分の修理費用は車両保険で補償される!
車対車での交通事故で過失割合が発生している場合、「自分の過失割合分」だけ自分で修理費用を負担することになります。
その自己負担は車両保険を使って補うことができるのです。
自分の責任が少なくても自分の車の修理費は自己負担となってしまうので、その負担額も補償してくれる車両保険に加入していれば安心ですね。
では過失割合はどうやって決まる?
そもそも過失割合とはどのようにして決まるのでしょうか。
事故が発生したときに、警察が事故検分、調書の作成が行われるので警察が決定するようにも思えますが、警察は事故の状況の書類を作るだけで過失割合は決めていません。
実際は、事故を起こした双方が加入している保険会社の担当者が、これまでの事故による判例を参考に話し合いをして過失割合を修正しながら決めています。
事故にはいくつかのパターンや種類ごとの過失割合についてご紹介します。
今回は
- 歩行者と車の事故
- 車同士の事故
- 車とバイクの事故
- 車と自転車
- 高速道路での事故
過失割合パターン①:歩行者と車の事故
歩行者と自動車の事故の場合、交差点(横断歩道あり)の場合であれば、歩行者の過失はほとんど発生しません。
横断歩道に歩行者がいた場合には、車は横断歩道前で停止し、歩行者の通行を妨げてはいけないとされています。
歩行者が強引に赤信号を渡ってくるというようなことがない限りは、過失は取れません。
ただし駐車場などのスペースでの事故では、車を運転する方も「歩行者がいる」ことが分かっていますし、歩行者も車が通ることが分かっていますので、歩行者にも基本的に過失が発生することとなります。
過失割合パターン②:車対車の事故
よくある事故として、「出会い頭」という事故があります。細い道や施設から出てくる車と、道路を走る車との衝突です。
この事故の発生原因は、「よく見えなかった」「出てくるはずがない」と思ったなどのなります。
「こんなところで出てくるなんて」という理由では、自分の過失が0になることもなく、基本的な過失割合としては、道路を走っていた車が2割。あとはスピードなどの状況により変更が行われます。
過失割合パターン③:車とバイクの事故
車とバイクや原付の事故は、衝突したものの大小関係などといわれていましたが、実際には異なります。
この場合一番多いのが、右折する車と、対向車線を直進するバイクとで起きる事故です。
細かく説明すると、右折する車から対向車線を直進する車の陰に隠れたバイクの発見が遅れて、右折を開始して衝突するということです。
この場合は、直進の車が優先されるいうことから、右折する車の過失が大きくなります。また、バイクや原付は転んだら怪我をしますので、対人賠償の可能性も増えることになります。
過失割合パターン④:車と自転車の事故
車と自転車の事故は、自転車の方が弱い立場になるために過失割合が修正され、自転車の過失割合が低めになるケースが多くなります。
例えば、信号機のある交差点内において、車と自転車の両方が赤信号で交差点に進入し、出会い頭で事故となった場合、両者の過失度合いは同じように見えますが、実際は自転車の過失割合が3割、自動車の過失割合が7割となります。
逆に、自転車側が夜間にヘッドライトをつけていなかったり、スマホを見ながら運転していたり、酒気帯び運転をしていたりといった場合、自転車側の過失が高くなります。
過失割合パターン⑤:高速道路での事故
高速道路は基本的には一方通行で交差点や信号もなく、歩行者もいないため、交通事故の発生は一般道に比べると少ないですが、高速道路で最も交通事故が起こる確率が高いのは、本線と他線との合流地点になります。
一般道から高速道路に進入する時やサービスエリア・パーキングエリアから本線に戻る時など、本線を走る車と合流してくる車に速度の違いがあるため、事故が発生しやすくなっています。
合流する際に事故となった場合、本線を走行していた車の過失割合が3割、合流しようとした車の過失割合が7割となります。
補足:物損事故と人身事故の過失割合は関係ない?
物損事故とは、「事故が原因で乗っていた車に傷がついたり、事故の衝撃で物品が破損した事故」を指し、人身事故とは、「事故が原因で被害者がけがを負った、もしくは死亡してしまった事故」を指しています。
交通事故にあった場合、基本的には物損事故と人身事故の違いで、過失割合が変わることはありません。
ですが、物損事故と人身事故では、取り扱われ方には雲泥の差があります。
物損事故として届け出た場合、請求できる賠償金の金額が極端に低くなる、慰謝料が発生しない、実況見分書が手に入らないといったデメリットがあります。
さらに、事故後に身体に痛みが出たとしても、治療費は自己負担になってしまいます。
なお、人身事故として届け出た場合、多くの場合で加害者は示談によって相手から賠償金の支払いを受けることになります。賠償金には、治療費や休業損害、慰謝料などのすべての損害費目が含まれています。
過失割合によって賠償金が減る?「過失相殺」について
自分の過失割合が30%であれば、70万円というように「過失割合」が大きくなると受け取れる金額が減ってしまうのです。
また保険会社は、自動車事故の際に示談交渉をするサービスをもっていますが、それは過失割合が発生している場合だけ適用されるため、過失が0の場合は、示談交渉はしてくれないので、注意が必要です。
過失割合による賠償金や自己負担額の計算方法を紹介!
ここからは、過失割合が確定した際の具体的な損害賠償金や、自己負担額の計算方法を例を挙げて紹介します。
当事者Aの自動車の損害金額が50万円、当事者Bの損害金額が50万円、過失割合が80:20の場合、それぞれの損害賠償金額と自己負担額は以下のように計算することができます。
- Aが請求可能な損害賠償金額=50万円×20%=10万円
- Bが請求可能な損害賠償金額=50万円×80%=40万円
よって、 差し引き=10万円-40万円=-30万円となり、AがBに30万円を支払う義務が生じます。
また、当事者AとBの自動車の損害金額がそれぞれ30万円、過失割合が50:50の場合、それぞれの損害賠償金額と自己負担額は以下のように計算することができます。
- Aが請求可能な損害賠償金額=30万円×50%=15万円
- Bが請求可能な損害賠償金額=30万円×50%=15万円
よって、差し引き=15万円-15万円=0円となり、当事者間の損害賠償金の支払いはありません。
なお、過失割合が0でない限り、被害者であっても自動車の修理代金などの損害賠償金を過失割合により負担する(差し引かれる)ことになります。
高級車と事故を起こすと支払い額が高額になるケースも
例えば、当事者Aの自動車の損害金額が100万円、当事者Bの損害金額が20万円、過失割合が80:20の場合、
- Aが請求可能な損害賠償金額=100万円×20%=20万円
- Bが請求可能な損害賠償金額=20万円×80%=16万円
1万円以上保険料を節約する方法をご存知ですか?
皆さんは自動車保険をどの頻度で見直していますか?
もしかしたら、加入してから一度も見直していない人も多いのではないでしょうか。
- 加入してから一度も自動車保険を見直していない
- 車を購入する代理店で加入した
- 会社の団体割引で自動車保険に加入している
が1つでも当てはまる方は要注意!
高すぎる保険料を払っている可能性が高いです。
心当たりのある方は、一度保険料をシミュレーションしてみてはいかがでしょうか。
以下のボタンから簡単にシミュレーションできるので、ぜひどうぞ!
まとめ:車両保険で過失割合分の自己負担額は補償される?
車両保険で過失割合分の自己負担額は補償されるのか、過失割合はどうやって決まるのか、賠償金や自己負担額はどうやって決まるのかについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
今回の記事のポイントは
- 車対車での交通事故で過失割合が発生した場合、自分の過失割合分を自己負担することになるが、それは車両保険で補うことができる
- 交通事故での過失割合は、保険会社の担当者によってこれまでの事故による判例を参考に決められる
- 交通事故で被害者となった場合、損害賠償金は自分の過失割合分を差し引いて支払われる
- 高級車との交通事故の場合、自分が被害者だったとしても過失相殺した結果、損害賠償金を払わなくてはならない場合がある
でした。
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