個人年金保険の死亡給付金に係る相続税の非課税枠と納付方法など

個人年金保険の死亡給付金については契約者及び掛金者が誰かにより相続税の対象となる場合がありますが、個人年金保険の死亡給付金には非課税枠が活用できるのでこれを活用しましょう。その上で相続税の納付が必要なら所定の手続きで納付し、納付が困難なら延納等を考えましょう。

相続税課税の前提として個人年金保険に死亡給付金が支払われるかについて

個人年金保険の死亡給付金とは、個人年金保険の掛け金払込み中又は払込み後に死亡した際に遺族に掛け金相当額が返還されるというものです。


死亡時に契約時の給付総額を支払うという生命保険のような死亡保障とは異なります。


個人年金保険が民間の保険会社との契約である以上死亡給付金が支払われるかは契約内容によりますが、相続税課税の前提としての死亡給付金の支払の一般的な傾向をみていきましょう。

掛け金払込み中に死亡した場合

例えば、個人年金保険の掛け金を15年間積み立てる個人年金保険契約を交わして、10年目に死亡したというようなケースです。


このような場合については、一般的な傾向としては、掛け金払込相当額が返還される契約が多いです。


自分の老後資金の積立という個人年金保険の目的からいうと、本来は掛け金を掛けていた者のものであり遺族に返還されるべきものと考えられるからです。

掛け金払込み後に死亡した場合

掛け金払込み後に死亡した場合は、保険契約の性質によって異なってきます。


例えば60歳から10年間給付するという定期年金契約で65歳で死亡した場合を想定してみましょう。


この場合は、10年間の受給権という財産が契約者に確保されているので死亡給付金が支払われる傾向にあります。


一方、終身年金契約であれば、死ぬまで支払うという契約で死亡したのだから支払はおしまいで死亡給付金はなしという傾向にあります。



個人年金保険の死亡給付金の支給が相続税の課税対象となる場合

以上より、個人年金保険については死亡給付金が支払われる場合があります。


通常は一時金で支払われるのでこの支払額について相続税を課するのかということになりますが、そもそも、死亡給付金は死亡により受給権が発生する性質のもので死亡時に有していた受給権を相続したものとはいえないことから相続税を課すことができるのかや、だれが掛け金を掛けたのかにより相続税の対象かという問題があります。

契約者と保険料負担者と被相続人の関係

個人年金保険の受取人となる保険契約を締結した者が、保険の掛け金を掛けている場合において、その死亡給付金の受給権を有することとなった者が法定相続人の中にいる遺族である場合は、相続税の課税対象となります。


一方、保険契約締結者と掛け金負担者が異なり、その死亡給付金の受給者が契約者の遺族である場合で掛け金を負担している者でない場合は、負担者から遺族へお金が移転しているとして贈与税の対象となります。

相続税の課税対象となる理由

上記の例の前段の方は、相続税の課税対象ということとなりますが、相続とは死亡前に死亡者が有している権利義務の引き継ぎのことであり、死亡時には権利義務の主体となれない以上、死亡時に発生する個人年金保険の死亡給付金は契約者から遺族へ相続されたとはいえません。


この点が民事法の理論に沿わないので、税法上規定を設けて相続に近いものであるから相続とみなし課税するという対応をしているのです。

個人年金保険の死亡給付金の相続税の課税金額の計算について

個人年金保険の死亡給付金がでる場合があり、個人年金保険に係る契約者と掛け金を掛けている者が同じ場合は相続税の対象となることが分かりました。


では、この場合における相続税の具体的な課税金額の計算方法はどのように行うのでしょうか。相続税の計算方法を確認したうえで、個人年金保険の死亡給付金に係る非課税枠についてみていきましょう。

相続税の課税額の計算方法

まず、相続税の課税額の算出方法ですが、相続により取得した財産の価額にみなし相続により取得した財産の価額を加えることとなります。個人年金の死亡給付金はこのみなし相続財産の位置づけになります。

その上で非課税財産の価額を差し引く等を行い純資産価額を算出します。

これに相続開始前3年以内の贈与財産の価額を加えて相続税の課税価額を算出します。この課税価額から基礎控除額を差し引いたのが課税遺産額です。

みなし相続に係る非課税枠の活用

上記の計算方法で非課税財産の価額を差し引くとされていますが、みなし相続については非課税枠があり、この差し引きが使えます。この計算方法は、500万円×法定相続人の人数という計算になり、最低でも500万円までは非課税枠があるのです。ですので、個人年金保険の死亡給付金が500万円以内であれば、この死亡給付金そのものには相続税はかからないと考えてよいでしょう。




相続税が課税される場合の手続き等

個人年金保険の死亡給付金について、このような非課税枠を活用したとしても相続税が課される場合は、法定の手続きを踏んで相続税を納付する必要があります。


その手続きとして必要な書類等を見ていったうえで、相続対象が不動産等で相続税額を現金納付が困難な資産はあるけどキャッシュがない場合の対処方法をみていきましょう。

相続税の納付手続きについて

税金を納付する手続きというと確定申告を想定されますが、相続税については確定申告ではなく、相続税の申告書という別の様式で行います。提出先は被相続人の住所地を所轄する税務署で、その期限は相続を知ったときから10か月以内となっています。添付書類として相続財産ごとに異なるもの、例えば土地であれば登記簿謄本等の添付書類が必要となり、その量も多大となることから準備に時間が必要です。

延納、物納制度について

相続財産が個人年金保険の死亡給付金以外はほとんど不動産等ですぐに現金に換金できないもであった場合で、相続税が個人年金の死亡給付金額を超えてきた場合、現金納付できない事態が想定されます。この場合に抑えておくのは、相続税法上は、延納制度や、不動産等については物納するという方法が存在します。納付に困ったら税務署に相談してこれらの制度を活用する道を探りましょう。

まとめ

個人年金保険の死亡給付金は契約者が死亡時に支払われる場合があり、その契約者が掛け金を掛けている場合はみなし相続として相続税の課税対象となりえます。


しかし、相続税の計算上みなし相続財産の非課税枠があり、個人年金保険の死亡給付金はこれが使えるので非課税枠を活用しましょう。


その上で納税が必要なら所定の様式と添付書類を税務署に提出して納付しましょう。この場合に申告時までに現金納付が困難な場合には延納と物納の道があります。

この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、保険相談や選び方のポイントを伝える「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

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