日本の年金制度は40年後どうなる?国民年金支給額はいくらもらえる?

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40年後には日本の人口が2000万人減少すると言われており、40年後の年金受給額や支給開始年齢に不安が高まります。実際、いくらもらえるかは不透明なので、40年後の年金対策を考えましょう。インフレリスクや個人年金保険、個人型確定拠出年金iDeCoも併せて解説します。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

日本の年金制度は40年後どうなる?いくらもらえる?

皆さんは国民年金と聞いてどのようなイメージを浮かべるでしょうか?


今払っている国民年金や厚生年金は無駄になるのではないか、と思われている方もいらっしゃるでしょう。


自分たちが老後を迎えるころには年金は満足な支給額が支給されない、老後の生活費は年金では賄えないなど老後に不安を感じる方もいらっしゃるかと思います。実際、2019年1月26日の日経新聞の記事によれば、年金支給開始年齢を75歳も選択肢に入れることを検討しているという報道がありました。


40年後の日本は人口が2000万人減少すると言われています。


また、少子化が進み、高齢者の割合が高まっていく、この事実を踏まえると、さらなる年金財政が悪化することが予想されます。現在は任意ですが、今後義務化され年金支給開始年齢が引き上げられていく可能性も大いに考えられます。  


国民年金がいくらもらえるのか、という期待はもうできない危機的状態にまでさしかかっています。


そこでこの記事では、

  • 30年後・40年後の年金受給額はいくらもらえる?
  • 受給される年齢と労働年齢の目安
  • 世界の支給開始年齢の引き上げについて
  • 自分で作る年金制度:個人型確定拠出年金(iDeCo)
以上についてお伝えしていきます。


この記事を読んで頂ければ、日本の年金制度についてはもちろん、人口が2000万人減少すると言われている40年後までにできる対策を理解することができます。

30年後40年後の年金受給額について


日本の年金制度は現役世代が納めた保険料をもとに、高齢者の年金給付に充てる仕組みを採っています。(割賦方式と言います)


つまり少子高齢化で現役世代が減少し、高齢者の人口が増えることにより現役世代の負担が増すのと同時に、高齢者への年金給付額が減少する可能性があります。


40年後は現在より人口が2000万人減少すると言われているため、年金財政は悪化することは充分予想されるでしょう。

厚生労働省発表による受給額の変化

以下の表は、厚生労働省が公開している年金受給額のデータです。


国民年金は1人分、厚生年金は夫婦2人分の国民年金を含む標準的な年金受給金額です。

支給額平成25年9月まで平成30年度
国民年金
支給額
65,541円64,491円
厚生年金
支給額
230,940円221,277円

厚生労働省の年金額改定によると、平成25年9月までは国民年金の年金額が月額65,541円、厚生年金受給額が月額230,940円でした。


そして平成30年(厚生労働省参照)には国民年金の年金額が月額64,491円、厚生年金受給額が月額221,277円年金受給額がすでに減少しています。


これは高齢化により、年金受給をする人が増えたため受給額を圧縮してるためだと考えられます。

これから40年後の年金受給額の予想

それでは人口が2000万人減少すると言われる40年後の年金受給額はどのようになるでしょうか。


公益財団法人の生命保険文化センターの「平成28年度 生活保障に関する調査」によると、夫婦2人での老後の最低日常生活費が約22万円という調査結果を出しています。


つまり、現時点で公的年金の受給額と最低日常生活費がほぼ±0となっています。


今後さらに現役世代が減少し、高齢者が増える時代を踏まえると年金受給額がさらに減少していくことが考えられます。


そのため、40年後は現在よりも老後の資金不足により老後破産も増えていくことが予想されます。

受給される年齢と労働年齢の目安

40年後の年金財政を考えると、年金の受給額が減少することはほぼ確実です。


そのため、受給額を下げるだけでは高齢化に対応できず、受給される年齢を引き上げることも予想されます。


現在65歳からの年金受給年齢が、今後70歳、75歳と引き上げられることは、60歳で現役を引退してから受給までの間は収入がなくなることを意味します。


それでは年金の支給開始年齢はこれまでどのように変化してきたのでしょうか?

支給開始年齢の変化

年金制度発足当時、55歳から年金の受給ができました。(男子のみ)


その後、昭和19年に男女ともに55歳、昭和29年に男子のみ60歳…、


と年を追うごとに年金の受給開始年齢が引き上げられています。


現在は男女ともに65歳から受給開始ですが、平成12年から変化がありません。


しかし40年後の人口構造を踏まえれば、いつ引き上げられても不思議ではありません。


支給開始年齢引き上げの対策として、高齢になっても働けるうちは働き収入を得る必要があるでしょう。

65歳まで働くことで生まれるメリット

現在60歳で現役を引退し65歳からの年金受給開始までの間、運が良ければ再雇用という形で会社に残ることもできます。


さらに政府もシニアの雇用改革を推し進めているため、65歳以降も働く人が増えています。


内閣府の「平成29年版高齢者白書」によると、65~69歳で働いている人の割合は53.0%と半数を超えています。


現在の年金制度を踏まえて試算すると、65歳から受け取れる年金を70歳からの受け取りにすると、年金額が42%増すと言われています。


これらを踏まえて、上記の内閣府の調査では何歳頃まで働きたいか、という問いに対し、「働けるうちはいつまでも」がもっとも多い42.0%。「70歳くらいまで21.9%」「75歳くらいまで11.4%」「80歳くらいまで4.4%」に対し、「65歳くらいまで13.5%」と、今の高齢者がすでに長期で働こうとしている時代に入っています。


40年後の生活のためにも、働けるうちは働いていた方が経済的メリットも多いでしょう。

参考:世界の支給開始年齢の引き上げについて

それでは、日本以外の国々の年金支給開始年齢はどのようになっているのでしょうか。


日本年金機構のデータによると、

  • インド:58歳
  • 韓国:61歳
  • フランス:61歳2ヶ月
  • ドイツ:65歳3か月
  • アメリカ:66歳

となっています。


特徴としては、人口増加が続き、高い経済成長率を誇る新興国は年金支給開始年齢が低いことがわかります。


逆に日本と同じように65歳前後の先進国でもアメリカは2027年までに67歳、ドイツは2029年までに67歳への引き上げが予定されています。


特にアメリカは日本と違い人口が増加していても年金支給開始年齢が引き上げられます。


そのため、人口減少が進む日本の引き上げはなおさら近いことが予想されます。

自分で作る年金制度:個人型確定拠出年金(iDeCo)

40年後はさらなる年金財政が悪化することが予想されます。


年金財政が悪化することで、受け取れる年金が減り、老後資金の不足が考えられます。


そこで自分で作る年金制度として、2017年1月に個人型確定拠出年金(iDeCo)の制度が始まりました。


個人型確定拠出年金(iDeCo)は現役時代に様々なメリットが用意されています。40年後の年金財政の悪化を見据えて今できることをしっかりと検討する必要があります。


以下では個人型確定拠出年金(iDeCo)について

  1. 掛金が全額所得控除 
  2. 運用利益が非課税
  3. 受取時も一定額まで非課税

について解説していきます。

3つの税制メリット

1.掛金が全額所得控除


職業ごとの掛金の拠出限度額

  • 自営業者:月額68,000円
  • 専業主婦:月額23,000円
  • 会社員(企業型確定拠出年金なし):月額23,000円
  • 会社員(企業型確定拠出年金あり):月額20,000円
  • 公務員等:月額12,000円
雇用形態によりますが、現役時代に拠出した掛金が全額所得控除となります。

例えば自営業者の場合は月額68,000円まで拠出することができ、年間で816,000円拠出することができます。

つまりこれは、年間で816,000円も所得控除を受けることができるのです。

仮に自営業者の方が20歳で個人型確定拠出年金に加入して、60歳で受け取った場合、40年後の所得控除の総額が32,640,000円にもなります。

2.運用利益が非課税

証券口座で株式や投資信託を売買し利益を上げた場合、20.315%の税金が発生します。ところが、iDeCoで上げた利益についてはいくら利益を上げたとしても非課税です。これは拠出金がいくらであっても、常に非課税となります。

3.受取時も一定額まで非課税

まず、iDeCoは一時金として受け取る場合と分割で受け取る場合の二つに分かれます。一時金として受け取る場合は退職所得控除として、他の退職所得と合算して1,500万円まで非課税となります。 x一方、分割して受け取る場合は公的年金と合算して70万円まで非課税となります。

個人型確定拠出年金(iDeCo)の受給開始年齢

個人型確定拠出年金(iDeCo)は60歳から70歳までの間に受給開始することができます。


いつ受給開始をするかは自分で選ぶことが可能です。


60歳になった時点で早めの受給を開始するメリットとして、65歳で公的年金を受け取るまでの無収入となる期間の収入を補うことができます。


一方、早く受け取ることにより、70歳まで運用した場合の運用益と所得控除の恩恵を受けられなくなってしまうというデメリットがあります。


ご自身のライフプランに合わせた受け取り時間を選択する必要があるでしょう。


 個人型確定拠出年金(iDeCo)の申請について、自由に選択できるのはメリットですが、どのような選択をするのがベストか分からない場合も多いと思います。


そんな時は、専門家に相談してみることをおすすめします。

マネーキャリア相談のFPは知識も豊富ですし、無料で簡単に相談予約できますよ。


相談予約は以下のボタンより可能です。是非申し込んでみてください。

個人型確定拠出年金(iDeCo)の申請方法

個人型確定拠出年金(iDeCo)の申請方法は、銀行、証券会社などの金融機関から申し込みをすることができます。


会社員の方であれば、まずお勤め先に個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入資格があるか確認することから始めましょう。


そして申し込みを行う金融機関に資料請求を行い、資料が届いたら必要事項を記入し提出しましょう。


注意点は会社員の方は、勤め先に記入してもらわなければならない箇所がありますので、忘れずに記入してもらいましょう。

まとめ:日本の40年後の年金制度に備えた対策を始めよう

40年後の年金制度について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。


今回の記事のポイントは、

  1. 40年後は人口が2000万人減少すると言われさらなる年金財政の悪化が予想される
  2. 年金の受給額は年々減少している
  3. 年金の支給開始年齢が引き上げられことはほぼ確実と言える
  4. 個人型確定拠出年金(iDeCo)の活用で40年後に備える

の4つです。繰り返しになりますが、40年後の日本は現在よりも人口が2000万人減少すると言われています。


さらに少子高齢化で年金を支払う現役世代の負担が増し、高齢者に対する年金の支給額も圧縮されることは確実と言ってもいいでしょう。


現在20歳の方ではなかなか40年後を見据えることはできないかと思います。


メリットの大きい個人型確定拠出年金(iDeCo)は早く始めることが可能ならば、なるべく早く始めるべきだと言えます。


個人型確定拠出年金(iDeCo)は主に株式や債券などの商品を運用していきます。


株式や債券はリスク資産と言われ、運用結果次第では元本割れを起こす可能性があります。しかし、運用期間が長くなると時間分散効果でリスクが減っていくので安心してください。


(ただし、インフレリスクなどの物価上昇には備えられていないため、外貨での分散投資なども視野に入れた方が良い場合もあります。)


40年後を見据えることはなかなか難しいことですが、現役時代にも所得控除のメリットもあるため、できることは早めに始めていきましょう。


そして、分からない点がある場合は専門家に相談することをおすすめいたします。

知識が豊富なFPに相談して、最善の選択をしていきましょう。


相談予約は以下より、無料簡単にすることができますので、お気軽に申し込んでみてください。

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