引っ越し先での介護保険の手続きは!?今のサービスはどうなるの??

介護の必要な親や親戚、自分を含めて、もし引っ越しをする事になったら。今の介護保険のサービスはどうなるのか、引っ越し先での介護保険の手続き方法は?新しい引っ越し先でも今と変わらない介護サービスを受ける事が出来るのか、お教えいたします。

引っ越しの際介護保険で必要な手続きを解説

自分や家族が、介護認定を受けた親を自分の近くに呼び介護したいのは誰もが思う事でしょう。

そんな介護生活を始めるときなど事前に確認しておきたいのが、介護保険に関する手続きです。

介護保険の保険者は市区町村の自治体なので、新しい住所が以前の市区町村と異なる引っ越しの場合は、認定を継続して受けるためにも忘れてはいけない手続きがあります。

同じ市区町村内での引っ越しでも、介護認定の申請をスムーズに進めるために、しっかりと手続きについて認識・確認しておくのが良いでしょう。

市区町村内での引っ越しの際の介護保険の手続きは簡単

引っ越しとなると、色々と書類を準備して…提出しなければならない…といった何から手を付けて良いのやら途方に暮れそうなイメージがあります。

しかし、同じ市区町村内での引っ越しの場合は特別複雑な介護保険の手続き等はなく、大変シンプルで簡単です。

新しい住所が、以前と同じ市区町村(自治体)をまたがない引っ越しであれば、介護認定に関する手続きは、同一区内でない引っ越しの場合と比べると格段と楽です。 

転居届の提出と一緒に住所変更手続きをする

自治体をまたがない同じ市区町村内の引っ越しの場合は、転出届や転入届の提出は不要なのはご存知かと思います。

引っ越した後の介護保険の手続きは、住所を変更した際に申請する「転居届」の提出のほか、介護保険を担当している課(部署)で旧住所から新住所への住所変更の申請を行うだけで完了となります。

この申請により、新住所の記載された新たな介護保険被保険者証を交付してもらうことができます。


しかし、介護保険の手続きをしたからと言って、介護認定の内容が変更されることはありません。

介護認定の内容はそのまま継続され、転居するまで受けていた各介護サービスは変わらず引き続き利用することが可能です。

特別な手続きが不要な自治体もある

上記のような簡単な手続きが必要な自治体がほとんどですが、市区町村の中には、転居届と一緒に今使っている「介護保険被保険者証」を提出すれば、介護保険に関する書類の提出や、住所の変更の申請等を行わなくても、自治体が新住所を記載した「介護保険被保険者証」を発行してくれるところもあります。

一般的には、新しい「介護保険被保険者証」は、郵送にて後日発行・発送されますが、緊急を要する場合は、介護保険を担当する課の窓口で相談すれば即日発行など対応してくれる事もあります。

自治体をまたがない、同じ市区町村のなかでの引っ越しであれば、必要な書類など少なく、駆け回る事なく簡単に手続きを終えられます。

他の都道府県や市区町村に引っ越しする場合は受給資格証明書を取得する必要がある


自治体をまたがない同じ市区町村内の引っ越しの場合は、比較的簡単な手続きのみでしたが、その他の都道府県や、今住んでいる市区町村以外へ引っ越す場合は、旧住所のある自治体と新しい住所のある自治体の両方で介護保険と介護認定に関する手続きが必要になります。

どのような手順で行えば良いのか、詳しく見ていきましょう。

転出元の自治体で行う手続き

  1. 引っ越しをする前に、転出する自治体(今の住所)の役所などで、介護保険を担当する課に「介護保険被保険者証」を返納します
  2. その自治体での介護保険の被保険者資格を打ち切る「資格喪失手続き」の申請を行います
  3. この手続きで、その自治体での介護保険被保険者の資格を失うことになりますが、その代わりに「介護保険受給資格証」が交付されます
  4. この「介護保険受給資格証」が、引っ越し先での申請の際に必要になります

介護保険受給資格証は、新しい住所のある自治体で介護認定の申請を行うまで、失くさないように大切に保管しておきましょう。

転入先の自治体で行う手続き

新しい住所への引っ越しが完了したら、まずは新居のある役所に転入届などを提出します。

このときに、介護保険に関する手続きも一緒に忘れずにやっておくと良いでしょう。

転入日(新しい住所へ引っ越して)から14日以内に、転出元(旧住所の自治体)で交付された「介護保険受給資格証」を一緒に添付して申請すれば、介護認定が引き継がれ、引っ越し前と同じ内容の支援・介護サービスを受けられるようになります。

転入から14日以内に手続きをしなければならない

「介護保険受給資格証」は転入届等と同様に、申請には転入から14日以内に行うのが鉄則です。

この14日を過ぎてしまうと、引っ越先の自治体で新しく介護認定等の申請が必要になります。

再度介護認定を行うとなると、新しく認定するのと同じくらいの期間と時間がかかってしまいます。新規での認定になると、以前の認定の内容(要介護度等と)が変わることもあります。要介護度が変更されると、これまでと同じ支援や介護のサービスを受けられなくなることもあり得るのです。

そうした事を回避するためにも、引っ越し先の役所で行う手続きはまとめてメモしておき、一つずつの手続き・申請を終わらせて行くことが大切です。


介護施設などに入居する場合は住所地特例制度によって介護認定を引き継ぐことができる

介護を必要とする家族や親戚が、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、ケアハウスなどの介護保険施設に入所することに。

しかし入所に伴う住民票を移す場合は、市区町村をまたぐ引っ越しであっても「住所地特例制度」によって介護認定を引き継ぐことができます。 


「住所地特例制度」とは、介護保険被保険者が旧住所から新しい住所(施設)へ引っ越したあとも、転出元の市区町村が保険者(負担者)として介護サービスにかかる料金を負担する制度です。

保険者となる自治体は転居後も変更されないため、介護認定の内容も引っ越し先で引き継がれます。

この制度を利用するためには、転出元の自治体への申請が必要になります。住所地特例制度が適用可能かどうかを事前に市区町村へ確認して、書類を提出しておくのがおすすめです。

介護保険の要介護認定・要支援認定を受けている方の引越業者の選び方

要介護認定・要支援認定を受けている人の転居は、普通の人の引っ越しと要素が違ってきます。

簡単な家具の移動だけで済めば良いのですが、介護用品や福祉用具、医療器具の移動に特別な配慮が必要になってくるからです。事前の現地調査や計画が必須です。

業者にもよりますが、引っ越業者が提供する各プランには、荷造りから荷解きまで対応してくれるプランもあります。

引っ越しプランについては、何度も業者と相談し、どんなサービスが可能か、きちんと任せられる引っ越し業者を選ぶことをおすすめします。

また実際には、事前準備では廃棄するもの、リサイクル業者に買い取ってもらうもの、そのまま新居に持ち込むものを分別しなければいけません。

引っ越し業者とプランの計画を立てていく中で、この分別作業が終わっていないと、具体的な話が進めまられませんので、早めに済ませておくことが大事です。

まとめ

引っ越し中は忙しく、「あれも!これも!」とやらなくてはいけない事が山積みです。

忙しさに手が回らず、早めにしなければならない手続きが重なってしまい、片付けの時間を割いたり、もう少し落ち着いてからやれば良いや……と、そんな事を思っているうちに申請の期限が過ぎてしまっていた!なんて事が起こり得ます。


支援や介護が常時必要な人にとって、介護保険による介護サービスはなくてはならないものです。今まで受けてきた介護サービスを突然受けられなくなるという事は、その人にとってとても大きな負担になりかねません。

自分だけでなく、家族や親戚に支援や介護を必要とする方がいる場合、引っ越しの時には介護に関する手続きや申請を忘れずに行いましょう。

新しい土地でも今までと同じサービスを受け、自分らしく生活できることで、より豊かな人生を送る事ができるかもしれませんね。

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