国民の義務である介護保険への加入、外国人の場合はどうなるの?

日本に滞在している外国人も介護保険に加入し、介護保険サービスを受けることが出来るのでしょうか?日本にある公的保険の中でも、高齢となった時に必要なサポートが受けられる介護保険は心強いものです。外国人の場合、介護保険についてどのように取り扱われるか説明します。

外国人は介護保険に加入することができるのか

2000年に施行された介護保険制度では、介護保険への加入は国民の義務となっています。40歳以上65歳未満で医療保険に加入している方や65歳以上の方はすべて介護保険被保険者(加入者)となります。

それでは、日本に滞在する外国人の方の場合はこの介護保険に加入することが出来るのか?というと、答えは日本人と変わらず介護保険の被保険者となり、介護サービスを受けることが出来ます。そして介護保険料も同じように納めなければなりません。

では、どのような外国人の方が介護保険の対象となるか、外国人が介護保険の被保険者となるにあたってどのような取り扱いになるかを説明していきましょう。

3ヶ月を超えて在留する40歳以上の外国人は介護保険の対象となる

過去に3ヶ月を超えて日本に在留等した外国人の方には、日本の住民基本台帳が適用され、市町村にある住民基本台帳に登録されます。その登録された方は日本人と同様、国民健康保険と介護保険の被保険者となることが出来ます
なので介護が必要となった時には、日本人が受ける介護サービスとまったく同じように介護保険の介護サービスを受けることが出来ます。
通常、長期滞在する外国人の方は「外国人登録」をすることになります。その届出によって市町村の役所では年齢要件によって届出者を介護保険の被保険者とします。
外国籍の方でも、一定の要件を満たし、住民基本台帳に登録されている65歳以上の方は介護保険の第1号被保険者、40歳以上64歳未満の方は第2号被保険者となります。

3ヶ月を超えて日本に滞在する外国人の方の中でも、『特定活動』の在留資格で日本へ入国する外国人のうち、一定の要件を満たした富裕層の外国人が観光などを目的として、1年以内の期間で日本に滞在した場合は介護保険の被保険者とはなりません。
これは、「出入国・難民認定法」の規定の見直しから、政府は日本を観光目的で訪れる外国人が滞在できる期間を90日間から最長で1年間まで延長することにしました。条件としては、3000万円以上の預貯金があり、民間の医療保険に加入していることなどがあります。
そして、この要件を満たして観光目的で長期滞在する外国人の方の日本滞在が3ヶ月を超えると、その方は市町村の住民基本台帳に登録されますが、生活の拠点となる場所がその登録された市町村であるとは言えないので、介護保険の被保険者とはなりません。

また、在留資格が3カ月以下の外国人の方は介護保険の適用外となりますので、「介護保険適用除外等該当・不該当届」を届け出ることで、介護保険料を納めなくてもよいことになります。

そして日本国内で住所を変更する外国人の方も日本人と同様に、転出する際には自治体窓口にて転出届けを提出しなければなりません。「在留カード」等を持参し、転出証明書を受け取ります。
この時、介護保険証が交付されていれば、それを自治体に返却しましょう。
転入先の市町村には在留カード等と転出証明書を持参し手続きを行うと、それと同時に健康保険や介護保険対象資格が新たに届出があったということになります。新しい介護保険証は新しい住所に後日郵送されて来ます。
要介護認定を受けた外国人の方が転出する場合には、同様に旧住所で「在留カード」による転出届を行い、転出証明書を受け取り介護保険証を返却します。すると介護保険の「受給資格証明書」を発行してもらえます。
そして新しい住所の自治体で転出証明書と在留カード等を提出し、介護保険資格を取得します。さらに介護保険課で受給資格証明書と要介護認定申請書を提出することで、転入日から6ヶ月間は引き続き旧住所地で受けていたのと同じ介護認定が継続されることになります。
それぞれの新しい介護保険証は新しい住所に後日郵送されて来ます。

自国へ帰ることになったりして、日本を出国する際には自治体に転出届を提出し、介護保険証の返却を忘れないようにしましょう。

介護保険制度の被保険者となる外国住民の取り扱い

原則として、日本に住所を所有する40歳以上の方は介護保険の被保険者となります。日本に滞在する外国人の方でも住民基本台帳法の適用対象となる方(住民基本台帳に登録されている方)は介護保険の被保険者となります。

以前は外国人登録を行っていて、日本滞在が1年以上または当初の滞在期間が1年未満であっても、入国目的や入国後の生活を考慮し1年以上滞在すると認められた方が住民基本台帳法の適用となっていました。
しかし、住民基本台帳法の改正が平成24年(2012年)7月9日に行われてから、以前の「入国1年以上の」から「住民基本台帳に登録されている在留期間が3カ月以上の方」へと対象範囲が拡大されました。この住民基本台帳法の改正後からは、日本に3ヶ月を超えて滞在する40歳以上の外国人の方は介護保険の被保険者となりました。

これまでの外国人住民は住民票に記載されることがなく、介護保険などの行政サービスに関して対象から外されることが多かったのですが住民基本台帳法改正後、住民票の作成などにより外国人住民も「世帯」として自治体が把握しやすくなったことにより、以前の状況が改善されることとなりました。

外国人の介護保険被保険者資格の取り扱い

2012年の住民基本台帳法の改正により、外国人の方も日本人と同様に住民票が作成されることになりました。これによって、過去に3ヶ月以上日本に在留した外国人の方も介護保険の被保険者となりました。

そして介護保険の被保険者となる資格取得日は、住民基本台帳法改正(2012年7月9日)より前からすでに日本に滞在していた場合には、この改正日が被保険者資格取得日となります。それ以降に日本に入国し、新たに介護保険被保険者資格取得となるのは市町村に転入した日となります。

外国人の世帯の取り扱い

外国人の方でも住民票が作成出来るようになったことで、住民基本台帳上で日本人と外国人が同じ世帯とすることが可能になりました。なので、介護保険における世帯の取り扱いも住民基本台帳の世帯と同じものとなります。

介護保険に加入している在留外国人の介護保険料

一定の要件を満たし、介護保険へ加入出来る外国人の方の介護保険料は、この該当する外国人の申告を受けて、申告内容を基に保険者である市町村が介護保険料を算定しています
外国人登録をし、長期で日本に滞在している外国人の方はほとんどの場合、社会保険または国民健康保険に加入していることになりますので、40歳以上65歳未満の場合は加入している医療保険から介護保険料は支払われることになります。そして65歳以上の外国人の方は年金がない場合が多いので、その場合には市町村から送られてくる納付書で保険料を支払います。

日本人と同じ保険料額を支払うことになり、同じサービスを受けられる

介護保険の被保険者となり、介護保険料をきちんと納めている場合には、外国人の方でも日本人と同様介護サービスを受けることが出来ます。


まとめ

日本に入国してきたばかりの外国人の方の多くは日本語の理解が難しい場合もあったり、収入も少ない場合もあったりと、介護保険の届出や申告がスムーズに行えず、介護保険加入手続きを放置してしまうことがあります。
しかし、日本での介護保険制度により該当者は介護保険に加入する義務があり、介護保険料を納めていかなくてはいけません。

また、日本に滞在している間に介護が必要となってしまった時のためにも、介護保険への加入と保険料納付はとても大切なことです。日本人と同様に介護サービスを受けることが出来るので、高齢や病気のために身体的に介護が必要になっても、安心して日本で暮らしていくことが出来るでしょう。
そのためには日本の介護保険制度を知り、介護保険加入に該当する外国人の方はきちんと保険加入手続きを行うようにしましょう。


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