更新日:2024/02/01
加入する前に知っておきたい!県民共済のデメリット7つとは?
保険料が安いことで知られている県民共済の保険ですが、民間の保険と比べて死亡保障の少ないことや掛け金が一定であることなどいくつかデメリットが挙げられます。県民共済の保険に加入しようと考えている方はデメリットを理解してから契約を決めましょう。
目次を使って気になるところから読みましょう!
県民共済のデメリットとは?
県民共済は掛金の安さと保障バランスの良さから、コストパフォーマンスに優れているという評判があり、加入を検討している人も多いと思います。
しかし、コストパフォーマンスの良さだけで保険選びをしていいのか、デメリットはないのか気になりますよね。
実は、県民共済はメリットに対して、数々のデメリットもあり、全ての人におすすめできる商品ではないのです。
この記事では、
- 県民共済のデメリットは7つ
- 死亡保障額が少ないデメリット
- 年齢が上がると減額される保障額
- 保障内容の種類が少ないデメリット
- 都民共済における保障額のケース別シミュレーション
- 県民共済がおすすめな人
について、解説していきます。
この記事を読んでいただければ、県民共済のメリットとデメリットが把握でき、県民共済に向いている人やおすすめの加入方法が分かると思います。
また、実際に都民共済に加入している人が、どれくらいの保障額を得られるのかケース別にシミュレーションしてみます。
ぜひ、最後までご覧ください。
県民共済の7つのデメリットとは?実は県民共済で十分?
- 掛金が安い分、死亡保障額が少ない
- 病気の通院保障がない
- 死亡保障は85歳まで、年齢が上がると保障額が減額される
- 掛金が年齢・性別を問わず一律のため不利になるケースがある
- 保障の組み合わせが自由にできず種類も少ない
- 民間保険のようなセーフティーネットがない
- 43都道府県に共済があるが、4県にはない
- 火災共済も補償限度額が低い
保険料が安い分、死亡保障額が少ない
県民共済は月掛金(保険料)が安いですが、その分、死亡保障額が少ないという特徴があります。
基本コースである「総合保障型」は、入院・通院・後遺障害・死亡等を保障する内容で、月掛金は1,000円・2,000円・4,000円の3種類があります。
月掛金ごとの死亡保障額は以下のようになっています。
月掛金 | 死亡保障額 (18〜60歳) | 死亡保障額 (60〜65歳) |
---|---|---|
総合保証1型 1,000円 | 200~500万円 | 200~500万円 |
総合保証2型 2,000円 | 400~1,000万円 | 230~700万円 |
総合保証4型 4,000円 | 800~2,000万円 | 460~1,400万円 |
参考:和歌山県民共済
65歳以上は「熟年型」に移行し、保障額はさらに減額されます。
県民共済の死亡保障額は少ないため、遺族の生活費や子供の教育費のために高額な死亡保障を確保したいのであれば、保険料の高い民間の生命保険に入る方が良いでしょう。
一方、コストパフォーマンス重視で、掛金を抑えて死亡保障を確保したい人には県民共済はおすすめです。
病気の通院保障がない
県民共済「総合保障型」は事故による通院保障はありますが、病気による通院保障はありません。
特約コースではガンの通院保障をするプランはありますが、ガン以外の循環器系の病気や糖尿病等の通院治療をカバーするプランはありません。
同じように、民間の医療保険でも基本保障には通院保障が含まれないことが一般的で、特約で通院保障を付加する形となります。
しかし、特約の通院保障は入院・退院をした後に通院するような場合に適用され、入退院をしない循環器系の病気や糖尿病等の通院治療では、通院保障が適用されないことが多いです。
県民共済でも民間保険でも、通院治療をメインとした通院保障の商品は限られているため、デメリットと言えるでしょう。
終身保障がなく、年齢が上がると保障額も下がる
県民共済は終身保障(貯蓄型)の商品がなく、定期保障(掛け捨て型)のみになります。
死亡保障は85歳まで継続されますが、60歳・65歳以上で保障額は段階的に減額されていき、一生涯の死亡保障は確保できませんが、その分、掛金は割安です。
一方、終身保障を求めるならば、民間の終身保険に入ることで一生涯の死亡保障を確保できますが、保険料は割高です。
県民共済は一定期間の死亡保障を安く確保できるのがメリットで、終身保険は保険料を積立ていくことで一生涯の死亡保障を確保できるのがメリットと言えます。
両者のメリットを享受するには、県民共済と終身保険を両立するというプランも有効です。
掛け金が年齢・性別を問わず一定
死亡保障と医療保障セットで、さらに保障内容のバリエーションがない
県民共済の基本コースである「総合保障型」は、死亡保障と医療保障がセットになっていて、保障額もあらかじめ定められています。
保障内容は入院・通院・後遺障害・死亡までを全般的にカバーするシンプルで分かりやすいものですが、それぞれ別で加入したり、自由に保障を組み合わせることはできません。
さらに、保障内容のバリエーションも少なく、総合保障型に入院保障型や特約コースを組み合わせて、医療保障を厚くすることくらいしかできません。
保障内容を自由に組み合わせて、オーダーメイドの保険に加入したい人にはデメリットと言えますが、シンプルで分かりやすい保険を求める人にはメリットとなるでしょう。
県民共済の保障内容はこちらの記事をご覧ください。
セーフティーネットがない
民間保険では生命保険会社が倒産した場合、資金援助が受けられる生命保険契約者保護機構というセーフティーネットがあります。
一方、県民共済には民間保険のようなセーフティーネットがないため、経営が悪化した場合は十分な保障が受けられない可能性があります。
ただし、県民共済は掛け捨て型の商品のみで、満期金や年金を支払うような商品は扱っていないため、組合員から集めた掛金を高リスクで運用する必要がありません。
また、県民共済の掛金設定は、各種給付金の支払いが発生する確率が高めに見込まれているため、運営側のリスクが低いという特徴もあります。
36都道府県に限定(一部都道府県には県民共済がない)
県民共済・都民共済・府民共済・道民共済等の共済事業は、2007年11月時点で39都道府県で実施されていました。
2019年には山梨県・福井県・愛媛県・佐賀県が共済事業を開始して43都道府県に増加しています。
県民共済がないのは、鳥取県・徳島県・高知県・沖縄県の4県であり、地域差があることはデメリットと言えるでしょう。
都道府県の共済は原則として、居住または勤務している都道府県の共済に加入できます。
加入後に引っ越しをする場合は、転居先に都道府県民共済があるならば、移管手続きをすることで契約を引き継ぐことができます。
一方、転居先に都道府県民共済がない場合は、個別の事情に応じた柔軟な運用をしてもらえないか相談してみましょう。
県民共済の火災保険は補償に限度額がある
県民共済の火災共済も生命共済と同様に、掛金が安いことがメリットですが、民間の火災保険と比べて補償限度額が低い、補償内容の種類が少ない等のデメリットがあります。
補償限度額が低いと、火災で家屋が全焼した場合、家屋の建て替えができないこともあるので注意が必要です。
住宅の補償限度額は、住宅の総坪数と住宅構造により、以下のように定められています。
住宅の補償限度額
住宅の総坪数 | 木造等の補償額 (月掛金) | 鉄筋コンクリート造 の補償額(月掛金) |
---|---|---|
25坪 | 1,750万円 (1,225円) | 1,750万円 (735円) |
35坪 | 2,450万円 (1,715円) | 2,450万円 (1,029円) |
45坪 | 3,150万円 (2,205円) | 3,150万円 (1,323円) |
参考:大阪府民共済「保障額と掛金の早見表」
県民共済の保障額シミュレーション (東京都の都民共済の場合)
コース | ケース |
---|---|
総合保障型 | 35歳男性が交通事故で死亡 |
新がん特約 | 63歳女性がガンで半年間入院、その後3ヶ月通院 |
新三大疾病特約 | 63歳女性がガンで半年間入院、その後3ヶ月通院 |
35歳男性が交通事故で死亡
「総合保障型」に加入していた35歳男性が交通事故で死亡した場合の保障額は以下のようになります。
「総合保障型」の保障額
コース (月掛金) | 死亡保障額 (35歳の場合) |
---|---|
総合保障1型 (1,000円) | 交通事故:500万円 不慮の事故:400万円 病気:200万円 |
総合保障2型 (2,000円) | 交通事故:1,000万円 不慮の事故:800万円 病気:400万円 |
総合保障4型 (4,000円) | 交通事故:2,000万円 不慮の事故:1,600万円 病気:800万円 |
交通事故のよる死亡保障額は、不慮の事故および病気による死亡保障額よりも高額に設定されています。
参考:都民共済「生命共済
総合保障型」
63歳女性がガンで半年間入院、その後3ヶ月通院
ガンに対する保障は「新がん特約」「新三大疾病特約」で備えることができます。
これらの特約は単独で加入できず、基本コースである「総合保障型」「入院保障型」にいずれかを付加する形で加入できます。
63歳女性がガンで半年間入院し、その後3ヶ月通院した場合の保障額を「新がん特約」または「新三大疾病特約」でシミュレーションしてみましょう。
「新がん特約」の保障額
保障内容 | 新がん1型特約 (月掛金+1,000円) | 新がん2型特約 (月掛金+2,000円) |
---|---|---|
がん診断 | 25万円 | 50万円 |
入院 (1日目から無制限) | 1日:2,500円 半年:456,250円 | 1日:5,000円 半年:912,500円 |
通院 (1日目から60日目まで) | 1日:1,500円 60日:90,000円 | 1日:3,000円 60日:180,000円 |
保障額合計 | 796,250円 | 1,592,500円 |
「新三大疾病特約」の保障額
保障内容 | 新三大疾病1.2型特約 (月掛金+1,200円) | 新三大疾病2.4型特約 (月掛金+2,400円) |
---|---|---|
がん診断 | 25万円 | 50万円 |
入院 (1日目から無制限) | 1日:2,500円 半年:456,250円 | 1日:5,000円 半年:912,500円 |
通院 (1日目から60日目まで) | 1日:1,500円 60日:90,000円 | 1日:3,000円 60日:180,000円 |
保障額合計 | 796,250円 | 1,592,500円 |
参考:都民共済「特約コース」
県民共済の保険はこんな方におすすめ
県民共済のデメリットについて説明してきましたが、逆の側面から以下のようなメリットも見えてきたかと思います。
- 掛金が安い
- 年齢が上がっても掛金が変わらない
- コストパフォーマンスが良い
- バランスよく保障を確保できる
上記のようなメリットを享受できるのは、以下のような人達と言えるでしょう。
- 高額な死亡保障を必要としていない
- 家計が厳しいため掛金を抑えたい
- 民間保険にプラスして保障を手厚くしたい
それぞれについて、県民共済がおすすめな理由を説明していきます。
大きな死亡保障を重視しない方
県民共済は掛金が安く、全体的に保障額も少ないため、高額な死亡保障を必要としない人にはおすすめです。
例えば、最も人気のある「総合保障2型」では、月掛金2,000円で死亡保障額は400万円~1,000万円となっています。
また、死亡保障だけではなく、医療保障も備わっているため、様々なリスクに対して最低限の保障を確保できます。
民間保険では年齢が上がるとともに保険料も上がるのが一般的ですが、県民共済は年齢が上がっても掛金は一律なので、40代・50代でも加入しやすくなっています。
生活に余裕がなく安い保険に入りたいと考えている方
県民共済は民間保険と比較すると、掛け金がかなり安いため、経済的負担が少なくすみます。
例えば、掛金が一番安い「総合保障1型」は、65歳まで月掛金1,000円のまま保障が継続されます。
手頃な掛金で入院・通院・後遺障害・死亡保障等をバランスよくカバーしてくれるのもメリットです。
また、県民共済は営利を目的としていないため、決算で剰余金が生じた際は一定の率で計算された割戻金が組合員に還付されます。
そのため、実質の掛金はさらに安くなることがあります。
民間の保険と掛け持ちしようと考えている方
民間保険に加入していても、年齢・家族構成・職業・ライフプラン等の変化により、全体的にもう少し保障を厚くしたいと考える人もいるでしょう。
その場合、県民共済は手頃な掛金で医療保障から死亡保障までバランスよく保障を確保できるため、現在の保険に追加するには最適な選択肢となります。
また、契約は1年単位で更新するので、必要な時期だけ短期間加入するという方法も可能です。
40代・50代は必要保障額(万が一の時に遺族が安心して生活できる金額)のピークとなるので、民間保険に県民共済を上乗せする方法はおすすめです。
県民共済のデメリットのまとめ
県民共済のデメリットについて説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。
今回の記事のポイントは、
- 死亡保障が少ないので高額保障を得たい人にはデメリット
- 定期保険なので終身保障を得たい人にはデメリット
- 保障の種類が少なく、自由な組み合わせができないことはデメリット
- 交通事故による死亡保障は不慮の事故や病気によるものよりも高額
- ガンの入院・通院は特約コースで手厚くカバーできる
- 県民共済の掛金は安いため家計負担を少なくしたい人におすすめ
- 民間保険に県民共済を上乗せする方法もおすすめ