更新日:2020/06/10
育児休業給付金(育休手当)は延長可能!条件と手続き・トラブル回避を解説
育休中に受給できる育児休業給付金(育休手当)ですが、条件を満たせば延長することが可能です。その際、期間中に申請忘れをすると延長できないので注意しましょう。ここでは育児休業給付金を延長する条件や申請手続き・期限、延長できない等のトラブルを防ぐ方法も解説します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 育児休業給付金(育休手当)は受給期間を延長できるのか
- 育児休業給付金(育休手当)の受給期間を延長できる場合がある
- 条件に該当すれば1年6カ月に延長、2年に再延長できる
- パパ・ママ育休プラス制度を使えば1歳2カ月まで延長可能
- 育児休業給付金(育休手当)を延長するには申請手続きが必要
- 育児休業給付金(育休手当)の延長申請に必要な手続きと書類
- パパ・ママ育休プラス制度の申請に必要な手続き・書類
- 育児休業給付金(育休手当)の延長はいつからいつまでに申請が必要?
- 育児休業給付金(育休手当)は延長しても支給金額は変わらない
- 育児休業給付金(育休手当)の延長ができないトラブル例・注意点
- 育児休業給付金(育休手当)の延長について、こんな場合は特に注意!
- 育児休業給付金(育休手当)の不正受給とそれに対する国の対処
- 参考:コロナによる経済的な影響で育児休業給付金の延長は可能なのか
- まとめ:育児休業給付金(育休手当)は延長可能だが、申請忘れに注意!
目次
育児休業給付金(育休手当)は受給期間を延長できるのか
「育児休業給付金がもらえるのは知っているけど、延長できるんだっけ、、、?」
「育児休業給付金の延長手続きってどうするの?」
など、育児手当についていろいろな疑問を持っている方がいらっしゃると思います。
そもそも育休は赤ちゃんのお世話をするために、女性は産後休暇(出産の翌日から8週間)の翌日から、男性は子どもの出生日から取得できます。
その育休中に、子どもが1歳になるまでの間にハローワークから受け取れるお金が「育児休業給付金」です。
しかしその後、保育園を利用したいと思っても入所できないケースなど、働きたくても働けない親が増えています。
そういった方は、最長で子どもが2歳になるまで育児手当の延長が認められています。
育休手当の延長は種類によって、申請のタイミングや提出書類、期間が変わってきますので、くわしくご説明していきます。
育児休業給付金(育休手当)の受給期間を延長できる場合がある
育児休業給付金は条件を満たせば、受給期間を延長できます。
前述の通り、育児休業給付金とは育児休業中(子育てによって働けない期間)に国から給付されるものなので、育休期間のみに支払われます。
つまり、この「育休」そのものの期間の延長が認められれば、同時に育児休業給付金の受給期間を延長することができるのです。
育児休業給付金は、1歳の誕生日の前日までは追加手続きがなくても受け取れますが、必要書類を提出すれば、最大2歳まで延長することができます。
条件に該当すれば1年6カ月に延長、2年に再延長できる
育児休業給付金を延長するには下記のような条件があります。
- 育児休業の申し出に係る子が、保育所(認可保育園)の利用を希望し申し込んだが、その子が1歳6か月(または2歳)になる前に利用できない場合
- 育児休業の申出に係る子の養育を行っている配偶者であって、その子が1歳6か月(または2歳)に達する日後の期間、その子の養育を行う予定であった方が死亡、負傷、 疾病等に該当した場合
これらの条件に当てはまると、延長することが可能です。
しかし、手続きは該当する月にするのではなく、その前に手続きを行わなくてはいけません。たとえば、1歳6ヶ月まで延長したいとき、子どもが1歳のときまでに申請し、2歳まで延長したいときは子どもが1歳6ヶ月のときまでに再度申請を行うこと必要があります。
パパ・ママ育休プラス制度を使えば1歳2カ月まで延長可能
パパ・ママ育休プラス制度を使うと、特に厳しい条件なしで1歳2か月まで延長することができます。
パパ・ママ育休制度とは、両親ともに育休を取得すると育休をトータルで「子どもが1歳2か月になるまで」に延長できる制度です。
育休の期間は、女性は産休の8週間後の10ヶ月間取得でき、男性も最長1年間取得することができます。
この制度を利用するには以下の条件に当てはまっている必要があります。
- ママが、子どもが1歳になるまでの間に育休を取得している
- パパの育休開始予定日が、子どもの1歳の誕生日以前である
- パパの育休開始予定日が、ママの育児休業の初日以降である (事実婚の場合も可能)
またパパ休暇を利用すると、パパはママの産休中とその後の2回にわけて育休を取ることができます。
この制度を利用することで、
- パパとママが同時に育児をする
- パパとママが交互に育児をして分担する
- 専業主婦のママをパパが手助けする
といったことが可能になります。
昔はママが専業主婦の場合、パパは育児休暇を取れなかったので、この制度によってママが専業主婦の場合でも一緒に育児をすることが可能になりました。
育児休業給付金(育休手当)を延長するには申請手続きが必要
育児休業給付金を延長するにはハローワークに申請手続きをする必要があります。
1歳になるまでの手当には新たな申請はいりませんが、
- パパ・ママ育休プラスを申請する場合
- 1歳6か月まで育児休業給付金を延長する場合
- 2歳で育児休業給付金を延長する場合
には、その都度申請が必要となります。
そこで注意しなくてはいけないのは、”育休を延長する書類”と、”その育休期間に発生する育休手当を受け取る書類”は異なることです。それぞれ必要な書類をあらかじめ把握しておくことをオススメします。
育児休業給付金(育休手当)の延長申請に必要な手続きと書類
前述の通り”育休を延長する書類”と、”その育休期間に発生する育休手当を受け取る書類”は異なります。それぞれ必要になる手続きと書類をご説明します。
育休期間の延長に必要な書類
- 育児休業申出書
- 育児休業申出書をもとに勤務先が作成する育児休業等取得者申出書
こちらを会社がハローワークに提出します。
育休手当に必要な書類
- 育児休業給付金支給申請
- 2カ月分の賃金台帳
- 出勤簿またはタイムカード
- 「育児休業」の延長が必要だという事実を証明する書類(幼稚園の入所不承諾書など)
そもそも延長に関係なく、育休期間中は2月か月に1回育児休業給付金支給申請書をハローワークに提出する必要があります。
これらの書類を2ヶ月に1回会社に提出してください。
これに加え、延長の際には延長が必要だという証明書(入所の不承諾通知など)を会社に提出し、会社がハローワークに申請することで手続きを完了することができます。
パパ・ママ育休プラス制度の申請に必要な手続き・書類
育児休業給付金(育休手当)の延長はいつからいつまでに申請が必要?
育休を延長したい場合は、それぞれ申請するものによって期限が異なりますので注意してください。
事情により1歳6ヶ月まで延長する場合は、「子どもの1歳の誕生日から見て2週間前まで」に申請すると良いでしょう。同様に、2歳まで延長する場合には、「1歳6ヶ月に達する2週間前」には申請すると良いです。
パパ・ママ育休プラスの場合は、申請期限は休業開始の1か月前までに会社に申請する必要があります。
書類はきほん勤務先がハローワークに提出するので、万がいち書類の不備などがあった際のためにも、はやめの行動を心がけると良いでしょう。
育児休業給付金(育休手当)は延長しても支給金額は変わらない
育児休業給付金は延長に関係なく、2か月ごとにきっちりと支給額が定められています。
育児休業開始から6か月は直近の6か月の平均額の67%、それ以降は50%と言われています。つまり、延長した後は50%の支給となります。また、育休手当を受け取れるのは、申請してから3ヶ月後となるので注意が必要です。
育児休業給付金の計算方法は以下のように定められています。
- 休業開始時賃金日額×支給日数(通常30日)の67%(育休取得から6か月以内
- 休業開始時賃金日額×支給日数の50%(育休取得から6ヶ月以降)
計算式にある「賃金日額」とは、勤務先がハローワークに提出する「休業開始時賃金月額証明書(票)」によって、原則育児休業開始前の6カ月の賃金を180で割った額です。
支給額には上限と下限があり、上限は44万9700円の67%(50%)の30万1299円(22万4850円)、下限は下限は「7万4400円の67%(50%)の4万9848円(3万7200円)」と決められています。
育児休業給付金(育休手当)の延長ができないトラブル例・注意点
じつは育児休業給付金延長の際に、以下のようなトラブルが多発しています。
- 休業期間終了日をきちんと決めていなかった
- 復帰条件に関する認識の相違
- 育児休業給付の期間延長に必要な手続きをしていなかった
育児休業給付金(育休手当)の延長について、こんな場合は特に注意!
育児休業給付金の延長には注意が必要なケースがあります。事例を用いてご説明します。
子どもが1日生まれのケース
育児休業給付金(育休手当)の不正受給とそれに対する国の対処
昨今では育休手当の延長目的で裏ワザを使い、条件をかいくぐり、育休手当を受け取るケースが増えています。
例えば、
- 落選狙いでわざと倍率の高保育園に応募
- 幼稚園の内定を辞退する
- 産休・育休をとっても復職しない
- 産休や育休手当を多くもらえるように妊娠中に残業する(産休前の6か月間の給与に基づいて手当が支払われるため)
という裏ワザを使うケースが増えています。
そういったケースが多発しているため、本当に幼稚園を利用したい人が利用できなくなったり、会社も復帰の前提でいたので仕事が回らなくなるなど、こういった裏ワザは周囲にたくさんの迷惑をかけてしまいます。
そういったケースに対し国は、
- 育児休業給付金の全額返還
- 雇用継続給付、基本手当等を受ける権利を剥奪
- 最高、全額返還と2倍の金額を納付
参考:コロナによる経済的な影響で育児休業給付金の延長は可能なのか
コロナによって保育園に行けない場合、育児休業給付金の延長が可能です。
厚生労働省は、〈子どもが1歳までの場合>
現在育児休業中であれば、事由を問わず、育児休業の終了予定日の繰下げ変更(最長1歳まで)を申し出ることができます〉としています。
(引用 厚生労働省)
その際には、原則1か月前までに申し出る必要があります。
またいま育児休業中であれば、市町村からの自粛要請がない場合でも、感染防止のため自主的に子どもを保育園に預けない場合でも、育児手当を延長することができます。
現在このような例外の対応もあるので、うまく制度を利用しながら負担を減らしましょう。
まとめ:育児休業給付金(育休手当)は延長可能だが、申請忘れに注意!
本記事では育児休業給付金の延長について解説致しました。いかがでしたか?
今回のポイントは、
- 育児休業給付金は条件を満たせば、最大2年まで延長可能
- パパ・ママ育休プラスを利用すれば、特別な理由がなくても1歳2ヶ月まで育休を延長できる
- 育休手当延長の際の手続きについて
- 育休手当延長の手続きの際のトラブル事例と注意点
- 育児休業給付金の不正受給と国の措置