老後一人暮らしの生活費は最低いくら?ゆとりある老後から平均まで解説

老後一人暮らしの生活費はいくらか気になりますよね。早めに意識すればそれだけ資金準備も楽になります。ここでは老後一人暮らしの生活費はいくらか、最新データから内訳や平均費用を解説し、場合別でシュミレーションします。更に年金では足りない人のために貯蓄方法も解説します。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

老後の一人暮らし、生活費は平均いくらかかるのか


高齢社会となった現代、多くの高齢者が一人暮らしをしています。


一人暮らしの老後の場合、「生活費って一体いくらくらいかかるの?」「年金ってどのくらいもらえるの?」など、様々な疑問が出てきます。


平均寿命は年々伸びており、それに伴って老後の期間も長くなっています。


一人暮らしの老後でも安心して生活を送るためには、一体どのくらいのお金が必要なのでしょうか。


そこで、この記事では「一人暮らしの老後」にスポットを当て、

  • 老後の生活費 
  • 受け取れる年金の平均
  • 最低いくらあればいいのかをシュミレーション
  • ゆとりある老後生活を送るにかかる生活費
  • 女性の老後にかかる生活費
  • 年金が足りない場合の貯蓄方法

の順について解説していきます。


老後にかかる生活費だけでなく、年金についても詳しくご紹介していきますので、ぜひ最後までご覧ください。

老後の一人暮らしでかかる生活費は平均14万円以上!

老後の一人暮らしで無職の場合、生活費の月額平均はおよそ15万円です。


もちろん、体の健康の状態や、家が持ち家か賃貸かなどによって必要な生活費は人それぞれ異なります。


高齢者の場合、持ち家率は高いですが、老後も賃貸住まいで生活される人も多くいます。


老後も賃貸住まいの予定であれば、月額平均額にプラスで3~5万円は見積もっていた方が良いでしょう。


また、一人暮らしの生活費の月額平均額には、急な病気や怪我のための治療費や、介護の費用はほとんど含まれていませんので注意が必要です。


急な医療費の出費や介護費用のために、ある程度貯蓄をしておくと安心です。

老後の一人暮らし生活費の内訳

高齢単身無職世帯の生活費の内訳は、「総務省家計調査報告 2019年(令和元年)平均結果」によると、
消費項目月平均額
食費35,883円 
住居費12,916円
高熱水道費13,055円
家具・家事用品5,681円
被服及び履物3,659円
保健・医療8,445円
交通・通信13,117円
教育47円
教養・娯楽16,547円 
諸雑費などその他30,389円 
税金・社会保険料12,061円
合計151,800円

のようになります。


高齢単身無職世帯とは、60歳以上の一人暮らしで無職の世帯のことです。


高齢者の一人暮らしでは、1ヶ月で平均151,800円必要となります。


1ヶ月の平均で一番出費が多いのは、食費になります。


このように一覧で表すと、何にどのくらいの費用がかかってくるのかがよくわかります。

独身一人暮らしの場合、年金は平均いくらもらえるのか

一人暮らしの場合、年金の平均受給額は以下のようになっています。

厚生年金
平均支給額
全体147,051円
男性165,668円
女性103,026円


国民年金平均支給額
厚生年金の受給権がない人 
55,615円
(40年間満額支払いの場合、支給額64,941円)

日本の公的年金は、国民年金厚生年金があります。


国民年金は、すべての人が20~60歳まで保険料を収めます。


厚生年金は、会社の給料から保険料が自動的に引かれて支払っており、半分は企業が支払ってくれます。


なので、自営業の場合は「国民年金」のみ、サラリーマンや公務員の場合は、「国民年金」+「厚生年金」となります。


また、上記の厚生年金の平均支給額は、国民年金と厚生年金を合算した値となっています。

老後一人暮らし、最低いくらで生活できるのか生活費を計算してみよう

老後の一人暮らしのは、1ヶ月最低183,500円程度あれば生活できます。


具体的に1ヶ月に必要な生活費を、老後の生活費(一人暮らし) 計算シミュレーションで計算しました。


家賃は、およそ7万円とします。

今回は賃貸の場合ですが、持ち家やローンがない人は0円になります。


水道・光熱費はおよそ1.3万円です。

老後は家にいることが増え、若干高くなります。


食費は、およそ3.6万円です。

食費は現在かかっている食費と同じくらいに考えましょう。


通信費はおよそ1.3万円です。

高齢者もスマホを持つ方が増えていますので、スマホ+ネット代で見ておきます。


被服費は購入する機会も減りますが、買い替えなども考えておよそ4,000円です。


生活日用品は毎月ではありませんが定期的に購入するので、およそ3,000円見ておきます。


医療費は、65歳以上でおよそ8,500円です。


教養娯楽費はおよそ1.7万円です。老後は時間もあるので、趣味などにかけるお金が増えやすいです。


交際費はおよそ1.9万円です。

冠婚葬祭が定期的に入るようになるため、意外と高くつきます。


これは、あくまでも平均的な金額で計算したものなので、削れるところは削ってみるなど自分のライフスタイルに合わせて、最低限必要な生活費を計算してみてください。

必要な老後資金を考える際は平均寿命も考慮しよう

老後に必要な資金を計算するためには、

  • 平均余命
  • 生活費はいくらかかるのか
  • 受け取れる年金の金額

を知る必要があります。


平均余命とは、ある年齢の方が平均してあと何年、生きることが出来るのかを表すものです。


男性は65歳から約20年間女性は65歳から約25年間生きるといわれています。

生きる期間が長くなればなるほど、老後に必要な金額も大きくなります。


女性の方が男性よりも長生きなので、老後資金も女性の方がより多く必要になります。

シュミレーション|ゆとりある老後一人暮らしにかかる生活費はいくら?


ゆとりある老後を送るためには、一人暮らしの場合、毎月最低限必要な生活費+ゆとり資金としておよそ3万円必要になります。


ゆとり資金の使い道は、「食生活」が最も多く、次いで「レジャー・余暇生活」となっています。


しかし、70歳以上になると、使い道は同じでも「食生活」の割合がさらに多くなり、「レジャー・余暇生活」の割合は減少してきます。

これは、年を重ねるごとに行動範囲が徐々に狭くなってくるのが原因です。


老後は自由に使える時間が増えるため、趣味や習い事をする時間も増えやすいです。

旅行以外にも、趣味や習い事にもお金がかかるようになってきます。


習い事が月1万程度とし、年間でおよそ12万円になります。


海外旅行・国内旅行は年1回ずつ行くと仮定し、海外旅行がおよそ16万円、国内旅行がおよそ3万円ほどかかります。


したがって、年間ではおよそ31万円になり、食生活もゆとり資金から上乗せすると考えると、1ヶ月でおよそ3万円ほどのゆとり資金が必要になると考えられます。

資金がなくてもゆとりある老後生活を送りたい人はどうすればいいか

資金に余裕がなくても、ゆとりある老後生活を送りたい人は、所有している不動産の整理・処分・活用方法を考えましょう。


持ち家の人も、高齢になると階段の上り下りが大変になったり、スペースを持て余していたりなど、様々な問題が出てきます。


なので、老後になるともう少しコンパクトな家に住み替えたいという方も多いです。


老後に住み替えを希望する方や、介護施設への入居を考えている方は、持ち家の売却や賃貸活用がおすすめです。


売却を行う場合は大きな収入になりますし、賃貸活用をする場合は家賃収入が得られます。


不動産には相続問題もありますので、ご家族のためにも早めに対策をしておきましょう。


他にも、この後に解説する老後資金の貯蓄方法もぜひ参考にしてください。

シュミレーション|女性の老後一人暮らしにかかる生活費はいくら?

無職の女性の一人暮らしの場合、老後にかかる費用は総額でおよそ4500万です。


老後の一人暮らしで無職の場合、生活費の月額平均はおよそ15万円なので、15万円×12ヶ月=年間180万円になります。


そして、女性は65歳から約25年間生きるといわれていますので、年間180万円×25年=4500万円になります。


年間で老後の生活費として貯金しておきたい金額は (老後の生活費-老後の収入)×12ヶ月で計算すると、

  • 厚生年金の場合、(15万円-103,026円)×12ヶ月=563,688円
  • 国民年金の場合、(15万円-55,615円)×12ヶ月=1,132,620円

となります。


女性の場合は男性に比べて、平均余命が5年ほど長く、受け取れる厚生年金の平均額は6万円以上低いので、老後の負担はさらに大きくなります。


また、女性には女性特有の病気のリスクもあります。


万が一病気になってしまった場合は、医療費でさらに負担が増えてしまいます。

一人暮らしで年金が足りない場合、今から老後の生活費を貯蓄しよう


「年金だけでは老後の生活費が足りない」ということにならないよう、今のうちから老後のために貯蓄をしておきましょう。

貯蓄をする際に参考になるよう、
  • 年金の任意加入や受給の繰り下げ
  • 個人年金保険に加入
  • お金のプロ、FPに相談
について、詳しく解説していきます。

安心して老後を迎えるためにも、対策は早めにしておくのがおすすめです。

公的年金の任意加入・受給繰り下げ

受け取れる年金を少しでも増やしたい場合は、公的年金の任意加入ができます。


国民年金の場合、60歳までに受給資格期間を満たしていなかったり、保険料納付済期間が480ヶ月に満たず満額がもらえない人は、60歳以上でも480ヶ月を上限に、加入し続けることができます。


厚生年金の場合は、高齢任意加入ができます。

高齢任意加入とは、受給資格期間を満たしていない人が70歳を超えても加入し続けられる制度のことです。


ちなみに、受給資格期間とは、年金の受給資格を得るために必要な加入期間のことで、基本10年間です。


また、年金は受給の繰り下げも可能ですが、早く受け取る分、減額になりますので注意しましょう。


年金は65歳から受け取れますが、最大60歳まで1ヶ月単位で繰り下げることができ、1ヶ月につき0.5%の減額になります。

個人年金保険に加入してゆとりある老後生活を

老後にゆとりある生活をするために、個人年金保険に加入しておくのもいいでしょう。


個人年金保険とは、年金とは別に上乗せで給付を保障する私的年金のことです。


個人年金保険は、支払った金額に応じて生命保険料控除の対象にもなり、医療保険などに加入していても別枠で個人年金保険料控除が受けられます。


さらに、保険料を口座振替もできるため、確実に貯蓄ができます。

「口座にお金があると、ついつい使ってしまう」という方は口座振替にしておきましょう。


しかし、途中で解約すると、支払った額よりも少ない額しか返ってこない可能性が高いため注意しましょう。

不安な場合はお金のプロ(FP)に相談してはやめに対策を打とう

不安な場合は一人で悩まず、お金の専門家であるFPに相談してみましょう。

FP(ファイナンシャル・プランナー)とは、暮らしとお金に関する様々な専門知識を持った資産形成・家計見直しのプロフェッショナルです。

FPに相談することで、将来受け取れる年金の受給額をシミュレーションしてくれたり、問題があれば解決するヒントや具体的なアドバイスを得ることができます。

対策は早めにしておく方が安心なので、ぜひ一度相談してみてください。

まとめ:老後一人暮らしの生活費をしっかり把握して準備しておこう

この記事では、「老後の一人暮らしに必要な生活費」について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。


この記事のポイントは、

  • 生活費の月額平均はおよそ15万円
  • 年金受給額の平均は、厚生年金で男性165,668円・女性103,026円、国民年金で55,615円
  • 自分のライフスタイルに合わせて生活費をシュミレーションしよう
  • ゆとりある老後生活を送るには、毎月最低限の生活費+およそ3万円必要
  • 女性は、男性に比べて平均余命が長く受給額も低いので、老後の負担は大きくなりやすい
  • 年金が足りない場合の対処法

でした。


一人暮らしの老後が不安という方は、「老後の収入」と「今の貯蓄」で「老後の支出」がまかなっていけるのかを一度シュミレーションしてみてください。


安心して楽しい老後を送るため、今のうちから早めに対策していきましょう。

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