50代の平均・理想の貯金額はいくら?まだ間に合う老後に向けた貯金方法

50代からは老後に向けた貯金を意識していきたいですよね。それでは、50代の平均貯金額はいくらなのでしょうか?50代で貯金なし・借金ありの場合でもまだ間に合うのでしょうか?ここでは、50代の平均貯金額や理想の貯金額、50代からでも間に合う貯金方法について解説します。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

50代の貯金、いくらが理想?貯金ゼロの場合はどうする?

50代になると子育てもひと段落つき、もうすぐ迎える老後の生活について考え始める方も多いでしょう。


老後を迎えるにあたって、一時期話題になった金融庁の公的年金以外に2,000万円を必要とする試算を考えると、不安になった方もいらっしゃると思います。


収入が年金のみになり、老後の生活費がいくらくらいかかるのか、カバーできるくらいの貯金額はいくらなのか、貯金が全然ない場合はどうしたら良いのかなど、次から次に悩みが出てくるでしょう。


今回の記事では、次の5点について解説していきます。

  • 50代の平均貯金額・中央値はいくらなのか
  • 老後に向けて用意しておきたい理想の貯金額はいくらなのか
  • 公的年金なども考慮して目標金額を設定する
  • 50代からの貯金のためにできること
  • 貯金ゼロ・借金ありの人に共通する特徴

ぜひこの記事を読んで、老後に必要な生活費や貯金について考えていただけると幸いです。

50代の平均貯金額・中央値はいくらなのか

貯金は多ければ多いほど安心しますが、一時期ニュースでも老後資金2,000万円問題が話題になり、老後に向けた貯金をしている50代の方は不安になったと思います。


今から貯金しようと決めた方は、そもそも50代の貯金額が平均でいくらになるのか気になると思います。


そこで、50代の平均貯金額や中央値がいくらになるのかについて解説していきます。

50代夫婦の平均貯金額・中央値

まず、50代夫婦の平均貯金額とその中央値について解説していきます。



金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯調査)令和元年調査結果」によると、50代夫婦の平均貯金額は1,574万円とのことです。


「平均」というと、おおよその50代の夫婦が約1,500万円の貯金があると焦る方がいらっしゃると思いますが、高額資産を保有している夫婦が少ない割合でいらっしゃると平均値はぐんと上がります。


そのため平均でなく、値の大きい順に並べたときの中央にくる値である中央値を参考に貯金について考えてみると良いでしょう。



同調査にて50代の夫婦の貯金額の中央値は1,000万円であるとの結果が出ています。


50代は子育てが終わり、ご自身の老後に向けて貯金を始めたりどう過ごしたりするか考え始める年代になりますが、教育ローンや住宅ローンの返済に支出が多くなったり、親の介護が必要になり、実家への帰省の交通費が多くなったりします。


このような状況になると老後のためにもっと貯金をしようと思っていても、なかなかできないという方も多いのではないのでしょうか。


50代独身男性・独身女性の平均貯金額・中央値

次に50代独身男性と独身女性の平均貯金額とその中央値について解説していきます。



まず50代単身世帯の平均貯金額についてです。

50代単身世帯の平均貯金額は1,496万円、中央値は420万円と金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(単身世帯調査)令和元年調査結果」で公表されています。



次に男女別で見てみます。

  • 50代独身男性:1,482万円
  • 50代独身女性:1,383万円

参考:総務省統計局「平成26年全国消費実態調査」

※この調査は5年ごとに行われており、令和元年の調査結果は令和2年11月以降公開予定



男性の方が貯金額が上回っている理由として2点挙げてみます。

  • 管理職に就き、収入が増えた
  • 証券や投資信託などの金融資産の保有率が高く、資産管理の意識の高い人が多い

また、女性の方が貯金額が下回っている理由として、男性と比べて管理職登用率が低く、収入に格差があるためとされています。

50代が老後に向けて用意しておきたい理想の貯金額はいくらなのか

ここまでで、50代の貯蓄額の現状がわかったと思いますが、では老後に向けていくら貯金したらいいか気になると思います。




理想の貯金額の計算方法として、老後1ヶ月あたりの希望生活費×12ヶ月×20年(年金の支給が始まる65歳〜寿命85歳と仮定した場合)で計算することができます。


また、65歳から支給される年金や会社の退職金もあるため、20年分の受給予定の年金額を先ほどの計算で算出された貯金額から差し引くと、生活費の不足分がわかりどのくらいの貯金が必要かわかります。


しかし、先ほども少し触れましたが貯金するにあたり、50代の今住宅ローンや教育ローンの返済や親の介護費用も必要になるため、その費用も含めて考えると良いでしょう。

参考:老後の生活費は平均いくらかかるのかシミュレーション

先ほど理想の貯金額の計算方法をご紹介しましたが、ここで老後の生活費が平均いくらかかるのかシミュレーションしてみたいと思います。


総務省の「2018年家計調査報告」によると、2名以上(世帯主60歳以上)の高齢無職世帯の1ヶ月の生活費平均額は23万9,934円になり、また75歳以上になると21万9,742円との結果が出ています。



年金生活になると生活費による支出が減っていく傾向にあることがこの報告でわかります。


また、生活費の中で重要な3つの項目の1ヶ月平均を調べたところ、

  • 食費:65,319円
  • 住宅費:13,625円
  • 光熱・水道費:19,905円

これに加えて、医療費や交通費などが加わるため、一度老後の生活をどのように過ごすか考えて、シミュレーションしてみると良いでしょう。

50代からの貯金は公的年金なども考慮して目標金額を決めよう

老後にどのくらいの生活費がかかるのかイメージできたと思います。ではご自身の家庭ではいくらくらい必要で、どのくらい貯金したらいいか目標金額を設定してみましょう。


老後の生活は貯金だけでなく公的年金などの収入もあるため、それも考慮して目標金額を決めると良いでしょう。



先ほどの家計調査によると、年金収入の平均は20万3,824円で、実際に生活に使えるお金(可処分所得)は19万3,743円となります。


同調査の1ヶ月の生活費平均額が23万9,934円であるため、この金額から可処分所得を差し引くと、4万6,191円が足りない分となり、貯金で補うことになります。


85歳を寿命としたときに、年金が支給される65歳から20年間で必要な貯金額が約1,120万円になることがわかります。

公的年金の金額を確認しておこう

先ほどはあくまで年金の平均額で貯金額をシミュレーションしてみましたが、実際に公的年金がどのくらいもらえるのか確認してみると良いでしょう。



年間の国民年金受給額は保険料の納付月数で決まります。実際に次の計算式でシミュレーションしてみましょう。

ただし、例えば保険料の免除された期間があると計算の仕方が変わります。


受給額=約78万円(最高額)×納付月数÷480

※480:国民年金の納付できる期間が20歳〜60歳の40年つまり480ヶ月



また、毎年誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」というハガキで年金見込み額を確認することができるので、ハガキが届いたら確認し老後の貯金目標額を設定するのも一つの方法です。

まだ間に合う!50代からの貯金のためにできることとは

ここまで老後に必要な生活費等の金額がわかり、目標金額を設定して貯金を始めようと決心された方もいらっしゃると思います。


しかし、ただ毎月積立するだけでなく、具体的にどのようなことをすればいいか悩む方もいるでしょう。


そこで、50代からの貯金のためにできることはどのようなことがあるか、2つの例を挙げて解説していきます。

固定費など家計見直しで支出を減らす

まず1つ目は固定費など家計の見直しをして支出を減らすことです。支出を減らすと言っても何を減らしたらいいのか考える方が多いと思います。


では具体的に何をどのように減らしていくのか解説していきます。


1つ目は住宅ローンの繰り上げ返済を行うことです。

住宅ローンは毎月の支払い以外にお金に余裕があるときは一部残高の支払いに充てることができ、ローン残高を減らすことができます。


住宅ローンの繰り上げ返済を行うことで返済期間を短くできるだけでなく、払い続ける予定だった利息が減るというメリットがあります。



2つ目は車を所有されている方は車の維持費を見直すことです。

最近ではレンタカーだけでなく、カーシェアも利用が増えてきています。車を使う頻度も含めて、ガソリン代や車検代などの維持費とカーシェアなどの利用料を比較し、車を所有したままにするのかどうか考えてみると良いでしょう。


つみたてNISAや個人型確定拠出年金(iDeCo)を利用する

最後に2つ目はつみたてNISAや個人型確定拠出年金(iDeco)を利用することです。

この2つにどのような特徴があるのか解説していきます。


まず、つみたてNISAについてです。

毎月100円から積み立てることができ、年間40万円まで積立枠があり、2037年まで投資できる投資商品です。


つみたてNISAのメリットとして、運用利益が最大20年間非課税になることや口座開設手数料・口座管理手数料がかからないことです。


デメリットはNISAとの併用や積立枠を翌年に繰り越すことができないこと、非課税期間が終わった後のつみたてNISAの講座は課税口座に移管されることがあります。



また個人型確定拠出年金、いわゆるiDecoについてです。

毎月5,000円から掛けることができ、掛け金が全額所得税控除の対象になり、運用益も全額非課税になります。


一見メリットの多い商品に見えますが、気をつけなければいけない点もあります。年間1回は掛け金を変更することができますが、加入区分によって掛け金の上限に違いがあり、公務員は12,000円まで、会社員と主婦は23,000円、自営業は68,000円となります。


また、加入時手数料や口座管理手数料がかかり、加入期間が60歳までのため積立期間が短くなることです。

【要注意】50代で貯金ゼロ・借金ありの人に共通する特徴とは

ここで気をつけなければならないのが、50代で貯金が全くない方や借金がある方です。両方に共通する特徴について解説していきます。


貯金ゼロ・借金がある方の共通する特徴として、以下4点があります。

  • 消費や浪費が優先で、かつお金を使うことが好き
  • どの項目であろうと同じくらいお金をかけてしまい、メリハリがない
  • 冠婚葬祭や病気などの急な出費に対する準備をしていない
  • 資産形成について学ばない


この4点は全然関連が内容に見えますが、計画性がなく貯金や投資に対しても知識がないといった印象があります。


そのため、なかなか貯金をすることができなかったり、収入だけでは足りず借金をして生活されていたりと老後の貯金するより前に、お金の使い方について学んだ方が良いと言えます。

貯金ゼロの方は投資の前に根本から意識改善を!

では、貯金がなかなかできない方はどうしたらいいのかについて解説します。


お金の使い方が上手でない方は50代になるとありがちなのが、子供や孫へ過剰な援助をしてしまったり、子育てがひと段落し趣味や娯楽にお金を費やしすぎてしまったりすることがあります。


そうならないために次の4つを行い、意識改善をしていきましょう。

  • 積立定期などを利用し、自動的に貯まる仕組みを作る
  • 老後の生活や将来設計を明確に立てる
  • 目標から逆算して資産形成をする
  • お金や資産形成について学び、実践する

50代からの貯金、不安や疑問がある場合はお金のプロに相談しよう

ここまでで積立定期や財形貯蓄以外での資産形成や貯金をするための意識改善についてお伝えしてきましたが、老後の生活のために貯金や投資をするにあたって不安や疑問を感じることがあると思います。


そのときにはぜひお金のプロに無料相してみましょう。


このほけんROOMでは、貯金や資産形成に関する記事などの情報を見ることができるだけでなく、お金のプロがいるため不安や疑問を相談することができます。

まとめ:50代は自分の家庭の理想額を決めてから貯金しよう

今回は50代の平均・中央値の貯金額や貯金の方法について解説しましたが、いかがだったでしょうか?


今回の記事のポイントは次の6点になります。

  • 50代夫婦の貯金中央値は1,000万円
  • 公的年金の収入も含め、老後に必要な貯金は約1,120万円
  • 固定費などで家計を見直し支出を減らす
  • つみたてNISAやiDecoなどの投資商品を利用してみる
  • 貯金ゼロや借金がある方は意識改善する
  • 悩みや相談があった場合はマネーキャリア相談へ


やっと子育てがひと段落したこともあり、趣味などにお金を使いたくなる気持ちもわかりますが、計画性を持ってしっかりと老後の生活について考えてみることが大切です。



特に50代の方々はこの記事を参考に、老後に必要な生活費や貯金額、年金額について考え、後悔のない老後のライフプランの計画を立てていただけると幸いです。

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