更新日:2020/06/14
年収は交通費(通勤手当)を含む?含める場合と含めない場合を紹介
「年収って交通費を含むの?」カードの審査や税金などの計算の際に一度は気になったことがあるでしょう。結論を言うと、含む場合と含まない場合があります。今回は、年収が交通費を含む場合と含まない場合を状況別にまとめて、紹介します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
年収は交通費(通勤手当)を含むのか?
今この記事をご覧のあなたは、年収と交通費の関係について調べておられることでしょう。
クレジットカードや住宅ローン審査を申し込む時には誰もが『年収』を記入しなければなりませんが、その時に「交通費を含めて良いのか?」という疑問を抱く方は少なくありません。
特に親元にいながら学生の立場でアルバイト・パートをしておられる方は、年収を103万円に抑えようとする時に交通費が含まれてしまうと困る、という方がおられるでしょう。
そこで今回の記事では、
- 年収計算時に交通費を含むのはどのような場合?
- 年収計算時に交通費を含まない場合はどのような場合?
- 交通費が支給されることにはどのようなデメリットがある?
以上の点を取り上げていきます。
この記事をご覧いただければ、年収と交通費の関係性についてご理解いただけると思います。
ぜひ最後までご覧ください。
計算の際に年収が交通費を含む場合
まずは、「年収」についての言葉の定義について再確認してみましょう。
一般的に言う「年収」とは、個人の1年間における収入の総合計のことであり、これは差し引かれる税金なども全て含めた「総収入」のことを指します。
よく誤解されるのは「残業代や賞与(ボーナス)が含まれない」とか「手取りのみ年収にカウント」と言われますが、多くの場合そうではありません。
そしてこの「総収入」には「交通費」も含まれているため、当然ながら年収の中にも交通費がカウントできるように思えます。
しかし、申告する年収に交通費を含められるかどうかは、場合によって異なります。
基本的には源泉徴収票の支払金額の額を見る
では、その「年収」はどのようにして知ることができるのでしょうか。
年収として扱われる金額の一つに、年末調整時に発行される「源泉徴収票」に「支払金額」として記載されているものがあります。
様々な場合に年収の申告を行う際は、基本的にこの源泉徴収票を申告先に収入証明として提出することになりますので、「支払金額」部分に記載されている年収が収入を得ていることの証明となります。
ただし、源泉徴収票に記載されている「支払金額」は「総収入」ではなく、交通費や税金が差し引かれた金額です。
クレジットカードを申し込む時などの年収を申告する際の年収額には、交通費や税金すべての金額が含まれた「総収入」が使用できます。
交通費を含む場合①:社会保険の被扶養者の計算
会社から給料をもらっている方が年収を計算するのは、クレジットカードを申し込む時だけではありません。
給与の総額であり交通費も含まれている「年収」は、社会保険の計算をする際にも重要となります。
社会保険の扶養控除制度においては「103万円の壁」や「130万円の壁」と呼ばれる基準があり、その金額を超えて収入を得てしまうと、払わなければならない社会保険料が増えてしまいます。
参考:年収103万円や130万円の壁について
実際の例で考えてみましょう。
例えば、現在親元にいながらアルバイト・パートをしている方などは、以下の条件を満たしていることにより、社会保険加入者の「扶養」に入ることができ、『扶養控除』の対象となります。
- 交通費を含めた一年間の総支給額が103万円以下
- ※配偶者であれば一年間の総支給額が150(130)万円以下
扶養控除とは保険料控除等と同様に、所得税及び住民税の控除が受けられる制度ですが、2018年に改正されて配偶者が受ける給料は月額で12万円程度まで増やせるようになりました。
注意点としては、括弧内に「130」という数字が記載されている通り、130万円を超えると扶養には入れますが社会保険料の負担が生じるという点を覚えておきましょう。
交通費を含む場合②:クレジットカードの審査や年金の計算
クレジットカードの申込時に必ず必要となる「年収」情報は、なぜ必要なのでしょうか。
それは、申込みを行っている本人(または保証人)に支払能力があるかどうかを調べるためです。
当然ながら、年収が高い人ほど(信用情報に傷がついていない限り)クレジットカードやカードローンの審査には通りやすくなります。
この場合誰もができるだけ年収を多く申告したいと思うはずですが、申込み時には以下の分の金額も「年収として」含めることができます。
- 住宅手当
- 定期的なボーナス
どちらも偶発的に発生したものではなく会社から支給されるお金ですから、申込み時の「年収」額に含めることができるのです。
もちろん、審査に通りたいからと言って年収を実際の金額よりも多く申告することは虚偽申告となりデメリットしかありませんので、絶対にやめましょう。
年収が交通費を含まない場合
ここまでは、主に交通費を年収に含めることができる場合について取り上げてきました。
しかし、全ての場合において年収に交通費を含められるわけではありません。
次からは、年収に交通費が含められない場合を取り上げていきます。
どのような用途においては、交通費を含められないのでしょうか。
交通費を含まない場合①:住宅ローンやふるさと納税
年収に交通費が含められないのは、以下の計算をするときです。
- 住宅ローン
- ふるさと納税
まず「住宅ローン」の審査を申し込む場合ですが、この場合は源泉徴収票の「支払金額」部分を記載することになりますので、そこに交通費は含まれていません。
次に「ふるさと納税」ですが、そもそもふるさと納税はお礼の品をもらうことが最大の目的ではなく、納税を行うことにより所得税や住民税の控除を受けられることが最大のメリットです。
また、ふるさと納税は納税を行う人の年収に比例して控除額も高くなります。
このふるさと納税の年収計算を行う際の年収は「総支給額」ではなく源泉徴収票に記載されている、交通費が含まれていない「支払金額」を用いることになります。
交通費を含まない場合②:転職や求人の際の申請年収
元に所属していた会社から転職する場合など、新しい求人に申し込む際に記載する履歴書には、交通費を含めることはできません。
転職の場合も源泉徴収票を提出することになりますが、履歴書に記載する年収額が源泉徴収票の「支払金額」と同一である必要があります。
そもそも企業側がなぜ申込者の年収を知りたいのかというと、今までどれだけ収入をもらっているかという要素が個人の能力(スキル)を表す一つの要素となるからです。
もちろん、全ての場合において【高収入=仕事ができる】という理論が当てはまるわけではありません。
しかし、転職先に採用してもらう側としては今までの年収が採用・不採用を決める一つの情報として企業側に用いられることを意識しておくことは大切です。
交通費(通勤手当)が支給されるのはデメリットもある?
個人が企業の良し悪しを判断する際に、「きちんと交通費が支給される」という要素を含めるのは間違ったことではありません。
むしろ、自宅から勤務地まである程度の距離があるにもかかわらず交通費が支給されない勤め先への就職は、注意深く決める必要があるでしょう。
しかし、これまで取り上げてきたように社会保険の計算を行う際に必要な「総収入」には交通費が含まれていますので、交通費をもらいすぎると逆に支払う税金が増えてしまう、というジレンマに陥る場合があります。
なぜなら、交通費は支給される金額が一定額に満たない場合は非課税対象となりますが、以下のような場合においては課税対象となってしまうからです。
- 公共交通機関を利用しており、支給額が15万円を超える場合
- 自家用車を利用しており、支給額が以下の上限額を超える場合
【マイカー・自転車通勤における非課税の上限額】
通勤距離 | 非課税の上限額 |
---|---|
片道2Km未満 | 全額課税対象 |
2Km以上10Km未満 | 4,200円 |
10Km以上15Km未満 | 7,100円 |
15Km以上25Km未満 | 12,900円 |
25Km以上35Km未満 | 18,700円 |
35Km以上45Km未満 | 24,400円 |
45Km以上55Km未満 | 28,000円 |
55Km以上 | 31,600円 |
このように、支払う税金のことを考えると交通費は多ければ多いほど良いとは一概には言えません。
また、加えて以下の種類の支給においても、非課税ではなく課税対象となります。
- 残業手当
- 休日出勤手当
- 住宅手当
住宅手当も社宅手当として支給されない限り、課税対象となる点には注意が必要です。
参考:企業を選ぶ際に参考にすべき福利厚生
皆さんは、働く会社(企業)を選ぶときには、どのような点を重要視されているでしょうか。
もちろん「働きやすい」「上司が優しい」「休暇が取りやすい」という要素は非常に大切な点ですが、受け取れる給与における福利厚生のことも重要視する必要があります。
まず、会社が支給する福利厚生には、主に以下の2種類があります。
- 法定福利:法的に支給することが義務付けられているもの
- 法定外福利:社員のために任意に会社が支給する福利厚生
法定福利には「健康保険」「厚生年金」「労災・雇用保険」が含まれており、これは会社が支払わなければならないものですが、重要なのは法定外福利の部分です。
【法定外福利に含まれるもの】
- 住宅手当
- 医療・検査費(人間ドック等)の負担
- 結婚・出産時の祝い金
無料で提供される社食 - セミナー等への参加費用
今回取り上げた住宅手当もこの法定外福利に含まれていますが、こういった法的に支給することが定められていない部分の福利厚生が充実している会社を優先的に選ぶことができるかもしれません。
福利厚生が充実している会社に勤めるためには、社員として相応のスキルが求められる場合もあります。
しかし現在では、社員の能力にかかわらず福利厚生を充実させることにより、従業員満足度(ES)や従業員幸福度(EH)を積極的に向上させていこうという動きが大きくなっています。
ESやEHが高い企業は、比例して業績も伸びやすいという統計もあります。
もしあなたがこれから転職を考えておられるなら、本当の意味で「働きやすい」職場を選ぶことができるように福利厚生を重要視した選択眼を発揮することが大切だと言えるでしょう。
まとめ:年収が交通費を含むかどうか
今回は、「年収」と「交通費」をテーマに様々な点を取り上げてきましたが、いかがでしたでしょうか。
今回の記事におけるポイントは、
- 年収に交通費を含める:社会保険、クレジットカード申込時など
- 年収に交通費を含めない:住宅ローン申込時や履歴書の申告時など
- 通勤手当が増えて一定額を超えると非課税対象から外れる場合がある
以上の点です。
今では世界中で働き方改革が進み、誰もが異なった働き方で収入を得ることができるようになりました。
しかしどれだけ多くの給料をもらっても、依然として国に対して一定の税金を納める義務は無くなりません。
納税における交通費の関係性を今理解しておくなら、将来を考えて今の場所に住み続けるか、または会社に近い場所に居住するか、それらの選択が容易になることでしょう。
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