事実婚の妻は扶養に入れる?手続き方法や必要書類も知っておきたい!

近年、様々な形の夫婦形態をとる方が増えています。入籍をしない事実婚もその1つですが、事実婚の内縁の妻が夫の扶養に入れるのか知っていますか。ここでは事実婚の妻が夫の扶養に入れるのか、入るために必要な要件やメリット・デメリット、必要書類などについて解説します。

事実婚の妻は扶養に入ることができる?

近年、様々な夫婦形態をとる方々が増加しており、入籍をしない事実婚もその1つといえます。

法律上の夫婦とは認められなくても、お互いを尊重し、ずっと親密な関係が継続していけるなら幸福な夫婦生活といえますよね。

一方、社会保険制度に関しては事実婚のご夫婦であっても、法律上婚姻した夫婦と同様に保障が受けられることはご存じだったでしょうか。ご自分や子が事実上の夫(被保険者)の扶養に入ることができれば、いろいろとメリットがあります。

そこで今回は、「事実婚の妻が社会保険上の扶養に入るための方法」について

  • 事実婚の妻が社会保険上の扶養に入るために必要な要件等
  • 社会保険上の扶養(健康保険上の扶養)にはいるメリット・デメリットについて
  • 子供の扶養の扱いにも注意しなければいけない

以上のことを中心に解説していきます。 

この記事を読んでいただければ、事実婚の妻が社会保険上の扶養に入るための条件や手続き、扶養に入る際の注意点を知ることに役立つと思います。 

ぜひ最後までご覧ください。


事実婚の妻は社会保険上の扶養には入れるが税法上は扶養手当を受けられない

事実婚の妻に対しては、社会保険制度上の扶養措置や、税法上の制度である「配偶者控除」および「配偶者特別控除」について、扶養を受けられる場合と、受けられない場合が存在します。

以下ではこの公的な扶養が受けられる場合と、受けられない場合とについて解説します。

事実婚の妻が社会保険上の扶養に入るために必要な要件と必要書類

事実婚の妻が社会保険上の扶養に入るための要件と必要書類は次の通りです。

扶養に入るための要件


事実婚の妻が社会保険上の扶養に入るためには次の要件が必要です。

  • 主たる収入を得ている人(事実婚でいえば事実上の夫)により生計が維持されている
  • 事実上の妻の年収が、事実上の夫の年収の半分以下であること
  • 事実上の妻の見込み年収額が130万円未満

なお、主たる収入を得ている人が妻で、扶養される側が夫でも要件は同じです。

扶養に入るための必要書類


事実婚の妻が社会保険上の扶養に入るためには次の必要書類を用意します。提出先の保険者(健康保険組合)によっては、追加の書類を要求される場合があります。

○共通の必要書類

  • 被扶養者移動届:扶養者の勤務先から取得します。
  • 扶養者認定対象者現況届:扶養者の勤務先から取得します。
  • 住民票:世帯全員が記載されている書類が必要です。
  • 戸籍謄本(抄本):事実婚の夫婦の双方または片方に、法律上の配偶者がいないか確認するために必要です。

○1年以内に退職した場合

1年以内に退職した妻で、被扶養者となる場合に用意する書類は次の通りです。

  • 健康保険資格喪失証明書:前の勤務先から受け取ります。
  • 退職証明書:雇用保険に未加入だった場合に用意します。

○1年以上無収入の場合

1年以上無収入だった妻で、被扶養者となる場合に用意する書類は次の通りです。

  • 健康保険証(写し)または健康保険資格喪失証明書

○パート・アルバイト等の収入のある場合

パート・アルバイト等の収入のある妻で、被扶養者となる場合に用意する書類は次の通りです。

  • 健康保険証(写し)または健康保険資格喪失証明書
  • 給与明細書(写し)または給与支払見込額証明書:勤務先から受け取ります。
  • 雇用契約書(写し):勤務先から受け取ります。

○年金受給者の場合

年金受給者の妻で、被扶養者となる場合に用意する書類は次の通りです。

  • 健康保険証(写し)または健康保険資格喪失証明書
  • 所得課税証明書または非課税証明:市区町村から取得します。
  • 年金裁定通知書:最新年度のものを用意します。

○外国人の場合

外国人の妻で、被扶養者となる場合に用意する書類は次の通りです。

  • 在留カード
  • 婚姻要件具備証明書:日本語訳の書面も用意します。
  • 住民票:2012年から外国人も住民基本台帳法の対象となりました。

事実婚でも健康保険料や国民年金保険料の負担については法律婚と同じ扱い

事実婚でも健康保険料国民年金保険料に関しては、生活の実態をもとにして判断されます。そのため、事実上の婚姻関係と判断されれば、法律上の夫婦と同様の保障を受け取ることができます。

ただし、保障が受けられる以上は、法律婚の場合と変わらずに保険料の負担が求められます。

内縁の妻は所得税法では扶養関係になれず税金の配偶者控除を受けられない

所得税法では、事実婚や内縁関係になるご夫婦は生活の実態と関係なく、法律上は「他人」と判断されます。

そのため、主たる収入を得ている人(扶養する人)が年末調整を行う場合には、配偶者控除を受けることはできません。

なお、自営業者・自由業者の方々が確定申告の際、法律上の婚姻関係にない妻の配偶者控除をしようとしても、やはり認められません。

社会保険上の扶養(健康保険上の扶養)に入るメリット・デメリット

社会保険上の扶養に入る場合、それぞれメリット・デメリットが存在します。扶養の良い点や注意点を把握していないと、保険者(健康保険組合)から扶養を外されてしまうことにもなりかねません。

こちらでは、社会保険上の扶養のメリット・デメリットを説明します。

健康保険料や国民年金保険料の負担をしなくてもよいこと

扶養に入ることが認められれば、被扶養者は健康保険料・国民年金保険料の負担をしなくても良くなります。

この場合、公的年金の被保険者の分類としては、「第3号被保険者」となります。第3号被保険者となるのは、厚生年金保険に加入している第2号被保険者の配偶者で、20~60歳未満の人が対象となります。

収入を130万未満に抑える必要があること

扶養を継続してもらうためには、収入を年間130万円未満に抑える必要があります。1ヶ月分あたり約108,333円となります。

年間を通して月の収入がたまたま約108,333円以上となった場合に、いきなり保険者から扶養を外されるわけではありません。

しかし、月の収入が約108,333円以上や、年間収入が130万円以上となる状況が常態化するおそれがある場合は、被扶養者ご自身が配偶者の扶養から外れて、国民健康保険またはご自分の勤務先の社会保険に加入し直すことを検討しましょう。

事実婚の妻に子供がいる場合、子供の扶養の扱いにも注意

事実婚の夫婦に子ができた場合、主たる収入を得ている人が夫の場合は、夫(父)の認知届が必要となります。夫(父)が認知すれば、子は父親の健康保険の扶養に入ることができます。

既に生まれた子の場合なら、認知届を父の本籍地または住所地、または認知される子の本籍地にある市区町村へ提出します。

夫(父)が胎児の状態で認知するときには、認知される胎児の母の本籍地にある市区町村へ認知届を提出します。

こちらの場合には、生計維持関係(別居していても定期に仕送りを行っている等)さえあれば、たとえ同居していなくても扶養対象となります。

一方、事実婚をした妻の連れ子の場合、養子手続きをしていない時でも子は健康保険の扶養に入れます。しかし、事実婚の夫(父)と同居していることが条件となります。

参考:事実婚(内縁の妻)は条件を満たせば保険金受取人に指定できる

主たる収入を得ている人(夫)が生命保険に加入する場合、死亡保険金の受取人として事実婚の妻を指定できないものでしょうか。

各生命保険会社は、それぞれ所定の条件を設定していますが、概ね次の2つの条件に合致していれば受取人として指定が可能なようです。

  • 事実婚の夫婦の双方または片方に、法律上の配偶者がいないこと→確認する書類として戸籍謄本(抄本)を提出
  • 事実婚の夫婦が生計維持関係にあること→確認する書類として住民票や、健康保険の扶養に入っていることがわかる保険証の写し等を提出

事実婚の妻は扶養に入れるかのまとめ

事実婚の妻が社会保険上の扶養に入るための方法について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。 

今回の記事のポイントは

  • 社会保険制度上、税法上で事実婚の妻は扶養が受けられる場合と受けられない場合がある
  • 事実婚の妻が夫の社会保険上の扶養に入るには、必要な要件を満たし必要書類を夫の保険者に提出することが要求される。
  • 夫の扶養に入ると、妻は健康保険料や国民年金保険料の負担は不要となるが、妻自身の収入を130万円未満に抑える必要がある
  • 事実婚の夫婦の実子の場合と、妻の連れ子の場合は、双方とも夫の扶養には入れるが、その条件はそれぞれ異なる
でした。

事実婚の夫婦の場合、社会保険上の扶養手続きはそれなりに手間もかかりますが、扶養に入れば法律婚の場合と同様の保障を受けることが可能です。

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