将来、年金がもらえない可能性がある?年金制度の実情を解説!

少子高齢化が進み、また年金未払い問題により年金制度への不信感が募り、そして未払いの若者の増加など、様々な原因で年金が将来もらえないのではないかと噂されたりしていますよね。実際に年金がもらえない可能性はどのくらいあるのか、実情はどうなっているのかを解説します。

年金をもらえない世代が生まれる?

公的年金とは、国が管理し運営する年金制度のことです。この年金制度には国民年金、厚生年金、共済年金の3種類があります。

この年金制度は、ご自分が退職した後も安定した生活を送るために支給される、公的な仕組みです。


しかし、最近では、年金が将来もらえなくなるのでは、あるいは受け取る金額が大幅に減るのでは、と不安を覚える方々が増えています。


そこでこの記事では「年金がもらえない可能性」について、


  • 年金の仕組みと条件
  • 将来年金がもらえない可能性があると言われている原因
  • 年金がもらえないリスクにどう備えるか

以上のことを中心に解説していきます。


この記事を読んでいただければ、年金を取り巻く状況や、年金がもらえないリスクへの対策を知ることに役立つかと思います。



年金の仕組みとは?もらえる人の条件とは?

年金は、日本に住んでいる20歳~60歳未満のすべての方々が加入しなければなりません。年金加入者は次のように分かれます。


  • 第1号被保険者:日本国内に住んでいる20歳~60歳未満の自営業者、農業、漁業、学生、無職者、その配偶者(第3号被保険者を除く)が該当します。
  • 第2号被保険者:サラリーマン等のように厚生年金に加入している会社員および公務員が該当します。
  • 第3号被保険者:第2号被保険者に扶養されており、原則として年収130万円未満の20歳~60歳未満の人が該当します。


年金を受けるためには、以前ならば保険料を25年以上払い続けなければ受給できませんでした。しかし、平成29年8月1日より、年金の受給資格期間が10年以上に変更となりました。


10年間にわたって年金保険料の支払いがあれば、将来年金を受け取ることが約束されます。当然、支払い期間が長くなればより多くの年金を受け取ることができます。


また、年金の仕組みは3階階に分かれています。下表を参考にしてください。


年金被保険者受け取れる年金
国民年金第1号被保険者、第3号被保険者国民年金
厚生年金第2号被保険者国民年金・厚生年金
企業年金等第2号被保険者(一部)国民年金・厚生年金・企業年金等


将来年金がもらえない可能性があると言われている理由とは?

将来、年金がもらえない可能性があると指摘されていることには、それなりに理由があります。

こちらでは、年金がもらえないと考える国内の現状を説明します。

少子高齢化が進んでいるから

現在の年金制度は、20歳~60歳未満の方々が保険料を払い、高齢者になって年金受給年齢に達すると年金を受け取るという仕組みです。


少子高齢化が現在よりも更に進めば年金保険料を払う世代は減少し、逆に受け取る世代が増えてしまうことになります。


そのため、将来的にみると保険料を負担する世代の保険料は上がり続け、一方、年金を受け取る世代の受給額が減少する可能性があります。


そして、いずれは年金がもらえない事態になると危惧する方々も多くいます。

「払っても無駄、払いたくない」という未払い・未納の若者が増えているから

「自分が老人になる頃には、年金なんてどうせもらえない。」と、年金制度に不信感を持ち保険料を払わない若者が増加しています。


一方、保険料を払う意思はあるものの、収入が低いなど経済的な事情により、支払が難しい若者も増加しています。


しかし、若者をはじめとした保険料を支払う世代が、年金を支払わないと年金システムが即座に崩壊し、年金がもらえない事態になるわけではありません。なぜなら、年金の半分は国民の税金でまかなわれているからです。


ただし、少子高齢化が進展し、それに加え年金を払わない若者が増加すると、年金システムを維持するために、更なる増税および受け取る年金額が減ることも考えられます。

運用利回りが高い数値を保てるとは限らないから

最近では、公的年金の積立金について厚生労働省の報告(平成29年10月)によれば、平成28年度の運用利回りは5.48%となっています。


平成27年度の運用利回りは-3.64%と非常に低い数値であったため、持ち直したといえます。


平成28年度は、国内外の株価の大幅な上昇が理由とされているものの、今後このような数値が継続または上昇するかどうか依然として不透明です。

国が年金制度に関して嘘をついているわけではない

国は年金制度に関して次のように安全・安心を強調しています。

  • 国民年金の老齢基礎年金は、1/2が国庫負担(税金)で賄われているので、年金保険料で足りなくなった場合は税金で補うことになる。
  • 厚生労働省の試算によると、若い人でも将来受け取る年金額は、納めた額以上に受け取ることができるとされている。年金がもらえないどころか、納めた額以上の恩恵をご自分が将来受けることもできる。

この様なアピールに少なからず不快感・不信感を示す方々もおられるでしょうが、国もいろいろな工夫をして年金制度を維持する努力はしています。

税金も使われているので、年金財政が破綻する可能性は低い

年金には、毎年およそ12兆円程度の消費税が使われています。平成29年度予算では消費税12.1兆円が年金の財源の一部となっています。潤沢な消費税の投入で、年金財政が破綻し年金がもらえないリスクは極めて低いと考えられます。


逆に、我々が日頃支払う税金も使用されている以上、年金保険料を支払わず、年金がもらえない事態になれば、それこそ税金を支払続けてきたのに損をしてしまうことになります。

ただし、将来、年金が払った分よりもらえない可能性はある

前述したように全く年金がもらえない危険は非常に低いですが、運用利回りが低下の一途をたどったり、少子高齢化がいっそう深刻化したり、保険料を払わない方々が増加したりすることは、財政に悪影響を及ぼします。


この様々な原因によって、今後、支払った保険料よりも受け取る年金額が少ない可能性はあり得ます。

また、将来、受給開始期間が65歳から後倒しになる可能性はある

現在の年金支給開始年齢は原則65歳からとなっていますが、60歳に繰り上げ受給することもできます。一方、すぐに年金が必要ないなら70歳から年金を受け取ることもできます。


ただし、年金財制のひっ迫によって、今後、支給開始年齢がどんどん上がっていくことも考えられます。


現在の日本は医療の進歩や健康の志向の高まりで、平均寿命が男性80.75歳、女性は86.99歳(2017年度)と過去最高を更新していますが、だからといって安易に支給開始年齢を遅らせることは妥当といえません。

年金がもらえない可能性に対して、今の20代30代40代はどうするべきか

コツコツ年金保険料を支払ってきたのに、全く年金がもらえないということはまずありえません。


しかし、支給される年金額が減少したり、支給開始年齢が上がってしまったりすることは考えられます。


そこで若い方々(20代~40代)は、そのリスクを軽減するための備えを事前に用意しておきましょう。こちらでは、そのための方法を説明します。

自分でしっかりと貯金をしておくこと

最もオーソドックスな方法は、若いうちから堅実に貯蓄していくことです。普通預金でコツコツ貯金するのはもちろんですが、定期保険に預けたり、普通預金でもネットバンクを活用したりして、少しでも利息を増やすことを心がけましょう。

個人年金保険を用いて、自分で自分の年金を用意する

個人年金保険とは、任意で加入し年金保険料を積み立て、ご自分が決めた年齢から年金を受け取ることができる保険会社の商品です。個人年金保険は、利率の分だけ堅実にお金が増え、税金対策になることもメリットといえます。


円建て個人年金保険について


個人年金保険には、「円建て個人年金保険」という商品があります。この個人年金保険は、年金保険料を日本円で支払い、年金も受け取りも日本円で行う商品です。 


日本円で積み立てるので、為替変動の影響を受けることなく安定して運用が期待できます。堅実な運用で、将来の見通しが立てやすいことが特徴です。


また、中途解約する場合でも保険料の支払を開始して何年目で、返戻率の高いお金(解約返戻金)を取得できるかが容易に判断できます。


外貨建て個人年金保険について


こちらは、主に米ドルを中心とした外国の通貨により運用される保険商品です。円建て個人年金保険より利率が高く、支払う保険料は安いことが特徴です。


効率的に貯蓄する必要性を強く感じている方には魅力的な保険ですが、為替変動に影響される一面もあります。


為替変動は、国内・海外の好況・不況のみならず、戦争・大規模テロ・自然破壊・大災害によって大きく変動します。


これら突発的な緊急事態の発生により、受け取る年金が予想外にもらえない、というリスクも十分考慮にいれる必要があります。

最近はiDeCo(個人型確定拠出年金)を用いた資産運用も人気

個人型確定拠出年金(iDeCo)は、任意で加入するという面では個人年金保険と同様ですが、こちらは保険会社ではなく証券会社が中心となって運用される商品です。

なお、「iDeCo(イデコ)」とは個人型確定拠出年金の愛称のことです。この年金の特徴として、運用は投資信託・定期預金等で行われます。この運用の良し悪しにより将来に受け取る年金額は変動することになります。


個人型確定拠出年金のメリット

メリットは主に2つです。

  • 税金面で非常に有利:掛け金を積み立てている時は、その全額が「小規模企業共済等掛け金」として扱われ、全額所得控除の対象です。また、運用期間中の運用益は非課税となります。年金を受け取っている時ならば、退職所得・年金所得として扱われ、税金がかかりにくくなっています。
  • 預けている証券会社等が破綻しても影響無し:年金の資金運用は加入者ごと個人単位で管理しています。そのため、お金を預けている証券会社、銀行が破綻してもご自分の運用資産に影響はありません。

個人型確定拠出年金のデメリット

デメリットは次の2つです。

  • 月額手数料の発生:運用コストとして管理費が毎月170円~600円程度と、運用する投資信託の信託報酬がかかります。
  • 中途解約は不可能:こちらの年金は途中で解約しても返戻金はもらえないことになります。ただし、掛け金を変更して減らす対応ならば可能です。

まとめ

年金がもらえない可能性ついて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。 

今回の記事のポイントは、 


  • 年金が不安視されているが、年金保険料を納付していれば年金がもらえないというリスクはまず無い
  • ただし、受け取る年金額の減少や、年金の支給開始年齢が上がる場合は考えられる
  • 年金をあまりもらえない可能性を想定して、早いうちから貯金・個人年金保険・個人型確定拠出年金で老後の資金を運用する

でした。


老後に年金がもらえないなら、生活保護があるので大丈夫と考える方もいます。しかしながら、生活保護の受給にはいろいろな制約も存在します。


ご自分が老後になって悠々自適な生活を送るためには、公的年金の納付はもちろん、民間の保険商品を活用した事前の備えも考慮する必要があります。

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