このままでは日本の公的医療保険が崩壊?その問題点とは何か

日本の公的医療保険には限界が見えてきているという話があります。この問題点は残念ながら現実性のある話です。私たちはその事実を悲観するのではなくどのような問題点かを知り、医療保険に変わる善後策を準備するべきでしょう。そのために日本の保険の状況をまとめました。

目次を使って気になるところから読みましょう!

医療保険の問題点

民間の医療保険に加入されている方は多いと思いますが、日本のそれも公的医療保険に加入していない方はかなり少ないでしょう。

これは日本の公的医療保険にかなりの信用があるということに他なりません。


しかし、そんな日本の公的医療保険にも問題点があるのです。


その問題点を把握しておくことはこれから将来に向けて蓄えておく資金にも大きく関与してきます。


万が一、日本の公的医療保険が崩壊したときに私たちの医療は一気に限られたものにしか使えない「高級サービス」へと早変わりしてしまうからです。


医療保険の一番の関心事はやはり医療費に対する保障となります。


この医療費というものに困窮してしまうと、自己負担額を増やすという方策がとられることが考えられます。


資本主義社会においては自己責任の下で自由に競争することが推奨されます。


そのため医療保険の問題点が解決できない場合は自己負担の範囲が広くなるでしょう。


これからその理由を見ていきましょう。



国民皆保険の崩壊の危機

日本は戦後、復興を図るための1つの手段として国民皆保険を実施しました。

そのおかげで国民は、医療費の経済的な問題から解放され、更なる健康維持へと努めることができました。

しかし、その国民皆保険の仕組みが現在問題となっています。


国民皆保険制度が実施された1961年は、第1次ベビーブームと第二次ベビーブームの間の年で、国民の数は9500万人程でした。


これから急激な人口増加を迎える1961年に施行された制度が、1億2000万人以上いる国民の人口が徐々に減少していく平成28年現在の日本において、同じように適合するはずがありません。


人口が減ることによって国民皆保険の仕組みは維持困難の状態に入ることになります。


これは人口が減少することで税収が減少し、また企業活動の幅も狭まっていくと仮定することで、収入と支出のバランスが崩れてしまうことが理由とされています。


この理由をもう少しだけ詳しく見ておきましょう。

問題点1.高齢化による医療費の増大

医療保険上の問題点として、少子高齢化の影響は外せないでしょう。

高齢者の数が増えても「働ければ資金面ひいては経済面での収入は維持できる」という考えもありますが問題点はそこではありません。


問題点は高齢者には医療費が多くかかるという点です。


この問題点にピンと来ない方もいらっしゃいますがそこまで難しくありません。


今では小学生が栄養ドリンクを飲む時代ですから薬というのは1961年の時に比べて非常に身近なものとなりました。


しかし高齢者の場合はそれにとどまらないのです。


やはり身体が病みやすくなってしまったり、ただの風邪が肺炎になってしまったりと、体の衰えによって症状が深刻になりやすくなってしまいます。


結果として、高齢者は身体の老いによって医療費が増大する傾向にあるのです。


これは当たり前のことで、しかも昔からその傾向は強いでしょう。


このように、「少子高齢化社会」は公的医療保険の維持が困難になる重大な要因の1つなのです。

問題点2.経済低成長と労働人口の減少による保険料収入の減少

もう一つの問題点として、日本経済の低迷による医療保険の運用が難しくなるという問題点があります。

デフレから脱却しつつあると言っても過去の成長期ほどではありません。


また、人口減少により労働人口が減っているという問題点もあります。


公的医療保険は水平的公平の下、国民から保険料を徴収して運用するわけですが、その支払える国民が減っている以上は医療保険として必要な資金が足りなくなるのは当然でしょう。

国の方針

ではこのような公的医療保険の問題点について政府はどのような行動を示しているのでしょうか。

困ったときに頼るというわけではありませんが、公的医療保険の問題点は国の問題点と言っても差し支えありません。


そのため彼らがどのように行動するかによってこの問題点は改善されることも改悪されることも考えられます。

医療保険の支出を減らす

日本では包括医療制度というものを導入していますが、これは医療費を減らすことにつながります。

包括医療費制度を実行することは推奨されているだけですが、この制度を使うことで余分に重なった医療費は免除されるような仕組みとなっています。


これで医療費問題は解決したかのように思えますが、逆に新たな問題点まで浮上させることになってしまいます。


医療費とは病院の経営にも関わっており、医療費が少なくなることは病院の資金が少なることを指します。


病院には高額な機械が必要です。


それは人の命を扱う精緻なものであり高額になっても仕方ありません。


病院ではいかなる時にでも必要な措置ができるよう可及的範囲において薬品や器具をそろえておかねばなりません。


こうなると病院の資金問題はどこに向くかと言えば人件費です。


病院とは勝手に医療費を決めるととてつもなく高額にできます。


そのため国から一定の制限が設けられています。


その中で削減するには人件費が一番能率的なのです。


これは病院の経営難を招くことになり、医師の働きすぎにもつながります。


こうなると医師不足というより働ける医師が不足するわけですから医療不足を招くことになります。


すなわち、医療保険の問題以上に深刻なことが起きてしまうのです。

医療保険の適用範囲を狭める

医療保険の範囲は広範囲です。

というのも、そうしなければ公的医療保険の目的を達成することが難しいためです。


公的医療保険は国民の健康をより多くサポートための経済的援助が目的です。


しかし、国は医療保険の範囲を縮小しようとしています。


これは症状や病気の種類に対して適用範囲を狭めようとしているのではなく、いわゆる混合診療に関してはやめていこうというものです。


混合診療とは保険が適用される医療行為と保険が適用されない医療行為を併用して行うことを指します。


保険が適用されない医療は当然自己負担による治療を受けることになります。


こうすることで2つの問題点が浮上します。


1つは医療の質に不公平が生じる、2つ目は医療費が高額になるということです。


混合診療をしてしまうと医療に貧富の差が生まれてしまいます。


そうなると貧富の差を拡大させることにつながり、国家の安寧から遠ざかってしまうため控えようということです。


もう一つは自由診療(自己負担の医療)によって国民皆保険の仕組みが国家の財政難によって崩壊してしまうために忌避しているのです。


このように医療行為に対して制限を強めることで医療費の削減に努めているのが現状の日本ということになります。

これから考えられる動き

これから日本の医療保険制度はどうなってしまうのでしょうか。


これは制度自体ではなく、制度を作る環境について考える必要があります。


日本経済の状態や人口の流れ、あるいは家族体系という点においては、制度を作るうえで重要な要素となります。


また、これから考えられる動きを把握することで将来への準備ができます。


それらは案外身近から改善できる問題点かもしれません。

高齢者の医療負担が増えて行く

一番に現実的なのが高齢者医療に関する負担増です。

これは今よりも多くなるという意味での負担増という意味です。


この理由とすると2つあります。


1つは労働人口による保険料負担に限界があるということです。


そもそも保険料を支払える人口がいないのですから医療保険の運用はできません。


そのため徐々に医療保険の力を弱めていくという結果になるでしょう。


もう1つは医療保険の大半を使っているのが高齢者であるという理由です。


高齢者の方から搾取するのは気が引けますが、多くのところから少量だけ回収するというのが一番公平な解決策になると考えられます。

まとめ:医療保険の問題点について

現在の医療保険の問題点について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。

今回のこの記事のポイントは、
  • 少子高齢化や経済低迷などにより国民皆保険制度が崩壊の危機にある
  • 国が推奨する包括医療費制度は医療不足を招く恐れがある
  • 国は医療保険の範囲を縮小し医療費の削減に努めている
  • 今後の医療制度を考える上では医療を取り巻く環境から考える必要がある
です。

医療保険についての問題は、国民すべてに関わってくる大切な問題なので、少子高齢化など現在の日本が抱える問題点を充分に考慮しつつ、新たな制度を作り出していくことが求められます。

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この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

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