在宅医療って何?医療保険の対象となるのかについて解説します!

現行の医療保険ではどの程度まで在宅医療の味方でいてくれるのでしょうか。2008年ごろから急速に増え始めた在宅医療は少子高齢化の余波を受けて今なお増え続けています。保険というのはいざというときに知っても意味がありません。事前に医療保険の働きを見ておきましょう。

在宅医療は医療保険の対象になるのかについて解説します

あなたは、在宅医療について気になって調べていると思います。

その名の通り「在宅で医療を行うこと」までは理解できると思いますが、実際の内容まではわからない部分が多いですよね。

日本には公的医療保険制度があるので、病院などの医療機関にて治療を受けた際には、その費用の全額または一部を保険で負担される仕組みになっています。

在宅医療は病院で行う医療行為ではないので、医療保険の対象になるのか気になることでしょう。

現在、病院での入院ではなく、住み慣れた在宅にて治療・療養を希望する患者が増えていますが、この公的な医療保険と民間の医療保険では在宅医療をどこまでサポートすることができるのでしょうか。


実は、患者をサポートする仕組みが整っています。


そこで、この記事では「在宅医療は医療保険の対象になるのか」について

  • 医療保険の対象外
  • 高額療養費制度
  • 年齢別自己負担額
  • 入院治療から在宅医療へ移りつつある
の4つをご紹介させていただきますので、ぜひ最後までご覧ください。

在宅医療とは

在宅医療とは、医療機関への通院困難な患者に対して、医療者が患者の自宅や老人ホームへ訪問して医療行為を行う仕組みです。


患者の性質としては、がんなどの緩和医療を目的としている人が多いことが特徴になります。


在宅医療の主な内容には

  • 呼吸補助療法・・・在宅酸素療法、在宅人工呼吸療法、在宅陽圧呼吸療法
  • 栄養補助療法・・・在宅中心静脈栄養療法、成分栄養経管栄養法
  • 排泄補助療法・・・在宅自己導尿療法や持続導尿や人工肛門の処置など
  • 在宅注射療法・・・インスリンや麻薬(モルヒネなど)の注射
  • 補助腎臓療法・・・在宅人工透析療法など。

要するに、従来医療機関で行っていた治療をそのまま自宅で行う方法をとっているのです。


また、介護サービスや療養上のアドバイスなど、患者が在宅生活を行う上で必要不可欠な指導を行っています。


手法としては、医師による往診が中心になりますが、サポート役として訪問看護師や訪問薬剤師、訪問リハビリテーションの役割も非常に高くなっています。


在宅医療を遂行するには、多職種連携が必要不可欠です。


さまざまな医療の担い手が、患者とその家族の在宅生活のサポートの担い手となっています。


今後は、より一層在宅医療に対する期待が高まると推測されます。



在宅医療は医療保険の対象外

在宅医療は医療保険の対象になるのでしょうか。


結論から言うと、民間の医療保険は在宅医療の給付対象外なのです。


医療という名を持っておきながら、どうして在宅医療時に医療保険の対象外が発生してしまうのでしょうか。



医療保険の給付金は入院を前提としているから

一般的な医療保険では、病気や怪我などで入院や手術をした場合に給付金が受け取れる仕組みになっているので、通常通院や在宅治療での医療に対しては給付対象外となります。


ここ最近では、いくつかの保険会社から在宅医療にも給付金が支払われる特約が付加できるようになりました。


現在政府や医療施設では入院よりも在宅での療養を勧めており、このことからもこれからの民間の医療保険でも、被保険者のために在宅医療をカバーできるようにならなくてはなりません。


また、在宅医療における訪問診療などは公的医療保険制度の対象となりますが、治療費等の負担が必要となります。

それなら在宅医療の費用には高額療養費制度を活用しよう

在宅医療の場合、民間の医療保険での給付金は支払い対象外となり、民間の医療保険制度を利用しても治療費が必要となります。


在宅での療養でも、入院時と変わらず高額な医療費が必要となる可能性があります。


このようなときに活用したいのが、高額療養費制度と言われるものです。


この制度ではその月に支払った医療費が高額になった場合、自己負担限度額を超えた分について後日払い戻される制度です。


高額療養費制度の自己負担額は所得金額によって自己負担限度額が変わってきます。


例として、70歳未満の方の自己負担限度額を挙げます。


被保険者の所得区分自己負担限度額(1ヶ月あたり)
上位所得者(標準報酬月額53万円以上)150,000円+(医療費-50,000円)×1%
一般(上位所得者・低所得者以外)80,100円+(医療費-267,000円)×1%
低所得者(市町村民税非課税者)35,400円


また、4回以上の診療で上限額を超えますと多数該当となり、上限額がさらに引き下げられます。


ただし、入院時の差額ベッド代や食事代、あるいは保険外の費用負担分は高額療養費制度の対象とはなりませんので注意が必要です。

高齢者はさらに自己負担額が減る

このように、医療保険制度の中には自己負担限度額以上の医療費を支払わなくてもいいという、経済的なサポートがあります。


高齢になっても、現役並みの所得を得る方もいらっしゃいますが、基本的には現役時代に比べると所得は減ってしまいます。


しかし、高齢ともなると診察や治療などで病院に通う機会がどうしても増えてきますよね。


そのような高齢者の医療を支える仕組みとして

  • 前期高齢者医療制度
  • 後期高齢者医療制度
の2つがありますので、以下で詳しくご紹介させていただきます。

65歳以上74歳未満の方は

65歳以上75歳未満の方は前期高齢者医療制度の対象となります。 

被用者保険、国民健康保険間の医療費負担を調整することが目的とされ、国民健康保険等の給付を受けることができます。


前期高齢者が加入している国民健康保険の財政支援を、若年者が多く加入している健康保険組合等が負担する仕組みになっており、前期高齢者医療制度対象者の方が療養病床に入院した場合、一日の自己負担額(生活療養標準負担額)は1,700円となります。


つまり、一か月で約52,000円の負担です。


ただし、介護保険と同様に低所得者には所得に応じて負担軽減措置が施されます。

75歳以上の方は

75歳以上の方は、後期高齢者医療制度の対象となります。 

後期高齢者医療制度を利用した場合、医療費の自己負担額は 

  1. 現役並みの所得者・・・後期高齢者の世帯員に住民税の課税標準額が145万円以上の人がいる場合、医療機関での自己負担割合は3割となります。
  2. 一般・・・後期高齢者の世帯員に住民税の課税標準額が145万円以上の人がいない場合、自己負担割合は1割となります。
のようになります。

同じ後期高齢者医療制度の対象者でも、住民税の課税標準額によって医療費の自己負担割合は異なるのです。


また、現役並み所得者として自己負担割合が3割となる方でも、収入額が定められた基準に該当する場合、申請により自己負担割合が1割となる場合があります。


詳しくは、お住まいの保険課に問い合わせてください。

参考:現在、入院治療から在宅医療へ移りつつある

現在、在宅医療を受けている方は年々増えています。


自宅で療養したい人はもちろん、終末期などで最期は自宅で過ごしたいという方もいらっしゃいます。


そうした患者さん本人たちからの希望だけでなく、在宅医療が増えている理由の一つに、医療現場での問題が原因のケースもあります。




少子高齢化により病院のベッド数が不足しつつある

2016年1月の時点で日本の病院は8,471施設あり、病床数は1,564,760床ありました。


一昔前までは病院が約1万施設もあったので、ここにきてかなり減少しています。


また、病床は精神病床、感染症病床、結核病床、療養病床そして一般病床に分けられていますが、一般病床は急性期や亜急性期の患者さんの病床のことで、約90万床のベッドが確保されています。


政府は2025年までに日本国内の病床数を115~119万床まで減らすと発表しました。


これは、病状が軽度の方を在宅医療で過ごしてもらい、医療費制度が崩れないよう、政府が負担しなければならない医療費を抑えようという狙いがあります。


回復期の患者さんの早期回復を達成するためにリハビリを行うためのベッドは、今の3倍に増やしていく予定です。


しかし、少子高齢化と言われる日本では、2016年現在、65歳以上の高齢者人口はおよそ3,461万人にもなります。


このような政府の政策により病床数が減少することによって、入院治療が必要となりやすい高齢者の方たちのベッド数が不足しているのです。


そのため、病院側もベッド数不足により、入院治療から在宅医療へ移っているのです。

在宅医療患者数は年々増加している

2014年時点では、15万6400人の在宅医療患者がいました。


これは、3年に1度行われる患者調査により導かれた数値ですが、前回の調査(2011年)の40%増にもなりました。


日本では2008年頃から在宅医療患者の数が急激に増え始めています。


また、国からの補助金等で対応できる診療所や病院が増えたために、定期的に医師が患者の自宅へ診療へ伺う訪問診療が大きく増えてきています。


在宅医療患者数はこれからも増え続ける見込みです。

在宅医療は医療保険の対象になるのかのまとめ

この記事では、「在宅医療は医療保険の対象になるのか」を解説させていただきましたが、いかがでしたか。


記事の要点は

  • 在宅医療は民間医療保険の給付対象にはならない。なぜなら、医療保険の給付金は入院することを前提としているからである。
  • 在宅医療の費用対策には、高額療養費制度を活用する方法がある。また、高齢者は「高齢者医療制度」で、年齢とそれに伴う収入によって自己負担金額が異なる。
  • 少子高齢化により医療機関のベッド数が減少しているため、今後は在宅医療患者数が増加していくと推測される。
以上3つです。


日本には高額療養費制度があるので、医療費が高額になったとしても、みなさんの健康を経済的な面からサポートしてくれます


このような制度は知っていないと利用できませんから、いざというときのためにも、公的な保険制度について一度調べておきましょう。


ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。

この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、保険相談や選び方のポイントを伝える「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

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