高齢者は医療保険に加入すべき?公的な制度でカバーできる?

わが国の公的医療保険制度は非常に充実しています。一定の年齢に達すると我々被保険者は、前期高齢者医療制度や後期高齢者医療制度を利用することができます。本記事では、これらの制度を享受できる高齢者にとって民間の医療保険に加入する必要があるのかについて解説します。

高齢者が民間の医療保険に加入する必要があるのか解説します

ある程度高齢になってくると、気になってくるのが自分の健康状態のことではないでしょうか?


周りの人から、いろいろな病気にかかったり、そのために入院をしたといった話を聞く機会も増えてきます。


そんな時、「自分が加入している民間の医療保険で、いざという時大丈夫だろうか?」「そもそも公的医療保険がある中で、民間の医療保険は必要なのだろうか?」といった疑問をお持ちになる方も多いはず。


そこで、この記事では


  • 高齢者にとって、民間の医療保険は必要なの?
  • 高齢者に対する公的医療保険制度は、どうなっているの?
  • 高齢者にとって、民間の医療保険が不要な理由はどんなこと?

をテーマに解説していきます。

この記事を最後まで読んでいただくと、「高齢者における、わが国の公的医療保険制度の内容」や「高齢者にとって、民間の医療保険が必要か」といった点についてご理解いただけると思います。

ぜひ、最後までお付き合いください。

高齢者にとっての医療保険の必要性は?

一般的に高齢者とは、65歳以上の人を指すといわれていますが、統一された基準はないようです。


ただ、これくらいの年齢になってくると、さまざまな原因で病院を受診したり、入院をしなくてはならないケースが出てくるとも考えられます。


その際、心配になるのが入院や治療に必要となるお金の問題で、その費用を賄う意味から、民間の医療保険に加入している人も多いのです。


しかし、わが国においては、社会保障としての「国民皆保険制度」というものが実施されており、さらに高齢者の場合は、前期・後期高齢者医療制度とよばれる優遇措置があり、一般の世代に比べ、医療費負担は低く抑えらえています。


そういった意味からすると、高齢者にとって、民間の医療保険の必要性は低いとも考えられます。

前期・後期高齢者医療制度とは?

「高齢者の医療保険」については、こちらの記事「民間の医療保険は高齢者には必要?それとも公的医療保険で充分?」でさらに詳しく解説していますので、参考にしてみてください。


前述したように、高齢者にとって民間の医療保険必要性は低いと指摘される理由の一つに、わが国の公的医療保険制度が非常に充実していることがあげられます。 


公的医療保険制度は、大別すると事業所に勤務している従業員が加入する健康保険、それ以外の方が加入する国民健康保険があります。 


その他、一定の年齢になると加入することになる医療制度もあります。


それが、65歳から74歳までの方が対象になる「前期高齢者医療制度」と、75歳以上の方が対象となる「後期高齢者医療制度です。



ここからは、前期・後期高齢者医療制度の仕組みと内容について詳しく説明していきます。


【注意】高齢者・老人でも現役並みに収入がある場合は、対象外

一般的には、高齢者は前期・後期高齢者医療制度が適応され、医療費について一般に比べ低い負担割合となっています。


しかし、前期・後期高齢者医療制度にも例外があります。


高齢者でも現役並みに収入がある方は3割負担となるのです。


【前期高齢者医療制度での現役並み所得者の判定】

健康保険の場合は標準報酬月額28万円以上、国民健康保険の場合は同一世帯で住民税課税所得が145万円以上の方が対象です。


ただし、次の場合は申請により2割負担にすることができます。


①単身世帯で前年中の収入が383万円未満


②複数世帯で前年中の収入の合計が520万円未満


③複数世帯に後期高齢者医療制度の被保険者がいて、前年中の収入の合計が520万円未満


【後期高齢者医療制度での現役並み所得者の判定】

75歳以上の後期高齢者あっても、同一世帯の住民税課税所得が145万円以上ある場合は、現役並みの所得者として3割負担となります。  


ただし、次の場合は申請により1割負担とすることができます。


①単身世帯で前年中の収入が383万円未満 


②複数世帯で前年中の収入の合計が520万円未満 


複数世帯に前期高齢者医療制度の被保険者がいて、前年中の収入の合計が520万円未満


65歳以上75歳未満の方は前期高齢者医療制度

前期高齢者医療制度は、65歳から74歳までの方が対象になる、健康保険または国民健康保険の医療負担を調整する仕組みのことです。

現在加入中である公的医療保険に変更はありません。

 

基本的には65歳未満の方と自己負担割合などが異なっています。70歳以上になった方は「高齢受給者制度」の対象となり、原則として2割負担になります。 


この制度は74歳まで適用され、ご自分の所有している健康被保険者証と保険者から交付される「高齢受給者証」の2枚を、医療機関窓口に提示することによって、医療費の2割を自己負担とすることができます。 

平成26年4月1日までに70歳に到達した人は1割負担

前期高齢者医療制度は、平成26年4月1日までに70歳の誕生日を迎えた方について、1割負担に抑えられていました。

それ以降は、自己負担割合が2割に上がっています。

75歳以上の方は後期高齢者医療制度

後期高齢者医療制度は、75歳以上の方が対象となり、医療費の自己負担額が原則1割負担となります。  


この制度は、健康保険・国民健康保険制度と独立した公的医療制度となります。


そのため、現在加入中の健康保険または国民健康保険から脱退した上で、後期高齢者医療制度に新たに加入するという形になります。 


後期高齢者医療制度では、後期高齢者の費用負担が過重になることを未然に防ぐため、以下のように上限額を定めています。 


【後期高齢者医療制度における負担額の上限】

  • 外来(個人ごと)については12,000円までが自己負担限度額の上限額 
  • 入院・外来(世帯ごと)については44,400円までが自己負担限度額の上限額


後期高齢者医療制度の利用方法とその流れ

後期高齢者医療制度を利用するためには、特別な手続きが必要となるわけではありません。


被保険者が75歳の誕生日を迎えれば、自動的に後期高齢者医療制度へ移行することになります。 


以前の公的医療保険の被保険者証は使用できなくなりますが、新たに交付された「後期高齢者医療被保険者証」を医療機関に提示して受診することになります。 

その他の高齢者・老人にとって医療保険が不要な理由

民間の医療保険の必要性が薄いその他の理由として、公的医療保険に高額療養費制度が設けられていることがあげられます。


これは、医療費負担(1月ごと)が高額になった場合、設定された上限以上の金額については、国が負担するという制度です。


70歳以上の方の医療費についても、自己負担限度額が定められています。


70歳以上の方の場合は、医療機関窓口での支払額が負担の上限額までに自動的にとどめられるようになっています。


ちなみに、70歳以上の方の自己負担限度額は以下の表の通りです(厚生労働省ホームページ「高額療養費制度を利用される皆さまへ」平成29年8月~平成30年7月診療分を参考に作成)。 

70歳以上の方年収約370万円~ 
(現役並み) 
年収156~370万円 
(一般) 
住民税非課税世帯住民税非課税世帯 
(年金収入80万円以下等) 
外来
(個人ごと)
57,600円14,000円 
(年間上限14万4千円) 
8,000円8,000円
1ヶ月の上限額(世帯ごと)80,100円+(医療費-267,000)×1%57,600円24,600円15,000円

この上限金額を賄えるだけの生活費や資産が確保できていれば、民間の医療保険の必要性は低いとも言えます。


また、民間の医療保険の不要な理由は、その支払保険料や加入の条件、高齢者の個人資産とも大いに関係します。


この点については次項で説明していきます。

理由1:保険料が高い

民間の医療保険は契約開始年齢が上がるほど、保険料も割高になっていく仕組みになっていますます。

これは、年齢が上がるにつれ、健康状態に問題が生じる確率が上がるため、入院や治療の回数が増え、保険会社側の支払いリスクが高くなるためです。

例えば、毎月の支払保険料は、契約開始年齢が20歳の場合と比較して、60歳で契約した場合、約3倍以上になるケースもあるようです。


終身医療保険では、若いうちに(20代、30代)で加入しておけば、高齢になっても保険料が固定されたまま継続しますが、定期医療保険では、一定期間ごとに契約を更新しなくてはならず、そのたびに支払う保険料も値上がりします。


民間の医療保険に加入して老後の備えにしたいのならば、40代あたりで終身医療保険へ加入しておくのも一つの方法です。

理由2:特定部位不担保などで保障されないリスクがある

高齢になってから民間の医療保険に加入する際には、加入希望者が若い頃よりも健康面・体力面に不安を抱えているかもしれませんし、持病があるケースも考えられます。


そのため、生命保険会社から契約を断られることもありますし、例えば持病となっている部位(体の一部)について、「特定部位不担保」という形で保障対象外とすることを条件に、加入しなければならない場合もあり、不利な条件での加入になってしまう場合が考えられます。

理由3:年金や退職金の存在

ある一定の年齢を迎えると、その職場を退職し、公的年金での生活となる場合が一般的です。

その場合、退職金を取り崩したり、公的年金で生活していくことになるわけですが、現状の年金支給額であれば、生活に困窮することはないと考えられます。


そういった生活の中であれば、何かの病気等で診療を受けるとしても、公的医療保険制度の範囲内であれば、民間の医療保険がなければ、その治療費に困るということはないと考えられます。

【参考】民間の医療保険に加入すべき場合は?

ここまで説明してきたように、充実した公的医療保険制度が準備されている中、高齢者における民間の医療保険加入の必要性は低いと考えられます。


しかし、自営業者などの場合で、公的年金の金額が低く、貯蓄も少ないという場合など、入院費当の負担が気になり、民間の医療保険に加入したいというケースも考えられます。


その場合、健康状態に問題がなく、今まで入院等の治療歴がない場合は、一般の医療保険に加入することが可能です(加入年齢の上限はあります)。


その場合、できれば終身型の医療保険に加入することをお勧めします。


終身型の場合、保障が一生涯続くというだけでなく、定期保険型と違い、保険の更新というものがありません。


つまり、更新時に保険料が上がるということがなく、生活設計を立てやすいというメリットがあります。

高齢者にとっての民間医療保険の必要性のまとめ

ここまで、「高齢者にとっての民間医療保険の必要性」をテーマに解説してきましたが、いかがでしたか?

この記事のポイントは、

  • 高齢者にとって、民間の医療保険への加入の必要性は低い
  • 高齢者は、公的医療保険制度において、前期・後期高齢者医療制度とよばれる優遇措置がとられている
  • 高齢者の民間医療保険が不要な理由は、前期・後期高齢者医療制度や高額療養費制度の充実にある。

です。

わが国の公的医療保険制度は非常に充実しおり、一定の年齢に達するとその被保険者は、前期高齢者医療制度や後期高齢者医療制度というさらに優遇された制度を利用することができます。


ただし、少子高齢化の進展で、将来的にはこれらの制度について、自己負担割合の増加や、高所得者への公的医療保障の制限が強化されていく可能性も否定はできません。


高齢者の公的医療保険制度を理解しておくことにより、将来設計の一助としたいものですね。


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