最近増えている70歳以上の高齢者のための医療保険。本当に必要?

70歳以上の方に医療保険は本当に必要なのかどうかを、公的な医療制度の利用の点、保険料、そして70歳以上の高齢者だからこその問題点などから、「不要」「必要」の両面で考えていきたいと思います。ますます高齢者が増えていく現代の医療保険を考えます。

70歳以上の方に医療保険が必要なのかを解説

高齢でも入れる保険が増えています。

高齢者が増えているという現状からは当然のことなのでしょう。

しかし、その保険は本当に必要なのでしょうか。


65歳以上の方に適用される前期・後期高齢者医療制度、中でも70歳以上の方にとっての公的な医療制度がどのようなものかご存知ですか。

また、70歳以上の方が医療保険に加入するメリット・デメリットの両面から考えていきたいと思います。


70歳以上の方に医療保険は不要だと言われている3つの理由

高齢の方が入ることができる保険が増えてきているにもかかわらず、70歳以上の方に医療保険は不要だという考えが多いのは何故でしょう。

主に次の3つの理由があげられます。

  1. 医療保険の保険料が高い
  2. 公的医療保険の高齢者医療制度が充実している
  3. 保険加入際の告知されなかった病気が発覚し保障されないケースがある

理由1:医療保険の保険料が高い

まず、高齢になって加入すると医療保険の保険料が高いことは、皆さんご存知の通りです。

若ければ若いだけ保険料は安く設定され、年齢が高くなるにつれて保険料も上がっていきます。


70歳以上で高い保険料を払うのなら、月々1万円でも、貯金しておいた方が得なのではないかという意見です。

理由2:公的医療保険の高齢者医療制度が充実しており、自己負担額が1割や2割程度

第2の理由として、日本の公的医療保険の高齢者医療制度が充実していることがあげられます。

自己負担額が、現役世代より、少なくなるよう設定されています。

しかし、平成26年4月以降に70歳になる方に対する負担額の見直しが行われました。

70歳以上75歳未満の方の自己負担額は、基本的に2割(平成26年3月31日以前に70歳に達したものは1割、現役並み所得者は3割)となりました。

所得一般・低所得者現役並み所得者
75歳以上1割3割
70歳~74歳2割3割
70歳未満3割3割

また、高額療養費制度があり、個人ごと・世帯ごとにつき、ひと月の上限額を定め、それ以上は負担しなくてもよくなっています。

70歳以上の方は、この制度でも優遇されています。

(下表ー70歳以上の方の高額療養費制度)


しかし、この制度も、70歳以上の方の平成29年8月診察分から、見直しが行われました。


29年8月から2段階に分けて、年収約370万円以上の現役並み所得者と一般(年収156万円~370万円)の方との負担額を増加させていきます。

29年8月の見直しでは、一般所得者個人の1年間の自己負担額の上限に、14.4万円の上限が設けられました。

「多数回該当」という1年間に4回目以上高額療養費の支給の対象となった世帯((30年8月以降の個人+世帯)は、4回目以降の上限が変わります。

優遇はされていますが、見直しが行われるたび、少しずつ70歳以上の方の負担が増えているようです。


29年8月まで
(世帯)
29年8月~30年7月
(世帯)
30年8月~
現役並み
年収約1160万円~
44,400円
(80,100円+1%)
57,600円
(80,100円+1%)
252,600円+1%
現役並み
約770万~1160万円
44,400円 
(80,100円+1%)
57,600円 
(80,100円+1%)
167,400円+1%
現役並み
年収約370万~770万円
44,400円 
(80,100円+1%)
57,600円 
(80,100円+1%)
80,100円+1%
一般12,000円
(44,400円)
14,000円
(57,600円)
18,000円 
(57,600円)

住民税非課税の方の上限は、今までと変わりなく「個人8,000円、世帯24,000円か15,000円」となっています。

理由3:後から、加入前の病気が発覚して保障されないケースも多い

第3の理由は、やはり70歳以上の高齢の方にとって、よくある事例です。

高齢者のがんの場合など、加入前から罹患しているにもかかわらず進行が遅いので、加入時の告知の時点では気がつかず、保険の保障を受けられないケースが多くあります。

また、気が付かないという点では、認知症を患っていて、告知が充分にできていない場合などもあてはまります。


いずれにしても、加入前の病気が発覚した場合は、保障されないのです。

70歳以上の方の医療保険の主なメリットは、入院保障

このような理由から、70歳以上の方の医療保険は必要ないといわれることが多いのです。 

しかし、食事療養標準負担額(食費)や生活療養標準負担額(長期入院時の食費や光熱費)などの費用は高額療養費の計算には含まれません。 

入院しなくてもかかる費用ですし、1日の額としてはそんなに高くはないかもしれませんが、70歳以上の高齢者は長期入院になる可能性が高く予想以上の高額になってしまうことがあります。


また、一人部屋など特別な部屋に入った場合の差額ベッド代は、自分で費用を負担することになります。


費用の心配を軽減し、精神的に安心して入院治療をすることを保険の加入目的とするなら、70歳以上の高齢者の場合は、長期入院になる可能性もあることを考え、保険の契約時に入院保障の日数など長めに設定することを考慮するのも重要かもしれません。

70歳以上の方の医療保険には、先進医療特約やがん特約をつけることがおすすめ

また、70歳以上の方の医療保険を考えた場合、年齢により様々な病気に罹患する確率も高くなっています。

だからこそ、保険に加入するなら、入院保障の他に先進医療特約がん特約を付けることをおすすめします。

70歳以上の方には、先進医療特約がおすすめな理由

先進医療とは、大学病院などで研究された高度な医療で、まだ保険診療の対象になっていないものです。

ですから、治療を受けるとなれば高額になることが多いですし、保険診療ではないので自己負担になります。


例えば、高齢者に多い白内障の手術で「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」があります。

単焦点眼内レンズでは、焦点を遠方か近方かどちらかに合わせるしかなかったものを、多焦点眼内でレンズでは両方にあわせることができ、高齢者の老眼にも対応できるというものです。

多焦点眼内レンズを用いた手術では、50万円以上の費用がかかります。

この手術は、現在では先進医療にあたるので、公的な保険は適用できず、高齢者にとっての負担は決して少ないとは言えません。

しかし、ここで特約を使うことができます。


白内障は身近な例でしたが、そのほか、先進医療の費用は200万円、300万円とかかるものも少なくありません。


ひと月100円か200円の保険料で、思いがけない場面に対処できる安心を持てることが、保険に加入するなら先進医療特約をつけることをおすすめする理由です。


ただ、最近の医療の進歩により先進医療の対象が変わったり、治療できる病院が限定されていたりと、特約が使えない場合もあります。

保険会社により対応の違いもありますので、よく納得した上で加入されることをおすすめします。

70歳以上の方には、がん特約がおすすめな理由

日本人の2人に1人ががんにかかるといわれていますが、実は20代30代の罹患率は1%以下と少ないのです。

がんに罹患する確率は、60代以降にぐんと増え始めます

がん特約をおすすめする理由は、70歳以上の方が、がんに罹患する確率が高くなることだけではありません。


最近のがんの治療は進んでいるので、入院せず通院だけ、あるいはごく短い入院で治療をする場合も多くあります。

また、医療保険での先進医療特約では、がんを治療する先進医療に対応していなかったりする場合もあります。


がん特約は、がんと診断された時点で保険金が受け取れたり、がんを対象とする先進医療に対応していたりと、がん治療をするにあたりとても充実しているのです。

70歳以上の方は医療保険に加入するよりも貯金をしよう

70歳以上の方は、高齢者医療制度が充実し、高額療養費制度により医療費に上限が設けられてることで、高齢者自身の負担額はかなりおさえられます。

医療保険には「長期入院に備える、先進医療特約やがん特約」というメリットもありますが、 70歳以上で新規に加入するには、ひと月にかなりの額を負担しなければなりません。

入ったとしても、保障が受けられるかどうかに不安が残ります。




70歳以上で医療保険に加入するかどうかを考えた場合、保険料を支払ったと思って、その金額を貯金しておくのが良いのではないでしょうか。


老後の生活の為に使える資金には、誰しも限りがあります。 

公的な医療保険制度も考えたうえで、慎重に加入するかしないかを決めることをおすすめします。

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