更新日:2020/07/13
都民共済の火災共済(火災保険)の「新型火災共済」を解説
都民共済の火災共済「新型火災共済」は、掛け金が安く、地震保障が充実、剰余金が割戻金としてもらえる等というメリットがある一方、補償金が最高600万円と制限があるというデメリットがあります。今回は、都民共済の火災共済「新型火災共済」について保障内容や火災保険との違いを解説します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 都民共済の火災共済(火災保険)の「新型火災共済」を解説
- 都民共済の新型火災共済(火災保険)とは
- 新型火災共済(火災保険)の加入対象者と加入条件
- 新型火災共済(火災保険)の特徴を6つ紹介
- 住宅と家財の補償額と掛金の早見表
- 参考:火災保険と火災共済の違い
- 都民共済の新型火災共済(火災保険)の保障内容
- 都民共済の共済金がおりる被害の種類
- 住宅と家財の損害内容とそれに伴う共済金
- 見舞共済金などの諸費用でもらえる金額
- 都民共済の新型火災共済の共済金の支払い事例
- 参考:都民共済の新型火災共済の共済金の請求方法
- 都民共済の新型火災共済(火災保険)のメリット・デメリットを紹介
- 都民共済のメリット①掛金が安い
- 都民共済のメリット②日常生活のトラブルを個人賠償責任保険で保障
- 都民共済のメリット③借家人賠償責任特約で大家への損害を保障
- 都民共済メリット③地震特約(地震保険)で地震対策の強化が可能
- 都民共済のデメリット:補償金が最高600万円までと制限がある
- 都民共済の新型火災共済(火災保険)の申し込み方法
- 補足:都民共済の新型火災共済(火災保険)の解約方法
- まとめ:都民共済の火災共済「新型火災共済」の加入を検討しよう
目次
都民共済の火災共済(火災保険)の「新型火災共済」を解説
この記事をご覧のあなたは、東京都民共済の火災共済について気になって詳しく調べているでしょう。
いつ発生してもおかしくない、と言えるリスクはたくさんありますが、火災保険も同様に「万が一」への備えとして準備をしておきたいですよね。
とりわけ火災保険の中でも「東京都民共済の火災共済」は、一般的な火災保険よりも保険料が安いことが特徴として挙げられることをご存知でしたでしょうか。
そこでこの記事では多くの方におすすめできる「都民共済の火災共済」について、
- 都民共済の新型火災共済(火災保険)とは?
- 都民共済の新型火災共済(火災保険)では何を保障してくれる?
- 都民共済の新型火災共済(火災保険)のメリット・デメリットとは?
- 都民共済の新型火災共済に申し込むためにはどうすれば良い?
都民共済の新型火災共済(火災保険)とは
すでに東京都民であれば多くの方が知っている、都民共済の商品である「新型火災共済」とは、いったいどのような火災保険なのでしょうか。
まず、この共済保険は「東京都民共済生活協同組合」の組合員による相互扶助の精神で成り立っている、という点で民間が提供する保険とは異なっています。
そして、出資金200円を支払っている組合員のみが、同組合の火災保険に加入することができる、という点も異なります。
この火災保険はそもそも民間の保険会社と違い、利益を出すことを目的としていないため、保障が充実していながらも、安い掛金で保障を受けることができるのです。
では、その新型火災共済について、
- 加入対象者と加入条件
- 新型火災共済の特徴を6つ紹介
- 住宅と家財の補償額と掛金の早見表
新型火災共済(火災保険)の加入対象者と加入条件
新型火災共済の加入対象者は、
- 東京都在住者
- 東京都に勤務地がある者
- 住居を他人に貸している者
- 自分の家・別棟(同一敷地内)に住んでいる者
- 住居を借りている者
新型火災共済(火災保険)の特徴を6つ紹介
火災保険を比較する際には、保険ごとに異なる特徴について知っておく必要があります。
では、新型火災共済の具体的特徴である、
- 手頃な掛金で補償が充実している
- 再取得価額で保障される
- 地震の補償も充実している
- 見舞共済金等も充実している
- スピーディーなお支払いを目指している
- 剰余金は「割戻金」としてお戻しする
時価ではなく再取得価額で計算される
地震の補償も充実している
共済金だけでなく見舞共済金等も充実している
住宅と家財の補償額と掛金の早見表
どのような保険にも共通して言えることですが、加入者が支払う保険料が高ければ高いほど充実した保障を受けられます。
では、都民共済の新型火災共済において、加入者が支払う保険料(掛金)と補償額の関係性はどのようになっているのでしょうか。
参考として、次の住宅と家財の補償額と掛金の早見表をご覧ください。
住宅の補償額と掛金
補償額 | 木造住宅 掛金額(月額) | 鉄筋コンクリート造 掛金額(月額) |
---|---|---|
70万円 | 49円 | 30円 |
350万円 | 245円 | 147円 |
770万円 | 539円 | 324円 |
1,050万円 | 735円 | 441円 |
1,330万円 | 931円 | 559円 |
3,010万円 | 2,107円 | 1,265円 |
家財の補償額と掛金
補償額 | 木造住宅 掛金額(月額) | 鉄筋コンクリート造 掛金額(月額) |
---|---|---|
400万円 | 280円 | 168円 |
800万円 | 560円 | 336円 |
1,200万円 | 840円 | 504円 |
1,600万円 | 1,120円 | 672円 |
2,000万円まで | 1,400円 | 840円 |
このように、住宅の補償額は住宅の総坪数、家財の補償額は家族人数を基に定められます。
ちなみに、これらの金額はあくまで掛金が「月払い」の場合の掛金であり、「年払い」に設定した場合は約5%の割引を受けることができます。
参考:火災保険と火災共済の違い
保険会社が提供するのは「火災保険」、そして都民共済組合が提供するのは「火災共済」です。
一見全く同じもののように思えるこれらは、最後の二文字が違うことで具体的にどのような内容の違いがあるのでしょうか。
保険と共済の主な違い
火災保険 | 火災共済 | |
---|---|---|
加入者 | 誰でも | 限定される |
運営元 | 民間会社 (営利) | 共済組合 (非営利) |
保障プラン | 多種多様 | ほぼ一定 |
火災以外の保障 | 充実 | 最低限 |
地震保険 | 同時に加入 国が管理 | 別途保障 される |
これらの違いから分かる通り、民間の保険会社が営利目的である故に保障が充実した保険を提供できるのに対して、元々が非営利である火災共済は補償範囲が火災保険に比べると限定されています。
ですから、あくまで充実した保障が欲しいという方は火災保険を選んだ方が良いかもしれませんが、ピンポイントで最低限の保障を受けられれば良く、可能な限りコストを抑えたい、という方には火災共済がおすすめです。
都民共済の新型火災共済(火災保険)の保障内容
ここまでは、新型火災共済の特徴や掛金についてご紹介させていただきました。
あくまでも営利目的で運営している団体ではないため、保険料が安く、組合員にとって利用しやすいサービスに努めている、という点がポイントです。
しかし、実際に「どのような場合に保険が適用されるのか」という点は誰もが気になる点でしょう。
そこでここからは、新型火災共済の損害内容や補償金額について、
- 共済金がおりる被害の種類
- 住宅と家財の損害内容とそれに伴う共済金
- 見舞共済金などの諸費用でもらえる金額
都民共済の共済金がおりる被害の種類
火災保険なので「火災」による損害を保障してくれるというのは当然です。
しかし、火災以外にも、
- 消防破壊・消防冠水
- 破裂・爆発
- 車両の衝突
- 落雷
- 他人の住居からの
水漏れ - 突発的な第三者の
直接加害行為
(損害額が5万円未満のものを除く) - 建物外部からの物体の
落下・飛来
住宅と家財の損害内容とそれに伴う共済金
上記の被害で住宅や家財に損害が生じた場合は、以下の損害内容に伴って共済金が支払われます。
住宅と家財それぞれでは、以下のような補償が行われます。
住宅の場合
- 全焼(損傷が70%以上):加入額の全額
- 部分焼(損傷が70%未満):損害額(再取得価額で計算)
このような基準で共済金が支払われます。
また、火災時にはこの基本的な共済金に加えて、仮住まいでの生活に必要となる費用を賄うための「臨時費用」も支払われることになります。
家財の場合
家財に関しては、共済金は加入額を限度として再取得価額で計算されます。
家財は世帯人数によって掛金も変わりますから、家財の補償額(加入限度額)を超えない範囲で家財の損害分の補償が行われます。
見舞共済金などの諸費用でもらえる金額
新型火災保険で受け取れる見舞共済金には、臨時で必要となる費用を賄うという意味合いがありますが、保障の観点から見ると重要な部分です。
- 臨時費用:一時的に生活費を賄うための費用、最高200万円まで
- 焼死等:死亡または重度障害を負った場合に1人にあたり100万円が支払われる
- 持ち出し家財:住宅以外に持ち出した家財が損害を被った際に適用
- 失火見舞費用:自宅の火災が他の住宅にも損害を与えた際に適用される
- 借家修復:居住しているのが借家である場合、加入額の20%まで支払われる
- 漏水見舞費用;漏水等の被害を被った第三者が保有する住宅、1世帯あたり40万円
都民共済の新型火災共済の共済金の支払い事例
ただ一口に「火災」や「地震」といっても、偶発的なものからそうでないものまで、非常に様々な事例が想定されます。
たとえば、タバコの不始末によって自宅が火事になることもあれば、隣の家が同様にタバコの不始末によって火事を起こすことで、自宅ももらい火事で全焼になることがあります。
そういった事例において、
- 住宅:2,100万円
- 家財:1,200万円
それぞれの保障に加入している場合、両方の合計額である3,300万円と臨時費用200万円を合算して、3,500万円を受け取ることができます。
また、ブレーカー等からの出火により全焼ではなくとも壁や天井などの一部が焼けるような事例では、部分焼となります。
そういった事例において、
- 住宅:2,000万円
- 家財:なし
参考:都民共済の新型火災共済の共済金の請求方法
実際に自宅が火事になった場合、どのようにして共済金を受け取ることができるのでしょうか。
他の保険と同様、新型火災共済における共済金を受け取るためには、共済組合に対して申請を行う必要があります。
共済金を受け取るまでの具体的な手順は、
- 都民共済へ連絡し、罹災した日時や原因、損害状況などを詳しく伝える
- 都民共済より請求書類が、査定に伴い届けられる
- 請求書類に必要事項を記入、必要な書類を同封して、都民共済へ送付する
- 書類が確認され次第、共済金の支払いが行われる
都民共済の新型火災共済(火災保険)のメリット・デメリットを紹介
ここまで取り上げてきたのは、都民共済の新型火災共済が、一般的な火災保険と比較すると高いコストパフォーマンスであることや、十分な補償が受けられる、という点です。
しかし、これから加入を考えている方はメリットだけではなく、デメリットの部分も理解することは大切です。
では、新型火災共済にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
次から、
- メリット①:掛金が安い
- メリット②:日常のトラブルが保障対象である
- メリット③:大家への損害も保障対象である
- メリット④:地震被害も保障してくれる
- デメリット:補償額の上限が600万円までと決められている部分がある
都民共済のメリット①掛金が安い
一つ目のメリットは、一般的な火災保険会社に比べると掛金が安いことです。
具体的に表でまとめると、次のようになります。
比較条件
- 新築戸建の物件
- 建物金額:2100万円
家財金額:500万円 - 期間10年(地震保険は5年)
- 住所:東京都
- 建物面積:96.88㎡
木造・準耐火建築物
火災保険料 | |
---|---|
損保ジャパン日本興亜 | 238,860円 (年間23,886円) |
都民共済 | 208,000円 (年間20,800円) |
あくまで一例ですが、都民共済を選択することによりこのくらい費用が安くなりました。
もちろん民間の保険会社が提供する火災保険と火災共済では保障内容が異なるため、保険料の違いだけで単純比較することはできません。
しかし、さらに保障が充実している火災保険と比較すると、都民共済の新型火災共済の安さが実感できることでしょう。
都民共済のメリット②日常生活のトラブルを個人賠償責任保険で保障
都民共済の新型火災共済に加入する方は、同時に「個人賠償責任保険」にも加入することができます。
個人賠償責任保険は、加入者が他人や他人の所有物に対して損害を負わせて、賠償を支払わなければならなくなったときに用いることができる保険です。
その「損害を負わせた」がどのようなケースに当てはまるのかというと、
- 洗濯機のトラブルで階下に水漏れしてしまった
- 住宅のベランダから物を落下させて通行人を怪我させてしまった
- 自転車の走行中に他人とぶつかり怪我をさせてしまった
- 偶発的な事故ではなく故意に損害を負わせた場合
- 同居している親族に対して発生した賠償責任
- 他人が所有している物品を借りている間に壊した場合
- 自動車や原付等の所有・管理を原因とした賠償
都民共済のメリット③借家人賠償責任特約で大家への損害を保障
都民共済の新型火災共済では、個人賠償責任保険の他に、もう一つ同時加入を考えておきたい保険があります。
それが、「借家人賠償責任特約」です。
これがどのような保険なのかというと、自宅が借家である場合に、大家(管理会社)への賠償責任が発生した際に保障を受けることができる特約です。
火災だけでなく爆発や破裂、漏水等による損害が対象となる点は、火災保険における事例と同じです。
本来火災保険では「自分が所有している建物」に関する保障を受けられますが、これは貸主が存在する借家に関する保障なので、この特約への加入が貸主側から求められる場合もあります。
またこの保険は「特約」と指定されているように単体では加入することができず、都民共済の新型火災共済と同時に加入することとなります。
個人賠償責任保険と同様に、故意による損害は免責(保障の対象外)となる点は覚えておきましょう。
都民共済メリット③地震特約(地震保険)で地震対策の強化が可能
すでに何度か取り上げている通り、都民共済の新型火災共済では、同時に地震に関する保障を付帯することができます。
これは一般的な火災保険における「地震保険」に該当するものであり、火災保険と同時に加入することが必須であるという点も同じです。
地震特約では、地震で負った損害に対して15%が支払われることになりますが、すでに火災共済の方に5%の地震に関する保障が含まれているため、合計で損害のうち20%分の保障が受けられます。
地震特約では住宅がある地域によって以下のように掛金が変わります。
分類 | 火災共済の加入額 1万円あたり(月払い) | 火災共済の加入額 1万円あたり(年払い) |
---|---|---|
Aグループ 木造等 | 0.2625 | 3 |
Aグループ 鉄筋コンクリート造 | 0.13125 | 1.5 |
Bグループ 木造等 | 0.3675 | 4.2 |
Bグループ 鉄筋コンクリート造 | 0.18375 | 2.1 |
Cグループ 木造等 | 0.63 | 7.2 |
Cグループ 鉄筋コンクリート造 | 0.34125 | 3.9 |
この地域ごとの掛金一覧表に基づき、
- 火災共済の加入額(住宅+家財) ✕ 火災共済の加入額(1万円あたりの掛金)
こちらの計算式で掛金が求められます。
たとえば、東京都在住の木造住宅であり火災共済の加入額が2,500万円だとする場合、
- 加入額(保障):2,500万円✕0.15=375万円
- 掛金月払い:2,500(万円)✕0.63=1,575円
- 掛金年払い:2,500(万円)✕7.2=18,000円
日本でも東日本大震災以降リスクに備えるための地震保険は需要が高くなっています。
地震保険への加入は必須ではないものの、火災よりも損害を防ぐことが難しい地震への保障を付帯しておくことを一考しておくのは価値があるでしょう。
都民共済のデメリット:補償金が最高600万円までと制限がある
都民共済においてデメリットと言える部分には、どのような点があるでしょうか。
その一つに、風災や水災、雪害に関する補償金(見舞金)が最高600万円までと制限がある、という点が挙げられます。
比較先として、損保ジャパンの火災保険では、風水雪害における保険金は損害額から自己負担金を差し引いた金額(火災保険の保険金額が上限という制約あり)となり、自己負担額を0円に設定していれば自己負担は発生しません。
その他、火災共済では
- 地震等基本共済金:最高300万円まで
- 地震等特約共済金:最高900万円まで
- 持ち出し家財見舞共済金:最高100万円まで
- 漏水見舞費用共済金:最高100万円まで
都民共済の新型火災共済(火災保険)の申し込み方法
これから都民共済の新型火災共済に加入しようと思っている方は、どのようにして共済への申込みを行うことができるでしょうか。
まず、この共済には加入者の条件があり
- 東京都に在住している人
- 東京都に勤務地がある人
このいずれかに当てはまる人のみが加入できます。
この条件に当てはまる人は、インターネット経由で簡単に新規申し込みが行えるほか、書類を郵送して申し込んだり、特定の銀行で申し込むことが可能です。
郵送で申し込む場合は、都民共済のホームページから資料請求をするか、都民共済の窓口から直接資料を請求することも可能です。
申込みが完了すると掛金を口座から振り込むことになりますが、月払いか年払いかどちらかの方法を選択することができます。
最後に都民共済側で審査が行われ、審査に通過すると正式に申し込み完了となり、保障が開始されます。
補足:都民共済の新型火災共済(火災保険)の解約方法
基本的に火災保険は長期での加入が前提となっているため、1年や2年で解約することを考えて加入することは少ないでしょう。
しかし、経済的な事情等で都民共済の解約を考えることがあるかもしれません。
では、都民共済の新型火災共済はどのように解約することができるのでしょうか。
解約の手順は、
- 加入証書の裏面にある通信欄に「解約」と明記をする
- 署名・捺印をする
- 上記証書を組合へ送付する
まとめ:都民共済の火災共済「新型火災共済」の加入を検討しよう
この記事では、都民共済の新型火災共済について紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
この記事の要点は、
- 東京都の都民共済組合員のみ加入できるのが「新型火災共済」である
- 火災のほか、地震や風災、水災や雪災等による損害も保障に含まれる
- 新型火災共済は、一般的な火災保険よりも保険料(掛金)が安い傾向
- ただし保障額が限られている等のデメリットもある
- 都民共済の新型火災共済は公式ホームページからネット経由で申し込みできる