変額年金のVAは生命保険商品でありながら、投資リスクを伴います。

生命保険は死亡や病気など支給原因によって区分されたり、一時金又は年金といった支給方法で区分されます。これらとは別に、支給額が一定か変化するのかで区分されることもあります。生命保険区分のひとつ変額年金をVAといいます。VAは投資の性質をもつ商品といえます。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

生命保険における変額年金(VA)と定額年金のメリットとデメリットとは

生命保険には契約時点で利率等を含めた支給額が決まる定額年金と、運用実績によって支給額が変動する変額年金(VA)があります。


その良し悪しは一概に決められません。


なぜなら契約商品に求めるものや個々人のライフスタイルによって決まるものだからです。


それぞれのメリットとデメリットは何処にあるのでしょうか。

変額年金(VA)のメリット・デメリット

変額年金(VA)のデメリットは、契約時点において支給額が定まっていない点です。


もし運用実績が悪ければ、支給開始時期になって満足な年金が受け取れないリスクがあります。


ただその一方で、景気が上昇するなど運用実績が上がれば、契約時に考えていた金額より多くの年金を手にできるのはメリットです。

定額年金のメリット・デメリット

定額年金のメリットはやはり、運用実績や景気に左右されないところでしょう。


契約時点で利率や基本支給額が決まっているので、長期に保険料を支払った後で年金が減るリスクを心配せずに済みます。


それは生命保険の趣旨から考えると重要でしょう。ただ、年金支給時期に好景気になるなど金融市場が賑やかになれば、定額の年金が相対的に目減りする点はデメリットといえます。




変額でも、年金を強調した商品VAと保険を強調した生命保険商品があります

生命保険における定額と変額の違いは理解できたと思います。これをさらに細分化すると変額商品の中に、変額年金(VA)と変額保険の二種類があります。


これらは変額と呼ばれるために同じように考えられていますが、実は大きな違いがあります。それは保障の面です。


一体どういった点が違うのか見ていきます。

変額年金(VA)は投資面を強調した商品

変額年金(VA)と変額保険の違いは死亡保険などの保障額にあります。変額年金(VA)は年金支給額と死亡保険金額は運用実績において常に変動するため、死亡保険金も年金も契約時に予定した金額が保障されません。その点では、投資信託のように資産運用の側面が強いといえます。

生命保険だからこそ死亡保険は重要

変動保険は、変動年金(VA)と同様に保険金が運用先の実績によって上下します。


しかし、変動年金(VA)と異なる点は、死亡保険金の最低保障額があることです。


いかに運用実績が悪くても、一定額以下になることはありません。死亡保険は色々ある生命保険商品の中でも重要な保障です。


長年加入して被保険者が亡くなった時、大幅に減額されては受取人が戸惑うに違いありません。この点はVAとの違いといえます。

一般的な生命保険と異なるVAは、どのように運用されるのか

VAは生命保険商品にある将来のリスクに備えるというよりも、死亡保障などが付属した投資商品といったイメージです。


それだけに資産を預ける契約者は、その内容が気になります。VAはどのように契約し、契約後どのように運用されるのか。


またどういった契約が可能なのか見ていきます。

VAに加入する窓口はどこ?

VAは生命保険商品の一つですので、インターネットを含め保険会社で契約することはもちろん可能です。


その他に、資産運用の側面も併せ持ちますので、証券会社や銀行の窓口でも取り扱っています。


VAは加入期間が長期になりますから、どういったリスクがあるか理解した上での契約が重要です。

VAの運用方法はどのように行うか

生命保険料は一般勘定と特別勘定に分けられます。定額の保険は一般勘定で預け契約者はリスクを負いません。


一方、VAなどの変額商品は特別勘定で運用されます。


この特別勘定での運用先(ファンド)は契約者自身が決定できます。運用実績が良くない場合は、運用先を変更することも可能です。

変額年金(VA)と投資信託では、どう違うのか?

生命保険商品のVAに投資リスクがあるのは理解できたとして、株や債券、為替に投資する投資信託との違いはどこにあるのでしょうか。


証券会社や銀行が取り扱う点や運用する点では同じように見えます。


しかしVAが生命保険商品であることが、投資信託との違いに大きく関わっています。

VAは生命保険商品のひとつである

生命保険商品のひとつであるVAを契約し支払った保険料は、所得税の保険料控除対象になります。


一方で投資信託ではそうした控除はなされません。


また死亡保険金に対する相続税の生命保険非課税枠が適用される点も投資信託とは異なります。


いかに資産運用が強調された商品とはいえVAは生命保険商品であることが、ここからも分かります。

VAにはない投資信託の有利な点

VAはあくまでも生命保険商品。資産を増やすことが主目的ではありません。


分配金を定期的に受け取りたいときは投資信託が有利です。VAは基本的に長期運用により満期を迎えた後で受け取る商品ですから、生活資金に使う場合は不向きです。


ただし、投資信託の収益分配については源泉分離課税が行われるので、費用面の理解は重要です。

まとめ

生命保険はどちらかと言えば将来の保障を目的とするイメージがあります。


しかし変額年金(VA)は保障よりも支払った保険料を運用し、資産を増やすことを目的とします。


これは従来の生命保険とは随分異なります。それだけにVAの契約を考えた場合、どんなリスクがあるのか、将来受け取れる年金額や死亡保険金について十分理解した上で行いましょう。

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