50代で個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入するメリットと注意点は?

平成29年から加入できる人が増え、注目されている個人型確定拠出年金(iDeCo)。興味はあるけど年齢的に加入を迷う50代の方も多いのではと思います。50代の人が個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入する時のメリットと注意したい点についてご説明します。

50代は個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入すべきか?

老後の資産形成方法の一つであり、私的年金でありながら税制優遇が受けられる個人型確定拠出年金(iDeCo)。


2017年1月からは加入対象となる人の範囲が広がり、ほぼすべての60歳未満の人が加入できるようになりました。


しかし興味はあるものの、50代から始めても意味があるものか?と加入を迷っている方もいることでしょう。

まずはじめに、50代にとっての個人型確定拠出年金(iDeCo)加入のメリットについて見ていきましょう。



50代は個人型確定拠出年金(iDeCo)の所得控除の恩恵が大きい

個人型確定拠出年金(iDeCo)では、拠出した掛金は全額所得から控除することができます。


例えば毎月1万円ずつ拠出した場合、年間で12万円全額が所得から控除され、その分所得税・住民税の課税対象となる所得が減ります。


民間保険会社の個人年金保険の控除額は、最大で所得税4万円・住民税2万8,000円なので、個人型確定拠出年金(iDeCo)の節税効果が大きいことがお分かりいただけると思います。

所得別の所得税率は?

所得税は、課税の対象となる所得の金額ごとに決められた所得税率をもとに計算されます。

平成27年分以降の、課税所得金額別の所得税率は次のようになっています。

  • 195万円以下:5%
  • 195万円越 330万円以下:10%
  • 330万円越 695万円以下:20%
  • 695万円越 900万円以下:23%
  • 900万円越 1800万円以下:33%
  • 1800万円越 4000万円以下:40%
  • 4000万円越:45%

所得が高いほど所得控除の恩恵が大きい

所得が高い人ほど所得税や住民税の課税対象となる所得金額が多くなり、所得税率も高くなります。

例として、年収が400万円の場合と1,200万円の場合を比較してみましょう。(平成29年分として計算しています。)


所得税

  • 年収400万円ー基礎控除38万円ー給与所得控除134万円=課税所得228万円 228万円×所得税率10%-控除額9万7,500円=13万500円
  • 年収1,200万円ー基礎控除38万円ー給与所得控除220万円=課税所得942万円 942万円×所得税率33%-控除額153万6,000円=157万2,600円

住民税(所得割分)

  • 年収400万円ー基礎控除33万円ー給与所得控除134万円=課税所得233万円 (233万円×市民税率6%)+(233万円×県民税率4%)=13万9,800円+9万3,200円=23万3,000円
  • 年収1,200万円ー基礎控除33万円ー給与所得控除220万円=課税所得947万円 (947万円×市民税率6%)+(947万円×県民税率4%)=56万8,200円+37万8,800円=94万7,000円

所得控除としては他にも社会保険料控除や扶養控除・医療費控除など様々なものがあり、実際の所得税や住民税はこれより少ない金額になることが多いです。


個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛金分の課税所得が減るので、高所得で税率が高い人にとっての節税メリットは大きくなります。


50代の平均年収は年代別では最も高く、20・30代と比べると200~300万円ほど多いというデータもあります。一般的に50代の人にとっての、個人型確定拠出年金(iDeCo)の税制優遇効果は高いと言えそうです。

50代が個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入する際の2つの注意点

つぎに、50代の人が個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入する際に、気をつけるべき2つの点について見ていきましょう。






注意点1:60歳でも資産を受け取れない可能性が

個人型確定拠出年金(iDeCo)で積立・運用した掛金は、60歳以降~70歳になるまでの間、好きな時期に受け取りを開始することができます。

しかし、60歳になった時点での加入期間が10年に満たない場合は、受給を開始できる年齢が決まっているので注意が必用です。

50代で個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入した場合、受給可能なのは早くても61歳からということになります。


60歳時点での加入期間と受給可能年齢の関係

  • 10年以上  60歳
  • 8年以上~10年未満  61歳
  • 6年以上~8年未満  62歳
  • 4年以上~6年未満  63歳
  • 2年以上~4年未満  64歳
  • 1カ月以上~2年未満  65歳

特に60歳を過ぎたら早めに受給したいと考えている場合は、加入前によく確認することが大切です。

ただし、掛金の拠出は60歳まで

それでは60歳以降も掛金を拠出すれば良いのでは?と思われるかもしれませんが、残念ながら拠出できるのは受給可能年齢に関わらず60歳までです。50代後半で加入した場合、拠出できるのは数年ということになります。


60歳以降、掛金の拠出をしなくなってから受給開始までの期間は、掛金の運用のみを行う「運用指図者」になります。

注意点2:50代はリスクが高い商品だと損をする可能性が高い

個人型確定拠出年金(iDeCo)の運用商品には定期預金、国内外の株式や債券・不動産などがあり、これらを単独または複数組み合わせて運用することになります。


運用で得た収益を再投資していくことで、より大きな収益が得られることを「複利効果」といい、運用期間が長いほど効果が大きくなります。50代で個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入した場合、運用期間が短くなるので、その分得られる利益が小さくなってしまいます。

また株式などへの投資では、市場の動きなどにより収益が増減します。収益が減ったときに、運用期間が短いと十分にそれを回復しきれないという可能性もあります。


50代は個人型確定拠出年金(iDeCo)の運用期間が短いなら、短期間でなるべく大きな利益を得よう、と考える方も少なくないと思います。

しかしより高い収益を目指して、ハイリスク・ハイリターンの株式や債権に積極的に投資するタイプの商品では、相場の下落などにより大幅な損失を抱えることもあります。

そうなった場合、短い運用期間では回復が難しく、元本割れになるなど大きく損をしてしまうこともあるので注意が必用です。

50代でも個人型確定拠出年金(iDeCo)は魅力的

50代の個人型確定拠出年金(iDeCo)には注意すべきこともありますが、加入した場合の税制優遇はやはり十分なメリットがあると言えます。


前述した所得控除の恩恵がある分運用益が大きくなる上、年収が増える50代は20代・30代の時より多くの掛金を拠出できる可能性があります。

また一般の株式投資と異なり個人型確定拠出年金(iDeCo)の運用益はすべて非課税であることも大きなメリットとなります。


受け取り時は課税の対象となりますが、一時金で受け取る場合は「退職所得控除」、年金として受け取る場合は「公的年金等控除」が適応されます。一時金と年金を組み合わせて受け取れる運営管理機関もあるので、企業などからの退職金や公的年金との関係も考慮して受け取り方法を決めるのが良いでしょう。


また、50代は受取開始可能な60歳までの時間が短い、つまり運用期間が短いことや、若い人よりも貯蓄があることなどを考慮した商品の配分比率、ポートフォリオを考える必要があります。特に50代後半の方は、ますます運用期間の短さについては意識しなければなりません。


一般的には、50代の方は、20代の人よりはローリスクローリターンの商品に多めの配分にしたほうが良いと言われています。 

まとめ

個人型確定拠出年金(iDeCo)は、基本的には20代・30代の頃から中長期的に積み立てることを想定した仕組みのように思われます。しかしもう50代だからと、あきらめるにはもったいないメリットがあることも事実です。


注意するべき点もありますが、デメリットとして捉えるだけでなく、個人型確定拠出年金(iDeCo)を活用するための参考としていただければと思います。

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