iDeCoの2022年の法改正の内容まとめ|制度改正でiDeCoはどう変わる?

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2016年に始まったiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)が2022年の法改正でより充実した制度に代わりました。この記事では今回の法改正での変更点と、注意する点を解説します。また、会社員がiDeCoに加入するときによくある悩みも解説します。



▼この記事を読んで欲しい人

  • iDeCoに興味がある人
  • iDeCoに加入したいけどどうしたらいいか分からない人
  • 会社員だけどiDeCoに加入したい人

内容をまとめると

  • 2022年4月から受け取り開始可能年齢が75歳までになる
  • 2022年5月から加入可能年齢の拡大
  • 2022年10月から企業型DCとiDeCoの同時加入がしやすくなる
  • 企業型DCとiDeCoを同時加入する場合は上限金額に制限がある
  • 会社員がiDeCoに加入する時は会社に証明書を書いてもらう必要がある
  • iDeCoについて相談したい時はマネーキャリアの無料FP相談がおすすめ

iDeCoは2022年の法改正でさらに充実した制度になる


2016年に始まった、iDeCoという制度を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。


iDeCoは「個人型確定拠出年金」の通称で、老後に受け取る年金を自分で掛金を拠出し、運用方法を選んで運用する私的年金制度です。国民年金や厚生年金の公的年金に上乗せし、自分で老後の資金を運用して準備する年金です。


iDeCoにはこちらの3つの税制優遇のメリットがあります。

  1. 掛金が全額所得控除
  2. 運用益も非課税で再投資
  3. 受け取る時も大きな控除


iDeCoの掛金は「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除の対象になり、納める税金を減らすことが出来ます。また、投資の運用益には通常、約20%の課税がされますが、iDeCoの運用益は非課税で再投資されます。


老後資金として元金と運用益を受け取る時には、受け取り方を「一時金」と「年金」から選ぶことが出来ます。一時金として受け取る時には「退職所得控除」、年金として受け取る時には「公的年金等控除」の対象となります。


iDeCoは3つの税制優遇のメリットがあり、節税しながら老後資金の準備ができるため、約180万人の加入者がすでに利用しています。


そのiDeCoが2022年の法改正で、さらに充実した制度になりました。今回の法改正で変わった部分はこちらの3点です。

  1. 2022年4月:受け取り開始可能年齢が75歳までになる
  2. 2022年5月:加入可能年齢の拡大
  3. 2022年10月:企業型DCとiDeCoの同時加入がしやすくなる


この記事では2022年の法改正でiDeCoがどのように変わったのかについて解説しています。

iDeCoの制度改正内容①2022年4月:受け取り開始可能年齢が75歳までになる


2022年4月より、受け取り開始可能年齢が75歳まで延長されます。現在の制度では60歳以降、70歳までの間で受け取り開始時期を選ぶことが出来ますが、その選択の幅が60歳から75歳までと広くなります。


最近では働き方や暮らし方が多様化し、定年退職後も再雇用などで働き続けて収入を得ている高齢者が増えています。そうした多様化に合わせて選ぶことが出来る制度変更となりました。


iDeCoの資産は、運用中はずっと非課税で運用することが出来ます。今回の法改正で受け取り開始可能年齢が延びたことで、非課税で運用できる期間も延びたことになります。より長く非課税で運用することができ、お金を増やせる可能性が高まります。


また、公的年金制度は受給開始年齢が65歳となっていて、60歳~64歳で受け取り開始をする場合は繰上げ受給、66歳~75歳で受け取り開始をすることを繰下げ受給と言います。繰上げ受給をすると年金額が減少し、繰下げ受給をすると受給額が増加し、その年金受給額は一生涯継続されます。


iDeCoの受け取り開始可能期間の幅が広がったことで、公的年金の受け取り開始との兼ね合いを考えながら、合理的な受け取り方の選択肢が増えたのもメリットと言えるでしょう。


しかし、iDeCoの資産が増えるかどうかは市場の動向によります。受け取り開始の時期によっては資産が減るリスクもあるので、市場の動向を見ながら受け取る時期を検討しましょう。

iDeCoの制度改正内容②2022年5月:加入可能年齢の拡大


2022年5月より、iDeCoへの加入可能年齢が拡大されます。


現在は加入可能年齢が60歳までとなっていますが、今回の改正で原則65歳まで加入できるようになります。


新たに加入できるようになったのはこちらの方たちです。

  • 60歳以上の国民年金被保険者
  • 60歳以降もサラリーマンとして働く65歳未満の方
  • 任意加入被保険者として国民年金に加入している65歳未満の方


任意加入は自分の意志で任意に国民年金に加入し、保険料を納めることを言います。任意加入している方には大きく2つのケースがあります。

  • 国民年金が満額もらえる保険料納付済期間が40年に達していない方が、60歳以降も加入継続を希望するケース
  • 海外に居住している日本国民が老後に国民年金を受け取れるよう加入を希望するケース

今回の改正で、これらの方もiDeCoに加入できることになります。


60代前半のサラリーマンの方がiDeCoに加入できるようになることで、

  1. 老後資産の積み増しが出来る
  2. 掛金の所得控除が受けられる
  3. 50代に新規加入することのデメリットが無くなる

という3つのメリットがあります。


毎月2.3万円の積み立てをする場合、①5年間で138万円+運用益を老後資産に積み増しできます。②その5年間の所得税率が一番最低ラインの5%だったとしても、所得税と住民税(10%)を合わせて年間約4万円、5年間で約20万円も税負担軽減効果があります。


③iDeCoでは通算加入者等期間が10年に満たない場合は、受給可能となる年齢が繰り下げられます。50代でiDeCoに新規加入すると、60歳時点での通算加入期間が10年ないため、60歳で受け取ることが出来ず、加入している期間と受け取り開始までに空白期間がありました。この空白期間の間は掛金の所得控除メリットがない中、口座管理料を負担しつつ、残高の運用を継続するしかありませんでした。


今回の改正によって50代で加入し、受給開始年齢に達するまで加入し続ければ、この空白の期間は消滅します。老後資金をラストスパートをかけて準備したい50代にはメリットといえます。

iDeCoの制度改正内容③2022年10月:企業型DCとiDeCoの同時加入がしやすくなる


現在のiDeCoでは原則60歳未満の国民年金被保険者が加入可能となっていますが、企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入している方はほぼiDeCoに加入できませんでした。


なぜなら、企業型DCとiDeCoを併用するためには、労使合意によって「企業型DCとiDeCoの併用を認める」といった規約を定める必要があったからです。2022年10月からは、このような規約による定めがなくても、iDeCoに加入できるようになります。


企業型DCに加入している方は約750万人おり、今までは多くの方がiDeCoの加入を希望しているのに加入できない状況でした。これが2022年10月以降は問題なく加入できるようになるため、iDeCoの加入者が増えるとみられています。


しかし、企業型DCとiDeCoを併用するためにはルールがあります。そちらのルールについて解説していきます。


同時加入する際のiDeCoの拠出限度額の2つのルール

企業型DCとiDeCoに同時加入する場合、拠出限度額について2つのルールがあります。

  1. 企業年金の有無に応じたiDeCoの限度額以内
  2. 企業型DCの会社掛金とiDeCoの掛金の合計が、企業型DCの限度額以内


企業年金には企業型DCと言われる企業型確定拠出年金と、DBと呼ばれる確定給付企業年金があります。企業型DCは運用結果によって受給できる年金額が変わるのに対し、DBは確定給付型と言って、受給額が確定しているものになります。このDBの有無によって、iDeCoの上限額が変わります。


企業型DCのみに加入している場合、企業型DCとiDeCoの掛金の合計は5万5,000円までになります。そのうちiDeCoの掛金上限額は月2万円です。


これがDBにも加入している方だと、企業型DCとiDeCoの掛金の合計は2万7,500円までになります。そのうちiDeCoの掛金上限額は月1万2,000円です。


つまり、現状で企業型DCの掛金が5万5,000円、あるいは2万7,500円の上限に達している方は、iDeCoを併用することができません。上限に達していなくても、上限に近い場合はiDeCoの掛金も少なくなってしまうので、iDeCoを上限まで利用したい場合は企業型DCの掛金を引き下げる必要があります。

マッチングと同時加入の比較

企業型DCにはマッチング拠出という制度があります。マッチング拠出は、企業が拠出している掛金と同額までの掛金を自分で拠出して運用することが出来るというものです。このマッチング拠出とiDeCoは併用できないため、「企業型DC+マッチング拠出」か「企業型DC+iDeCo」のどちらにするかを選ぶ必要があります。


マッチング拠出も企業が拠出する掛金との合計額5万5,000円が上限となっています。


もし、企業が毎月4万円を拠出している場合、マッチングで拠出できる額は上限1万5,000円となります。この場合、iDeCoを選んでも1万5,000円まで拠出できますが、同額であれば運用費や口座管理費を自分で負担する分、不利になります。


企業の拠出掛金が1万5,000円の場合は、マッチング拠出額の上限も1万5,000円(企業掛金と同額まで)になります。しかし、iDeCoの場合は上限の2万円まで拠出できるため、この場合はiDeCoの方が有利になります。企業型DCとiDeCoの併用は、企業掛金が低い場合はマッチング拠出よりiDeCo同時加入の方が多く拠出できます。


マッチング拠出は自分で掛金を拠出しますが、運営管理手数料や拠出ごとの手数料が会社負担になります。iDeCoは加入時に口座開設手数料がかかるほか、運用中の手数料が自己負担です。iDeCoは金融機関を自分で選ぶことができるため、商品選びの自由度はiDeCoが有利です。


自分が加入している企業型DCの掛金との兼ね合い、商品選びの希望などを見てどちらを選ぶか検討しましょう。どのように加入すべきか悩んでいる方にはマネーキャリア無料FP相談サービスがおすすめです。お金のプロであるFPにより合理的な加入ができるよう相談しましょう。

iDeCoに関するよくある悩み


今まではiDeCoに加入しても加入できなかった会社員ですが、iDeCoの改正によって加入することができるようになりました。


しかし、会社員がiDeCoに加入するためには企業に証明書を記載してもらわないといけないため、それが障壁となって加入をためらう人も出てくると思います。


ここではiDeCoに関するよくある悩みを2つ紹介します。

  •  iDeCo加入を会社に知られたくない
  • 会社が事業主証明の書類を書いてくれない 


iDeCoの加入に悩んだらこちらの項目を参考にしてください。

悩み①iDeCo加入を会社に知られたくない

現在、会社員の方iDeCoに加入する場合、勤務先に「事業主証明書」を記入してもらう必要があります。


これは事業主に

  • 厚生年金保険の被保険者であること
  • 企業年金等の実施状況
  • 加入資格の有無

を証明してもらうため、法令により、事業主の証明書の提出が必要とされているからです。


iDeCoへの加入を希望している人の中には、iDeCoに加入することで何か言われるのではないかと、「会社にiDeCoへの加入を知られたくない」と思っている方もいるでしょう。現在の制度では事業主証明書の提出が必須なので、会社員がiDeCoに加入する際は必ず会社へ知られてしまいます。


しかし、この事業主証明書ですが、今後廃止されることが検討されています。2022年秋を目処に、iDeCo以外の私的年金制度(企業型確定拠出年金、確定給付企業年金など)の情報が、国民年金基金連合会へ提供されるため、iDeCo加入資格の証明が不要になります。


どうしても会社に知られずにiDeCoへ加入したい場合は、証明が不要になるまで先延ばしするのもひとつの手です。

悩み②会社が事業主証明の書類を書いてくれない

iDeCoは個人で掛金を拠出して運用し、個人で受け取る制度のため、会社の福利厚生とは全く関係ありません。そのため、会社側が事業主の証明書への記入を面倒くさがるケースがあります。


しかし、会社側には「確定拠出年金法」で、社員のiDeCo加入に協力することとされており、事業主の証明書発行においても協力するべき立場にあります。そうは言っても、現場では守られていない現状があります。


法令を持ち出して交渉をするという方法もありますが、あまり強く出ると揉めて余計に書いてもらえなくなる可能性もあります。どういう理由で書いてもらえないかにもよりますが、手続きについてを把握してもらうことで協力してもらえるかもしれません。iDeCo公式サイトからダウンロードできる「事業主向けチラシ」を渡してみるのもいいでしょう。


iDeCoの加入は法令で決まってるとは言え、会社側にも手続きの負担があります。できるだけ手続きについて分かりやすくして、協力してもらえるように働きかけるといいですね。


事業主向けチラシ|iDeCo公式サイト

まとめ:iDeCoの正しい活用方法を知るならまずはマネーキャリアで無料相談!


この記事ではiDeCoの2022年の改正について解説しました。


この記事のポイントはこちらです。

  • 2022年4月から受け取り開始可能年齢が75歳までになる
  • 2022年5月から加入可能年齢の拡大
  • 2022年10月から企業型DCとiDeCoの同時加入がしやすくなる
  • 企業型DCとiDeCoを同時加入する場合は上限金額に制限がある
  • 会社員がiDeCoに加入する時は会社に証明書を書いてもらう必要がある
  • iDeCoについて相談したい時はマネーキャリアの無料FP相談がおすすめ


企業型DCは会社が掛金を拠出し、手数料も負担してくれます。マッチング拠出を併用すれば、会社が手数料を負担している口座を使って、自分でも掛金を拠出して運用することができるというメリットがあります。


iDeCoは企業型DCと比較すると、金融機関や商品を選ぶ自由度が高いというメリットがあります。マッチング拠出とiDeCoのどちらを選ぶ方が良いのか、どのような商品を選べばいいのか悩んでいる方はマネーキャリア無料FP相談がおすすめです。


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