更新日:2024/06/12
個人型確定拠出年金(iDeCo)とふるさと納税の上手な活用方法とは?
401kなどの愛称でもしられる個人型確定拠出年金(iDeCo)。どのようなメリットがあるのでしょうか。ふるさと納税との併用による影響もしりたいですよね。節税対策として、個人型確定拠出年金(iDeCo)でしっかり控除した上で、上手にふるさと納税を活用しましょう。
目次を使って気になるところから読みましょう!
iDeCoとふるさと納税を併用して税控除する際の注意点をお伝えします
確定拠出年金には、企業型と個人型があります。
個人型確定拠出年金(iDeCo)は、自営業者やフリーランス、確定企業年金もほかの企業年金もない企業で働いている人しか加入できませんでした。
しかし、2017年1月より、ほとんど全ての人が個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入できるようになりました。
これにより、企業年金がある企業の会社員や公務員、専業主婦なども任意で加入できるようになりました。
毎月決まった額を積み立てる、個人型確定拠出年金(iDeCo)ですが、積立上限が人それぞれ異なります。自分の積立上限額を確認してみましょう。
個人型確定拠出年金(iDeCo)のメリットはいくつかあります。
- 掛け金の全てが所得控除の対象
- 運用益も非課税
- 受け取る際も非課税
- 自己破産しても残る
一方で、個人型確定拠出年金(iDeCo)は、途中解約不可というデメリットや資産運用により元本割れの可能性もありますので、注意しましょう。
また、個人型確定拠出年金(iDeCo)は銀行や証券会社で始められますが、窓口では積極的に案内をしてくれません。
銀行や証券会社により商品の内容や手数料が異なるので、事前に調べておくと良いでしょう。
所得控除や運用利益の非課税など税金面でのメリットが多い個人型確定拠出年金(iDeCo)、ふるさと納税と併用する場合は注意が必要です。
ふるさと納税とは、自分が住んでいる以外の地域の自治体に寄付がをすることです。
ふるさと納税をすると、その地域の特産品などがもらえます。
さらに、寄付することで、住民税の一部が控除されるお得な制度です。
個人型確定拠出年金(iDeCo)とふるさと納税、とてもありがたい制度ですが、この二つを併用する場合は注意が必要になります。
個人型確定拠出年金(iDeCo)の所得控除を受けている場合、ふるさと納税が必ずしもお得になるとは限らないのです。
ふるさと納税は、2,000円を超える一定限度額まで所得税と合わせて全額控除の対象になります。
つまり、一定限度額までであれば、2,000円は自己負担になりますが、残りの寄付した金額を所得税・住民税から全額控除してくれます。
ふるさと納税の限度額は、所得などにより違います。
総務省のHPに全額控除される上限額が載っていますので参考にしましょう。
しかし、個人型確定拠出年金(iDeCo)ですでに所得控除を受けている場合は、所得税額が小さくなるため、ふるさと納税で控除される上限額も減ります。
それを知らずに、その金額を上回って寄付をすると、税金が控除されないことになってしまいます。
まずは、所得控除の概要を知ろう
所得控除は14種類あり、確定申告や年末調整により所得から控除できます。
具体的には
- 基礎控除
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
- 扶養控除
- 障がい者控除
- 寡婦(寡夫)控除
- 勤労学生控除
- 社会保険料控除
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 小規模企業共済掛金控除
- 医療費控除
- 雑損控除
- 寄付金控除
があります。
医療費控除、雑損控除、寄付金控除は確定申告をしなければ受けられません。
年末調整では控除を受けられません。
個人型確定拠出年金(iDeCo)の節税の仕組みは?
公的年金は、私たちが納めると今の高齢者に届き、私たちが高齢者になった時は、その時の若い世代が納めた年金が私たちに使われます。
一方で、私的年金である確定型拠出年金は、掛金が積立てられ、それを運用して、また自分に返ってくるようなイメージになります。
2017年1月より個人型確定拠出年金(iDeCo)は、これまでの自営業やフリーランスなどの方に加え、公務員、会社員、専業主婦など、だれでも加入できるようになりました。
掛金は月5,000円からで1,000円単位で選べます。
掛金は上限があり、限度額は人により異なります。
個人型確定拠出年金(iDeCo)がなぜ節税として良いのかというと、3つのタイミングで税金がかからないからです。
- 毎月の掛け金が全額所得控除の対象(積立時)
- 運用利益である分配金が非課税(運用時)
- 分割でも一括でも一定額まで非課税(受取時)
ただし、一度個人型確定拠出年金(iDeCo)を開始するとやめられません。
60歳なるまで引き出すこともできません。
そのため、契約時に毎月払える金額を考えて契約しましょう。
また、60歳で契約年数が10年に満たない場合は、受給開始が引き伸ばされます。
個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛金は、小規模共済掛金控除の対象になり全額控除されます。
また、通常、株や金融商品だと運用利益は所得税(約20%)の対象になりますが、個人型確定拠出年金(iDeCo)だと非課税です。
受取の際も分割にしても、一括でも非課税です。
手数料は少しかかりますが、これほど税金がかからないのであれば、この制度をうまく活用するべきでしょう。
拠出金の全てが所得税額から引かれるなんて、とてもありがたい制度です。
個人型確定拠出年金(iDeCo)で節税できる上限は?
その上限は、人それぞれ異なります。自分の拠出限度額を知っておきましょう。
国民年金の加入状況 | 職 業 | 拠出限度額 |
---|---|---|
第1号被保険者 | 自営業 フリーランス | 68,000円/月 |
第2号被保険者 | 企業型DCのない会社の会社員 | 23,000円/月 |
第2号被保険者 | 企業型DCに加入している会社員 | 20,000円/月 |
第2号被保険者 | 公務員など | 12,000円/月 |
第3号被保険者 | 専業主婦など | 23,000円/月 |
このように職業や会社の企業型DCへの加入の有無により、掛金の上限額が異なります。
ふるさと納税は節税ではない?その仕組みとは
ふるさと納税の仕組みは、2,000円を超える寄付金は一定限度額の範囲内であれば、全額所得税・住民税から控除されます。
そして、寄付した地域の特産品が頂けるというものです。
たしかに、頂いた特産品が自己負担の2000円よりお高いものだと、その差額分はお得かもしれません。
しかし最近では、ふるさと納税の返礼品を見直す動きが見られている。
また、総務省より今年4月、寄付金額の3割を超える返礼品や金券、家電、貴金属を返礼品をしないよう通達している。
つまり、控除される税金に+2,000円の寄付をしなければいけない仕組みである。
返礼品も高価になりすぎないように国から通達されているため、本当にメリットがあるのかよく考えたほうが良いでしょう。
ふるさと納税とはあくまで、地域を応援するための「寄付金」であるということを忘れないでいたいですね。
ふるさと納税を損しないための限度額は?
例えば、独身または共働きの人、夫婦二人と高校生の子ども一人の場合で見ていきましょう。
年収\家族構成 | 独身または共働きの人 | 夫婦二人と 高校生の子ども一人 |
---|---|---|
300万円 | 28,000円 | 11,000円 |
325万円 | 31,000円 | 14,000円 |
350万円 | 34,000円 | 18,000円 |
375万円 | 38,000円 | 21,000円 |
400万円 | 42,000円 | 25,000円 |
425万円 | 45,000円 | 29,000円 |
450万円 | 52,000円 | 33,000円 |
475万円 | 56,000円 | 36,000円 |
500万円 | 61,000円 | 40,000円 |
個人型確定拠出年金(iDeCo)との併用で損する可能性?
個人型確定拠出年金(iDeCo)とふるさと納税を併用することで、かえって損する可能性があります。
- 収入-必要経費=所得
- 所得-各種控除=課税所得金額
- 課税所得金額×税率=所得税額
- 所得税額-税額控除=申告税額
個人型確定拠出年金(iDeCo)を含む小規模企業共済掛金控除は、2の各種控除に当てはまります。
そして、ふるさと納税による控除は、3税額控除に分類されます。
つまり、2の各種控除で個人型確定拠出年金(iDeCo)を含む小規模企業共済掛金控除を加算するので、課税所得金額が小さくなります。
課税所得金額が小さくなると、税率をかけた所得税額も小さくなります。
そうすると、3の税額控除である「ふるさと納税」で控除できる所得税額自体が小さくなります。
ふるさと納税で限度額までの範囲内であれば、2,000円を超える部分は全額控除になります。
しかし、個人型確定拠出年金(iDeCo)を含む小規模企業共済掛金控除などがあれば、所得税額自体が小さくなるため、ふるさと納税での控除できる上限額小さくなります。
ふるさと納税で、限度額ギリギリまで寄付をし、返礼品をたくさんもらいたいと思っている方は、要注意です。
個人型確定拠出年金(iDeCo)と併用することで、上限額が小さくなり、結果として自己負担が増える可能性があります。
個人型確定拠出年金(iDeCo)以外の控除の考慮も必要!
例えば、医療費控除です。1年間に医療費が10万円を超えると、10万円からはみ出た分の金額が所得税の控除の対象になります。
医療費控除とふるさと納税、同時に使うことができます。
しかし、これは要注意です。
- 収入-必要経費=所得
- 所得-各種控除=課税所得金額
- 課税所得金額×税率=所得税額
- 所得税額-税額控除=申告税額
医療費控除も2の各種控除に当てはまります。
そして、ふるさと納税による控除は、3税額控除に分類されます。
つまり、個人型確定拠出年金(iDeCo)を含む小規模企業共済掛金控除と同様に、2の各種控除で医療費控除を加算するので、課税所得金額が小さくなります。
課税所得金額が小さくなると、税率をかけた所得税額も小さくなります。
そうすると、3の税額控除である「ふるさと納税」で控除できる所得税額自体が小さくなります。
医療費控除など他の控除がある場合に、所得税額自体が小さくなるために、ふるさと納税で控除できる限度額が小さくなり、結果的に自己負担額が増える可能性があります。
人それぞれ、所得も控除できる金額も違ってきます。
個人型確定拠出年金(iDeCo)や医療費控除、そのほかの控除も関わってきて、計算がとても複雑になります。
そのため一度、目安を知るだけでなく、自分の今の状況でのシュミレーションをすることが大切です。
ふるさと納税よりiDeCoを中心に節税計画を立てるべき!
確かに、ふるさと納税も限度額以内であれば、自己負担2,000で返礼品がもらえます。
しかし、全額控除できる税金の額+2,000円を払っています。
出費が2,000円増えています。
ふるさと納税は、「今寄付をし、今返礼品をもらう」に過ぎません。
しかし、個人型確定拠出年金(iDeCo)は未来への投資です。
自分や家族の未来をより良いものにするために、積立て・運用します。
それに対して、今の税金が安くなります。
つまり、自分のために投資して、節税の恩恵が受けられるのです。
将来について考えたときに、どちらが自分のためになるか。
一目瞭然ですね。
今だけのふるさと納税より個人型確定拠出年金(iDeCo)を中心に節税を考えた方が、メリットが多いと言えるでしょう。