更新日:2022/05/18
iDeCo加入者が死亡した場合すべきこととは?デメリットがあるのか解説!
もしも自分が死んでしまったとき、iDeCoで積み立てていたお金が無駄になったらと、不安な方もいるかと思います。この記事ではもし自分が死亡した際のデメリットがあるかどうかや、自分が積み立て運用したお金がどうなるのか、事前に準備しておくと安心なことを解説します。
内容をまとめると
- iDeCo加入中に死亡しても、デメリットはない
- iDeCoに加入した際には、事前に受取人を指定しよう
- 自分の資産は家族に共有し、万が一の際に備えよう
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目次を使って気になるところから読みましょう!
iDeCo加入者が死亡した場合は死亡一時金として支払われる
iDeCoは、自分が積み立て運用した資金が、60歳以降に支払われる個人年金制度です。しかし、もし60歳になる前に自分が死亡してしまった場合、積み立て運用していた資金はどうなるのか、デメリットがあるのか気になる人も多いと思います。
iDeCoには、60歳以前に加入者がなくなった場合に加入者の資金が遺族に支払われる「死亡一時金」という制度が存在しています。
もちろん、自動的に支払われるわけではなく、遺族による申請(裁定申請)が必要となりますが、積み立て・運用にあたる相当額が支払われるため、もし加入者が死亡しても資金がなくなるようなデメリットはありません。
病気やトラブルによる自身の死亡が心配な方でも、iDeCoによって家族に資金を受け渡すことができるため、デメリット無しで安心して利用することができます。
死亡一時金の金額
死亡一時金の金額ですが、これは加入者が積み立てた金額と運用した運用益の全てが対象となるため、金額が減るなどのデメリットはありません。
例えば、積み立てた金額が1,000,000円、投資信託による運用益が300,000円の場合、合計した金額である1,300,000円が死亡一時金の対象です。しかし、投資信託などの運用商品はデメリットが発生するリスクがあるため注意が必要です。
投資信託などの運用商品は、iDeCo側が加入者の死亡を確認し、遺族側が受取の申請を行うことで、所定の日に売却されます。
売却の日は指定できないため、加入者の死亡時に運用益が300,000円であったとしても、投資信託が売却される日の金額が250,000円であれば、売却された日の金額になるため、運用益が減る可能性があることはデメリットといえます。
また、iDeCoの資金の受け取りは、分割はできずまとめて一括の受け取りのみが可能となります。
公的な年金制度では、加入者の死亡による年金や保険料の支払いは原則ないというデメリットがありますが、iDeCoは個人年金制度であるため個人の資産として扱われます。そのため、遺族に相続という形で資金が相続されるので、支払いがされないというデメリットはありません。
死亡一時金は相続税の課税対象
死亡一時金は相続税の課税対象です。年金制度として受け取ることはできず、みなし相続財産として相続税のかかる個人資産となるため、デメリットであると思われがちです。
普通であれば課税対象ということでデメリットになり得ますが、iDeCoの死亡一時金には、限度額はありますが非課税制度という優遇措置が用意されています。
法定相続人1人につき5,000,000円までが非課税となるため、この金額以内であれば税金がかかることはないため、デメリットにはなりません。
先ほどの例であれば、死亡一時金の金額が1,300,000円であれば、非課税制度の限度額以内となるため、相続税がかかることはありません。
ここで注意していただきたいのは、死亡一時金の申請期間です。加入者の死亡から5年以内でなければ死亡一時金の申請は行うことができません。
iDeCoでは5年後でも資金を回収することはできますが、その際には複雑な申請が必要なほか、非課税制度を利用することができないため、デメリットになり得ます。
死亡一時金を申し込むのは、必ず加入者の死亡から5年以内の、非課税制度を利用できる期間にすることで、デメリットを回避しましょう。
死亡一時金の相続優先順位
死亡一時金を受け取ることのできる相続人は、基本的に相続優先順位によって決定されます。以下の表をご覧ください。
順位 | 相続人 |
---|---|
1位 | 配偶者 |
2位 | 子、父母、孫、祖父母および兄弟姉妹 (iDeCo加入者と生計を共にしていた者) |
3位 | 2位以外で、死亡時に主としてその収入によって生計を維持していた親族 |
4位 | 子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹 (iDeCo加入者と生計を共にしていない者) |
加入者が配偶者を持つ男性であれば、死亡一時金はすべて配偶者に支払われます。しかし、配偶者がいない男性で2位に当てはまる相続人が何名かいる場合は、その人数に合わせて均等に分配されます。
また、死亡一時金を相続する人物の指定を行うことも可能です。法律上の婚姻をしていない、事実上の婚姻を結んだ相手も相続人として選択することができます。
死亡一時金の相続人の指定は生前行っておく必要があります。デメリットとして個人資産の受け取りは家族や親族内の不和につながる可能性もあるため、事前に申請し、相続人を決めておくことが無難です。
参考:運用中に身体障害者手帳や療育手帳を持った場合
身体障害者手帳や療育手帳を持った場合、60歳未満でも障害給付金受給者としてiDeCoで貯めたお金を受給できます。
障害給付金の請求は記録関連運営管理機関への手続きが必要なので、問い合わせ請求を忘れずに行うようにしましょう。
iDeCoにおける死亡一時金の請求方法
iDeCo公式サイトの「死亡一時金の請求手続きについて」によると、iDeCoに対する死亡一時金を請求するためには、以下の2つの書類の提出が必要です。
- 「加入者等死亡届」の提出
- 「死亡一時金裁定請求書」の提出
「加入者等死亡届」は、加入者が死亡した際にその証拠として提出する必要がある書類で、この書類を提出しなければiDeCoへの積み立てが継続され、掛け金や手数料がとられ続けます。
「加入者等死亡届」には医師による診断が必要な「死亡診断書」もしくは「死亡を明らかにすることができる書類」を添付する必要があり、これらは写しでも可能です。
書類の入手方法や手続きの方法については運営管理機関ごとに違うため、死亡した加入者が生前選択した運営管理機関に問い合わせてください。
「死亡一時金裁定請求書」は、「加入者等死亡届」とは別に、加入者の資金を管理する記録関連運営管理機関(RK)に提出する書類です。死亡一時金の支払手続きは、記録関連運営管理機関によって行われるため、一時金を受け取るためにはこの申請を行う必要があります。
この書類に関しても、書類の入手方法や手続きの方法については、記録関連運営管理機関が定めているため、記録関連運営管理機関に問い合わせてください。
また、死亡一時金の申請は5年以内に行うようにしましょう。相続税が非課税となる優遇措置は5年以内が有効であり、5年を超えると非課税制度を利用できなくなるとともに死亡一時金の申請方法が大変複雑になるというデメリットがあります。
必ず加入者が死亡してから5年以内に請求するようにしましょう。
iDeCo加入者が死亡した場合を想定して事前にやるべきこと
iDeCoに加入する際には、自分が死んでしまった場合を想定して、事前にやっておくとデメリットが発生しなくなることが2つあります。
それは、死亡一時金の受取人の指定と積立状況を家族などに説明しておくことです。
受取人の指定をしておくことで、自分の資産を受け取ってほしい人を指定できるほか、個人資産による家族や親族の不和の可能性をつぶすことが可能です。
積立状況の説明は、自分がiDeCoに加入していることを事前に伝えておくことで、死亡一時金の申請を忘れることなく行うことができます。
以下で詳しく説明していきましょう。
①死亡一時金の受取人の指定
死亡一時金は、受取人を指定しなくても相続優先順位にのっとって資金が支払われます。しかし、多くの方は自分の資産を受け取ってほしい人は決まっていると思います。
事前に受け取る人を決めなければ、自分が受け取ってほしい人に資金が支払われない場合があるため、デメリットとなってしまいます。
大事な家族や子どもがいる場合は、若いうちに自分が亡くなった際の配偶者や子供、一緒に住んでいる親などのためのお金として、残すことも可能です。
稼ぎ頭である世帯主が亡くなった場合などは、家族に苦労を掛ける心配もあることから、お金を残す手段としてiDeCoに加入する選択肢も取るべきでしょう。
自分が死んでしまった際にお金の必要となる相手を選べることから、自身が死亡した際のリスクヘッジとしてiDeCoを利用する人も少なくありません。
死亡一時金の受取人の指定を活用して、将来のリスクに備えましょう。
②積立状況を家族などに説明しておく
iDeCoに加入し、資金を積み立て運用する際には、配偶者や家族に積立状況を説明しておく必要があります。
そもそもiDeCoに加入していることを知らなければ、家族に資金が残されることもわからず死亡一時金の申請も知られないままとなります。
資産が忘れられることになれば、死亡するまでの資金が無駄となり、家族に受け取られることもありません。
せっかくの死亡一時金というメリットがデメリットとなってしまうのです。
自分の資産を家族にしっかりと説明し、死亡した際に必要な手続きを事前に共有しておくことで、万が一の際に備えることができます。
まとめ:iDeCoは加入中に死亡しても積み立てたお金は無駄にならない!
以上のことから、基本的にiDeCoの加入者が死亡しても、積み立て運用した資金が無駄になるというデメリットはありません。
しかし、5年以内に申請しなければ非課税制度を利用できないことや、そもそも加入者が死亡すること自体がデメリットといえます。
もちろん、iDeCoへの加入者が死亡する事態にならないことが一番ですが、絶対にしないとは言い切れません。もし自身が死亡してしまった場合でも、iDeCoを利用することで自分の家族や親族に資産を残すことが可能です。
事前に家族に積立状況を説明し、有事の際に死亡一時金の申請を行ってもらえるように共有しておくことで、自分の資金のリスクだけでなく家族の生活のリスクを減らすことにもつながるのです。
iDeCoは死亡した際のデメリットも無いことから、自分の資産を家族に残すための資産運用のツールとしてもおすすめです。
iDeCoを利用する際には、事前の共有と受取人の指定でデメリットを回避して活用しましょう。
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