共済は掛け捨てだから損?貯蓄型の方が本当に得なのか解説!

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共済への加入は割戻金が戻ってくるメリットがあります。しかし、割戻金の金額や受け取り時期は共済によってバラバラ。そこで、この記事では割戻金の仕組みから受け取り時期・金額について解説します。節税対策に必要な生命保険料控除にも触れますので、最後までご覧ください。

共済は掛け捨てだから貯蓄型の保険より損するって本当?

全国生協連によると、2018年時点で共済事業全体の加入者は2,100万人と非常にポピュラーな保障選びの対象となってきました。加入条件の緩さや親切な料金設定から、共済への加入を考えている人も多いのではないでしょうか。


しかし、共済は掛け捨ての保障だから損をするといううわさを聞き、貯蓄型保険の契約を検討してはいませんか。保険や共済に入る以上、どうせなら少しでもお金が戻ってくる方がうれしいですよね。


そこで本記事では

  • 共済の掛け捨ては損なのか
  • 貯蓄型保険は掛け捨てではないのか
  • 共済と保険の違い
  • 共済を選ぶメリット・デメリット

を紹介します。記事を最後まで読めば、ご自身の目的にあった保険選びができるようになりますので、最後までご覧ください。

共済の掛け金は掛け捨てだから損は嘘!

結論から言うと、共済が掛け捨てだからといって損をすることはありません。掛け捨てという言葉から、お金を払ったら戻ってこないと同じと思われがちですが、共済の掛け金は戻ってくる可能性があるのです。


また貯蓄型保険は「貯蓄」という言葉から保険料全てが貯蓄されているとイメージされますが、厳密には異なります。


共済は損をするという誤ったうわさについて、掛け捨ての観点からもう少し詳しく説明します。

貯蓄型保険にも掛け捨て部分が必ず存在する

生命保険や死亡保険などの保険料は、付加保険料純保険料が混ざり合っています。


  • 付加保険料:保険会社の経費にあてられるお金
  • 純保険料:保険金を払うためのお金

一般的な保険料のイメージは後者の方が強いのではないでしょうか。貯蓄型保険に関しても、ふたつの保険料を毎月支払っていて、付加保険料は経費として掛け捨てているのです。


つまり、貯蓄型保険も掛け捨てる部分が必ず存在します。また保険料の決まり方を知ると、必ずしも共済より貯蓄型保険の方がお得にはならないことが理解できます。


保険料が決まる要素の一つが予定利率です予定利率とは、保険料の資産運用で得られる利益率です。


受け取った保険料を国債や株式で運用し、利益を生みます。そのため、景気が良くないと予定利率が下がり、そのぶん保険料が高くなるのです。



貯蓄型にも掛け捨てる部分があること、世の中の経済状況によって保険料が高くなることを覚えておきましょう。

共済には割戻金があるからただの掛け捨てにはならない

共済には割戻金という制度があるため、一概に掛け捨て型の商品とは言えません。



毎月掛け捨てるお金を掛け金と言います。掛け金から実際の保障金と共済運営のための経費を差し引いた余剰金が割戻金です。 


後述の理由もありますが、共済には生存保険金や満期の保険金が無いため、掛け捨てで余ったお金を割戻金という形で返金します。保障にお金がかかるとはいえ、全員が事故や病気に合うわけではないので、余剰金が生じるのです。 


また全国生協連によると、2014年~2018年では掛け金に対して30%程度の割戻金が返金されているので、お金が余らないことはほとんどないといっていいでしょう。


具体的には、例年掛け金に対して50%~55%の割合で共済金が普及されています。共済はこの割合を見越して、掛け金総額の30%を割戻金に回せるように金額を設定しているのです。


逆に言えば、万が一掛け金の80%が共済金になったとしても共済は破綻しないため、ある程度の安全も保障されています。


以下の表は2014年~2018年までの掛け金に対する割戻率です。

年度割戻率(%)
2014年29.5
2015年29.6
2016年30.0
2017年30.9
2018年28.0

2018年度版 「全国生協連・県民共済グループの現状」より参照

【参考】共済と保険の違いを明確に理解しておこう!


ここまで掛け捨て部分や割戻金についてお話ししました。しかし、なぜ共済は余剰金があるにも関わらず、自分たちの売り上げとせずに加入者へ返金するのでしょうか。


この疑問は保険会社との違いを明確にすれば解決します。


ここからは共済が保険と違う点を次の観点から説明します。

  • 事業の仕組みの違い
  • 良い面・悪い面
  • 共済をおすすめできる人

共済と保険の仕組み上の違い

共済が保険会社と違う点を以下のようにまとめました。

  • 共済は非営利、保険会社は営利
  • 組合員になると入れる
  • 使用する法律(根拠法)や監督機関が違う 
  • 用語が違う
まず保険会社とは事業形態が違います。保険会社が株主の利益のための事業なのに対し、共済には株主が存在しません。

では共済は何のための事業かというと、相互扶助のためです。相互扶助とはある組織の中の人間同士で互いに助け合う理念を言います。

だれが事故や病気にあうかわからないから協力してお金を出しあうという理念で事業を営んでいるのです。

基本的に組合員しか加入できないのもうなずけますね。


また、根拠となる法律や監督をする機関、用語も次の表のように異なります。

共済・保険会社根拠法監督官庁
保険会社保険業法金融庁
JA共済農業協同組合法
農林水産省
コープ共済・全労済・県民共済・学生総合共済消費生活協同組合法厚生労働省

JA共済は農業協同組合法・農林水産省、コープ共済は消費生活協同組合法・厚生労働省といったように組合の特徴が色濃く出ていますね。  


些細な違いですが、使用する用語を比較しました。

共済保険会社
掛け金(共済掛金)保険料
共済金保険金
加入(者)契約(者)
割戻金配当金

共済のメリット

共済を選ぶと、次のような利点があります。

  • 毎月の掛け金が安い
  • 割戻金がオトク
  • 掛け金がどの年齢でも一律
  • 保障内容が容易にわかる

破綻防止のため、共済掛金は高めの設定ですが、それでも保険料と比べると安価です。 


また名目上は掛け捨てですが、割戻金が戻ってきます。例年の割戻率は3割程度ですので、払う掛け金は実質7割。年間24,000円払うと7,200円返ってくる計算です。


掛け金はどの年齢で加入しても一律なので、シニアの人でも入りやすいのが利点の一つです。こども型・総合保障型・熟年型といった商品展開、入院保障のみ・死亡保障のみなど、補償内容もシンプルですね。

共済のデメリット

反対に、共済には次のような欠点があります。

  • 共済金が少ない
  • 共済金が年齢に反比例する
  • 自分にあうプランが見つかりにくい
  • 破綻の可能性

生命保険や死亡保険には1,000万円以上の保険金が付けられることも多いですが、共済金は上限が低く設定されています。


たとえば、県民共済の総合保障4型だと共済金は800万円です。加えて、共済金は年齢が上がるごとに減少していき、65歳から入れる熟年4型ではわずか200万円。


また共済はわかりやすさが利点だと伝えましたが、逆に言えば自由な設定ができないとも言えます。


共済が経営破綻する可能性も考えられます。多くの保険会社は生命保険契約者保護機構と連携していて、万が一破綻しても返金されない、契約が破棄されるといったことはおきません。


共済の場合、万が一のときのセーフティーネットが組合ごとに異なるため、入る前に調べておくことが大切です。

共済がおすすめできる人

共済への加入をおすすめできる人は以下のとおりです。

  • 保障に回せるお金が少ない
  • まだ小さい子どもがいる
  • 現在の保険を補強したい
  • バランスよく保障をつけたい
メリットで述べたように、掛け捨て金額は多くの保険より安く割戻金もあるため、家計が厳しい人に向いています。遊びや部活動などではケガをしやすいため、小学校や中学校に通う子どもがいる人にもおすすめです。

また、保険の穴を埋める使い方もできます。現在契約している保険だけでは不安という人は、不安な部分をカバーするように共済へ加入してみてはいかがでしょうか。

通院や死亡時など、低コストでまんべんなく保障をつけておきたい人にもおすすめできます。

共済と保険でどちらにするか迷う人はお金のプロに無料相談!

共済に入る利点は低コストなこと・内容のわかりやすさです。逆に欠点はカスタマイズのしにくさ・貰えるお金の少なさでした。


これを自分の加入目的と照らし合わせてみましょう。通院時のため・子どものためなど、どちらに入るのが自分にとってプラスになるかを判断して決めてみてください。


それでもまだどちらに入ればいいか決められない、詳しい人に相談しながら決めたいという人は、一度無料FP相談で相談してはいかがでしょうか。


FP資格を持ったお金のプロに無料相談できるせっかくの機会ですので、ぜひ活用しましょう。

まとめ:共済でも保険でもまずは加入する目的を明確にする!

いかがでしたか。この記事を読むことで共済について以下の内容がわかりました。

  • 割戻金により共済は掛け捨てではない
  • 貯蓄型保険にも掛け捨て部分がある
  • 相互扶助を理念とする非営利事業
  • 低コスト・わかりやすさがメリット
  • 共済金の少なさ・自由度の無さがデメリット
  • 目的によって共済を有効活用するのがおすすめ

共済や保険を選ぶときに重要なのが、目的意識です。何のため・だれのための保障なのか、何を目的に加入するのかなどを整理したうえで保険選びをすると、自分にぴったりの保障に巡り合えます。


ほけんROOMでは他にも保険や共済に関する有益な記事がたくさんありますので、お金に強くなりたい人はぜひご覧ください。

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