更新日:2020/05/14
統計でみる家計の金融資産の色々|内訳・推移・年代別・国際比較
日本の家計の金融資産はどのような内訳か、また国際比較するとどのようになるのかあまりご存知ない方が多いと思います。この記事では日本の家計の金融資産の内訳や国際比較に加えて、推移や年代別の家計の金融資産と政府の施策について説明します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
家計の金融資産の内訳や国際比較はどうなっているか
- 日本の家計の金融資産の内訳
- 家計の金融資産の海外との国際比較
- 家計の金融資産の推移
- 年代別家計の金融資産
- 政府は預金ではなく投資を推進
日本人は保守的な傾向にある
日本銀行の発表によると2017年度末の家計の金融資産残高は、株式の評価額の上昇や現金・預金の残高が引き続き増加したことが要因となり年度末の残高としては過去最高となりました。
金融資産の内訳はというと欧米に比べると株式や投資信託などのリスク資産の割合はまだまだ低い水準で現金・預金が中心となっています。
この記事ではニッセイアセットマネジメントの家計金融資産に関する記事をもとに家計の金融資産の内訳について詳しく解説していきます。
日本の家計の金融資産の内訳
順調に増加している日本の家計の金融資産ですが、その内訳はどのようになっているでようか?詳しく見ていきましょう。
まず「現金・預金」は家計の金融資産全体の52.5%を占めています。半数を超えて一番割合が多くなっています。
続いて多いのが「保険・年金・定型保証」の28.5%です。約3割を占めています。
リスク資産を見てみると、「株式等」は10.9%、投資信託4.0%とどちらも他と比べるとまだまだ低い水準です。
その他は4.1%です。
こうして見てみると依然として「現金・預金」の割合が高いことが分かります。倹約や貯蓄に重きを置く慎重な国民性が良く表れていますが、これからの時代は長い老後に向けて投資の必要性も指摘されています。
海外との国際比較
海外での家計の金融資産の内訳はどうなっているでしょうか?
海外での「現金・預金」が家計金融資産に占める割合は 米国で13%、欧州圏で33%です。いずれも日本の「現金・預金」の5割を超える比率と比べると低い割合にとどまっています。
日本では長期デフレの影響もありほとんど金利のつかなくても安心感のある「現金・預金」が好まれる傾向があるようです。
これに対して政府は、つみたてNISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)を導入し、家計の金融資産を市場から企業などに回して経済の活性化を推進しています。
今後は金融界も個人への投資の営業に力を入れるようになり「貯蓄から投資へ」動きが少しずつ出てくると考えられます。
家計の金融資産の推移
出典:https://jp.gdfreak.com/
上記のグラフを見ればわかるように、家計の金融資産の推移は全体を見てみると2002年度のバブル崩壊時、2007年度のリーマンショック時など一時的に減っている時期もありますが、右肩上がりで伸びているのが分かります。
2018年度末の家計の金融資産は1834.9兆円となっています。
しかし家計の金融資産を構成するそれぞれの内訳を見てみると、全ての項目が順調に伸びているわけではありません。
もう少し詳しく見てみましょう。
「現金・預金」「保険・年金・定型保証」といった比較的リスクの少ない資産はほぼ全ての年度で順調にその額を増やしています。特に「現金・預金」は半分以上の割合を占めています。
一方で、「株式等・投資信託受益証券」のようなリスク資産は景気の影響を強く受け増えたり減ったりを繰り返しています。全体的には増えていますが、「現金・預金」「保険・年金・定型保証」に比べるとその割合はまだまだ低い水準です。
「対外証券投資」「債務証券」「その他」も大きく増えてはいません。
家計の金融資産の推移を見ても日本での金融資産の内訳は「現金・預金」といった資産にかなり偏っていることが分かります。
今後は政府の「貯蓄から投資へ」という推進政策もあり、「現金・預金」と「株式等・投資信託受益証券」のバランスが変わってくるかどうかが注目されます。
年代別家計の金融資産
ここでは年代別の家計の金融資産を紹介します。
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 平成30年調査結果」によると全体の平均貯蓄額は1752万円です。この金額には負債が入っていないためかなり高額に感じられるかもしれません。
年代別に負債とともに整理すると実態に近い数字になります。
こちらで紹介する金融資産には「現金・預金」の他に「株式・投資信託」や「生命保険の解約返戻金」も含まれます。
また、統計は二人以上の世帯を対象とした調査の結果です。
【年代別平均貯蓄額】
年代 | 平均貯蓄額 | 貯蓄額のうち負債 |
---|---|---|
70代以上 | 2,249万円 | 104万円 |
60代 | 2,327万円 | 207万円 |
50代 | 1,778万円 | 683万円 |
40代 | 1,012万円 | 1,105万円 |
40歳未満 | 600万円 | 1,248万円 |
上記の表を見ていただくと、年代が上がるにつれて平均貯蓄額も増えていることが分かります。これは給与収入が増えることにより貯蓄に回せる金額が増えたことによるものだと考えられます。
負債を見ていくと逆に年代が上がるにつれて減っています。これは住宅ローンなどの返済が進んだことなどが理由として考えられます。
60代では負債が急激に減っていますが、これは退職金などにより住宅ローンを完済する人が増えたことが考えられます。
現在の若者が高齢者になるころはまたバランスが変わってくるかもしれませんが、年代が上がると貯蓄が増えるので増えた貯蓄をどのように運用するのか早いうちから考えておくことが大切です。
参考:国の借金が国民の貯金を超える?
国の財政を見てみると、2020年以降、日本政府の債務残高が家計の金融資産を超えてしまう可能性が指摘されています。
そうなると国は新たに国債を発行しても国債を購入する金融機関の原資がなく購入できなくなります。なぜならば金融機関の原資は国民の貯蓄であるからです。
日本における家計の金融資産の内訳は、現状では貯蓄の割合が多く投資にお金が回っていません。
政府は家計の金融資産を増やすためにも預金から投資へ一刻も早く移行できるよう推進しています。
少額投資制度(NISA)
少額投資制度(NISA)とは投資での利益が非課税となる制度で、投資初心者でも少額から投資できることから人気があります。
日本に住んでいる20歳以上の人なら誰もが対象で、株式や投資信託などから得られた配当金・分配金や譲渡益に税金がかかりません。通常は約20%が課税されるのでとてもお得な制度です。
非課税投資枠が年間120万円まで、非課税期間が5年間などさまざまな条件や注意点もありますが、上手に利用したい制度の一つです。
2018年からはつみたてNISAという制度も始まりました。
NISAと同じように利益が非課税になるお得な制度ですが、非課税投資枠が年間40万まで、非課税期間が20年とNISAとは違う部分もありますのでどちらが自分のライフスタイルに合うかよく考えて投資しましょう。
確定拠出型年金制度(DC)
老後の生活を支えるための新たな年金制度として確定拠出型年金制度(DC)も注目を集めています。
企業が掛け金を拠出して、個人の裁量で運用できるという制度で、次のようなメリットがあります。
- 税金が優遇される。
- 初心者でも商品が選びやすい。
- 企業が倒産しても年金が保護される。
どのような商品を選ぶかによって将来受け取れる年金が変わってきますが、運用益が非課税になるなどメリットも大きいです。
金融機関を自分で選んで運用することになりますが、商品のラインナップやサポート体制など違いがありますので自分に合った金融機関を選ぶことも大切です。
実施企業に勤務している会社員のみが対象ですが、対象者であればぜひ積極的に利用しましょう。
まとめ:日本の家計の金融資産の色々
ここまで家計の金融資産や運用方法について紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?
今回この記事でのポイントは
- 日本の家計の金融資産の内訳は海外と比較して現金・預金の割合が多い。
- 家計の金融資産は年齢が上がるにつれ増えている。
- 政府が貯蓄から投資へと推進するための制度を整えている。
です。
現在、家計の金融資産はまだ現金・預金の割合が多いです。しかし、長寿社会に入ってきて自分で老後の備えをする必要が出てきたことからも今後も投資の必要が出てきます。
投資により、企業にお金を回し経済を活性化するとともに自分の資産を増やすこともできます。
もちろんリスクもありますので、どの商品が自分に合っているのか情報を集めつつまずは、少額投資制度(NISA)・確定拠出型年金制度(DC)といったメリットの多い制度を利用して投資を始めてはいかがでしょうか?
ほけんROOMでは他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。