更新日:2018/12/17
保険金の相続税における非課税枠とは?配当金を詳しく解説します!
保険金を受け取る時、配当金などの剰余金も同時に受け取ることと思います。剰余金の種類によって、相続税の非課税枠が使える場合とそうでない場合があることをご存知でしょうか?今回は、保険金の剰余金の非課税枠の解説と、配当金の非課税枠でできる相続対策をお話しします。
目次を使って気になるところから読みましょう!
保険金の相続税における非課税枠!配当金はどうなる?
もしも自分が保険金の受取人となった場合、保険金や配当金の相続税が気になるところです。
保険金には非課税枠があることを知っている方も多いと思いますが、配当金なども非課税枠の対象となるかどうかは知らない方も多いですよね?
保険金や配当金などは突然受け取ることになりますので、税について正しい知識を持っていないと思わぬところで損しがちなのです。
そこで、今回の記事では『保険金や配当金などの相続税』について
- みなし相続財産とみなされ非課税枠が使えるものとは
- 本来の相続財産とみなされ非課税枠が使えないものとは
- 非課税枠を利用し節税する方法とは
非課税枠が使えるもの:みなし相続財産とみなされるもの
被契約者(被相続人)が死亡した際におりる保険金を受取人(相続人)が受け取った場合、その生命保険金はみなし相続財産とみなされ、相続税の課税対象となります。
この『みなし相続財産』とは、被相続人が保有する現金預金や土地などの相続財産とは異なり、被相続人が死亡したことによって発生する相続財産のことを指します。
これらみなし相続財産も相続税の課税対象となりますが、一定額までは非課税となります。
みなし相続財産である生命保険金の非課税となる一定額とは、 【500万円×法定相続人の数】
それでは、死亡時の保険金には生命保険とは別に配当金などの付随したお金が発生し、保険金とともに支給されることになります。
この配当金などは非課税枠の対象となるのか、確認していきましょう。
配当金
配当金とは、保険会社が保険の契約者から預かった保険料をもとに運用を行い、余剰金が発生した場合に契約者に配当するお金のことです。
この配当金は、相続税の非課税枠に該当します。
割戻金
割戻金とは、共済保険の組合員(被保険者)が受け取ることができる生命保険の配当金にあたるお金のことです。
共済保険では共済を販売する経費を抑え、その分割戻金を増やし、組合員に還元しています。
この割戻金は、相続税の非課税枠に該当します。
前納保険料
前納保険料とは、将来支払うべき保険料を先にまとめて支払っているお金のことです。
この前納保険料がすべて納付状態となる前に契約者が死亡した場合、残りの前納保険料が保険金とともに返還されます。
この前納保険料も相続税の非課税枠に該当します。
非課税枠が使えないもの:本来の相続財産とみなされるもの
ここまで『みなし相続財産』として非課税枠に該当する保険金について解説してきました。
それでは反対に、非課税枠に該当しない相続財産について解説していきます。
これら非課税枠に該当しない保険金は、みなし相続財産ではなく、本来の相続財産とみなされます。
生存保険金
生存保険金とは、生命保険の保障の一つであり、被保険者が保険の満期までに生存していた場合、生存保険金として保険金が給付されるものです。
この生存保険金の請求を被契約者が忘れ、そのまま死亡し、死亡時の保険金と生存保険金が一緒に支給された場合、この生存保険金は非課税には該当しません。
なぜなら、生存保険金とはもともと被契約者が生存時に資産として手に入れる予定のお金です。
そのため、死亡後に生存保険金が支給されても、生存保険金はみなし相続財産ではなく、本来の相続財産としてみなされます。
特約保険金
特約保険料とは、主契約の保険に付加した特約に対する保険料のことです。
そして、かんぽ生命の簡易保険は積立型の保険であり、特約についてもその保険料が積み立てられています。
そして、この積み立てられた特約保険料も死亡時の保険金と一緒に『特約還付金』として返還されます。
この特約還付金は、被契約者(被相続人)の本来の相続財産として見なされるため、非課税枠に該当しませんので注意が必要です。
入院給付金
被契約者が死亡後に支給された『入院給付金』は、受取人によって課税タイプが異なります。
入院給付金とは本来被契約者が受け取るはずの保険金ですので、被契約者が死亡後この入院給付金を相続人が受け取るのであれば、本来の相続財産とみなされ、相続税がかかりますし、非課税枠にも該当しません。
また、入院給付金の受取人が妻や子どもとなっている場合には、相続税などがかからない非課税対象となります。
配当金などの非課税枠は節税効果が期待できる
生命保険の保険金や配当金などを相続人が受け取った場合、『非課税枠』を利用して節税効果に期待することができます。
それでは、配当金などの非課税枠を利用することでどのように節税できるのか、ある一例を挙げて解説していきます。
【例】死亡した夫の預金などの遺産が7,000万円あり、さらに生命保険の死亡給付金や配当金合わせて5,000万円の1億2,000万円をその妻と子ども2人で相続する場合の課税対象額とは。
(生命保険の受取人は妻)
妻 | 子ども2人 | 合計 | |
---|---|---|---|
相続財産 | 3,000万円 | 各2,000万円ずつ | 7,000万円 |
保険金や配当金等 | 5,000万円 △1,500万円 | 3,500万円 | |
課税対象の相続財産合計 | 6,500万円 | 各2,000万円ずつ | 10,500万円 |
上記の表のように、非課税枠【500万円×法定相続人の数】の1,500万円が非課税となることで、相続財産にかかる相続税を抑えることができます。
まとめ:相続の際には保険金の配当金も考慮しましょう
この記事では、相続の際には非課税枠となる保険金の配当金などに注意することについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
この記事のポイントは、
- みなし相続財産は非課税枠の対象となる。
- 非課税枠の対象となるものは、『配当金』『割戻金』『前納保険料』である。
- 非課税枠の対象とならないものは、被契約者が死亡して支給請求した『生存保険金』『特約還付金』『入院給付金』である。
- 配当金などの非課税枠の保険金は節税となるので相続税申告の際にはきちんと確認する。