退職金なしでも住宅ローン完済は可能?60歳以降の住宅ローン残高を減らす方法

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定年の時期が残り数年と迫ってくると、気になるのが住宅ローンの問題です。ひと昔前より結婚年齢や家の購入年齢が上がりました。定年後もローンの支払いが続くのは珍しくありません。住宅ローンは退職金なしでも完済可能かどうか、定年後の住宅ローン残高の減らし方と合わせて紹介します。

▼この記事を読んでほしい人
  • 残りの住宅ローン返済に退職金を充てるか迷っている方
  • これから住宅ローンを組もうとしている方
  • 退職金の使い道に悩んでいる方

内容をまとめると

  • 住宅ローンは退職金があった方が審査が通りやすいし老後の助けにもなる
  • 退職金での完済や一部繰り上げ返済はメリットがあるがデメリットにも留意する
  • 住宅ローン融資前の退職・転職は再審査を受けなければならない
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住宅ローンは退職金で完済するのが最善?


「住宅ローンを退職金で完済したら、利息の負担がなくなるからお得になるはずだ」

このように考える方は多いのではないでしょうか。


それに、定年後も借金を抱え続けるということに「負」のイメージを持ち、極力返済してしまいたいとの考えがよぎるかもしれません。


この考えは半分正解といえます。なぜ半分正解なのかというと、退職金での完済が必ずしもお得になるとは限らないからです。


そこで本章では、

  • 必ずしも退職金で完済するのは良いとは言い切れない
  • 住宅ローンは退職金の見込み額を見て慎重に決める

以上の2点について解説していきます。ご自身のケースではどうするのが一番賢い方法なのか学んでいきましょう。


また、この記事を読み進めることで、住宅ローンを退職金で完済するメリットとデメリットを明確に理解することができます。是非最後までご覧ください。

必ずしも退職金で完済するのが良いとは言い切れない

ひと昔前は、退職金で住宅ローンを完済したり一部を繰り上げ返済することが賢い選択だとされていました。


しかし、昔とは経済状況が大きく変わり、退職金の金額自体が少なくなってきています。また、一つの会社に定年退職まで勤め続けるような「終身雇用制度」が一般的ではなくなってきていることも退職金が少なくなる要因といえます。


ちなみに、退職金がどのくらいもらえるかご存じでしょうか?厚生労働省(中央労働委員会)の「令和元年賃金事情等総合調査」によると、大企業の平均退職金額(男性)は、大卒で2,289万5,000円、高卒で1,858万9,000円です。


この金額は新卒で入社し、定年まで勤め上げた場合の金額です。あくまでも目安なので、お勤めの業種によってはさらに安くなり、勤続年数でも大きく変わります。


住宅ローンを退職金で繰り上げ返済(完済または一部返済)しても、第二の人生の備えとしての金融資産が充分あるのであれば問題ありません。


しかし、支払った後に心許ない金額しか手元に残らないとしたら本末転倒になってしまいます。この場合は、繰り上げ返済せずに残していた方が良いと考えられます。

住宅ローンは退職金の見込み額を見て慎重に決める

あなたは、自分自身がもらえる退職金の見込み額について知っていますか?住宅ローンの完済は、退職金の見込額を見て慎重に決めることをおすすめします。


前述でも触れましたが、厚生労働省(中央労働委員会)の「令和元年賃金事情等総合調査」によると、大企業の平均退職金額(男性)は、大卒で2,289万5,000円、高卒で1,858万9,000円です。


実は、退職金制度は法律で定められていません。退職金制度はどの企業にも必ずあるわけではないのです。自分自身の勤め先の退職金の有無や金額を知りたいなら、就業規則の「退職金規程」を確認してみましょう。もしいやでなければ、人事部や総務部の方に問い合わせるのが一番です。


退職金の見込額を確認したら、住宅ローンを完済したケースを想定してみます。完済したとしてもゆとりのある生活が送れる資金が残せるのなら、完済することで精神的に楽になれるでしょう。

住宅ローンを退職金で完済するメリット

住宅ローンを退職金で完済するメリットとは何か、この部分が一番気になるところだと思います。


この章では、

  • メリット①:支払う利息が減る
  • メリット②:完済後の出費を抑えられる
  • メリット③:公務員なら退職金が安定しているので老後資金も残しやすい

以上のようにメリット①から③に分けて解説していきます。


メリットについて知識を深めることで、自分自身にとってどうするのがベストか見えてきます。

メリット①:支払う利息が減る

住宅ローンを退職金で完済するメリットの一つ目は、支払う利息が減るという点です。その結果、総返済額を減らすことができます。


なぜかというと、完済すると返済期間を短縮できるので、支払う必要があった利息を払わずに済むからです。


利息に関していえば、変動金利の住宅ローンを完済することで将来の金利動向を心配しなくても良くなるというメリットも生じます。

メリット②:完済後の出費を抑えられる

住宅ローンを退職金で完済するメリットの二つ目は、完済後の出費を抑えられるという点です。


長い間、毎月重くのしかかってきた数万円の返済がなくなれば、毎月の出費を抑えられるので、お財布にも心にもゆとりが生まれます。

メリット③:公務員なら退職金が安定しているので老後資金も残しやすい

住宅ローンを退職金で完済するメリットの三つ目は、公務員の方向けのものになります。


公務員の退職金は安定しているのです。なぜなら、法律や条令で退職手当がきちんと定められているからです。公務員で所定の要件を満たしていれば、必ず退職金を受け取ることができます。


また、一般的に公務員の方が会社員よりも退職金額が少し高めの傾向があります。公務員は、住宅ローンを退職金で完済しても第二の人生にかかる資金を残しておく余力があると考えられるのです。

住宅ローンを退職金で完済するデメリット


住宅ローンを退職金で完済するメリットについては前述にて分かりましたが、ものごとにはデメリットもつきものです。


この章では、

  • デメリット①:老後資金に不安が残る
  • デメリット②:団体信用生命保険が消滅する

以上のようにデメリット①と②に分けて解説していきます。 デメリット②の団体信用保険の消滅は特に注意しておくべき事項です。

デメリット①:老後資金に不安が残る

住宅ローンを退職金で完済するデメリットの一つ目は、老後資金に不安が残ってしまうという点です。住宅ローンに退職金の大部分を充ててしまい、老後の蓄えが心許ない額になってしまうと本末転倒になってしまいます。


定年退職後は収入を得る手段がなくなる方もいらっしゃるでしょう。年金は、公的年金も厚生年金も65歳からの支給となります。年を重ねるにつれ、医療費や介護費などの心配も出てきます。


このように、老後を安心して過ごせなくなるリスクがあるのです。

デメリット②:団体信用生命保険が消滅する

住宅ローンを退職金で完済するデメリットの二つ目は、団体信用生命保険が消滅するという点です。住宅ローンを組んでいる方にはご存じの通り、住宅ローンには団体信用生命保険が付いていることが多いのです。団信と略して言うこともあります。


団体信用生命保険とは、住宅ローンの借り手に万が一のこと(返済期間中に死亡したり障害を負ったりすること)があった場合に、それ以降の返済が免除され、家族や家を守ることが可能な保険です。


住宅ローンを完済すると、この保険機能は消滅するのです。家族や家を守る機能がなくなるということは、老後生活の不安につながります。

住宅ローンを退職金で完済する際の支払い方法


実際に住宅ローンを退職金で完済する場合、どのような支払い方法があるのかを知りましょう。


この章では、

  • 支払い方法①:全額繰り上げ返済
  • 支払い方法②:一部繰り上げ返済

以上のように支払い方法を①と②に分けて解説していきます。


ご参考として、全額・一部繰り上げ返済別の手続き方法についてもまとめましたので、合わせてご一読ください。

支払い方法①:全額繰り上げ返済

全額繰り上げ返済とは、住宅ローンの残りの債務を全額まとめて返す方法のことをいいます。まとめて返すので、数百万から数千万円とかなりの大金が必要になることが予想されます。


前述でも触れたように、退職金の金額が多い方で、老後の資金に余裕がある方におすすめの返済方法です。


毎月のローン返済がなくなれば、支出が減るので他のものにお金をかけられますし、貯蓄にも回せます。

支払い方法②:一部繰り上げ返済

一部繰り上げ返済とは、ある程度まとまった一部だけを返済する方法のことをいいます。住宅ローンの残りの債務の全額ではありません。


さらに例を挙げてご説明します。住宅ローンの残高が1,300万円あるとします。その全額ではなく一部の500万円を返済するというケースがこの一部繰り上げ返済です。


一部繰り上げ返済には「期間短縮型」と「返済額軽減型」という二つの型が用意されています。


期間短縮型は、月々のローン返済額はそのまま変えません。返済期間を短くします。期間短縮型・返済額軽減型のどちらも支払う利息は少なくなるのですが、期間短縮型の方が少なくなります。この方法が向いている方は、返済を予定より早く終わらせたい方、利息の額を少なくしたい方です。


返済額軽減型は、ローン返済期間はそのままの状態で変更しません。月々の返済額を減らすことができます。この方法が向いている方は、毎月の返済額を減らして暮らしていきたい方です。特に収入が年金しかなくなり不安を感じている方に向いているでしょう。

参考:全額・一部繰り上げ返済別 手続き方法

ここでは、全額繰り上げ返済と一部繰り上げ返済それぞれの手続き方法について説明します。


全額繰り上げ返済の場合は、金融機関に電話して全額繰り上げ返済したいことを伝えます。

経過利息を含んだ返済金額をおしえてもらい、その金額を入金します。


金融機関側が着金したことを確認すると、完済事務作業を進めます。事務作業が終わり次第、根抵当権抹消手続きに必要な書類が(住宅ローン契約者の)自宅に送られてきます。


ちなみに根抵当権とは、住宅ローンを金融機関で借り入れたときに、所有している不動産に設定されるもので、返済が終わると根抵当権を抹消する登記を法務局へ申請しなければなりません。根抵当権抹消手続きは金融機関ではなく、住宅ローン契約者が法務局で手続きします。ただし、司法書士に依頼することも可能です。


一部繰り上げ返済の場合、電話や来店は不要です。インターネット上で手続きすることができます。なお、金融機関によって手続きが多少変わることがあるので、念のためひとまず電話で確認するのが無難でしょう。

住宅ローン審査は退職金があると通りやすい


これからマイホームを手に入れたいと考えている方にとって、住宅ローン審査が通るかどうかは大問題ですよね。住宅ローンの審査基準には、年収・勤続年数・クレジットカードの利用状況、携帯電話の支払い状況など様々な項目があります。


金融機関は、マイホーム購入希望者に返済能力があるのかしっかり見極めるために住宅ローン審査を行います。その審査が通りやすくなる項目のひとつに「退職金がある」ということが挙げられます。


この章では、

  • 退職金の見込み額を伝えれば審査は有利に進む
  • もらえる額は退職金見込額証明書にて確認する

以上の2点について解説していきます。

退職金の見込み額を伝えれば審査は有利に進む

前述でも触れましたが、住宅ローンの審査基準には、年収・勤続年数・クレジットカードの利用状況など様々な項目があります。もちろん、かなりの金額が見込める退職金があることも審査に通りやすくなる要因となります。


例えば50代など、子育てが落ち着いてからマイホームの購入をする方を取り上げてみます。このように落ち着いてからのマイホーム購入は想像以上に多いのです。


子どもの教育費などの負担が減り、それなりの蓄えもあり、退職金がもらえるのであれば、退職まで残り数年だとしてもマイホーム購入には問題ないといえるでしょう。


まとまった額の退職金がもらえること(退職金の見込み額)を伝えることで、審査は有利に進みます。

もらえる額は退職金見込額証明書にて確認する

退職金の見込み額は、どうすれば分かるのでしょうか?


会社の就業規則や退職金支給規定を確認して、自分自身で計算することもできます。しかし、なかなか難しいというのが正直なところです。


会社の経理課に「家を購入するため住宅ローンを組むのに必要なので、退職金見込額証明書が必要です」と申し出れば発行してもらえます。


実際に申し出る前にひとつ知っておいた方が良いことがあります。実はこの退職金見込額証明書は、自己破産や個人再生のような借金にともなう債務整理の際に必要となる代表的な書類として知られているのです。


もちろん、本当に住宅ローンを組む際に使いたいのであって、自己破産などをするわけではないのですから、気にする必要はありません。しかし、このような事情を把握しておくことは大切です。

住宅ローン融資前に退職した場合は再審査が必要


住宅ローンの契約締結後、実際に融資が始まる前に会社を退職することになってしまった…」


こんなことが起こるはずはないと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、そうとも限らないのです。


近年、一つの会社に定年退職まで勤め続けるような「終身雇用制度」が一般的ではなくなってきています。突然退職を促されたり、ヘッドハンティングを受けて転職することだってあり得ます。


この章では、以下の二つに焦点を当ててご説明していきます。

  • (住宅ローンの)融資前であれば再審査を受けなければならない
  • 黙っていても退職・転職がばれることはある

また、60歳以降の住宅ローン残高の平均額についても触れているので、参考としてご覧ください。

融資前であれば再審査を受けなければならない

住宅ローンの契約締結後、実際に融資が始まる前に会社を退職することになってしまった場合は、再審査を受けなければなりません。

住宅ローンの審査において、勤務先・年収・勤続年数など、申込時点での勤め先における様々な情報を重点的に精査していきます。退職や転職をしてしまうと状況が変わってしまうため、実際に融資が始まる前に再審査を受けなければならないのです。

再審査が通れば住宅ローンは利用できるのですが、退職や転職にともない行われる再審査は、通らない可能性が高いといわれています。

第一の理由は、勤務年数の問題です。ほとんどの金融機関では勤務年数が1年以上が好ましいと判断しているため、この勤務年数の問題で通りにくいのです。また、転職したとしても年収が確定していないことがネックとなります。


住宅ローンを申し込む時点で、現在の職場を退職したり転職を考えている方は、このことに留意する必要があります。

黙っていても退職・転職がばれることはある

実は、住宅ローンの融資が実行された後に退職や転職をした場合、金融機関から何か指摘されるようなことはありません。融資が始まったということは、正式に住宅ローンの契約が締結されたことになるからです。


要するに、住宅ローンの融資が実行された後であれば、退職も転職もなんら問題ありません。契約締結後の退職・転職は、住宅ローンの借り手の自由です。金融機関側が口出しすることはできません。


ただ、住宅ローンの融資が実際に始まる前(契約締結前)に会社を退職・転職することになってしまった場合でも、そのことがばれずに融資が始まってしまうこともあります。それでは、ばれなければ黙っていてもいいのでしょうか?答えはノーです。


金融機関の融資において、融資が実行されるまでの間に「借り手」の勤務先などの状況に変化があれば報告しなければならないことになっています。このような重大な変化を黙ったまま融資が始まり、後ほど何かのきっかけでばれてしまうと、詐欺だと指摘される可能性もあるのです。


ちなみに、金融機関にばれてしまいやすいきっかけとして一つ例を挙げます。金融機関から急ぎの連絡があり、勤務先(住宅ローンの審査時の勤務先)に電話が行き、電話に出た方に「〇〇は退職しました」と回答されるようなケースがあります。


黙っていてもばれることがあるので、正直に申告することが大切です。

参考:60歳以降の住宅ローン残高平均額は920万円

近年は、定年以降も住宅ローンを抱えている世帯が多く、その数は益々増えてきています。

これは退職金の減少や、結婚年齢や家の購入年齢が上がったことが一因といえるでしょう。


60歳以降の住宅ローンの残高の平均額は920万円であること分かりました。ちなみに70歳以上でも816万円となっています。これは、金融広報中央委員会が2019年に発表した「家計の金融行動に関する世論調査」の結果です。


収入が年金だけで住宅ローンの返済を続けることは大きな負担になります。定年後の住宅ローンとうまく付き合っていくために、現役世代からしっかりと計画を立てておく必要があるでしょう。

まとめ:住宅ローンと退職金に関する相談はマネーキャリアへ!


住宅ローンは退職金なしでも完済可能かどうか、また、定年後の住宅ローン残高の減らし方などを解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。


退職金での完済や一部繰り上げ返済は、必ずしもお得になるとは限りません。メリットとデメリットをしっかり理解する必要があります。


第二の人生をゆとりをもって送るためにも、現役世代からマネープランをしっかり立てておくことが大切です。


お金の専門家であるFPであれば、家計状況やライフプランに合った適切な住宅ローンの組み方のアドバイスができます。無理な住宅ローンを組んで生活が困窮することを防ぐためにも、まずは専門家に相談してみましょう。


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