住宅ローンは60歳までに完済できる?残高や60歳以降に新規で組めるのか解説

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高齢化が進む日本。住宅ローンも同様に完済年齢が高齢化の傾向にあります。60歳でローン完済できるのか、住宅ローンに関する統計データを紹介しながら考察します。60歳以降でも住宅ローンが組めるのか、シニア世代の住宅ローン事情についてもあわせて解説します。

▼この記事を読んでほしい人
  • 住宅ローンは60歳までに完済できるのか知りたい人
  • 住宅ローンは60歳以降でも組めるのか知りたい人
  • 60歳以上で住宅ローンを組むメリット・デメリットが知りたい人

内容をまとめると

  • 住宅ローンは60歳までに完済できない人が多い
  • 住宅ローンは60歳以降でも加入可能だがハードルは高い
  • 60歳以上が利用できる住宅ローンもある
  • 新規、借り換え、住宅ローン計画はシミュレーションが要
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60歳の住宅ローン残高はいくら?60歳までに完済できる?


高齢化が止まらない日本ですが、住宅ローンでもおなじ状況です。完済年齢が高齢化しつつあります。


定年をむかえるのは60歳ですが、ローン残高は一体どのくらいでしょうか。60歳で完済できているのでしょうか。

  1. 住宅ローンの平均残高は619万円
  2. 2000万円以上残る人も実は多い

統計データを見て意外な結果だと思う人がいるかもしれません。ではひとつずつ見ていきましょう。

①平均は619万円

令和2年の調査(※)によると、60歳代の住宅ローン残高の平均値は619万円だそうです。
住宅ローン
残高(万円)
割合(%)
50未満1.8
50-100未満0.9
100-200未満4.4
200-300未満1.8
300-500未満8.8
500-700未満6.2
700-1000未満12.4
1000-1500未満14.2
1500-2000未満4.4
2000以上3.5
1000~1500万円未満、700~1000万円未満、1000万円前後の金額で特に多くなっているようです。

60歳代でも、住宅ローン返済はまだ真っただ中という人も多く存在していることが統計データからも明らかになりました。


金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)

②2000万円以上残る人も3.5%いる

先述の調査結果において、500万円未満を合わせると17.7%、500万円以上を合わせると41.6%となり、60歳を超えた時点で500万円以上残っている人が非常に多いことがわかります。


残高が2000万円以上残る人も3.5%いるという点も注目すべきポイントです。残高2000万円ということは、期間でいうと10年以上残っている人も多いのではないでしょうか。


完済年齢高齢化の背景には、住宅の購入金額が上がって住宅ローンが長期化したり、晩婚化などの理由で返済開始年齢が遅くなったりしているなどの理由が考えられます。


いずれにしろ、60歳代ではまだ住宅ローン返済半ば、完済できていない人は非常に多いということがデータから明確になりました。

60歳以降も新規で住宅ローンは組める?


60歳を超えて、住宅ローンを新規で組みたいというケースは実は多くなっています。

前項の統計データで示したように、60歳代での住宅ローン残高は1000万円以上の人も多く、住居費を負担に感じているシニア層は一定の数いると思われます。そういった状況から、条件のよい住宅ローンに借り換えし、少しでも返済月額を減らしたいというニーズが高くなっているのです。

60歳以降でも新規で住宅ローンは組めるのでしょうか。
  1. ハードルは高いが組むことは可能
  2. 返済期間は「10年以上20年以下」 
60歳以降の住宅ローンでは、いくつかポイントを押さえれば加入も不可能ではありません。では解説していきましょう。

①ハードルは高いが組むことができる

60歳で住宅ローンを組めるかどうか。可能かどうかの二択で言えば可能ですが、60歳からの住宅ローンはハードルが高いのも事実。


若い世代で組むような金額や期間を想定すると、審査に通るのは難しくなります。障壁になるのはやはり年齢です。特に完済年齢がネックになります。


返済開始年齢は65歳までや70歳まで、完済年齢は80歳の場合が多くなっています。


逆に言えば、借入期間や完済年齢を住宅ローンの要件に合わせれば、60歳からでも住宅ローンを組む可能性は出てきます。


通常の住宅ローン以外では、60歳以上を対象とした「リバースモーゲージ型住宅ローン」や、自宅を賃貸住居として切り替える「リースバック」という売却方法など、シニア層に向けた住まいのスタイルも登場しているので、ご自身の状況に合わせて比較検討してみるのもよいでしょう。リバースモーゲージ型住宅ローン、リースバックについてはのちほど詳しく解説します。

②返済期間は「10年以上20年以下」

では、60歳からの住宅ローンでは返済期間をどう設定すればよいか考えてみましょう。


目安となるフラット35の利用条件では、申込み時の年齢が70歳未満、借入期間については満60歳以上の場合、10年以上となっています。


このような要件をクリアしようとすると、おのずと下記のような返済計画となります。

  • 開始年齢:60歳~
  • 終了年齢:80歳まで
  • 借入期間:10年~20年
具体的には例えば、

  • 60歳~69歳まで(10年間)
  • 60歳~79歳まで(20年間)  
このような借入スケジュールとなります。

60歳以降で住宅ローンを組むときのポイント


60歳以降で住宅ローンを組むには、10~20年の借入期間が目安となります。

60歳以降に住宅ローンを計画する際、借入期間の他に何がポイントになるでしょうか。

60歳という年齢だけでローン加入のハードルは高くなります。60歳以降で住宅ローンを組む際の具体的なポイントは一体何か、しっかり押さえてローン審査に備えましょう。

  1. 地価が下がりにくく買い手が見つかりやすい物件
  2. 団信の審査に注意 

ではひとつずつ解説していきます。

①地価が下がりにくいエリア・買い手が見つかりやすい物件

60歳で家を買うということは、そこが終の棲家になる可能性が高いです。つまり、購入時から売却を想定しておく必要があります。


シニアにも利用しやすい「リバースモーゲージ型住宅ローン」や「リースバック」の利用をふまえると、売却しやすい不動産ということが望まれます。


ひとつには地価が下がりにくいエリアかどうかが重要になります。人口の増減や、近隣の駅、開発状況はどうかなど、将来の資産価値も見据える必要があります。


また、買い手がみつかりやすい物件かどうかも押さえておきましょう。交通の便や、一般的で好まれる間取りかどうかなども購入時に留意するようにしましょう。

②団体信用生命保険(団信)の審査に注意

住宅ローンは多くの場合、団体信用生命保険、通称「団信」への加入が必須になっています。団信とは、契約者にもしものことがあって途中で返せなくなっても、団信の保険金で残りの返済がカバーされるという生命保険です。


団信は生命保険なので、審査が必須となります。60歳というだけで健康面の問題があるとみられやすいため、その分団信の審査も厳しくなると思っておいた方がよいでしょう。


対策としては、団信に入らなくても利用できる「フラット35」や、団信の中でも加入要件が緩和されている「ワイド団信」を検討してみるのも一考です。

60歳以降で住宅ローンを組むデメリット


60歳以降で住宅ローンを組むことは可能です。しかしそのデメリットは十分把握しておく必要があります。


すすめられるまま住宅ローンに入って、あとで後悔してしまっては元も子もありません。人生の終盤、軌道修正しにくい世代です。周りに迷惑をかけないよう現実的なマネープランを組みたいものです。


一体どういうリスクがあるのか、まずしっかり頭に入れた上で、住宅ローンの加入を検討していくようにしましょう。

住宅ローンが払えなくなると負債だけが残る

60歳で住宅ローンを組むと、当然のことながらローンの終盤はさらに年齢を重ねています。


仮に借入期間を10年とすると、完済年齢は69歳、20年借り入れると完済するのは79歳になります。返済できなくなるリスクは、若い頃よりも高くなります。


病気になって働けなくなる。働けなくなって収入が低くなる。住宅ローンを払うことができなくなると負債だけが残ってしまいます。


負債が残ると、家を売ってローン返済に充てることになります。せっかく買ったマイホームも売却を余儀なくされます。


すぐに売却できればよいのですが、なかなか売れないこともあるでしょう。地方などでそれほどニーズがないような地域では、売却が難しいケースも出てきます。


このように、60歳を超えて住宅ローンを組む場合、売却を視野に入れた上で売りやすい物件を選ぶことも忘れてはならないポイントになります。

リバースモーゲージ型住宅ローンとは


リバースモーゲージ型住宅ローン。この言葉をまだ知らない人は多いかもしれません。

リバース? モーゲージ? 横文字が並ぶだけでとっつきづらいですよね。
  1. 60歳以上を対象、様々な目的で使用できる
  2. 一般的なリバースモーゲージとの違い
  3. 債務が遺族に引き継がれないノンリコース型
  4. 変動金利が多く金利が高め
高齢者を対象にしているリバースモーゲージ住宅ローン。このあと解説していきたいと思います。

①60歳以上を対象にした様々な目的で使用できる住宅ローン

リバースモーゲージ型住宅ローンは、シニア世代にも入りやすいよう設計された住宅ローンです。端的に言うと購入した家・土地の不動産を担保に融資を受けられる住宅ローンです。


家の購入や増改築のほか、住宅ローンの借り換えとしても利用することができます。転職や定年により収入が減り、住宅ローンの返済が厳しくなってきた場合、リバースモーゲージ型住宅ローンを借り換えの選択肢に入れるケースも多くなっています。


一般の住宅ローンでは月々元金+利息を返済しますが、リバースモーゲージ型住宅ローンでは毎月利息のみ返済し、メインの借入金(元金)は利用者が亡くなったときに担保の不動産を売却することで返済する点が異なります。


元金を最後に一括返済するという点が一般の住宅ローンと逆になることから「リバース(逆)モーゲージ(担保・抵当)」と呼ばれています。

②一般的なリバースモーゲージとの違い

住宅ローンではない「リバースモーゲージ」という融資商品もあります。リバースモーゲージリバースモーゲージ型住宅ローン異なる商品となります。

不動産(自宅)を担保に借入金を受け、借入人が死亡時に自宅を売って借入金を返済する、という原則は変わりません。


異なる点をまとめると下記のようになります。

項目リバースモーゲージリバースモーゲージ型
住宅ローン
返済方法生存中は利息のみ
金利を残債に
組入れできる
場合もある
生存中は利息のみ
借入金
用途
生活費
(用途に制限なし)
住宅に関する
費用
債務の引継ぎ完済できなかった
場合、債務は遺族に
ノンリコース型では
遺族に引き継ぎなし

このように少しずつ異なる点がありますので混同しないように注意しましょう。

③債務が遺族に引き継がれないノンリコース型もある

リバースモーゲージ型住宅ローンには

  • リコース型
  • ノンリコース型

の2種類があります。リコースとは専門用語で「遡及(さかのぼる)」という意味です。ノンリコース型は非遡及型と呼ばれることもあります。


リバースモーゲージ型住宅ローンでノンリコース型を選ぶと、債務が遺族に引き継がれません。ローンを遺族に相続させたくないと思っている方は多いと思います。その場合、ノンリコース型を検討するのも一案です。


リコース型・ノンリコース型の違いについて一覧にしてみましょう。

項目リコース型ノンリコース型
融資先人(借主)に対して不動産物件
審査借主の返済能力物件の収益力
厳しめ
金利低い高い
借入期間
融資額
長い
上限は借主の
収入となる場合
が多い
短い
高い
連帯保証人
必要原則不要
特徴返済ができなく
なっても
返済し続ける必要あり
返済不能になったら
物件を引き渡せば
返済義務はなくなる

ノンリコース型は遺族に債務を残しませんが、審査の厳しさ、借入期間などリコース型に比べてデメリットとなる部分も多くなります。内容を十分把握してから検討することをおすすめします。

③変動金利が多く金利が高め

ノンリコース型は、借主からすると融資条件が不利になります。担保を不動産物件だけに限定するため、金融機関は不動産の売却だけで貸付金を回収しなければならないというリスクを持っているからです。

たとえばノンリコース型で7000万円の融資を行うとします。借主が亡くなった場合、物件を売却しますが、5000万円でしか売れなかった場合、金融機関は差額2000万円を回収することができません。

もちろん貸付時にしっかり査定はしますが、不動産の価値というのは上がることもあれば下がることもあり、金融機関にとってノンリコース型というのは非常にリスクのある融資スタイルなのです。

金融機関側はそのリスクを補うため、ノンリコース型では変動金利で金利が高めとなることが多くなっています。


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リバースモーゲージ型住宅ローンのメリット・デメリット


リバースモーゲージ型住宅ローンは、元金を不動産の売却金で一括払いするというのが特徴で、それにともなったメリット・デメリットがあります。

  1. メリット:毎月の支払いは利息のみ
  2. デメリット:対象エリアが限定
  3. デメリット:担保評価下落で一括返済を求められることも

うまい話だけではなく、悪い面もきちんと把握した上で検討していくことが大事です。それでは長所・短所それぞれ解説していきます。

①メリット:毎月の支払いは利息のみ

リバースモーゲージ型住宅ローンが一般の住宅ローンよりもメリットとなるのが、毎月の返済金額です。

タイプ毎月の返済
一般の住宅ローン元金+利息
リバースモーゲージ型
住宅ローン
利息のみ

リバースモーゲージ型住宅ローンは、元金は利用者が亡くなったときに不動産を売りそのお金でまとめて返済し、それまでは毎月利息だけを支払うかたちなります。


毎月の支払いに元金が含まれませんので、支払い月額を低くおさえることができます。


ただし、リバースモーゲージ型住宅ローンの多くは変動金利となるため、金利が上がるとその分支払い額は増えていきます。金利上昇時のリスク対策は必要となるでしょう。

②デメリット:対象エリアが限られている

リバースモーゲージ型住宅ローンの大きな特色として、契約者の亡くなったときに不動産物件(自宅)を売って借入金(元金)を一括返済する点があります。


そのため売却する家や土地が、借入金額に見合う必要があります。十分な売却代金を確保するため、都市部の不動産物件に限定する金融機関もあります。


一方で、対象エリアを全国としている金融機関もあります。


リバースモーゲージ型住宅ローンの対象になるかどうかは、金融機関により異なりますので、対象エリアについてもしっかり確認するようにしましょう。

③デメリット:担保評価が下がると一括返済を求められる可能性がある

リバースモーゲージ型住宅ローンでは、提供する担保は自宅になります。購入した家・土地を担保に借入をします。


貸付限度額については、金融機関の多くは担保評価額の5、6割を上限としています。


担保評価、つまり家や土地の評価は、毎年見直しされるのですが、その評価額(貸付限度額)が借入金額よりも下がってしまった場合、超過分の一括返済を求められる可能性があります。


金融機関にとっては、担保は不動産物件のみであり重要な生命線です。継続的に担保評価を行い、万が一評価が下がれば借主に一括返済を求めてリスク回避をはかります。


リバースモーゲージ型住宅ローンでは、担保評価額下落のリスク対策が必要であり、価値の下がりにくい物件選びが非常に重要になってきます。

リースバックとは?メリット・デメリットを紹介


不動産契約のひとつにリースバックという形態があります。60歳以降の高齢者にすすめられることも多いリースバック。一体どのようなしくみなのでしょうか。

  1. 不動産売買・賃貸借契約がセットの売却方法
  2. メリット:節税になる
  3. デメリット:毎月の家賃を払う必要あり
  4. デメリット:更新のとき貸主と借主の合意が必要

リースバックは、先述のリバースモーゲージ住宅ローンとあわせて説明されることが多い用語なので、ぜひ最後まで読んでみてください。

①不動産売買契約と賃貸借契約がセットの売却方法

リースバックとは、不動産物件を売る手法のひとつです。
  1. 自宅を売却し、資金を得る(不動産売買契約)
  2. 運営会社から自宅を賃貸物件として借り、家賃を払いながら同じ物件に住み続ける(賃貸借契約)
自宅を売ってしまうので、オーナーはご自身から運営会社に変わりますが、その会社から賃貸借契約をむすぶので、そのまま住み続けられるというわけです。

リースバックは住宅ローンが残っていても利用可能なので、住宅ローンの返済から賃貸住居への家賃支払いへシフトさせることも可能です。

同じ家に住み続けられるため、近所の目を気にすることなく自宅を売ることができます。

②メリット:節税になる

家や土地を持っていると、持っているだけで税金がかかります。固定資産税です。
固定資産税の計算式は下記のとおりとなります。

固定資産税=評価額×1.4%

仮に評価額が2000万円とすると、

固定資産税=2000万円×1.4%=28万円

固定資産税は年間28万円にものぼります。


自宅を持っているあいだは固定資産税の納税義務がありますが、リースバックで自宅を売却すると納税は不要となります。


他にも都市計画税なども不要となりますので、費用節減につながると言えるでしょう。

③デメリット:毎月の家賃を払う必要がある

リースバックでは自宅を売却してしまうため、その代わりに毎月家賃を支払わなければなりません。

仮に、
  • 30歳~60歳:住宅ローン月々返済
  • 61歳~65歳:住居費なし
  • 66歳:リースバックで自宅売却、家賃払い開始

このようなケースがあったとします。

60歳で住宅ローンを完済、61歳から65歳の5年間は住居費の支払いが不要でした。

しかし66歳でリースバックしたため、それまでかからなかった住居費が再び必要となります。


自宅を売ったお金でその後の家賃をすべてカバーできるのか、それ以外の収入で補うことができるのか。住居費は家計の中でも大きな金額となりますので、マネープランをしっかり練りなおす必要があるでしょう。

④デメリット:更新のとき貸主と借主の合意が必要となる

自宅を売ったあとも慣れた家に住み続けられる。これはリースバックの大きなメリットですが、注意すべきポイントは賃貸期間です。

リースバックでは多くの場合、定期借家契約で締結されます。

定期借家契約では契約期間が延長できません。契約期間が終了すれば、契約解除となり、それ以上その家に住むことはできません。同じ家に住みたい場合、再び契約をしてもらうよう依頼する必要がありますが、必ずしも再び契約できる保証はありません。

契約期間が更新可能な普通借家契約も選択肢に入れている運用会社も中にはあります。長く住み続けたい人はリースバックの契約前に、定期借家契約なのか普通借家契約なのか必ず確認するようにしましょう。

60歳以降の住宅ローン借入額を計算


さて、60歳以降に住宅ローンを組もうとすると、実際どのようになるのでしょうか。

60歳以降、今や働く人も多いですが、収入は現役時代に比べて少なくなる場合もあります。収入は年金だけというケースもあるでしょう。

シニア世代の住宅ローンは収入に合わせた、リアリティのある借入額で無理のない計画を立てるのが重要になります。

  • 借入可能額は約1600万円
  • 毎月の返済額は2万円~5万円
  • 返済可能額を意識するのが大事

ではひとつずつ見ていきましょう。

借入可能額は約1600万円

60歳から住宅ローンを始める場合の借入可能額をシミュレーションしてみましょう。
計算に必要な数字は下記のとおりです。
  1. 年収
  2. 年収に対する返済額の割合
  3. 返済する月額
  4. 借入期間
  5. 金利
年収に対する返済額の割合は、住宅ローンの加入要件に指定されています。例えば「フラット35」の場合、年収400万円未満の場合、年収に対する返済額の割合は30%未満という制限があります。

年収300万円として、返済率上限を考慮し月々の返済額を7万円、その他の数字を下記のとおり仮定します。
項目シミュレーション値備考
[1]年収300万円65歳まで就労
65歳から年金受給
[2]年収に対する
返済額の割合
30%未満300万円÷12か月
×30%=7.5万円
[3]返済する月額7万円
[4]借入期間20年60歳~79歳
[5]金利0.4%変動金利
[6]借入れ100万円
あたりの返済額
4,336円[4]借入期間、
[5]金利から算出
上記の値を借入可能額の計算式にあてはめると、

借入可能額 = [3]7万円 ÷ [6]4,336円×100万円=約1,614万円 

このように、借入可能額は約1600万円となります。シニア世代から住宅ローンを組む場合、借入可能額自体が小さめになることを十分認識しておきましょう。

毎月の返済額は2万円~5万円

前項の試算では、借入可能額は約1600万円になるとお伝えしました。年収300万円を例に計算しましたが、シニア世代の実際の収入はどうなっているのでしょうか。


高齢者のメインの収入は年金です。厚生労働省が令和元年に行った調査(※)によると、厚生年金の年金月額の平均値は約14.4万円だそうです。


住宅ローンの要件にある、収入に対する返済限度にしたがって収入の2割~3割を返済に充てるとすると月々の返済額は約2万円~5万円、これくらいの金額が妥当であることがわかります。


前項と同様に、返済月額から借入可能額を金利0.4%で試算してみましょう。

返済月額借入可能額
借入期間10
借入可能額
借入期間20
2万円235万円461万円
5万円588万円1153万円
7万円823万円1614万円

返済月額から借入額を算出することは大事な工程です。

現実味のある金額をイメージすれば、無理のない住宅ローンを組み立てていくことが可能になります。


※:厚生年金保険・国民年金事業の概況  厚生年金保険 受給権者平均年金月額の推移

借入可能額ではなく返済可能額を意識する

60歳からの住宅ローン計画で気をつけることは、借入可能額ではなく返済可能額を意識して計画していくことです。シニア世代は収入も健康状態も不安定な部分があります。可能な限りギリギリの借入額を設定すると、老後破綻を招く恐れがあります。


60歳からの住宅ローンは、当然のことながら老後資金と密接な関係があります。

  • 定年後はどの程度働くのか
  • 退職金はいくらか
  • 受け取れる年金はいくらか
  • 個人年金保険はいくらか
  • 貯蓄、資産はどの程度か

以上のようなデータを定期的に確認することが重要です。60歳からの住宅ローンは、老後資金対策とあわせて考えながら、総合的にプランニングしていくようにしましょう。

【体験談】60歳以降の借り換え成功例


Aさん(60歳)は都内のマンションに在住の会社員。奥様、大学生のお子様と3人暮らしです。


Aさんは今年、長年勤めた会社で定年を迎え、定年後再雇用で嘱託社員になったのですが、給与が下がってしまい住宅ローンの返済が重荷になっています。


<Aさんの住宅ローン状況>

  • ローン残高:2800万円(18年)
  • 金利:0.9%(固定金利)
  • 返済月額:143,000円

そこでAさんは、FPに相談して借り換えのシミュレーションをしてみました。

現在の
住宅ローン
借り換え
金利0.9%
固定
0.5%
変動
返済月額143,000円136,000円
(-7,000円)

返済月額を比較しましたが、数千円しか減らないばかりか、借り換えするためには借入金以外に各種費用で何十万円もかかることがわかりました。これでは借り換えする意味がありません。


そこでAさんがFPから提案されたのは、リースバックリバースモーゲージ型住宅ローンでした。


現在住んでいるマンションがまだ新しく、リースバックでは月々の家賃が高くなるという説明を受け、Aさんはリバースモーゲージを検討することにしました。


リバースモーゲージ型住宅ローンの注意点として

  1. 利息を死ぬまで払い続ける必要がある
  2. 団信がないので、利用者死亡時に債務が残る可能性あり

とAさんは説明を受けましたが、

  1. 今回の借り替えは「つなぎ融資」としての位置づけであり、子どもが独立したら住み替えを検討する
  2. ローン残高を補填できる生命保険に加入済

という状況であるため、リバースモーゲージ型住宅ローンへの切り替えは問題ないと判断し、リバースモーゲージに申し込むことにしました。


その結果、Aさんは希望したリバースモーゲージの審査に無事通り、返済月額を8万5千円減額することができました。

現在の
住宅ローン
借り換え
(リバースモーゲージ)
借入金額2800万円2800万円
金利0.9%(固定)2.5%(変動)
返済月額143,000円58,000円
-85,000円
ローン完済時期18年後利用者死亡時
返済方式元利均等返済利息のみ
(元金は死亡時に
物件売却で返済)
団信加入あり加入なし
(借入額以上の
生命保険加入済)

※内容に影響のない程度に実際の数字とは変えています。

60歳からの住宅ローンにおすすめな住宅ローン


では、60歳からのシニア層に向けたおすすめの住宅ローンをご紹介しましょう。

  1. 「リ・バース60」
  2. 三井住友信託銀行の「ロクマル」 

高齢化社会に合わせて、シニア世代に特化した住宅ローン商品も少しずつ登場してきています。それでは解説していきましょう。

①「リ・バース60」

60歳からの新規住宅ローン、または残債の借り換えをお考えの方におすすめなのは「リ・バース60」です。住宅金融支援機構と提携した金融機関で扱われている住宅ローンです。

利用要件が60歳以上となっており、シニア世代に特化した内容になっています。

リ・バース60は、リバースモーゲージ型住宅ローンです。月々の返済が利息のみで元金は利用者死亡時に物件売却により返済する点が大きな特徴です。

リ・バース60利用条件
年齢満60歳以上
借入限度額

(1)8000万円 

(2)所要金額の100% 

(3)担保評価額の50%・60%

のうちもっとも低い金額

収入に対する
返済額の割合
年収400万円未満:30%以下
年収400万円以上:35%以下
返済方法元金:担保不動産の売却金による返済
利息:毎月支払い
返済期限利用者死亡時
残債が残った
とき
リコース型:相続人が支払う
ノンリコース型:残債の返済は不要
※金融機関により異なる
手数料や金利等は金融機関により異なるため、各金融機関への確認が必要となります。

②三井住友信託銀行:60歳からの住宅応援ローン(愛称:ロクマル)

三井住友信託銀行の「ロクマル」は、リ・バース60を利用したリバースモーゲージ型住宅ローンです。


利用条件は、基本的に前項のリ・バース60の通りです。その他の条件としては、

ロクマル利用条件
借入限度額担保評価額の60%
(最大8000万円)まで
残債が
残ったとき
ノンリコース型
が選べる
取扱手数料借入れ時 11万円
金利2.975%
(変動金利)

※2022年5月現在


三井住友信託銀行のロクマルでは、担保評価額に対して6割まで借り入れることができ、ノンリコース型を選ぶこともできます。担保の不動産物件の売却金が借入金額に満たなかったとしても、相続人に残債が請求されることはありません。

まとめ:住宅ローンの相談はマネーキャリアへ


今回は60歳以降の住宅ローンというテーマでお届けしました。

  • 住宅ローンを60歳までに完済できない人は多い
  • 60歳以降の住宅ローンは返済可能額に重点を置くべし
  • 60歳以上に特化した住宅ローンの利用は特徴をよく理解してから

住宅ローンを組んだのははるか昔、働きざかりの元気な頃。

順調に払い続けるとイメージして計画したはずの住宅ローンも、いざ60歳になると「こんなはずではなかった」と後悔の念にさいなまれる人もいると思います。


今回ご紹介した厚生労働省のデータを見ても、60歳代で住宅ローンに悩んでいる人は非常に多いことが推察されます。その潜在的なニーズを汲んで、シニア向けの住宅ローン商品も出てきています。


60歳を過ぎて住宅ローンにお悩みなら、顧客満足度93%マネーキャリアの無料相談を利用してみてください。ローン商品のメリットだけでなくデメリットもしっかり確認して後悔しないマネープランを組みましょう。


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