離婚に伴う住宅ローンの名義変更は不可能?よくある疑問を専門家が解消!

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離婚時に住宅ローンの名義変更はできます。住宅ローンの借り換えをするのが良いでしょう。ただし夫から変更する場合は、妻が住むことが条件です。また、妻がパートなどで収入が少ない場合は借り換えできないケースがあります。売却した方が良い場合もあるので詳しく解説します。



▼この記事を読んで欲しい人


  • 離婚したとき住宅ローンの名義変更は可能か知りたい人
  • 離婚したときの住宅ローンの名義変更の仕方を知りたい人
  • 離婚に伴いマイホームの売却を考えている人

内容をまとめると

  • 離婚の場合、住宅ローンを完済・借り換えをして名義変更ができるが、収入などの条件でできないケースもあり、売却を考えた方が良い場合もある。
  • オーバーローンとアンダーローンでは取り扱いが全く違うので、ローン残債の確認が必要。
  • 離婚時の名義変更で受け取った住居は財産分与になるので、贈与税、不動産取得税はかからない。しかし、不動産を取得するときにかかる諸税金は掛かるので注意が必要。
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目次を使って気になるところから読みましょう!

離婚すれば住宅ローンの名義を変更できるとは限らない



離婚することになったときに問題になるのがマイホームの住宅ローンについてではないでしょうか?


名義が夫(妻)あるいは共有になっていた場合、名義変更ができるかどうか気になりますよね。


結論から言いますと、離婚による名義変更はできますが、必ずできるとは限りません。


住宅ローンは、マイホームを建てた土地と建物を担保に入れて抵当権をつけ、万一支払いが滞ったときに金融機関側が競売にかけるなどしてローン残額を回収するようになっています。


ローンを組む際には、名義人の属性(年収や職業など)を審査して妥当な金額を貸しているので、原則として名義変更はできないのです。


ただし、離婚の場合は特例として認められるケースが見られます。

住居に住み続ける人と名義人が異なっているのは不自然ですし、後々問題になる点が出てくるからです。


しかし、新名義人に返済能力がない場合は名義変更はできないと考えてください。


例えば、専業主婦の場合は、収入がないので厳しいです。


ですから、名義変更をする場合は、前名義人と同じくらいの収入があり、支払い能力がないと難しいと言えます。


これから離婚による住宅ローンの名義変更について詳しくお伝えしていきますので、ぜひ最後までご覧下さい。

離婚による住宅ローンの名義変更する方法2つ


離婚によって住宅ローンの名義変更をする方法は次の2つです。

  1. 住宅ローン完済後に離婚する
  2. 離婚後に夫婦間で住宅を売買する

住宅ローンは、基本的に名義変更はできないのですが、離婚の場合に限ってできるケースがあります。


名義変更をしないままだと、無用のトラブルに巻き込まれかねません。

家に安心して住み続けるには、子供のためにもした方がよいでしょう。


しかし、手続きなど、決して簡単ではないのでどちらの方法が適しているか自身の状況に合わせてしっかりと確認してみてください。

方法①:住宅ローン完済後に離婚する

1つ目は、住宅ローンを完済し終わってから離婚することです。


住宅ローンの残高が残っている間は、原則として妻(夫)の名義に変更することはできません。


金融機関側では、担保となっている土地や家の名義を途中で変えることを認めていないからです。


借り入れしている人が勝手に名義変更をすると契約違反となり、金融機関側から一括返済を迫られる場合もあります。


ですから、住宅ローンを支払い終わってから名義変更をする形となります。


例えば離婚後、住宅ローンを組んだ家に妻が住むことになった場合、ローン残高分を貯金で支払ったり、実家の親からの援助で資金を借りるなどして支払ってしまえば、抵当権がはずれますので名義変更ができます。

方法②:離婚後に夫婦間で住宅を売買する

2つ目は、離婚した後に夫婦間で住宅を売買することです。


夫婦間で売買すると言っても、どちらかが住宅のような高額な物の全額を出して一気に買い取るということはほぼ難しく、現実的ではありません。


この場合は、住宅ローンを借り換えることを言います。


現在、夫名義でローンを借りている場合、金融機関で審査をします。


審査が通ると、妻名義で住宅ローンの借り換えをしてローン残高を完済し、夫名義の住宅ローンの抵当権を抹消します。


そうすることで妻への名義変更がスムーズに行くわけです。


ただし、妻の収入、役職などが夫と同程度でないと審査を通すのは難しいです。

離婚時に住宅を売却する場合は残債を確認する



離婚するときに名義変更をする方法をお伝えしましたが、住宅ローンがあといくら残っているか、残債(残高)を確認することは必要です。


その際、残債があると金融機関からの承認が取りづらく、結果的に名義変更ができないケースが非常に多いのです。


そうなると、家を売却して新たに自分の名義でマイホームを買う人が最近増えています。


住宅を売却するときにも残債を確認する必要があります。


売却したときに残がない場合(アンダーローン)と残がある場合(オーバーローン)では、次のとおり、取り扱いが大きく異なります。

  • オーバーローンなら任意売却を進める
  • アンダーローンなら財産分与を適応できる

以上の2つについて詳しく説明します。

オーバーローンなら任意売却を進める

オーバーローンのときは、任意売却を進めていきます。


任意売却を説明する前に、まず、オーバーローンについてお伝えします。


オーバーローンとは、家を売却時、残債がある場合です。


式で表すと次のようになります。

住宅ローンの残債-家の売却価格>0

例えば、住宅ローンの残債が1,500万円、家の売却価格が1,000万円だとすると、

1,500万円-1,000万円=500万円

とオーバーしています。この500万円は必ず支払わなければなりません。


貯金などが余りない場合、一括でこの500万円を支払うのはおそらく厳しいと思われます。


このようなオーバーローンの場合は、任意売却を金融機関で進める手続きを取ることになるのです。


任意売却は、相場に近い金額で売却することができるので、残債を減らすことが可能です。


任意売却後に残った分は返済していかなければなりませんが、分割支払いが認められていますので、月々5,000円~3万円程度という支払いしやすい金額になっています。


ですから、返済しやすい状況を作ってもらえ、家に住み続けることができるのです。


なお、家を売却するには査定してもらった予想金額となっているので、もしオーバーローンになったときには、住宅ローン残額と同じ金額で売りに出すという方法もありますので、それを試してみるのもよいでしょう。

アンダーローンなら財産分与を適応できる

アンダーローンのときは、財産分与を適応できます。


アンダーローンとは、オーバーローンの反対で、家を売却したときにもらう金額を差し引くと、住宅ローンの残債が残らない場合です。式で表すと次のようになります。

家の売却価格-住宅ローンの残債>0

例えば、家の売却価格が1,500万円、住宅ローンの残債が1,000万円だとすると、

1,500万円-1,000万円=500万円

となり、家を売却することでローン残債が全てクリアになり、上記ケースですと500万円の現金が残ることになります。


このように、アンダーローンの場合は簡単で、家を売却して現金化し、ローン残額を一括返済してしまいます。


この場合は、金融機関に相談することなく自分達の意思で売却できます。


そして、売却して残った現金は、財産分与として夫婦2人で分ければ良いのです。


財産分与は、夫婦で半分ずつが一般的ですので、上記例でいくと、250万円ずつ分けることになります。


思い出のある家を手放すのは心残りかもしれませんが、お互いに第2の人生を歩むのであれば、思い切って手放して再出発した方が後腐れなく、無用なトラブルに巻き込まれることなく良い選択と言えます。

財産分与を実行する際は各種税金が発生しない



財産分与で受け取った不動産について、税金の心配をしているかもしれませんが、財産分与をするときには税金がかかりませんので、余計な支出がなく安心です。


財産分与とは、離婚してから2年という制限があり、次のような制度です。

  • 夫婦が共同生活を送ってきた中で作られた財産を公平に分配する
  • 離婚後の生活保障
  • 離婚の原因を作ったことへの損害賠償

参考:法務省 | 財産分与


名義は、夫(妻)の単独になっている場合でも、夫婦の共同生活の中で産み出されたものであれば、財産分与の対象になります。


ですから、例えば妻が専業主婦であっても、家事や育児をして夫を支えていた場合、住居は夫婦の共有財産となります。


したがって、共働きでも専業主婦でも、財産を2分の1ずつ分けるのが一般的です。


一般的に掛かる税金である次の2つは、財産分与の場合は掛かりません。

  • 贈与税
  • 不動産税

ただし、離婚が条件ですので、離婚届を出してからでなければ財産分与と認められないので、注意点もお伝えします。

①贈与税

財産分与には贈与税はかかりません。


土地、建物などの不動産は財産分与の対象になります。


一般的に贈与税とは、個人から財産を譲り受けたときにかかる税金です。


また、自分が契約者でない生命保険金を受け取ったり、債務免除で利益を受け取ったときも贈与税を支払わなくてはなりません。(契約者と被保険者が同人で亡くなった保険金を受け取った場合は相続税です。)

参考:国税庁 | 贈与税がかかる場合


ところが、国税庁によると離婚による財産分与の場合は贈与税がかからないとされています。


理由は、夫(妻)から贈与として受け取ったのではなく、夫婦間の財産の精算や離婚後の生活保障の為の財産分与請求権に基づいて受け取ったと考えられるからです。

参考:国税庁 : 離婚して財産をもらったとき


注意する点は、離婚後の財産分与でも贈与税がかかることがあります。


これは、財産分与された額が、夫婦の協力で得た財産やほかの事情を考慮しても過剰に多い場合です。


この場合は、多いとみなされた分について贈与税がかかります。

参考:国税庁 | 離婚して財産をもらったとき

②不動産所得税

不動産所得税も、同じく財産分与にはかかりません。


不動産所得税とは、土地や建物を購入したり、贈与などで不動産を取得したときに課税される税金です。

参考:東京都主税局 | 不動産取得税


財産分与で受け取った住居は、贈与税の対象にならないため、不動産所得税もかかりません。


つまり、離婚による財産分与の場合は税金はかからないということになります。


なお、不動産を渡す方は、譲渡所得税がかかります。


無償で不動産を渡しているのに不思議に感じるかもしれません。


これは、所得税法上、所有している物(財産)は所得とみなされています。


所有者のもとから所有物が離れるときには税金をもらうという形になっているのです。


しかし、マイホームを譲渡する場合、3,000万円の特別控除があるので、実際は税金は生じないケースが多いです。

離婚届を出してから実行しないと課税対象になる

ここでひとつ、注意しなければならない点があります。


離婚届を出してから名義変更して住居を渡さないと課税対象になります。


まだ離婚届を出さないで所有物件を移転すると贈与とみなされ、先ほど説明した贈与税も不動産所得税もかかってしまいます。


特に贈与税は、最高で税率が55%と半分以上が税金となってしまうケースまで出てきてしまいます。


早まって名義変更をしてしまうと、後日、国税庁や地方の税務署から税金を支払うように連絡がきてしまうので、十分注意して余計な税金を支払わないようにしましょう。

財産分与で家を取得した後にかかる税金3種類



財産分与で家を取得した場合、贈与税や不動産取得税はかかりませんが、次の税金は一般的に不動産を取得したときと同様にかかります。

  • 登録免許税
  • 都市計画税
  • 固定資産税

家を取得した地域によって、上記3つすべての税金がかかる場合もあるし、2つのみの場合もあります。


以下、税金の内容や仕組みをひとつずつ詳しく解説します。

種類①:登録免許税

夫から妻(その逆の場合もあり)名義の住居の借り換え審査が通り、住宅ローン残額を完済すると、いよいよ名義変更ができます。(現金一括で残債を完済した場合も同様です)。


その際、夫から妻へ所有権を移転したり、所有権を保存するための登記手続きが必要になります。手続きは専門家である司法書士に依頼してください。


そのときに必要になる税金が登録免許税で、法務局に支払います。税率は、不動産の価額の1,000分の20(2%)です。


不動産の価額とは、市町村役場で管理する固定資産課税台帳に記載されている価格のことです。市町村役場で証明書を発行しています。


なお、軽減税率として、令和5年3月31日までの間に登記を受ける場合1,000分の15(1.5%)となっています。

参考:国税庁 | 登録免許税の税額表

種類②:都市計画税

不動産を所有している場合、③で説明する固定資産税が毎年かかりますが、住んでいる地域によって都市計画税がかかる場合があります。


都市計画税とは、都市計画事業または土地区画整理事業の費用に充当するための目的税のことです。


例えば、道路を作ったり、上下水道の整備などに使われます。


都市計画法による都市計画区域のうち、市街化区域内に所在する土地と家屋に税がかかかります。


市街化区域とは、すでに市街地であるか、優先的に市街化を計画している区域のことです。


自分の土地、家屋が市街化区域に該当するかは、自治体の窓口で聞くか、ネットで市町村名と市街化区域と入れて調べるとよいでしょう。


毎年1月1日現在、土地または家屋の所有者として固定資産課税台帳に登録されている人が支払います。


課税標準額は次のとおりです。

課税標準額
小規模住宅用地200㎡まで
価格の1/3
その他の住宅用地200㎡を超える部分
価格の2/3
家屋固定資産税の課税標準となる価格


参考:東京都主税局 | 固定資産税・都市計画税(土地・家屋)


税率は課税標準額の0.3%です。

地方によって税率は多少異なりますが、最高で0.3%です。


固定資産税とあわせて納付する形になるので、納付書は1通です。

種類③:固定資産税

不動産を所有している場合、毎年固定資産税がかかります。


固定資産税とは、毎年1月1日現在に所有する土地、家屋に対して、固定資産の価格をもとに算定される税額を、固定資産が所在する自治体へ支払う税金のことです。(東京都23区の場合は特例で東京主税局に支払う。)


税率は固定資産税評価額の1.4%です。

参考:東京都主税局 | 固定資産税・都市計画税(土地・家屋)


土地、家屋の所有者は、固定資産課税台帳に登録されているので、毎年4~6月ごろ、納付書が送られてきます。忘れないようにするには、口座振替の手続きを取るのがよいでしょう。


ほかには、コンビニや金融機関での支払いやクレジットカードでの支払いなど、キャッシュレス化が進んでいますので、自分に合った方法で支払いをしてください。

離婚時に住宅ローンを残した状態で名義変更する2つの方法


住宅ローンの名義変更は原則できないことになっています。


住宅ローンを組む際に、名義人の年収や職業などを審査して、この人にならこれだけの金額を貸せるという条件で契約をしているので、途中で変更するのは契約違反になるからです。


しかし、離婚の場合は名義変更ができる方法が2つあります。

  • 住宅ローンを一括返済する
  • 住宅ローンの借り換えを検討する

離婚時は、ほかにもさまざまな手続きがあり労力を使います。住居問題はその中でも大きなウエイトを占めています。


スムーズに名義変更ができれば引き続き安心して住むことができますので、以下の記事でしっかりと確認してください。

方法①:住宅ローンを一括返済する

1つ目は、住宅ローンの残額を現金で一括返済する方法です。


離婚することになって、片方が家を離れ、片方が住み続けることになった場合、ローン残債を一括で返してしまえば、担保に入っていた家と土地の抵当権がはずれるので、名義変更ができるようになるからです。


しかし、ローンの残額が残り少ない場合は別ですが、多額だった場合、貯蓄だけで返すのは難しいと思われます。


親に協力してもらって支払うということもできますが、いずれにしても、現実問題として現金一括返済はなかなか厳しいのでは?と思われます。

方法②:住宅ローンの借り換えを検討する

上記で説明したとおり、現金で一括返済するのは難しい場合が多いですが、もうひとつは住宅ローンの借り換えを検討する方法です。


この方法を利用すれば、新たなローンを組んだことでローンの残債を一括返済できるので名義変更が可能になります。


夫婦共有名義のペアローンの場合

夫婦でそれぞれ住宅ローンの契約を行っていて、夫が家を離れ、妻が家に残る場合を考えてみましょう。


夫のローン残額を借り換えした住宅ローンの契約で返す形になりますので、ほかの金融機関で新たに住宅ローンを組みます。


ローン残額を借り換えして一本化することにより、スッキリと名義変更をすることができます。


単独契約の場合

上記と同様に、借り換えを検討するとよいでしょう。


この場合は、夫のローン残額をすべて妻が引き継いで、ほかの金融機関で妻名義のローンを組むことになります。


借り換えの場合の注意点

借り換え時には次の点に注意してください。

  • 借り換えをする人が住む家であること
  • 借り換えする人は単独名義であること
  • 離婚協議書(コピー)など離婚の事実のわかるものを提出すること

金融機関によって条件が多少違いますが、上記の条件にあてはまらない場合はローンの借り換えが認められないケースが多いです。


例えば、妻が住み続けるのであれば、必ず妻名義にしてください。


さらに、借り換えする人の属性(年収や職業など)の審査もありますので、内容によっては審査が通らないケースもありますので注意してください。

住宅ローンの借り換えを行う際の注意点5つ



住宅ローンの借り換えをするときには、思った以上に経費がかかったり、借り換えができなかったり、損をするケースもあるので気をつけなければなりません。


そこで、5つの注意する点を説明していきます。

  1. 手数料が発生する
  2. 借り換えのための審査がある
  3. 金利の変動や差額を考慮する
  4. 主な対象者が物件の所有者である
  5. 住宅ローンの残高と残年数を考慮する

借り換え時にあらかじめ知っておくと、失敗することもなくなりますので、ぜひ参考にしてください。

注意点①:手数料が発生する

住宅ローンを借り換えするときには、さまざまな手数料が発生します。


金融機関によって、かかる手数料は多少異なりますが、一般的にかかる手数料を紹介します。


保証料

住宅ローンの返済ができなくなったときに、保証会社に依頼する費用です。万一のときに保証会社が代わりに返済してくれます。


印紙税

住宅ローンの借入額によって金額が異なります。

一例として次のとおりです。


借入額印紙税
100万円を超え500万円以下2,000円
500万円を超え1千万円以下1万円
1千万円を超え5千万円以下2万円

参考:国税庁 | 印紙税の一覧表


なお、ネット銀行など契約書が紙で交わされない場合は、収入印紙を貼る必要がないため無料です。


事務手数料

住宅ローンの事務に関する手数料です。住宅ローンを組んだ金融機関によって金額は異なります。


借入金額に対して割合が決まっている定率型と、一律の定額型があります。


抵当権設定登録免許税

債権金額の0.4%です。


司法書士への報酬

司法書士へ手続きを依頼したときにかかる費用です。専門的な分野なので、司法書士の立ち会いは必須と言えます。


各種保険関係

団体信用生命保険料・がん団信・火災保険料など、名義人に万一のことがあったときや火災のときの補償のための保険です。


必要な人が加入しますが、団信や火災保険は、借り換えの必須条件となっている金融機関もあります。

注意点②:借り換えのための審査がある

住宅ローンの借り換えをするときにはあらためて審査が行われ、通らないケースもあるので注意が必要です。


ローンの借り換えは通常、ほかの金融機関で行われます。現在の金融機関ではほぼ受付けが難しいからです。


何故、審査が通らないケースがあるかというと、例えば、現在夫が名義人だった住居を妻の名義に変えるために住宅ローンを書き換える場合、妻の属性(年収、職業、役職、勤続年数など)を調査します。


金融機関側では、ローンを組むのに妥当かどうか判断をし、基準に満たないと残念ながら借り換えの承認が取れません。


また、借り換えの際、万一のことがあった場合の補償として団体信用生命保険に加入します。


その際、新名義人である妻の健康告知に問題があった場合、団信に加入できずに断念しなければならないケースもあります。

注意点③:金利の変動や差額を考慮する

住宅ローンを組むときは、金利の変動や差額を考慮することが大切です。


借り換え前後では、金融情勢によって金利に差がでてきます。


借り換え前と比較して金利が1%以上下がっていると得をすると言われています。


また、住宅ローンの残高の差額が多かったり返済期間が長ければ、1%未満でもお得になるケースもでてきます。


逆に言うと、借り換え前後で金利が上がっているケースもあります。


そのときには、想定していたよりも多く支払わなければならなくなりますので注意してください。


早急に借り換えをしなくてもよいのであれば、市場金利をじっくりと見て、金融機関の動向を見比べてからお得な時期に借り換えをするのもひとつの手です。


普段から金利に目を向けてチェックしておくのもよいと思われます。

注意点④:主な対象者が物件の所有者である

借り換えができるのは、今の住居に住み続けている人となります。


つまり、所有者=住み続ける人です。


離婚の際に、夫の名義だった家から夫が出て行き、妻が住むことになった場合、家の所有者は妻でなければなりません。


このケースの場合、借り換えの際の名義を夫にすることはできないので、必ず妻名義にしてください。


それが絶対条件となりますので注意してください。

注意点⑤:住宅ローンの残高と残年数を考慮する

借り換えの際、住宅ローンの残高と残年数を考慮することも大切です。


ローン残高1,000万円以上、残年数を最初にローンを組んだ年数よりも長く伸ばすと得をするケースがでてきます。


では、ローン残高1,500万円を同金額で新規借り入れをした場合でシミュレーションしてみましょう。

項目借り換え前新規借り入れ
残年数13年15年
金利年1.5%年0.65%
毎月返済額105,893円87,484円
総返済額16,539,458円
15,755,043円

(※諸費用・別途215,000円かかります)

参考:新生銀行 | 新規借り入れシミュレーション 


残年数を13年から2年伸ばした場合で、金利差が1%未満でも総返済額で約78万円もお得になります。


毎月の支払い額も約18,000円減ることになるので、毎月の生活も楽になりますね。


ただし、借り換えした場合、金融機関によって金額は変わりますが、諸費用が別途215,000円ほどかかりますので、その点も考慮して借り換えを検討してみてください。

夫名義の住宅に子供と妻が住むことのリスク3つ



夫名義の住宅に子供と妻が住むには、妻へ名義変更をすることが必要です。


しかし、手続きが面倒だからとか、妻側がローンの借り換えの査定基準に満たなくて、ローンの残債を一括返済できないなどの理由で、夫名義のままで住み続けている人もいるようです。


この場合、次のようなリスクがあり、妻や子供が安心して住み続けることが困難な状況に陥ることがあります。


  • 家を売却される
  • 債権者に競売される
  • 児童扶養手当が貰えない

上記のリスクを事前に知っていれば、いくら夫がずっと支払うからと口約束をしていても、ローンの支払いは長期に渡るので先行き不安に感じるでしょう。


そこで、ひとつずつ詳しく解説しますので、ぜひ確認してください。

リスク①:家を売却される

家の所有者が夫なので、権利はすべて夫にあります。


したがって、離婚時と状況が変わった場合、家を売却されてしまうかもしれません。


妻が住む、住まないには関係なく、権利は妻にはないので、売却にあたって夫が妻に相談する必要がないからです。


ですから、たとえ勝手に売られてしまっても、残念なことに法律上は何の問題もないのです。


ちなみに、家を売却するには次のような流れになります。


不動産会社に査定をしてもらって見積もりを出し、家の売却を不動産会社に依頼する契約(媒介契約)を結びます。


その後、買い主が見つかったときに売買契約を結びます。


この一連の流れの中で、実際に住んでいる妻の関与は一切必要がありません。


なお、上記のようなケースで夫に勝手に売却されないように、売却手続き時に必要な登記識別情報(権利証)は妻が持っているようにしましょう。

リスク②:債務者に競売される

夫が住宅ローンの支払いを滞納すると、債権者に競売される可能性があります。


故意的に支払いをしないということもあるかもしれませんが、住宅ローンの支払いは長期間に渡ります。


その間、夫が失業したり、転職して収入が減ったり、あるいは病気で働けなくなったなど、さまざまな事情で当初約束していた住宅ローンの支払いができなくなることもあります。


夫が住宅ローンを滞納すると、債権者である金融機関側では、ローン残高回収のため、強制的に家を競売にかけることがあります。


住宅ローンを組むときに、住居に担保をつけて抵当権をつけますが、この権利を使って、金融機関側は裁判所に競売を申し立てるのです。


金融機関側も、物件を売却することで損失を少しでも少なくするために行います。


競売で住居が売れると、妻子がずっと住みたいと申し出ても、立ち退くよう強制されます。


なお、住宅ローンを組むときに、連帯保証人になっているときは、ローン残債を妻が払わなければならなくなりますので、ぜひとも避けたい事例です。

リスク③:児童扶養手当が貰えない

名義を変えていないと、子供を妻側が引き取って生活している場合、児童扶養手当が貰えないケースもでてきます。


児童扶養手当とは、離婚によりひとり親となった世帯で、(今回のケースでは)父と生計を一緒にしていない子供を育成して、生活の安定と自立を図る目的で手当を支給しています。(18歳まで)


手当額は所得によって全部支給と一部支給があり、それぞれ所得制限があります。

所得制限
(2人世帯)
手当額
(2人目から加算あり)
全部支給160万円月額43.070円
一部支給365万円月額43,060円~10,160円


参考:厚生労働省 | 児童扶養手当について


夫の名義の家に住む場合、住宅ローン支払い分を家賃として夫に負担してもらっていることになり、家賃分、もしくはその8割相当額が所得の中に入れられる可能性があります。


上記の所得には、養育費の8割相当額が加算されるので、所得制限を超える可能性があり、児童福祉手当が貰えなくなる場合がでてきます。


また、実際は別居していても、夫が住民票を移していなければ同居しているとみなされ、手当が不支給となるケースもあるので注意が必要です。


このように、さまざまなリスクがあるので、名義変更は離婚時、速やかにするのが一番良いのです。


しかし、事情あって住宅ローンの完済まで時間がかかる場合は、後のトラブルを避けるために、離婚するときには財産分与契約書を公正証書にしておくことをおすすめします。

離婚時に住宅を売却した方がいい4つのケース



離婚するときの大きな問題には、マイホームをどうするかということだと思われますが、状況によって売却した方が良い場合があります。


おもに次の4つのケースです。

  • 共有名義である
  • 子供が家を出る可能性がある
  • 夫(妻)が再婚する可能性がある
  • 妻がパート勤め等のため収入が減る

名義が共有であることを除くと、いずれも家庭内の今後の状況の変化に関係することです。


夫婦間での今後起こりうるかもしれないトラブルを未然に防ぐには大切なことですので、ひとつずつ説明します。

ケース①:共有名義である

夫婦の共有名義から単独名義に変更するのは手続きが非常に複雑です。


この場合、住宅ローンを借り換えることになるのですが、あらためて審査が行われるので審査を通さないといけません。


夫と妻、どちらも同程度の収入、勤続年数、役職であれば、片方の単独になったとしても返済能力があるとみなされて審査が通る可能性があるのですが、金融機関の審査は大変厳しく、場合によっては認められないケースもでてきます。


共有名義の場合の単独名義への変更が難しいと言われている訳は、2人の収入などを審査してローンを組んだからです。


1人だとローンが組めなかったから2人の共有名義にしたというケースも多いのです。


ですから、これが1人になると、同じ金額を借りることは難しくなります。以前組んだローン金額と同等の条件にはならないからです。


したがって、共有名義の場合は、家を売却してスッキリした方が得策と言えます。

ケース②:子供が家を出る可能性がある

子供が家を出る可能性があるときも、家を売却した方が良いと思われます。


子供と一緒に暮らすために、少し無理をしてでも今の家に住んで、環境を変えずにがんばっていこうと思っているのではと考えられます。


しかし、子供が家を出る予定や可能性があるのなら、妻1人で暮らすには大きすぎる家になってしまいます。


家が大きいと経費も多くかかります。


ですから、子供が家を出るのであれば、現在の家を売却して財産分与し、自分の身の丈にあったコンパクトな住居やアパートなどに移った方が、将来の生活のためにも楽に暮らせるはずです。

ケース③:夫(妻)が再婚する可能性がある

再婚の可能性がある場合は、家を売却した方が良いと考えられます。

夫婦間での無用なトラブルを残さないためです。


離婚するということは、お互いに新しい生活を営むことになります。

夫が家を出て行き、妻が再婚の予定がある場合は、新しい人と別の場所に住むことになります。


そうなると、現在の家を残しておく理由がなくなります。


例えば、家にどちらも住まない場合に、賃貸住宅として貸したとしても、その家の管理や賃料をどう分けるかなどで、夫と連絡を取り続けなければなりません。


その際、思わぬトラブルがおきるかもしれません。


できればもう、元配偶者とは連絡は取りたくないですよね。


それよりは、売却してその売却金を財産分与として双方で分けてしまった方がスッキリするのでおすすめです。

ケース④:妻がパート勤め等のため収入が減る

住宅ローンの名義人だった夫が家を出て行き、パート勤めの妻が住居に住み続けたい場合も、売却した方が良いと思われます。


住み続けるには住宅ローンの名義変更が必要になりますが、弊害があるからです。


妻が住み続けるには、住宅ローンの残額を一括返済してから住居を妻名義に変える必要があります。


たくさん貯金があるとか、妻の実家に頼んで支払ってもらうとか条件が揃っている場合は別です。


しかし、通常は、住宅ローンの書き換えをして、ローン残債を返済後、新たなローンを妻が支払っていかなければなりません。


ローンを組み直すには、審査を受けなければなりませんが、妻がパート勤めの場合、収入が低いので妻だけの収入でローンを組むのは無理です。


住宅ローンの借り換えの条件には、「住居に住んでいる人が名義人になる」ということがあります。

そうなると、ローン審査が通らなくなるので、名義変更もできなくなります。


夫が口約束で、離婚後もローンは支払うと言って名義変更をしないでおくと、夫側の状況が変わってローンを支払えなくなる可能性もあります。


その場合、抵当権を行使されて、妻は家を出ていかなくてはならなくなります。


そのようなトラブルの元にもなりかねませんので、住宅ローンの借り換えができない場合は、売却した方が良いと言えます。

まとめ:住宅ローンの離婚に伴う名義変更についてはマネーキャリアへ!

今回の記事では、離婚するときに住宅ローンの名義変更はできるか否かについてお伝えしました。


通常の場合と違い、離婚の場合はローンの借り換えをして一括返済するなどして変更できます。


しかし、新たにローンを組むときに審査に通らないなどの理由で名義変更ができないケースもでてきます。


また、名義変更の手続きや税金問題などはかなり難しく感じると思います。


マネーキャリアなら、住宅ローンの名義変更など、お金の悩みや不安について、プロのFPに相談できます。


自宅やカフェにおいて無料でオンライン相談ができるのでとても便利です。


離婚の際、マイホームの住宅ローンをどうするのが一番良いのか、お困りでしたらぜひ、お気軽にご相談くださいね!

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