【財産分与】住宅ローン残債は離婚時どうなる?連帯債務の場合も解説

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望ましいことではありませんが、夫婦として生活していたふたりが別々の道を歩むべき時もあります。あなたがこのような場面に直面した場合、住宅ローン返済中の住居はどのように財産分与されるのでしょうか。複雑な住宅ローンの財産分与について解説します!

▼この記事を読んでほしい人
  • 離婚時に住宅を売却できるか知りたい方
  • 財産分与として住宅ローンの残債はどうなるのか知りたい方
  • 離婚後は住宅の所有権がどうなるか知りたい方

内容をまとめると

  • 住宅ローンの残る物件を分ける方法は「片方が物件を受け取るか」「二人とも現金を受け取るか」の2パターン
  • 売却予想がオーバーローンの場合、任意売却を選択した方がよい
  • 名義変更をする場合は離婚成立後でないと税金が発生する
  • 住宅ローンの残る物件の財産分与で悩んでいるならマネーキャリアのFP相談がおすすめ!
  • オンラインでどこからでも相談でき、納得するまで何度でも相談可能!

目次を使って気になるところから読みましょう!

離婚時の住宅ローン残債は財産分与は3パターンに分かれる


アメリカなどの諸外国では結婚する前に、離婚した場合はどちらが何の権利を持つか、どのように財産分与をするかを取り決めして籍を入れる「婚前契約」を行うカップルも少なくないと聞きます。


日本ではあまり、このような文化は浸透していませんが実際に離婚する事態となった際に、トラブルになりやすいのが財産分与の問題です。


財産分与は夫婦(家族)として過ごした間に形成した財産を均等に二等分することで、持ち家がある場合、その住宅も財産分与の対象となります。


住宅ローンの残債がある場合は、ローンの返済も含めた住宅の取り扱いを決めておく必要があります。


住宅ローンが残っている場合

どちらが家を所有するのか

家の名義人は誰なのか

によって、行う手続きが変わってきます。

  1. 住宅ローンの契約者名義が夫で、離婚後も夫が住む場合
  2. 住宅ローンの契約者名義は夫だが、離婚後は妻が住む場合
  3. 夫婦で連帯債務として契約している場合
それぞれ解説していきます。

パターン①:住宅ローンと物件が夫名義で離婚後も夫が居住

まずはじめに、住宅ローンの契約者名義が夫で、離婚後も夫が住み続ける場合についてです。このパターンが最もシンプルで、特に名義変更も行う必要がなく、返済のみを引き続き行っていくことになります。


このとき、残っている住宅ローンの残高の支払い義務は契約している名義人のみとなり、離婚後は名義人でないもう一方には支払いの義務がありません


しかし、連帯保証人が妻となっている場合、夫のローン返済が滞るなどの問題が起きた際に、妻に支払い命令が下されることがあります。このような事態を避けるには、連帯保証人を変更する手続きをしておくと安心です。


住宅ローンの名義人である人がその家に住み続けるのは話がスムーズですが、夫婦ふたりで契約を行うペアローンなどで住宅ローンを組んでいた場合は複雑です。


ペアローンの場合、契約時に夫婦ふたりの総合年収によって、借入できる金額を審査をしているため、「離婚のため、どちらかの単独名義にしたい」という単独借入に変更することは難しいのです。


住宅ローンの名義者が物件に住み続ける場合、ペアローンではなく、単独契約で住宅ローンを組んでいることを確認しましょう。

パターン②:住宅ローンと物件の夫名義で離婚後は妻が居住

夫名義の住宅ローンを組んでいる物件に離婚後、妻が住む場合は名義人の変更手続きが必要です。 


理由は、金融機関と交わした契約の違反に当たる可能性があるからです! 


たとえば夫から「離婚しても名義は自分のまま、住み続けてもらって構わない」と妻に言っていたとしても、夫名義の物件に妻が住み続けるのは契約違反に該当します! 


ですので、離婚後に妻が住む場合は名義人の変更手続きを行いましょう! 


借入している金融機関にもよりますが、契約違反となった場合、住宅ローンの一括返金や罰金といったペナルティを受けることがあるため、離婚後の関係が良好な間柄であったとしても、債務者と別の人が住むことは控えましょう。


この名義変更を行う際には、妻に安定した収入があることが前提となります。元の契約者から名義人を変更する場合、返済能力の有無を確認するために再度、ローンの審査を行います。


名義変更の審査ではさらに下記のような内容を確認することがあります。

  • 新しい名義人に充分な収入が認められる
  • 現時点では充分な収入がないが、名義変更をしなくてはならない事情がある
収入に問題ない場合は、収入審査を通過できますが、離婚による名義人変更は連帯保証人にかかる諸々の手続きが再度必要となるため、変更までに時間を要することになります。

パターン③:夫婦で連帯債務の場合は借り換えが必要

先のお話で、「ペアローンの場合は簡単に単独名義にできない」ということを説明しましたが、連帯債務の契約をしている場合も同様です。


連帯債務の場合も、借入当初の契約と内容が異なることから、途中でどちらか一方の名義に変更することはできません。


そのため離婚後、住宅を譲り受けるに人に名義変更したいときは、住宅ローンの借り換えを検討する方法があります。


しかし、ローンの借り換え時に注意すべきなのは、新規で借入をする際よりも審査基準が厳しい点です。理由は以下の通りです。

  • 年数が経ち、住宅の担保評価が下がっているから
  • 契約者も歳を重ねて健康状態が以前より低下している可能性があるから

また配偶者がいないことから、連帯保証人や連帯債務者が親族などに変更することも、金融機関が懸念する理由のひとつです。


審査の対策は以下のような点です。

  • 他の借入やローンを返済しておく
  • 自己資金を用意しておく
  • 同じ会社に長期的に勤続する
  • 正規雇用で勤務する
  • 複数の金融機関に申し込む
すべてをクリアする必要はありませんが、審査の対策をすることで借り換えの契約に至る可能性は上がります。

勤続年数が浅い場合や、正規雇用での勤務でない場合は、条件が緩和されている住宅ローンの商品を選んでみましょう。

住宅ローンの財産分与で知っておかなければならない知識


財産分与には3種類の分与があります。

  • 清算的財産分与…結婚中に形成した共有財産などを貢献度に応じて分配すること
  • 扶養的財産分与…離婚後に生活が困窮する一方対し、もう一方が扶養的な意味で一定額を支払うこと
  • 慰謝料的財産分与…離婚の原因が一方にある場合、共有財産のお金を区分せず慰謝料の意味合いで支払うこと

上記3つの中で、住宅や住宅ローンの財産分与は「清算的財産分与」にあたり、住宅ローンの残債を財産分与する際には、契約の変更や計算方法にルールがあります。


財産分与と聞くと、一見資産のみを分配することのように想像してしまいがちですが、負債となる財産があれば、その財産も分配する必要があります。


離婚時の、住宅ローンの財産分与については以下をおさえておきましょう!

  1. 離婚を理由とした契約変更は不可
  2. 住宅ローンの負債も財産分与の対象
  3. 財産分与は基本的に2分の1
それぞれまとめていきます!

知識①:離婚を理由に住宅ローンの契約変更はできない

住宅ローンは原則、離婚を理由に契約の変更をすることはできません


住宅ローンは貸付を行う金融機関とローン契約者(名義人)との間で交わされる契約のため、完済までの間に離婚というイベントが生じても、金融機関側が契約変更の便宜を図ることがないからです!


残念ながら銀行側としては、貸し付けを行なった分の資金を約定どおりに返済して欲しいだけなのです。


しかし、離婚時における夫婦の収入状況によっては、銀行側も夫婦の希望する内容とおりに対応できることもあります。


たとえば、以下のような場合は銀行側に交渉できる可能性があります。

  • 債務者の年収額が住宅ローンを組んだ当初より高くなっている
  • 返済する住宅ローンの元本が少なくなっている

上記のように以前より状況が好転している場合は、住宅ローンの債務を単独名義に変更したり、連帯保証人を外すように契約を変更したい旨を交渉してみる価値があります。


もちろん、銀行側に交渉しても応じてくれないこともあり得ます。その際は連帯保証人を配偶者から両親に変更したり、両親の自宅などを担保としたり、配偶者を連帯保証人から外すことを交渉材料とすることも方法のひとつです。 


このような交渉を行う際には離婚前にあらかじめ両親にも説明し、手続きの事前に了承を得て、協力してもらえる準備をしておきます。

知識②:マイナスの財産として財産分与の対象になる

先にもお伝えしたとおり、財産分与は価値のあるものだけではありません。


住宅ローンの財産分与を行うには、残高と住んでいる不動産の市場価格(時価)との差額を算出します。その結果住宅ローンがマイナスであっても財産分与の対象となるのです。


財産分与に限らず、「家の価値は時価で左右される」ということを覚えておきましょう。伴い、家の価値は年を経るごとに低下するということも認識しておかなければなりません。


家の売却を検討する際には「今なら持ち家がいくらになるか」を把握する必要があります。売却する際には複数の不動産会社に査定してもらい、より高額で売却できる会社を選定するのがおすすめです。


この住宅ローンの残る物件の分与方法は後ほどご説明します。

知識③:分与の割合は1/2で計算されるのが基本

たとえば妻が専業主婦で夫が会社に勤めている場合であっても、財産分与は原則2分の1で計算されます。しかし、家庭によっては分与される割合が変動することもあります。


財産分与の割合が変動するケース

  • 一方の浪費(財産の消費)が激しい場合
  • 財産形成に一方が特有財産を貢献していた場合
  • 一方が特別な才能で財産形成した場合
上記のような特殊なケースである場合、離婚協議において割合の変動が認められることがあります。

一方に過失があった場合や、一方の年収がかなり高いという場合、その内容を考慮して分与する割合が決められます。

わかりやすい例でいうと、一方の過失によることが原因で離婚することとなった際、慰謝料の意味合いを含めて財産を分ける、などのケースです。

この場合、過失があったと認められる方の取り分を少なくし、損害を負った一方に割合を多くして財産が分与されることになります。

住宅ローン中に離婚する際の物件の財産分与の方法


ここまで財産分与するにあたり注意すべきことをご説明しました。

さて、住宅ローンの残る物件はどのように分配するのでしょうか?


分配の方法は主に以下の2点です。

  1. 物件を売却して分配する
  2. どちらかが物件を所有し、もう一方は現金を受け取る
財産分与の割合は基本的に2分の1となり、婚姻生活中に購入した物件であれば名義人に関係なく、均等に分配されます

ただし、以下のような特有財産に部類されるものは財産分与の対象とはなりません。
  • 夫婦のどちらか一方が結婚前から持っていた財産
  • 婚姻中であっても夫婦の協力とは無関係に取得した財産
結婚生活中に使用していた家具など、ひとつの物を均等に分配するというのは、なかなか難しい問題です。

特に車や住宅などの金額の大きなものほど、分配に苦心するため慎重に協議しなければなりません。

方法①:物件を売却して現金にする

まず、住宅を売却して現金にしてから分け合う方法です。同じ金額、同じ価値のものを分け合うという意味では、この方法が有効です。


この現金化する方法は、住宅の現在の価値によって金額が決定します。ただし、住宅を売却するにも、住宅ローンを一括返済できるお金を用意できなければ売却できません。


ここで問題になってくるのは家の価値が残っている住宅ローン額を上回っている「アンダーローン」であるか、住宅ローンの額を下回っている「オーバーローン」であるかということです。


この2点については後ほど詳しくご説明しますが、オーバーローンである場合は、自己資金を用意するなど、不足分を補わなければ住宅を売却することはできません。


また、この不足する金額についても「負債の財産分与」として分け合う必要が出てきます。

方法②:物件を片方が所有しもう片方は現金を受け取る

次にどちらかが物件を所有し、もう一方は現金を受け取る方法です。この方法の場合、物件を所有しないもう一方には、同価値の現金を分配する必要があります。


そのため、固定資産税の納税通知書の確認、不動産鑑定士に依頼するなどして、売却事と同じように現在の住まい価値を把握してから、算出された評価額の半額を一方が受け取り、もう一方は住宅の権利を受け取るという流れです。


夫婦間に子供がおり、すでに子供が学校などに通っているなどの状況である場合、子供を引き取る方が住宅を受け取れると、生活環境を変えることなく過ごすことができるので安心です。


もし、物件を受け取る方が、住宅ローンの債務者でない場合などはこのタイミングで債務者の変更などの手続きを行う必要があります。


住宅ローンの残債については、財産分与の対象とならず、物件の名義人にのみ返済義務が引き継がれます


自分たちのケースはどのように分与することになるのか?と住宅ローンや物件の財産分与について知りたい方は、ぜひオンラインからでも相談できるFPに、下記から無料相談してみてください。

離婚時の財産分与では住宅ローンのオーバーローンに注意


先のお話で少し出てきた売却価格が「アンダーローン」であるか「オーバーローン」であるかについて、もう少し詳しくみていきましょう。

  • オーバーローン…家の価値が住宅ローンの残債を下回っている状態
  • アンダーローン…家の価値が住宅ローンの残債を上回っている状態
アンダーローンである場合は、財産がプラスになるケースなので、特に苦悩することはありません。問題は返済するお金が不足するオーバーローンのケースです。

それぞれのケースで、物件をどのように売却すべきか説明しますので、参考にしてみてください。
  1. オーバーローンの場合は任意売却がおすすめ
  2. アンダーローンの場合は通常の売却でも問題ない
  3. オーバーローンの場合でも残ったローン額を分与しなければならない

知識①:オーバーローンはローン残高が売却費用を上回ること

オーバーローンは家の価値が住宅ローンの残高に満たない状態のことを指します。


住宅の価値は新築で販売されている時が最も高く、時間が経つにつれてその価値はだんだんと低下していきます。そのため、購入してから何年も経っている物件を売却する場合、このオーバーローンの状態になることも少なくありません。


先のお話で、「オーバーローンである場合、残りの住宅ローンを返済しなければ家を売却できない」と記述しましたが、実はオーバーローンでも売却する方法はあります


売却の方法は「競売」にかける方法と「任意売却」の2種類です。


競売は売却の手間はかかりませんが、売却価格が安くなってしまったり、新聞やインターネット上で誰でも売却情報を確認できてしまうので、近所にも「致し方なく家を売却しなければいけなくなった」ということがバレる可能性が高いデメリットがあります。


一方、任意売却は売却に期限があったり、連帯保証人の同意が必要であったりなどの制約はあるものの、一般の売却と同じように市場価格で売却できる可能性が高いことや、売却代金から最大30万円まで引越し費用を捻出できるメリットがあります。


このように、オーバーローンでも売却する方法はありますが、売却をしても残った住宅ローンの返済義務は残ります。残った差額については金融機関とどのように返済していくか、話し合う必要があります。

知識②:アンダーローンはローン残高が売却費用を下回ること

アンダーローンは家の時価が住宅ローンの残高よりも高い状態のことを指します。


アンダーローンの場合は売却した差額を、持ち家に住み続ける側の人が購入時の出資割合などに応じて相手に財産分与すれば済むため、比較的スムーズに手続きを進められます。


オーバーローンの場合は任意売却をして、通常の不動産の売却と同じように、一般の市場で不動産を売却する方法をおすすめしましたが、債権者(金融機関)と売却条件をすりあわせていくなど、面倒な手続きも少なくありません。


そのため、アンダーローンの状態であれば任意売却ではなく通常の売却を選ぶ方が、比較的手間が省けるものと考えられます。

知識③:オーバーローンの場合は離婚後も双方に返済義務がある

オーバーローンの場合、残った差額もマイナスの財産分与として双方に返済義務があることをご説明しました。この差額分の返済は住宅ローンを契約していた名義人のほうへ課せられます。


売却せず、妻にオーバーローンの家が引き継がれた場合でも、名義人が夫のままであれば、支払責任は夫に帰属するため注意が必要です。


夫名義でローンの返済を行なっていく場合、妻は離婚後に自身の返済分を一括で支払うか、毎月分割して夫に支払っていく必要があります。

補足:離婚時の住宅ローンなど財産分与の基準時のポイント


では、財産分与を行うのは一体どの時点での、財産なのでしょうか。「当然、離婚直前の財産だろう」と思われる方もいるかもしれませんが、離婚に至るまでに既に長期間、別居という形をとる夫婦もいます。


また中には、意見が分かれ、示談訴訟を行わなければいけない夫婦もおり、一概に「このタイミング」と明言できません。


しかし、基準となるポイントは上記で挙げた3つの時期になります。

  • 別居時
  • 離婚時
  • 訴訟後(最終口頭弁論による結果)
ここからは財産分与がどのタイミングで行われるかのポイントについて解説していきます。
  1. 別居時、または離婚時で判断される
  2. 家庭の実情により異なる
  3. 家の時価が影響しない場合は別居時で判断される
  4. 自分達のケースはどうなのか弁護士に相談して解決してもらう

ポイント①:別居時か離婚時かが論点になる

住宅ローンは精算的財産分与にあたり、財産分与の基準時は原則として経済的共同関係が消滅した時点とされています。つまり「互いの財布を分けたとき」が基準となるいえます。


離婚の前に別居が先行していれば、別居し始めの時点が基準となる可能性が高いです。別居をせずに離婚したとすると離婚時、または離婚の意思が決定した時点となります。


一般的には、上記のように「夫婦としての協力関係が破綻したのはいつなのか」が論点となりますが、夫婦双方の意見が分かれることもあり、離婚に至るまでの経緯により基準が変化します。


一概に、基準日が判断できないことを次にご説明します。

ポイント②:実際には実情を見ないと基準時は判定できない

上記では別居時か離婚時が基準となることを説明しましたが、すべての夫婦にこれが当てはまるわけではありません。


当てはまらない例としては、別居後も夫婦間に協力関係が認められる場合です。分与の対象となる財産が増減した場合、財産分与においてその後の事情を考慮されることがあります。


たとえば、別居していても生活費を共有していたり、子供教育費用で財産が減少したり、同居中に購入したアパートの家賃収入により分与対象の財産が増加するなどです。


この場合は、別居後の変動を検討しなければ分与に公平さを欠くこととなるため、「一切の事情」(民法768条3項)として考慮することがあります。


上記のように、個々の夫婦によって離婚理由もさまざまであるため、実際の実情を検討して分与基準時や割合を判断します。

ポイント③:時価が夫婦間に影響しない住宅ローンは別居時

基本的に時価の変動が夫婦の協力とは無関係である住宅ローンは、別居時が基準とされます。


ただし、注意が必要なのは住まいを売却する場合、別居や離婚の時期に関係なく、売却した時点の金額が分与の対象となる金額となります。


どちらかが住まいを受け取る際は、「別居期間中、住宅ローンの返済は一人でしていたか。二人で返済していたか」によって分与の割合に影響するため、ふたりがどれくらい住宅ローンの返済をしていて、どちらが家を引き継ぐのかは重要なポイントです。


複雑なパターンは支払っていた人と、受け取る人が別なパターンなどで、この場合はお互いの事情や貢献度によって分与の割合が異なります。


別居期間が、何十年にも及ぶ場合は財産分与の計算が複雑化することに加え、住宅の価値が年々低下していくというデメリットが生まれます。

ポイント④:詳細は弁護士に相談するのがベスト

上記までのポイントでもご説明したとおり、各々の夫婦によって離婚理由もさまざまで、別居してからの期間も異なります。


そのため、自分の財産分与の場合はどうなのかと調べた時に「基本的に」「一般的に」に当てはまらない人も多いでしょう。


またこの財産分与の基準時を知りたい方は、「自分の財産分与分はいくらなのか」が知りたいのかと思います。


夫婦双方の意見が分かれている場合、お互いの話し合いで解決することは極めて困難です。このような際には離婚に詳しい弁護士に相談し、解決を計ってもらうほうがベストでしょう。


双方の意見や分割しづらい財産のある離婚には、思っている以上に体力を使ってしまい、精神的にも疲弊してしまいます。


離婚の話が難航しそうになった際は早めに弁護士に相談しましょう。

補足:財産分与の際に物件の名義を変更しても税金はかからない


国税庁:贈与にかかる税金について


財産分与で得た財産には税金がかかることはありません。しかし、財産分与ではなく、個人間で渡した「贈与」とみなされると、贈与税がかかることがあります。


贈与税とは個人から受け取った財産が年間110万円を超える際に、受け取った財産にかかってくる税金のことです。


年間というのは、その年の1月1日から12月31日までの期間を指し、贈与を受けた財産の合計金額から、基礎控除額の110万円を差し引いた残額に贈与税の税率を掛けて計算されます。


そのため、そもそも財産分与される額が110万円に満たない場合は、税金がかかってくることはありません。


財産分与の対象となる住まいについては、名義変更のタイミングが離婚前と離婚後で贈与なのか、財産分与なのかが分かれます。

  1. 離婚後の名義変更は財産分与であるため、税金はかからない
  2. 離婚前の名義変更は贈与となり、税金が発生する

ポイント①:離婚時の名義変更は贈与税が発生しない

財産分与は『AさんからBさんへ財産を渡す、贈る』といった贈与とは異なり、二人で形成した財産を分けるということになるため、贈与税の対象とはなりません


住宅ローンに関しても同様で、離婚時(離婚後)に名義人の変更をしたとしても、贈与税はかかってきません。


この離婚時に贈与税がかからないのは、住宅ローンが返済中であっても、完済していても変わりはありません。


返済中の住宅ローンを財産分する際に注意した方が良いのは、離婚後決定した住宅ローンの処遇について揉めないように、公正証書、もしくは覚書を記載してお互いの取り決めをしておくのがおすすめです。


このように通常の財産分与は贈与税がかかりませんが、例外として税金が発生する場合があります。


それは、租税回避が目的である離婚のケースです。贈与税や相続税を免れるために偽装離婚したと判断された場合は、財産分与として扱った財産すべてに贈与税が発生することになります。


これは、同じ人と結婚と離婚を繰り返す事により、贈与税や相続税を払わずに資産を移動することができてしまうからです。


また偽装離婚は財産の問題だけでなく、社会的な信用を失ってしまう可能性や、最悪罪に問われるケースに発展するため、絶対に実行しないようにしてください。

ポイント②:離婚前の名義変更は贈与税が発生する

最も注意すべきなのが、この離婚前に物件の名義変更を行うことです。離婚前に名義変更を行うと、『AさんがBさんに自分の財産を贈った』とされ、贈与税が発生することとなります。


親子間や夫婦間の贈与では贈与税の軽減措置がありますが、「贈与」と「財産分与」とは根本的に考え方が異なります


離婚による財産分与として不動産を譲渡したい際は、離婚届を提出して正式に離婚した後に、不動産の名義を変更しなければ、財産分与として受け渡すことになりません。


もうひとつ、物件の受け渡しにかかわらず、財産分与で贈与税が発生する例外があります。


分与された財産の額が、結婚生活の中で夫婦の協力によって得た財産の額や、その他すべての事情を考慮してもなお多すぎると判断された場合には、基準を出た部分の額に贈与税がかかることとなります。


どれくらいの額になると多すぎるとみなされるのか、明確な基準はありません。各々の夫婦の事情に応じてケースバイケースで判断されることになります。


この場合、妥当とみなされる分与額に変更することで贈与税を回避できますが、多くの人は贈与税を支払っても多めに財産分与で財産を得たいと思いますので、過多な部分の贈与税を支払ってでも十分すぎる分与額を得ることにしてもメリットは大きいといえます。

まとめ:ライフプランの相談はマネーキャリアへ


今回は住宅ローンの残る物件の財産分与について、解説してきましたがいかがでしたでしょうか。


まとめると住宅ローンの残る財産分与のパターンは以下となります。

  1. 住宅ローンの名義人が住まいを受け取り、もう一方は家の価値の半額にあたる現金を受け取る
  2. 住宅ローンの名義人ではない一方が住まいを受け取り、名義人であった人は現金を受け取る。離婚成立後に名義人変更手続きを行う
  3. 住宅ローンが残っているが、物件を売却して現金を双方で分与する

住宅ローンの名義人である人が、そのまま物件に住み続けるパターンはスムーズですが、そのほかのパターンは名義変更や、借り換え、売却手続きなど、手続きが多く手間がかかります。


売却の際には、「オーバーローンの場合はどうする」といった手段もあらかじめ視野に入れておいた方が慌てずに手続きを進められます。


住宅ローンの残る物件を財産分与するのは、複雑な問題です。円満に離婚できる夫婦が多くないことから分与の割合も均等に分けることが難しいことがあるのです。


「いきなり弁護士に相談するのは気が引ける…」「なにから手続きをすべきか知りたい」このように住宅ローンの財産分与に不安を感じている方は、お金のプロであるマネーキャリアのFP無料相談してみてはいかがでしょうか。


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