住宅ローンの連帯債務とは?持分割合によっては厳しい返済計画も

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連帯債務は夫婦2人で住宅ローンを組むひとつの方法です。連帯債務の基本のキからメリットデメリット、ペアローンや連帯保証との違いまで徹底解説します。連帯債務で必ず登場する持分の決め方や贈与税を取られない対策についても具体例を交えて説明します。

▼この記事を読んで欲しい人
  • 住宅ローンの連帯債務とは何か知りたい人
  • 住宅ローンの借入枠を増やす方法を調べている人
  • 住宅ローンの連帯債務と連帯債務、ペアローンはどう違うのか知りたい人

内容をまとめると

  • 住宅ローンの連帯債務は夫婦2人で連帯して債務者となるため、2人とも住宅ローン控除が適用される
  • 連帯債務では持分は収入の割合によって決める
  • 持分を収入を無視して決めると贈与税が求められる
  • 連帯保証型の連帯保証人は住宅ローン控除が適用されず団信へ加入できない
  • ペアローンは住宅ローン控除が適用され団信へも加入できる
  • 住宅ローンのことはお金のプロに依頼するのが安心安全
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住宅ローンの連帯債務とは?知っておくべき6つの特徴


共働きの夫婦が増え、夫婦2人で住宅ローンを計画するケースも増えています。希望の物件があるけれど、1人だけの収入では住宅ローンの審査に通らないかもしれないと、夫婦2人でのローンを考えている方も多いでしょう。

2人で組む住宅ローンのひとつに「連帯債務」という手法があります。
  1. 世帯年収でローンを組めるため借入額が増やせる 
  2. 債務の持分は収入比率で決まる 
  3. 夫婦共に住宅ローン控除OK 
  4. 年収を無視した持分割合にすると贈与税の対象に
  5. 持分割合の登記は要注意 
  6. 取り扱い銀行が少ない
連帯債務は借入額を増やせる意味では効果的な方法ですが、注意すべきポイントもいくつかあります。ではひとつずつ詳しく見ていきましょう。

特徴①:世帯年収でローンを組めるので借入額が増やせる

通常、住宅ローンは1人で申し込み、審査を受け、1人で契約を結びます。その場合、1人分の収入で審査を受けることになるため、希望した借入枠が取れないこともあります。

そこで夫婦の収入を合わせれば、より大きな融資枠を得ることも可能です。世帯で収入合算し、2人で債務者となる住宅ローンの方法を連帯債務といいます。

ある家族の例を挙げてみましょう。
  • 夫:45歳 食品メーカー営業職 年収450万円 
  • 妻:45歳 看護師 年収600万円 
  • 子供:10歳女の子
この夫婦は、5000万円の物件を購入したいと考えています。頭金1000万円を入れ、4000万円の借入れを希望しています。希望借入額4000万円に対して、夫1人の収入では審査が通らないのではないか、と心配しています。また、住宅ローンを始めるには少し高齢であることも不安になっています。

このようなケースで向いているのが連帯債務です。妻も一定の収入があるため、2人で収入を合算し連帯債務で住宅ローンを申し込むことで、希望の融資額を取れる可能性が出てきます。

特徴②:債務の持分は収入の割合によって決まる

連帯債務は、2人でローンを一緒に組むことになります。では、どのようにローンを分担するのでしょうか。

連帯債務では、一般的には2人の収入の比率で債務(ローン)を分担します。たとえば、夫と妻の収入が同じなら、半分ずつで住宅ローンを組みます。夫と妻の収入が違う場合、その割合に応じて債務を分担することになります。
  • 夫の収入:400万円
  • 妻の収入:600万円
この場合、持分は夫40%、妻60%となります。この割合に応じて夫婦でローン金額を按分して、債務の持分を分担することになります。

特徴③:夫婦共に住宅ローン控除を受けることができる

連帯債務では、債務者となった2人がそれぞれ住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を受けることができます。

住宅ローン控除とは、住宅ローン利用者の税金を減税する制度です。
  • 自らが居住している
  • 住宅ローンが10年以上
  • 所得が2000万円以下
  • 広さ50m2以上   等
このような要件を満たせば一定の期間、住宅ローン残高の0.7%が所得税、住民税から引かれるというお得な制度です。

住宅ローン控除を受けるには、債務者である必要があります。連帯債務は、夫も妻も2人とも債務者となりますので、それぞれが住宅ローン控除を受けることができます。

特徴④:債務の持分を年収を無視した割合にすると贈与税の対象になる

債務の持分、つまりローンの分担は収入に比例していなければなりません。たとえば、
  • 夫の収入:400万円
  • 妻の収入:600万円
このようなケースでは、夫が40%、妻が60%の割合で債務を持たなければなりません。

では、年収を無視した債務の持分にした場合、どうなるのでしょうか。年収を無視した持分割合にすると、贈与税の対象となります

収入で計算すると、夫が40%、妻が60%の割合となるのに、夫が50%、妻が50%という比率に変更すると、妻から夫への贈与となり、贈与税を納めなければなりません。

一見、贈与税がかかるとは考えづらい事例かもしれませんが、収入を無視した持分を設定すると、贈与税を納める必要が出てきます。自分の資金以外で何かを買い求めると贈与税がかかるという基本原則を覚えておくとよいでしょう。

持分の決め方は、必ず収入に比例することを念頭に入れてください。

ただし、贈与税は贈与された金額が年間110万円以下であれば、贈与税はかかりません。

特徴⑤:持分割合を登記する場合は注意

マイホームを買い、住宅ローンを組む際は登記が必要となります。登記とは、土地や建物の所在地や権利関係を公的に管理されている帳簿に登録することです。住宅を購入したら、その建物・土地は自分のものだと国に届け出なければなりません。手続きは法務局でおこないます。

夫婦でマイホームを買った場合、夫婦で持分割合を計算し、その通りに登記をしなければなりません。また、頭金を両親や祖父母に出してもらうこともありますが、その場合も頭金の金額に応じて持分を按分して登記する必要があります。

特徴⑥:取り扱い銀行が限られる

連帯債務は1人よりも借入額が増やせて、住宅ローン控除も夫婦それぞれ使うことができるというメリットがある一方、残念ながら取り扱っている銀行が少ないのが実状です。

連帯債務を利用したいと思ったら、フラット35か一部取扱いのある銀行に限定されます。
連帯債務で住宅ローンを使いたいと思っても、希望する金融機関で連帯債務を扱っていない可能性もあります。取り扱いのある金融機関をまず下調べしておくことをおすすめします。

住宅ローンの持分割合の具体例


2人で住宅ローンを組む場合、単独ローンと比べて一番異なる点が「持分割合」です。2人でどのように債務を分け合い、持分割合を決定するのか、非常に重要なポイントになります。


持分割合の具体例をいくつかご紹介し、持分割合の決め方について解説していきたいと思います。

  1. 4000万円の物件を頭金1000万円で購入した時
  2. 3000万円の物件を頭金なしで購入した時 

持分割合についてあやふやな理解でいると、あとで贈与税を追徴されたということにもなりかねません。ではひとつずつ見ていきましょう。

ケース①:4000万円の物件を頭金1000万円で購入した時

夫婦で収入合算し連帯債務で住宅ローンを組む具体例を挙げてみましょう。

ケース①は、4000万円の物件を頭金1000万円、住宅ローン3000万円で購入する事例です。夫の収入は600万円、妻の収入は200万円であると仮定します。
項目
①収入600万円200万円
②持分割合
75%25%
③住宅ローン(3000万円)
の持分
2250万円750万円
④頭金1000万円0円
⑤持分割合
(頭金を考慮)
(2250+1000)÷4000万円
=81.25%
18.75%

詳しく解説しましょう。

①まず夫婦の収入を元に、②持分割合を計算します。

③住宅ローン3000万円を②持分割合で夫婦の住宅ローンの持分を計算します。

④頭金を夫が払う場合、⑤夫の住宅ローン分と頭金を足して購入金額4000万円で割り、夫の持分割合を計算します。


持分登記をする場合、この⑤の数字「81.25%、18.75%」を使って登録しなければなりません。

ケース②:3000万円の物件を頭金なしで購入した時

ケース②は、頭金なしの場合を想定してみましょう。3000万円の物件を頭金なしで購入するケースです。夫の収入は400万円、妻の収入は600万円であると仮定します。

項目
①収入400万円600万円
②持分割合40%60%
③住宅ローン(3000万円)

の持分
1200万円1800万円
④頭金0円0円
⑤持分割合
(頭金を考慮)
40%60%

①夫、妻の年収を元に、②持分割合を計算します。

②持分割合に応じて③住宅ローンの持分を計算します。

③頭金はありませんので、最終的な持分は②持分割合と同じ「40%、60%」になります。

住宅ローンの連帯債務者と連帯保証型との違いは?

借入額を増やしたい場合、2人で収入を合算して住宅ローンに申し込むことができますが、その手法には連帯債務以外に「連帯保証」という方法もあります。


連帯債務と連帯保証。とても似た言葉で混同しやすいのですが、両者には大きく異なる点があります。

  1. 連帯保証人は住宅ローン控除が使えない
  2. 連帯保証人は団信へ入ることができない

連帯保証人は重い責任が課せられますが、デメリットも多くなります。ではひとつずつ解説していきましょう。

連帯債務者との違い①:連帯保証型は住宅ローン控除が適応されない

連帯債務型と連帯保証型の違いとして、連帯保証型における連帯保証人は住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)が適用されないという点があります。

夫婦を例に、連帯債務と連帯保証の違いを一覧にしてみましょう。
項目連帯債務型連帯保証型
債務者夫:主債務者
妻:連帯債務者
夫:主債務者
妻:連帯保証人
住宅ローン控除夫:〇
妻:〇
夫:〇
妻:×

連帯債務型では妻は夫と連帯して「債務者」となります。一方連帯保証型では、妻は夫の「連帯保証人」になりますが、債務者ではありません。

住宅ローン控除の要件として、住宅ローンの債務者本人である必要があります。連帯保証人では住宅ローン控除を受けることができません。連帯保証では、主債務者1人しか住宅ローンの恩恵を受けられませんので注意しましょう。

連帯債務者との違い②:連帯保証型は団体信用生命に加入できない

住宅ローンに契約する場合、多くのは団体信用生命保険(団信)に入ることになります。団信とは、契約者に万が一のことがあった場合、保険金でローン残債をすべて完済してくれる生命保険のことです。

夫婦の事例で比較してみましょう。
項目連帯債務型連帯保証型
債務者

夫:主債務者

妻:連帯債務者

夫:主債務者
妻:連帯保証人
団体信用生命保険
(団信)
夫:〇
妻:△
夫:〇
妻:×
連帯債務型では、フラット35など商品によって団信に加入することもありますが、連帯保証型の連帯保証人は債務者ではないため団信に加入することができません

連帯保証型では、妻(連帯保証人)にもしものことがあれば、残ったローンをすべて夫(主債務者)1人で返却していくことになります。連帯保証人は生命保険に加入するなど別途リスク対策が必要となるでしょう。

住宅ローンのペアローンとは?


夫婦2人で住宅ローンを組む選択肢として、収入合算(連帯債務、連帯保証)する方法と、あともうひとつペアローンがあります。


ペアローンは夫婦2人がそれぞれ債務者になるという意味で連帯債務に似ていますが、ペアローンの方は契約が独立した2本になるという点が連帯債務と異なります。

  1. 借入額を増やせる
  2. 夫婦ともに団体信用生命保険に加入できる 
  3. 手数料が倍に
  4. ローンの全額は団体信用生命保険でカバーできない 

ペアローンの特徴をひとつずつ解説していきたいと思います。

特徴①:借入額を多くできる

ペアローンの特徴として、連帯債務と同様に借入額を増やせるという点があります。住宅ローンの審査でより多い融資額をもらうには、収入が多いことが重要視されますが、収入が足りずどうしても借入可能額が低めになってしまうこともあります。

そのような場合は夫婦でペアローンを組むことにより、夫、妻でそれぞれ融資を受けることができるため、全体として借入額を多くすることが可能です。

ペアローンでは、夫と妻が別の住宅ローンを組むことになります。夫婦それぞれが住宅ローンに申し込み、審査をパスする必要があります。

特徴②:夫婦ともに団体信用生命に加入できる

ペアローンは夫婦で別の契約になります。夫と妻が各住宅ローンの契約者になるため、団体信用生命保険(団信)に各自加入することができます

夫婦を例にして、単独ローン、連帯債務、ペアローンの違いを一覧にしてみました。
項目契約者債務者団信
単独ローン夫:債務者夫:〇
連帯債務夫:主債務者
妻:連帯債務者
夫:〇
妻:△(※)
ペアローン
夫、妻
(契約2本)
夫:債務者
妻:債務者
夫:〇
妻:〇
このように、ペアローンでは夫婦ともに団信に加入することができます。

たとえば、下記のようにペアローンを組み、それぞれ団信に加入しているとします。
  • 夫:2500万円の借入れ(A)
  • 妻:1500万円の借入れ(B)
妻が返済半ばで死亡した場合、団信の保険金により、妻の借入金(B)は完済されます。妻は団信に加入しているため、夫は妻の返済を引き継ぐ必要はなく、夫は自分のローン(A)だけを返済することになります。妻の死亡によって夫婦2人のローンがゼロになるわけではありません

※:連帯債務の団信は、フラット35では夫婦2人で加入できる「夫婦連生団信」がありますが、他の連帯債務では連帯債務者は加入できないこともあります。

特徴③:手数料が倍になる

ペアローンは、夫で1本、妻で1本、別の契約をむすぶことになるため、手数料が2倍ほど必要になります。住宅ローンの契約に際して必要になる諸費用は主に、
  1. 契約書に貼付する印紙代
  2. 登記にかかる費用
  3. 銀行に支払う融資手数料、保証料

があります。


①の印紙代ですが、住宅ローンの金額は高額になるため、契約書には印紙を貼る必要があります。1000万円超~5000万円の契約では2万円かかりますが、この費用もペアローンでは2倍となります。


②の登記費用は、免許登録税(登記する際国に支払う税金)は、土地や家の購入金額に対して税率をかけて算出されますが、登記登録を依頼する司法書士への報酬は、倍になると思っておいた方がよいでしょう。


③融資手数料や保証料については、定額制の場合、単純に2倍になります。

特徴④:ローンの全額は団体信用生命でカバーできない

ペアローンは、夫と妻が各自契約をむすぶため、それぞれ団体信用生命保険(団信)に加入することができますが、その団信の保険金がカバーするのは、夫、妻、それぞれのローンに対してのみ、となります。

ペアローンの借入金と団信の関係を表にしてみました。
項目①夫の契約②妻の契約
住宅ローン
残高
2500万円1500万円
団信夫が亡くなれば
2500万円が
保険金で支払われる
妻が亡くなれば

1500万円が
保険金で支払われる
ペアローンでは、夫、妻ともに団信に加入し、万が一の場合、各自の借入金を補填します。夫が死亡したら①のローン残高2500万円が保険金から支払われ、夫のローンは終了します。妻は自分のローン②の返済を続けます。逆もしかりで、妻が死亡したら②の残債1500万円が団信により補填され、夫は自分のローン①の返済を続行します。

夫、妻のいずれかが死亡しても、すべての借入金(①+②すべての残債)がゼロになるわけではありませんので、勘違いしないようにしましょう。

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住宅ローンの連帯債務のデメリット


住宅ローンの連帯債務は、夫婦で「主債務者+連帯債務者」という立場をとるローン形式です。「主」と「連帯」という違いはありますが、それぞれが「債務者」となるのがポイントです。言わば、夫婦が二人三脚で大きなローンを返していくというスタイルです。夫婦で最後まで完済することができればよいのですが、なかなかうまくいかないケースもあります。

住宅ローンの連帯債務のデメリットは3点。

  1. 死別した際
  2. 離婚した際
  3. 仕事が継続できなくても支払の義務がある

ではひとつずつ解説していきましょう。

デメリット①:死別した際

住宅ローンを連帯債務で組む場合、デメリットは死別した場合です。

単独ローンで団信に加入した場合、債務者が亡くなった場合、団信の保険金で完済することができます。一方、連帯債務では、団信加入時の団信割合により、死亡時の保険金が変わってきます。団信割合とは、夫婦2人の保証割合のことです。
項目単独ローン連帯債務
債務者夫:債務者夫:主債務者
妻:連帯債務者
住宅ローン残高4000万円4000万円
団信割合100%夫:60%
妻:40%
団信で支払われる
保険金
4000万円夫の死亡時
2400万円
連帯債務で夫が死亡した場合、団信割合の夫の持分60%だけが団信により返済されます。残り40%については、妻が返済を続けていくことになります。

団信割合の設定については金融機関により異なるため、加入前に確認しておくとよいでしょう。

デメリット②:離婚した際

夫婦で住宅ローンを組むどのケースにも共通して言えることですが、連帯債務の大きなデメリットは離婚した場合でも、返済義務が残ってしまうという点です。


マイホームを買う頃に、誰しも未来に離婚をするなど考えもつかないことです。しかし、3人に1人が離婚する時代です。離婚する夫婦が住宅ローンを抱えている場合、かなりやっかいなになることは肝に銘じておく必要があります。


連帯債務では、家と土地は夫婦の共有名義になっています。片方の名義に変更するには、連帯債務者が外れる必要がありますが、それは非常に難しいことと思っておいたほうがよいでしょう。代わりの連帯債務者を立てる、住宅ローンを借り換える、物件を売却するといった対処が必要になります。


連帯債務のかたちで住宅ローンを組む場合、それなりの覚悟でハンコを押すようにしましょう。

デメリット③:仕事が継続できなくても支払の義務がある

連帯債務では、夫婦で決まった割合で月々返済していくことになります。夫婦のどちらかがやむを得ない理由で働けなくなっても、支払いの義務は免除されませんパートナーが2人分の返済を担っていくことになります。
  • 妻の妊娠、出産
  • 休職、転職活動
  • ケガ、病気
このような状況においても、住宅ローンの返済は待ってもらえません。1人が2人分のローン返済を粛々としなければなりません。

連帯債務をはじめ、夫婦で住宅ローンを組む場合は、いざというときのために保険や貯蓄、投資などでカバーできるよう、余裕のある計画を組むことが大事になります。

住宅ローンの連帯債務型に向いている人


連帯債務型の住宅ローンは、主債務者と連帯債務者として夫婦で返済していきます。死別したり離婚したりすれば、二人三脚のバランスが崩れてしまいますが、それを回避できれば、有効に機能する住宅ローンの形式です。

では、どのような人が連帯債務型に向いているのでしょうか。

  1. 借入額を増額したい人
  2. 諸費用を抑えたい人

連帯債務型の住宅ローンの特徴は、2人が債務者になりますが、契約は1本である点です。

では、連帯債務型に向いている人の特徴をひとつずつ見ていきましょう。

連帯債務型に向いている人①:借入額を増やしたい人

連帯債務型は、ペアローンと同様、借入額を増やすことができます。住宅ローンの契約前には、審査を受ける必要があります。住宅ローンを提供する金融機関は、加入希望者の収入や職業などの審査をおこない、借入枠を決定します。

金融機関は、借入額に対して収入が十分であるか、延滞なく返済できるか、という点を重点的に審査します。申込者の収入が十分でないと判断した場合、金融機関は融資する金額を下げることになります。


単独では希望の融資が下りなかった人で、配偶者にある程度の収入があるような場合、連帯債務に切り替えるケースも多いです。1人では無理でも、夫婦2人の収入を合算すると借入れを増額でき、より高い物件を購入することができるのです。

連帯債務型に向いている人②:諸費用を抑えたい人

連帯債務型の住宅ローンの特徴は、契約が1つであるという点です。

ペアローンと連帯債務について、夫婦を例にとって比較してみましょう。
項目ペアローン連帯債務
債務者夫:債務者
妻:債務者
夫:主債務者
妻:連帯債務者
契約者夫、妻
契約数2本1本
ペアローンは夫、妻がそれぞれ契約者となり、契約は2本になりますが、連帯債務は契約が1本です。

ペアローンは契約が2本になるため、手数料や登記費用など住宅ローン契約に関わる費用が2倍になりますが、連帯債務は契約が1つであるため、その分費用を抑えることができます

住宅ローンの連帯債務型に向いていない人


夫婦2人で家を買う場合、連帯債務型は夫婦で住宅ローンを組むひとつの形式です。2人の収入を合算して審査を受けるため、単独よりも借入れを増額することができ、また連帯債務型は契約が1本で済むことから諸費用が抑えられるというメリットがあります。


反対にどのようなデメリットがあるのでしょうか。

  1. 債務者の健康状態に問題あり
  2. 夫婦関係に疑問あり

連帯債務型の住宅ローンは、2人で継続的に借入金を返していかなければいけません。では、連帯債務型のデメリットをひとつずつ見ていきましょう。

連帯債務型に向いていない人①:債務者の健康に不安がある

住宅ローンでは、団体信用生命保険(団信)に入るケースが多くなります。団信は生命保険なので、加入に際しては審査に通る必要があります。健康状態のチェックを受け、問題がないようなら団信に加入することができます。

健康状態に問題があり、夫婦で片方しか団信に加入できなかった場合、万が一のときにローンが完済できない可能性も出てきます。

4000万円の住宅ローンを連帯債務で組んだ例を見てみましょう。
項目
主債務者

連帯債務者
住宅ローン
残高
2400万円1600万円
団信割合60%加入なし
夫死亡時
団信で支払われる
保険金
0円0円
夫死亡後の
ローン残高
4000万円
夫が健康上の理由で団信に加入できなかったとすると、夫の死亡時は団信の保険金の支払いはありません。夫の住宅ローン残高1600万円は、そのまま主債務者の妻が引継ぐことになります。健康状態に不安があって片方しか団信に加入できない場合、万が一のとき残された遺族の負担が非常に大きくなります。

連帯債務型に向いていない人②:夫婦関係に疑問がある方

連帯債務では、契約書上、夫婦で「主債務者」「連帯債務者」という立場で署名捺印し、2人で住宅ローンを返済していくという契約を締結します。離婚で夫婦関係が解消となったとしても、連帯債務の契約にはまったく関係ありません。残った住宅ローンは完済する必要があります。

住宅ローンを組むときに、離婚を予測することはなかなかできないかもしれません。しかし、わずかでも夫婦関係に疑問を抱くようであれば、連帯債務で住宅ローンを組むべきではありません

連帯債務者になると、完済しないかぎりその責任から外れるのは非常に難しいと認識しておく必要があります。夫婦2人の連帯債務で家を買う場合、離婚になったときのリスクも十分念頭におくようにしましょう。

住宅ローンの連帯保証型に向いている人


夫婦で収入を合わせて住宅ローンを借りるには、連帯債務型の他に連帯保証型があります。夫婦で収入を合算するのは変わりませんが、責任の分担が少し異なり、「主債務者+連帯債務者」となる連帯債務型に対して、連帯保証型は「主債務者+連帯保証人」となります。

連帯保証型に向いている人はこのような方々です。
  1. 妻の収入が少ない
  2. 名義を単独にしたい 
連帯保証型の住宅ローンの特徴に触れながら、連帯保証型はどのような人に合っているのか解説していきたいと思います。

連帯保証型に向いている人①:妻の収入があまりない人

連帯保証型の住宅ローンで連帯保証人になると、住宅ローン控除を受けることができません

ある程度稼いでいる妻が連帯保証人になった場合、住宅ローン控除の恩恵を受けられないため連帯保証型はおすすめできませんが、妻の収入があまりない場合、影響が少ないため連帯保証型は向いているといえるでしょう。住宅ローン控除は所得税が減税される制度のため、収入が少ない場合はあまりその効果がないのです。

夫婦2人で組む住宅ローンは3種類ありますが、住宅ローン控除について整理すると下記のようになります。
ローンの種類債務者住宅ローン控除
連帯保証型夫:主債務者
妻:連帯保証人
夫:〇
妻:×
連帯債務型夫:主債務者
妻:連帯債務者
夫:〇
妻:〇
ペアローン夫:債務者
妻:債務者
夫:〇
妻:〇
このように、連帯債務型、ペアローンでは夫婦ともに住宅ローン控除が使えますが、連帯保証型では住宅ローン控除が使えません。妻の収入割合が低い夫婦では、そのデメリットの影響が少ないのです。

連帯保証型に向いている人②:名義を単独にしておきたい人

連帯保証型の大きな特徴は、夫婦で住宅ローンを組んだとしても、その家は主債務者だけの名義になるという点です。

住宅ローンの種類別に、名義について一覧にして比較してみましょう。
ローンの種類債務者名義
連帯保証型夫:主債務者
妻:連帯保証人
夫の
単独名義
連帯債務型夫:主債務者
妻:連帯債務者
夫、妻の
共有名義
ペアローン夫:債務者
妻:債務者
夫、妻の
共有名義
連帯保証型では、主債務者のみの名義となります。一方、連帯債務型やペアローンは、夫婦の共有名義となり、出資割合によって持分が決まります。1人だけの名義にしたいときは連帯保証型を選びましょう。

住宅ローンの連帯保証型に向いていない人


連帯保証型
が向いているのは、1人だけの名義にしたい人や、どちらかの収入があまり多くない人です。収入が少ない人は住宅ローン控除の効果があまりないからです。


では、連帯保証型が向かない人はどんな人でしょうか。  

  1. 離婚する可能性がある人
  2. 夫婦の収入がある程度ある人 

ではひとつずつ解説していきましょう。

連帯保証型に向いていない人①:離婚する可能性がある人

連帯保証型に向かない人は「離婚する可能性がある人」といっても、住宅ローンを組むときに将来2人が離婚するとはなかなか予測できるものではありません。しかし、連帯保証型の住宅ローンは単独名義であることから、離婚時の財産分与が非常に煩雑になります。

離婚後、夫が住むのか、妻が住むのか、あるいは売却して財産を分けるのか。また残っている住宅ローンをどのように返済していくのか。家という財産とローンという負債が混在している中、財産を分けるのは非常に難しい問題です。

連帯保証型の住宅ローンは、離婚したときにかなり複雑な対処が必要になることを十分肝に銘じておきましょう。

連帯保証型に向いていない人②:夫婦の収入がある程度ある人

夫も妻もある程度の収入がある場合、連帯保証型は向いていません。連帯保証型は、夫婦のうち1人だけしか住宅ローン控除の恩恵が受けられないからです。

住宅ローン控除は、住宅ローン加入者の所得税や住民税が減税されるお得な制度です。住宅ローン控除は、その年の年末の借入残高にして一定の税率(0.7%)を乗じた金額が所得税・住民税から引かれるしくみになっています。

夫婦2人ともある程度収入がある場合、それぞれ住宅ローン控除を適用した方が節税対策になります。住宅ローン控除のローン残高には上限があり、居住の年や住宅の種類(新築・中古、認定住宅かどうかなど)により、最大2000万円~5000万円までとなっています。2人で分けて住宅ローン控除を適用した方が、より効率よく節税することができます。

夫婦2人とも収入が十分ある場合、連帯保証型を選んで住宅ローン控除が1人しか使えないのは節税の面でマイナスとなりますので、連帯債務やペアローンを選択肢にするとよいでしょう。

住宅ローンのペアローンに向いている人


夫婦で住宅ローンを組む場合、ペアローンという方法もあります。ペアローンとは、2人で住宅を購入するという点は変わりませんが、住宅ローンは夫と妻で別々の契約を締結します。夫婦で1契約となる連帯債務や連帯保証とは、その点で大きく異なります。


ペアローンに向いている人は、

  1. 借入額を増やしたい
  2. 生活環境がしばらく変わらない

このような方々です。では解説していきましょう。

ペアローンに向いている人①:借入額を増やしたい人

ペアローンを使うことで、借入額を増やすことができます

たとえば、夫1人で4000万円の借入れを申し込んだが、3000万円の枠しか取れなかった…このような場合、ペアローンに申し込むのもひとつの手です。夫婦でペアローンを申し込むことにより、夫で3000万円、妻の分で1000万円の借入枠を得られるというケースがあります。

住宅ローンの審査では、職業、年齢などいろいろな視点で、十分な返済能力があるかどうかチェックされます。中でも収入については借入枠に直結する重要な情報です。提示された融資額に対して、収入が足りない、安定した返済が期待できないと判断された場合、希望した額より少ない借入額となることもあります。

そのような場合、夫婦2人でペアローンを組むことにより、収入を増やすことができるため、その分借入れを増額することができるのです。状況にもよりますが、ペアローンは収入合算(連帯債務、連帯保証)よりも大きな融資枠を取れる可能性もあります。

ペアローンに向いている人②:生活環境がしばらく変わらない人

生活環境がしばらく変わらない人もペアローンに向いています。ペアローンでは、夫婦がそれぞれ別の住宅ローンを契約し、債務者となって借入金を返済していきます。また、夫は妻の、妻は夫の連帯保証人になりますので、互いの返済が滞った場合、パートナーの分まで返済していく必要があります。

ペアローンでは夫婦で各自ローンを抱え、互いに連帯保証していることもあり、夫婦のそれぞれが十分な安定した収入があることが重要になります。

DINKSといった子どものいない夫婦は、両輪の収入があり、安定した返済が可能となるのでペアローンに向いています。転職の予定がない夫婦も、収入が安定するためペアローンに向いています。女性は出産というイベントがありますが、産休後も職場復帰できる人はペアローンでも問題ありません。


夫婦2人で安定して働いていれば、住宅ローン控除も2人で適用できるため、節税の面でも効果があります。

住宅ローンのペアローンに向いていない人


借入額を増やしたい人、生活環境が安定しているような人はペアローンに向いています。
夫婦2人がそれぞれ安定した仕事、収入が得られる家庭はペアローンで申し込むのもよいでしょう。

反対にペアローンに向かないタイプの人もいます。

  1. 退職の予定がある
  2. 手数料などの費用を増やしたくない

それではひとつずつ見ていきましょう。

ペアローンに向いていない人①:退職の予定がある人

住宅ローンのペアローンは、夫婦がそれぞれ十分な収入があることが求められます。
退職の予定がある人は、ローンの途中で収入が途絶えてしまいます。その分は、パートナーが返済を肩代わりすることになります。

妻が出産で退職するケースも考えられます。産休制度があって復職できる場合は問題ありませんが、退職したまま数ヶ月でも収入がなくなると、ペアローンではパートナーの負担が非常に大きくなります。

たとえば、ペアローンの月々の返済が、
  • 夫:8万円
  • 妻:7万円
と仮定しましょう。妻が退職してしまった場合、
  • 夫:15万円
このように夫は妻の分も返済しなければなりません。

また、退職によって住宅ローン控除が使えなくなってしまいます。住宅ローン控除は所得税、住民税を減額する制度です。所得がなければ、制度の恩恵を受けることもできません。

ペアローンに向いていない人②:手数料などの費用を増やしたくない人

ペアローンの特徴のひとつに、夫と妻、それぞれで契約を締結するという点があります。
住宅ローンの種類契約者契約の数
ペアローン夫、妻
それぞれが契約する
2本
連帯債務夫か妻のいずれか1本
連帯保証夫か妻のいずれか1本

ペアローンでは契約が2本になるため、かかる費用が2倍になってしまいます。手数料に極力お金を使いたくない、という人はペアローンに向いていません。


契約書の印紙代や、登記登録にかかる登録免許税や司法書士への報酬、銀行に支払う融資手数料など、住宅ローン加入時に必要な費用はさまざまなものがあります。手数料や保証料などは、定率型(金額に対する比率でかかる)や金利に乗せられるケースもあるため、2本に分けることで2倍になるとは一概には言えませんが、定額でかかる手数料などは単純に2倍になります。


単独ローンとペアローンとどれぐらい違うのか、住宅ローン加入前にしっかり見積りをとるようにしましょう。

まとめ:住宅ローンの相談はマネーキャリアへ!


今回は住宅ローンと連帯債務をテーマにお届けしました。

住宅ローンは、1人で比較検討しようとするとなかなか難しいものがあります。夫婦で住宅ローンを組むといってもペアローンや連帯債務などがあり、どこがどうどう違うのか把握するのはとても大変ですよね。


そんなときは一度、口頭レベルでお金の専門家に話をきいてみましょう。字面だけで追っていた情報も、直に話をきくことで一気に理解が深まることもあります。夫婦ローンだと思い込んでいたけれど、相談してみると単独ローンでよかった、というケースもあるでしょう。


相談する相手はいろいろありますが、銀行ではなくFP(ファイナンシャルプランナー)をおすすめします。銀行ではその銀行のプランしか紹介されませんが、FPは中立な立場であなたに合う住宅ローンを見つけてくれるでしょう。


そして、FPに住宅ローンのシミュレーションをしてもらう、これが住宅ローンの成功への近道です。

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