住宅ローンは何年まで借り入れるべき?平均や最短・最長期間も紹介

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住宅ローン計画では借入額、金利と並んで返済年数も重要な検討事項です。何年で返済するのが一番コスパがよいか、返済年数をいろんな切り口で試算し検証していきます。実際にほかの人は何年借りているのか借入年数に関する調査データも交えながら解説します。



▼この記事を読んでほしい人
  • 住宅ローンを組む最適な年数について知りたい人
  • 住宅ローンの返済年数の平均値が知りたい人
  • 住宅ローンの正しい組み方が知りたい人

内容をまとめると

  • 住宅ローンの返済年数の平均は約30年、実際は35年で組む人が多い
  • 住宅ローンの返済年数は何歳で完済したいか、月々の返済額もふまえて決める
  • 住宅ローンを短期にする場合は変動金利、長期にする場合は固定金利がおすすめ
  • すまい給付金、住宅ローン控除、繰り上げ返済を活用して効率よく返済しよう
  • 住宅ローンで後悔したくない人ははやめにお金の専門家に助言をもらおう
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目次を使って気になるところから読みましょう!

住宅ローンは何年で返すのが得なのか?


住宅ローンは決断の連続です。借入額を決める。金利を決める(変動か固定か)。どの金融機関を使うか。そして「何年借りるか」。住宅ローンの4大決断要素の一つである返済年数はとても悩ましい問題です。

何千万円も借りることになる住宅ローン。決断を誤って後悔したくありませんよね。
今回は住宅ローンの返済年数に焦点を当て、どれくらいの年数がもっともコスパのよい計画となるのかを検証してみたいと思います。

  • 住宅ローンの最長(最短)借入期間は機関により異なる
  • 一般的に最長借り入れ期間は35年
  • 実際は35年で契約する人が多い
  • フラット35なら15年以上から設定可能

ではひとつずつ解説していきましょう。 

住宅ローンの最長(最短)借り入れ期間は機関によって異なる

各金融機関で借入期間はどのように設定されているのでしょうか。
おもな銀行の借入期間の要件を一覧にしてみました。借入期間の設定には条件が付く場合もありますが、基本的に下記のような年数となっています。
銀行
商品名
借入期間全期間固定型
三井住友銀行
WEB申込専用住宅ローンⅠ
1~35年11年以上
みずほ銀行
みずほネット住宅ローン 
1~35年11年以上
三菱UFJ銀行
住宅ローン 
2~35年21年以上 
りそな銀行
りそな住宅ローン 
1~35年-
auじぶん銀行
住宅ローン
1~35年-
PayPay銀行
 住宅ローン
1~35年-
住信SBIネット銀行
ネット専用住宅ローン 
1~35年-
新生銀行
パワースマート住宅ローン 
5~35年-
ソニー銀行
 住宅ローン
1~35年-
※新規の借り入れで60歳未満の場合。2022年5月時点の情報。

住宅ローンの借入可能期間は、このように銀行ごとに少しずつ異なります。三井住友銀行、みずほ銀行、三菱UFJ銀行のように、全期間固定型(住宅ローンを通じて固定金利)では最低借入期間を11年、21年と引き上げる場合もあります。

全期間固定型に対して、最初の一時期に固定金利を適用する固定期間選択型では、指定された一定期間以上を借入期間に設定する必要があります。たとえば当初10年は金利を優遇する金利プランの場合、最低限10年は借入期間を設けなければいけません。

何年単位?一般的な最長借り入れ期間は35年

先ほどの表を見ると、最長の借入期間は35年ということがわかります。借り入れられるのは一番長くて35年であるという点をまず押さえておきましょう。

設定可能な単位ですが、金融機関により1ヶ月ごと1年ごとになっています。
期間の設定単位銀行
1年ごと
みずほ銀行、三菱UFJ銀行、りそな銀行、新生銀行
1ヶ月ごと三井住友銀行、auじぶん銀行、PayPay銀行、住信SBIネット銀行、ソニー銀行
※2022年5月時点の情報。

また借入期間は、年齢の要件ともかねあいます。年齢については、
  • 借入時の年齢:20歳~65歳
  • 完済時の年齢:80歳未満
ほとんどの金融機関でこのような条件付けがされています。

最長の借入期間35年で設定する場合、具体的な年齢をあてはめると、
借入時の年齢完済時の年齢
20歳55歳
25歳60歳
30歳65歳
35歳70歳
40歳75歳

このようなイメージになります。住宅ローンの借入期間を考えるときは、年齢も大きな要素だということを念頭に入れておきましょう。

何年が多い?35年で契約する傾向がある

住宅ローンの借入期間ですが、実際の契約を見てみると最長の35年を選ぶ傾向が見られます。

返済期間に関する調査(※)によると、返済期間ごとの比率は下記のようになっています。

【住宅ローン返済期間ごとの比率(注文住宅)】
返済期間住宅建築資金
土地購入資金
5~10年未満 0.6%0.5%
10~20年未満 4.9%2.1%
20~35年未満 20.0%9.8%
35年以上 74.5%
87.6%

【住宅ローン返済期間ごとの比率(分譲住宅)】
返済期間一戸建て集合住宅
5~10年未満
0.8%
10~20年未満11.9%6.2%
20~35年未満18.8%23.8%
35年以上69.3%
69.2%
注文住宅では借入期間35年の割合が8割前後、分譲住宅では約7割にも上っています。

若い世代は収入も低く安定しないため、月々の返済額として多くの金額を設定することができず、おのずと借入期間も長くなります。若い世代の住宅ローンは少なく、長くという特徴があります。ローン設定時は余裕を持った返済計画にしておき、その後貯金が貯まったら繰り上げ返済で元金をまとめて返済し、返済期間を短くするというケースがよく見られます。

フラット35なら15年以上から設定できる

次にフラット35の返済年数について見てみましょう。フラット35というのは、住宅金融支援機構という独立行政法人と民間の金融機関が提携して取り扱っている住宅ローンのことです。

フラット35の実際の窓口は金融機関となり、各金融機関は銀行独自の住宅ローンの他にフラット35も扱っています。フラット35には、
  • ローン全期間で固定金利
  • 保証人不要
  • 繰り上げ返済手数料無料
このような特徴があります。

ではフラット35の借入期間については、完済80歳まで、借入期間15年以上35年以内という要件となっています。

たとえば、みずほ銀行の『長期固定金利住宅ローン「フラット35」(機構買取型)』の借入期間は、次のいずれか短い年数(1年単位)と定義されています。
  • (1)15年以上、35年以内(お申込者が 60歳以上の場合は、10年以上) 
  • (2)お申込日より、80歳となるまでの年数
フラット35では、最低15年以上35年以内で借り入れることができます。完済日の年齢も制限があるため、30年、35年など長期で借り入れたい場合、開始年齢も注意するようにしましょう。

※2022年5月時点の情報です。

住宅ローンの平均借入期間は30年


国土交通省による住宅ローンの返済期間に関する調査(※1)によると、新築の返済期間の平均値は下記の通りとなっています。

【住宅ローンの返済期間・平均(新築)】
種類返済期間の平均(※2)
注文住宅(建築)32.4年
注文住宅(土地)34.2年
分譲戸建住宅31.0年
分譲マンション31.1年
平均の借入期間はおよそ30年になっています。注文住宅の方が少し長めとなっているのは、注文住宅の方が高価になりやすい傾向があるためだと思われます。

※1 令和2年度 住宅市場動向調査報告書

※2 注文住宅の調査地域は全国、その他住宅は三大都市圏での調査

中古住宅は28年と低めの傾向がある

中古物件の返済期間についての調査結果もあります(※)。

【住宅ローンの返済期間・平均(中古)三大都市圏】
種類返済期間の平均
一戸建て27.2年
集合住宅25.3年

中古住宅では約25年~27年という返済期間で、新築よりも数年短い結果となりました。新築よりも安価で手に入りやすいことがその背景にあると推察されます。


※国土交通省住宅局「令和2年度 住宅市場動向調査報告書

住宅ローンを短い年数で契約するメリット・デメリット


住宅ローンの借入年数について、短期間で返していく場合の特徴について解説しましょう。


本題に入る前に、借入金と利息について今一度復習しておきましょう。利息(利子)とは、借入金の一定比率で銀行に支払うものです。一定比率のことを金利と呼びます。金利は通常年利で表示され、年利とは1年に支払う利息の割合を指します。 


 一方、借入金そのものは元金元本と呼ばれます。

たとえば100万円の借入金(元金)を年利1%で1年間借りるとすると、 

1年間の利息=元金100万円×金利1%(0.01)= 利息1万円

となります。住宅ローンの利息計算はもう少しむずかしいのですが、この式は利息計算の基本として覚えておくとよいでしょう。


さて、借入期間を短くするとどのような影響があるのでしょうか。

  • メリット:利息を抑えられる
  • デメリット:返済期間を延長できない 

それではひとつずつ解説していきましょう。

メリット:利息を抑えられる

住宅ローンを短期間で設定するメリットは、利息を節約できるという点です。元金が少ないほど、返済年数が短いほど、金利が低いほど、利息は少なくなります。

たとえば、100万円を1年借りるのと2年借りるのでは、2年の方が利息を多く支払わなければなりません。借入金3000万円の住宅ローンの場合を例に、返済年数25年、30年、35年で比較してみましょう。

【借入金:3000万円、固定金利:1.5%、元利均等返済(※)、ボーナス返済なし】
借入年数返済月額利息を含む
総返済額
25年119,980円
35,994,148円
▲2,584,859
30年103,536円
37,272,768円
▲1,306,239
35年91,855円
38,579,007円
借入年数が長くなるほど月々の支払いは減りますが、返済総額はだんだん増える、つまり利息の支払いが増えているのがおわかりいただけると思います。
借入年数25年vs35年では25年の方が約258万円、借入年数30年vs35年では30年の方が131万円利息が少なくなっています。

※元利均等返済とは月々の返済額が一定になる返済方法です。

デメリット:返済期間を延長できない

借入年数が長くなればその分利息の支払いは多くなってしまいますが、ここで気をつけなければならないのは、返済月額を無理のないよう設定することです。利息を少しでも払いたくないからといって、月々の返済額を無理な金額にしてしまうのはNGです。

実際の収入に見合わない返済月額を金額にしてしまうと、家計がたちゆかなくなり、ローン返済に窮することになります。返済が滞ると返済を先送りしたい、返済期間を延長したいという状況になりますが、返済期間はそうそう延長できるものではありません。

フラット35の借入期間は「20年以下の借入期間を選択した場合は、原則として、返済途中で借入期間を21年以上に変更できません」という注釈が付いています。

借入期間の延長ができない場合、借り換えという選択肢がありますが、多額な手数料がかかり、かえって条件が悪くなる可能性もあります。


借入期間は延長できないということを念頭におき、無理のない返済月額を十分検討したうえで借入期間を決める必要があります。


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住宅ローンを長い年数で契約するメリット・デメリット


借入期間が長いか短いにより、メリットとデメリットがあります。実際多くの人が設定している35年という年数は、住宅ローンの最長期間となります。長い年数で借り入れるということは、どのような利点、または欠点があるのでしょうか。

  • メリット:毎月の返済負担が少ない
  • デメリット:利息を多く支払う

ではひとつずつ見ていきましょう。

メリット:毎月の返済負担が少ない

住宅ローンを長めに設定すると、返済月額が低くなるため家計への負担が少なくなります。月々の支払いに余裕ができるため、その分貯蓄に回すこともできます。

【借入金:3000万円、固定金利:1.5%、元利均等返済、ボーナス返済なし】
借入年数返済月額利息を含む
総返済額
25年119,980円35,994,148円
30年103,536円
(▲16,444)
37,272,768円
35年91,855円
▲28,125
38,579,007円
借入金3000万円で、25年、30年、35年の試算結果です。25年と35年をくらべると約28000円、月々の支払い額が少なくなっています。


毎月の返済額は、住宅ローンを考えるうえで重要な判断材料です。月々の返済額と借入期間をバランスよく見極めながら、無理のない返済計画を立てるようにしましょう。

デメリット:利息を多く支払う

住宅ローンの借入年数を長くすると、月々の返済額が抑えられるというメリットがある一方、借入年数が長いほど利息の支払いは増えることになります。

【借入金:3000万円、固定金利:1.5%、元利均等返済、ボーナス返済なし】
借入年数返済月額利息を含む
総返済額
25年119,980円35,994,148円
30年103,536円37,272,768円
+1,306,239
35年91,855円38,579,007円
+2,584,859
3000万円を借り入れした場合、借入期間25年にくらべて30年では約131万円、35年では約258万円、利息が増えています。

借入年数によって利息の支払い額が違うこと、どれぐらい違うのかを感覚として把握しておくことは、ローンを計画していくうえでとても重要になります。

住宅保証機構株式会社の住宅ローンシミュレーションツールを利用すれば、さまざまな条件で試算することができますので、ぜひ利用してみてください。

何年が得?住宅ローンの借り入れ年数を決める際の注意点4つ


住宅ローンは、少ない借入額を短い年数で借りることが利息の節約につながります。頭ではよくわかってはいるものの、実際限られた収入でなかなかそうもいかないですよね。できるだけコスパよく、利息を最低限に抑えつつも無理のない返済計画を立てるには、一体どうすればよいのでしょうか。

  1. 何歳で完済したいか
  2. 毎月の返済金額
  3. 急な費用発生にも備えておく
  4. 老後資金も考慮して 

賢い住宅ローン計画は、このような点に注意することが重要になります。では解説していきましょう。

注意点①:何歳で完済したいかを決める

まずは、住宅ローンのゴール地点、何歳で完済したいかを決めましょう。先述したとおり、住宅ローンは一般に80歳までに完済する必要があります。かたや借入年数としては35年が最長という制限もあります。

それをふまえて、自分が何歳で住宅ローンを終えていたいかを考えてみましょう。

たとえば定年(60歳)までに完済したいという場合。
借入年数年齢
25年35歳~60歳
30年30歳~60歳
35年25歳~60歳
借入期間を35年とすると、25歳に返済を開始する必要があります。借入年数にもよりますが、定年までの完済を目標とすると20代から30代で住宅ローンを組む必要があります。

いつまでには払い終えたいという目標は、住宅ローンを組むうえで実は大きなポイントで、
  • 55歳で子育てが落ち着く(2人とも社会人になる)
  • 56歳から老後資金の準備をはじめる
  • 60歳で住宅ローンを完済する
上は一例ですが、人生後半のプランを大まかにでも立てておくとよいでしょう。このような指針があると、住宅ローンの計画も立てやすくなります。

注意点②:毎月の返済金額を計算しておく

借入年数を決めるには、月々いくらずつ返済していくか、返済月額についても十分検討する必要があります。

月々の返済額の決め方の目安として「返済負担率」があります。年収負担率とも呼ばれます。返済負担率とは、手取り収入に対する住宅ローン返済額の割合です。たとえば手取り月収が30万円で住宅ローンの返済額が6万円の場合、返済負担率は30%になります。 同じ収入でも子どものあるなしやライフスタイルによって返済負担率は変わりますが、支払い月額を決める際の指標として覚えておくとよいでしょう。

国土交通省の調査結果
国土交通省の住宅に関する調査結果(※1)によると、住宅ローンの返済負担率は下記のようになっています。収入は世帯収入(共働きの場合は合算)で計算されています。
種類返済負担率(※2)
注文住宅17.9%
分譲戸建住宅18.6%
分譲マンション17.4%
中古戸建住宅15.9%
中古マンション14.8%
返済負担率は10数%から20%未満となっています。返済負担率の目安としては、一般に20%から25%がよいとされていますが、調査結果によると実態は少し低めを推移していることがわかります。

フラット35の返済負担率

フラット35の返済負担率の要件を確認すると下記の通りとなっています。
年収返済負担率
400万円未満30%以下
400万円以上35%以下
※2022年5月時点の情報。

返済負担率20%はいくらか

返済月額を返済負担率20%で設定するとして、世帯収入別に月額がいくらになるか一覧にしてみましょう。

世帯年収(手取り)
月収(手取り)20%の金額
(返済月額の目安)
400万円33万円6.6万円
500万円42万円8.4万円
600万円50万円10.0万円
700万円58万円11.6万円
800万円
67万円
13.4万円

右端の金額が月収の20%の金額で、住宅ローンの返済額の目安となります。


※1 国土交通省住宅局「令和2年度 住宅市場動向調査報告書」  

※2 注文住宅の調査地域は全国、その他住宅は三大都市圏での調査

注意点③:急な費用発生にも備えておく

借入期間は短くすれば利息も少なくすみますが、無理な返済計画は禁物です。マネープランをどんなに緻密に立てたとしても、日常生活を送る中では予測のつかない費用が発生するものです。
  • 医療費(急なケガ、病気、歯科治療)
  • 住まいの修繕費(水回り、給湯器)
  • 家電の故障
  • 税金(固定資産税、自動車税)
  • 冠婚葬祭費用(祝い金、香典)
  • 旅行費用(里帰り)
このようなイレギュラーな出費にも対応できるよう、ゆとりを持った返済計画を立てることを心がけましょう。

注意点④:老後資金を考慮して組む

人生はずいぶん長くなりました。超高齢化社会の今、老後の準備を軽く見てはいけません。住宅ローンの返済に集中するあまり、気がついたときには「老後資金が全然ない!」と焦ることになります。

子育てが落ち着いたら住宅ローン返済と並行して老後資金が準備できるようマネープランを組む必要があります。住宅ローンの返済をしながら、老後資金の蓄えとして月々積立ができる余力を残しておかなければいけません。NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)といった税金が控除される投資制度を利用するのもいいでしょう。

たとえば返済年数を35年に設定すると、完済年齢も65歳、70歳になる場合もあります。住宅ローンの後半は積極的に繰り上げ返済し、できるだけ早く完済するか返済金額を減らすようにつとめましょう。

住宅ローンの返済期間は金利の変動も重要である


住宅ローンの攻略ポイントは金利であるとも言われます。固定金利か変動金利か、金利選びに悩んでいる人も少なくありません。

ここで固定金利変動金利についておさらいしておくと、借入期間中、金利で変わらないのが固定金利、変動するのが変動金利です。さらに固定金利はローン期間を通じて金利が固定される「全期間固定型」や10年、20年など最初の一定期間だけ金利が変わらない固定期間選択型」に分かれます。

住宅ローンの返済期間ですが、その長さによって相性のよい金利タイプがあるのをご存じでしょうか。
  • 短期間で返済するなら変動金利
  • 長期間で返済するなら固定金利

住宅ローンの金利は、実は返済期間と密接な関係があります。解説していきましょう。

短期間で返済するなら変動金利がおすすめ

住宅ローンを短期間で返済するなら変動金利がおすすめです。

変動金利の特徴はなんといっても低金利です。固定金利にくらべるとその低さが歴然です。
銀行名変動金利35年固定金利
みずほ銀行
(ネット申込・
ローン取扱手数料型)
0.375%~
0.675%
1.39%~1.49%
りそな銀行
融資手数料型
0.470%
1.250%
auじぶん銀行0.410%2.540%
※2022年5月時点の情報。

35年の固定金利に比べると、各銀行で変動金利は約0.8%から2%低い設定になっています。

一方、変動金利のデメリットは金利の上昇リスクがあることです。変動金利は半年ごとに見直しがあり、金利が上昇した場合は月々の返済額も増えることになります。

ここで金利上昇による利息の増額をシミュレーションしてみたいと思います。

◆試算1

【借入金:3000万円、借入期間:35年、元利均等返済、ボーナス返済なし】

変動金利返済月額利息を含む
総返済額

全期間 0.5%
77,875円32,707,560円

 1~10年目 0.5%
11~20年目 1.5%
21~35年目 2.5%
77,875円
87,814円
94,329円
36,861,857円
(②-①:+4,154,297
借入期間35年のうち、全期間金利が変わらない①、10年ごとに金利が1%ずつ上昇する②のケースで試算しました。②の返済月額は1万円ずつ増額となり、利息を含めた返済総額としては、②の方が約415万円多くなってしまいました。

◆試算2

【借入金:3000万円、借入期間:25年、元利均等返済、ボーナス返済なし】

変動金利返済月額利息を含む
総返済額

1~10年目 0.5%
11~20年目 1.5%
21~25年目 2.5%
106,400円
114,514円
117,408円
33,554,132円
(③-②:+3,307,725
今度は借入年数を10年短く25年と設定し、②と同様に10年ごとに1%ずつ金利を上げて試算しました。月々の支払いは多くなりますが、35年借り入れる②に比べて約331万円の利息を減らすことができます。

このように金利上昇リスクは、返済期間を短縮化することでカバーできます。返済途中でたとえ金利が上昇したとしても、期間が短いため悪影響を小さく抑えることができます。また返済期間が短ければ、金利上昇局面をむかえる前に完済する可能性もあるでしょう。

長期間で返済するなら固定金利がおすすめ

返済期間を長めにする場合は固定金利が適しています。変動金利にしてしまうと、期間が長い分だけ金利上昇のリスクにさらされることになります。固定金利にすれば借入期間を通じて金利が決まるため、金利変動に左右されることがありません。

借入期間35年で3000万円を借り入れる場合、
  • ①変動金利で10年ごとに1.5%ずつ上昇
  • ②固定金利1.5%
でそれぞれ試算してみましょう。

【借入金:3000万円、借入期間:35年、元利均等返済、ボーナス返済なし】
金利返済月額利息を含む
総返済額
①変動金利
1~10年目 0.5%
11~20年目 2.0%
21~35年目 3.5%
77,875円
93,066円
103,389円
39,122,853円
②固定金利
1.5%
91,855円38,579,007円
▲543,846
この2パターンをくらべると、②固定金利の方が返済総額で約54万円低くすることができます。借入期間が長くても、固定金利を選択すれば金利を一定に保つことができるため、金利上昇リスクを免れることができます。

実際の金利はもっといびつな動きをしますが、このように金利上昇のシミュレーションをすることで、変動金利と固定金利をくらべる判断材料になるでしょう。

住宅ローン返済に活用できるお得な制度3つ


ここで住宅ローンに関するお得な制度をご紹介します。消費税に関する給付金、所得税の減額などがあります。

  1. すまい給付金
  2. 繰り上げ返済
  3. 住宅ローンの減税 

条件さえ合えば利用しない手はありません。情報をチェックしてぜひ利用してみてください。

制度①:すまい給付金

国土交通省によるすまい給付金は、住宅を購入した人がもらえる給付金で、消費税引き上げによる負担を減らすために作られた制度です。

まず前提として、この給付金は「建物」に対してのみ使える制度です。消費税は「土地」ではなく「建物」部分にのみ課税されるからです。

すまい給付金は住宅ローンの利用のあるなしで要件が異なりますが、ここでは住宅ローンを利用した場合を説明します。

すまい給付金の要件(住宅ローン利用あり)

項目要件
申請者自ら居住
収入が775万円以下(※)
契約期間注文住宅(新築):令和2年10月1日~令和3年9月30日 

分譲・中古住宅:令和2年12月1日~令和3年11月30日
入居期限令和4年12月31日(2022年12月31日)まで 
対象となる物件床面積:40m2
施工中等に第三者の現場検査をうけ
一定の品質が確認されること
不動産業者から購入した物件
(個人売買は対象外)
申請期限住宅の引渡しを受けてから1年3ヶ月以内

すまい給付金の給付額(住宅ローン利用あり)
すまい給付金は収入(都道府県民税の所得割額)により変わります。収入が少ないほど給付金が多くなります。家族形態によっても変わりますが、下記が目安となります。
給付基礎額収入額の目安(※)
50万円450万円以下
40万円450万円超525万円以下
30万円525万円超600万円以下
20万円600万円超675万円以下
10万円675万円超775万円以下
※夫婦(妻は収入なし)と中学生以下の子ども2人のモデル世帯で住宅取得する場合の夫の収入額の目安

収入が500万円~600万円ほどであれば30万円~40万円の給付金が見込めます。要件に合う人にはお得な制度なので、情報をチェックしてぜひ申請してみてください。

制度②:繰り上げ返済

繰り上げ返済という言葉を聞いたことがある人も多いと思います。繰上げ返済はお得な返済方法です。一体どのようにどれくらいお得なしくみなのでしょうか。


繰り上げ返済とは、住宅ローンにおいてあるまとまった金額を返済することです。住宅ローンの借入金の内訳を「元金+利息」とすると、繰り上げ返済は元金に対してのみとなります。


繰り上げ返済には住宅ローンの期間を短くする「期間短縮型」と期間を変えずに月々の返済額を減らす「返済額軽減型」という2タイプがあります。


繰り上げ返済のあるなしで、返済総額にどのような違いが出てくるかシミュレーションしてみましょう。


100万円を繰り上げ返済するとして、返済額軽減型と期間短縮型でどのように違うか、繰上げ返済なしと比較してみましょう。


◆試算1:10年後に100万円繰り上げ返済

【借入金:3000万円、借入期間:35年、固定金利:1.5%、元利均等返済、ボーナス返済なし】

返済方法返済月額利息を含む
総返済額
①繰り上げ返済なし
91,855円 38,579,007円 
②繰り上げ返済
10年後
返済額軽減型
91,855円
繰り上げ返済後:87,855円
38,379,241円
▲199,766
③繰り上げ返済
10年後
期間短縮型
91,855円
繰り上げ返済後の借入期間:27年3ヶ月
(1年4ヶ月短縮)
38,129,192円
▲449,815

②返済額軽減型で約20万円、③期間短縮型で約44万円の利息を節約することができました。③期間短縮型の方が利息の節約にはより効果的だということを覚えておきましょう。


借入期間の点では、③期間短縮型は約1年以上短くなりました。


◆試算2:5年後に100万円繰り上げ返済

次は、時期を早めて5年後に繰り上げ返済してみます。どのような違いが出るでしょうか。

返済方法返済月額利息を含む
総返済額
④繰り上げ返済
5年後
返済額軽減型
91,855円
繰り上げ返済後:88,404円
38,336,551円
▲242,456
⑤繰り上げ返済
5年後
期間短縮型
91,855円
38,023,460円
▲555,547

④返済額軽減型で約24万円、⑤期間短縮型で約56万円の利息を節約することができました。5年早めたことで、それぞれ約4万円、約12万円も利息を節約することができました。


このように繰り上げ返済は利息を含めた総返済額を抑えるのに非常に有効な方法です。住宅ローンの月々の返済額は余裕を持って設定しておき、タイミングを見て繰り上げ返済をしていくのはひとつの有用な手法だと言えるでしょう。


繰り上げ返済を見越してローン計画を立てる際は、繰り上げできる金額の単位や手数料についても確認しておきましょう。長期固定金利のフラット35は、窓口では100万円から、ネットでは10万円から繰り上げ返済が可能で、手数料は無料となっています。

制度③:住宅ローンの減税

住宅ローンの負担を減らすための住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)という制度があります。住宅ローンが10年以上あると使える制度で、借入残高の0.7%を所得税から差し引いてくれます。


住宅ローン控除の利用要件としては、

  • 自ら住んでいる
  • 住宅ローンが10年以上
  • 広さ50m2以上で1/2以上が居住用
  • 所得金額2000万円以下

などがあります。


どれぐらい税金がお得になるか試算してみましょう。年間の所得税が20万円として計算します。

借入残高控除される税額所得税
納税額
2000万円2000万円×0.7%
14万円
20万円-14万円
6万円
3000万円3000万円×0.7%
21万円
20万円-21万円
0万円(※)
4000万円4000万円×0.7%
28万円
20万円-28万円
0万円(※)

※控除される税額が実際の所得税より多い場合、住民税から控除されます。


このように、住宅ローン控除は借入残高が多いほど減税効果の高い制度となっています。

住宅ローンの相談はマネーキャリアへ!


今回の記事は住宅ローンの返済年数をテーマにお届けしました。
  • 多くの人は借入期間35年で契約している
  • 借入期間が長いと月々の返済額は少ないが利息は多くなる
  • すまい給付金や住宅ローン控除などお得な制度を利用すべし
  • 繰り上げ返済は期間短縮型で早めの返済がお得

ポイントをまとめると以上のようになります。


住宅ローンはコスパの良さも大事ですが、急な出費や老後資金なども考慮して無理のない返済計画を立てなければいけません。月々の返済額は抑え、多少借入期間は長くても積極的に繰り上げ返済をしていくことで無駄なコストを抑えることも可能です。


住宅ローンは机上で漠然と考えるよりも、シミュレーションが計画成功のカギとなります。ただやみくもに試算するのではなく、お金のスペシャリストに一任するのが効率良く失敗のない方法です。


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