連帯保証人がいないと住宅ローンは組めない?保証人の死亡時は?

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住宅ローンに連帯保証人は必要でしょうか?答えは原則不要ですが例外もあります。連帯保証人の基本のキから連帯保証人に潜む深刻なリスクまで、住宅ローンと連帯保証人について徹底解説します。連帯保証人が必要なペアローンを計画している人も必読の内容です。

▼この記事を読んで欲しい人
  • 住宅ローンで連帯保証人が必要となるケースを知りたい人
  • 連帯保証人に何かあった場合どうすればいいか知りたい人
  • 住宅ローンの連帯保証人を頼もうとしている人・頼まれた人

内容をまとめると

  • 住宅ローンの連帯保証人は原則不要
  • ペアローン、収入合算は連帯保証人が必要
  • 住宅ローンの審査結果によっては連帯保証人が必要なことも
  • 連帯保証は重責あり。連帯保証人になるときは覚悟してサインを
  • 連帯債務は債務者が2人、名義も2人分で住宅ローン控除が2人とも使える
  • 連帯保証人について不安な人は専門家から助言を
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目次を使って気になるところから読みましょう!

連帯保証人は原則不要!住宅ローンで連帯保証人が必要な場合3つ


住宅ローンは多額の借入れをすることになりますが、原則として連帯保証人は不要です。


住宅ローンを提供する銀行は、対象となる住宅を担保に設定し、何かあった場合はこの住宅を差し押さえて貸付金を回収することができるからです。


ただ「連帯保証人は原則不要」とお伝えしました。原則があれば例外があります。連帯保証人が必要なのはどのようなケースでしょうか。

  • ペアローンを組むとき
  • 収入合算をするとき
  • 審査で連帯保証が必要になったとき
  • 通常は保証会社をつかう

ではひとつずつ確認していきます。

連帯保証人が必要なケース①:ペアローンを組むとき

ペアローンを組む場合、連帯保証人が必要になります。
ペアローンとは、1人の収入では十分な融資枠がとれない場合、2人で住宅ローンに申し込む融資形式です。

同居親族(配偶者、親など)と借入額を分担し、それぞれ別の契約をむすぶことになります。その契約の際、互いの連帯保証人になる必要があります。

共働きが多い昨今では、夫婦でペアローンを組むことも多くなりました。
夫1人の住宅ローン、夫婦で組むペアローンについてポイントを一覧にしてみましょう。
項目単独ローンペアローン
契約者夫、妻
契約の数1本2本
連帯保証人原則不要互いに
連帯保証
団体信用生命保険
夫、妻
ローンの支払い夫、妻
住宅ローン控除夫、妻

ペアローンでは、2つの独立した住宅ローンを組むことになりますので、夫、妻ともに住宅ローンの加入要件を満たし、審査に通る必要があります。

連帯保証人が必要なケース②:収入合算をするとき

収入合算も、2人で住宅ローンに申し込む融資スタイルです。
収入合算では収入合算者を連帯保証人とする必要があり、つまり契約書の登場人物としては、
  • 契約者(主債務者)
  • 連帯保証人
というかたちになります。
2人で合算した収入をもとに、望む融資枠を受けられるか審査を受けることになります。

夫婦を例として、収入合算とペアローンを比較してみましょう。
項目ペアローン収入合算
契約者夫、妻
契約の数2本1本
連帯保証人互いに
連帯保証
団体信用生命保険夫、妻
ローンの支払い夫、妻
住宅ローン控除夫、妻
収入合算は、契約者が1人となる点も大きな違いです。

1人よりも大きな融資枠をとれるのがペアローンや収入合算のメリットですが、連帯保証人になるということは、相手が返済不能に陥れば、すべて肩代わりしなければなりません。

夫婦の場合、離婚のリスクもゼロではないため、夫婦間のペアローンや収入合算は慎重に検討するようにしましょう。

連帯保証人が必要なケース③:審査で連帯保証が必要とされたとき

住宅ローンに加入するためには、銀行の審査に通らなければなりません。

住宅ローンの審査は、事前審査、本審査の2回おこなわれます。住宅ローンを提供する銀行は、ローン加入者に安定した収入があり、滞りなくローン返済できるかという点を入念に審査します。

銀行が借入額に対して返済能力が足りないとジャッジした場合、審査に落ちることになります。
ただし、一定の返済能力が認められた場合、連帯保証人を必要条件として審査に通ることがあります。
  • 借入額に対して収入が低い
  • 収入が安定していない(自営業、勤続年数が少ないなど)

審査条件は金融機関により異なりますが、上のようなケースは厳しめの審査となり、連帯保証人が必要となる傾向にあります。

備考:通常は保証会社に依頼する

住宅ローンでは、購入した家(建物)が担保となるため、連帯保証人が原則不要となります。それ以外にも、住宅ローンでは保証会社を使うことが一般的になったことも理由に挙げられます。

かつて、住宅ローンでも連帯保証人が必要な時代もありました。

しかし、住宅ローンは何千万円もの借入額となります。リスクが高いため連帯保証人になる人が見つからず、なかなか住宅ローンを組むことができないケースが多発しました。

そこで、連帯保証人なしでも契約ができるよう、住宅ローンの返済をサポートする保証システムが登場しました。
  • ローン加入者:保証会社に保証料を支払い、返済を保証してもらう
  • 保証会社:ローン加入者の返済が滞ったら、代わりに返済(立替)する
  • 銀行:貸付金の未回収リスクがなくなる
このように、保証会社がローン返済を担保するようになり、連帯保証人が原則不要というかたちが一般的になりました。

住宅ローンの連帯保証人が死亡したらどうなる?すべきこと3つ


連帯保証人というのは、配偶者や親族がなっているケースが多いです。特に親世代が連帯保証人の場合、ローンの途中で亡くなることも考えられないことではありません。

連帯保証人が死亡した場合、通常はその地位も相続対象となります。相続放棄という選択肢もありますが、原則受け継ぐことになることを念頭に入れておきましょう。

住宅ローンの連帯保証人が亡くなった場合、
  1. 契約書を確認
  2. 後任の連帯保証人を立てる
  3. 契約書の書き換え
以上のことをする必要があります。ひとつずつ解説していきましょう。

①契約書を確認する

住宅ローンの連帯保証人が亡くなった場合、まず契約書を確認しましょう。
契約書を見れば、連帯保証人が死亡した場合にやらなければならないことが記載してあります。

契約書に「後任の連帯保証人を立てる」と記載があれば、後任を見つけなければ契約違反になります。契約違反になると、ローン残債の一括返済を要求されることもありますので注意が必要です。

住宅ローンの連帯保証人が死亡した場合、
  • 契約書を確認
  • 債権者である銀行に連絡
この2点を忘れないようにしてください。

②後任の連帯保証人を立てる

住宅ローンの連帯保証人が亡くなった場合、多くのケースでは後任の連帯保証人を立てることになります。

収入合算で組んでいた場合、後任の連帯保証人も、前任と同レベルの収入を求められる可能性があります。しかし、ローン残高や主債務者の収入、貯蓄状況にもよりますので、まずは銀行に相談することをおすすめします。

連帯保証人は、誰でもなれるわけではなく、民法でその要件が規定されています。
  • 行為能力者であること
  • 弁済をする資力を有すること
法律用語でわかりづらいですが、大まかにいうと「成人で、契約などの法律行為ができ、借金が返せるほどの財力がある人」ということです。精神障害や認知症などにより常識的な分別がつかない人は連帯保証人になることはできません。

③契約書を書き換える

住宅ローンの連帯保証人が亡くなったら、まず契約書を確認し、銀行に連絡を入れます。
新しい連帯保証人を立てるなど、契約内容を変更する場合は契約書を書き換えることになります。

契約改訂の手順は各銀行により異なりますが、たとえばフラット35では連帯保証人が亡くなった場合、金融機関に所定の書類を提出後、新保証人の審査を経て、変更契約を締結するという手順になっています(※)。


住宅金融支援機構「保証人が亡くなられたとき」

連帯保証人の特徴とは?保証人との3つの違い


ここで連帯保証人について深掘りしてみましょう。
連帯保証人という言葉をきいたことがある人は多いと思いますが、実際、連帯保証人になる機会はなかなかないと思います。

連帯保証人とは何か、連帯保証人になったらどういう影響があるのか、具体的にイメージできる人はあまりいないかもしれません。


この表は、「保証人」と「連帯保証人」の違いを一覧にしたものです。

種類保証人連帯保証人
催告の抗弁権○ある×ない
検索の抗弁権○ある×ない
分別の利益○ある×ない

連帯保証人は保証人に比べてかなり重い責任を負うことになります。

保証人との違いに触れながら、連帯保証人の特徴について解説していきましょう。

保証人との違い①:「催告の抗弁権」がない

民法の取り決めにおいて、保証人には「催告の抗弁権」がありますが、連帯保証人にはありません

わかりやすく解説しましょう。
催告の抗弁権は、保証人が債権者(お金を貸し付けている人)に対して使う権利です。
また抗弁権とは支払いを拒むことを意味します。

催告の抗弁権とは、債権者から「お金返して」と言われたとき「借りた本人に先に言ってください」と借金返済を断る権利のことです。

保証人の場合、催告の抗弁権が使えるので、債権者から督促がきたとしても「借りた本人に先に請求してください」と言い返せますが、連帯保証人には催告の抗弁権がないため、負債を肩代わりせざるを得ません。

保証人との違い②:「検索の抗弁権」がない

保証人と連帯保証人との違いとして、民法上「検索の抗弁権」がないことも挙げられます。

検索の抗弁権とは、保証人が「お金返して」と言われたとき、債務者(お金を借りている人)に返済に充てられる財産があるとわかった場合、債務者の財産を差し押さえ、債務者から先に借金を回収してください、と言い返せる権利のことです。

連帯保証人は検索の抗弁権がないため、債務者から「お金返して」と言われたら、黙って返済に応じるしかありません。

保証人との違い③:「分別の利益」がない

保証人には「分別の利益」という保証範囲の取り決めがありますが、連帯保証人にはありません

たとえば、借金が10万円、保証人がAさん、Bさんの2人の場合、Aさん、Bさんの保証範囲は2分の1の5万円ずつになります。

一方、Aさん、Bさんが連帯保証人となった場合、分別の利益が認められていないため、Aさん、Bさんの両人とも10万円の返済義務を負うことになります。

このように、保証人が複数いた場合、負債を人数で按分して部分的に返済義務を負うことを「分別の利益」といいます。

連帯保証人には、催告の抗弁権、検索の抗弁権、分別の利益という3つの権利が認められていません。連帯保証人は、このように保証人よりも重い責任を背負わなければなりません。

連帯債務と連帯保証の4つの違い


連帯保証にとてもよく似た言葉に「連帯債務」という言葉があります。連帯債務と連帯保証は一見似ていますが、中身はまったくの別物です。

「住宅ローンの連帯債務
「住宅ローンの連帯保証

具体的にどのように違うか解説していきたいと思います。

  1. 2人とも債務者
  2. 控除の対象
  3. 団体信用保険に加入できる
  4. 共有持分を持てる

それではひとつずつ見ていきましょう。

連帯保証との違い①:2人とも債務者

連帯保証と連帯債務の違いに、責任の取り方があります。


夫婦を例にして連帯保証と連帯債務の違いを整理してみましょう。

種類関係説明
連帯保証債務者:夫
連帯保証人:妻
債務者は1人のみで
もう1人は連帯保証人
連帯債務債務者1:夫
債務者2:妻
債務者が2人

連帯債務は、文字通り「債務を連帯する」ことです。つまり、複数人が連帯して債務者になることを連帯債務といいます。それぞれの債務者が独立して返済責任を負います


一方連帯保証では、連帯保証人は債務者とはなりません。メインの債務者の住宅ローンの返済が滞った場合、連帯保証人が借金を肩代わりするしくみです。


購入した家の名義については、債務者が1名である場合、その人のみの名義になりますが、連帯債務の場合、たとえば夫婦2人で連帯債務とした場合、夫婦2人の名義となります。

連帯保証との違い②:控除の対象となる

連帯保証と連帯債務の違いのうち、覚えておきたいのが住宅ローン控除についてです。

たとえば、夫婦2人で連帯債務とした場合、夫、妻のそれぞれが住宅ローン控除の対象となります。


◆住宅ローン控除の要件

  • 自らが住んでいる
  • 住宅ローンが10年以上
  • 所得が2000万円以下
  • 広さ50m2以上で半分以上が居住用
  • 新築で完成後6ヶ月以内に住んでいる

このような条件が合えば、住宅ローンの控除となり、ローン残高の0.7%が所得税・住民税が減額されます。

種類債務者名義、住宅ローン控除
連帯保証
(連帯保証人:妻)
名義:夫
住宅ローン控除対象:夫
連帯債務夫、妻
名義:夫、妻
住宅ローン控除対象:夫、妻

連帯保証では、住宅ローン契約者1人しか住宅ローン控除は受けられませんが、連帯債務で住宅ローンを組めば、債務者それぞれで住宅ローン控除を受けることができます

連帯保証との違い③:団体信用保険に加入できる

連帯債務では、夫婦それぞれが債務者になりますので、どちらも団体信用保険(団信)に加入することができます
団信とは、債務者にもしものことがあったときに保険金でローン完済できる生命保険のことです。
種類債務者団体信用保険
連帯保証

(連帯保証人:妻)
夫:加入できる
妻:加入できない
連帯債務夫、妻夫:加入できる
妻:加入できる

一方、連帯保証人となった場合、団信への加入はできません


連帯保証人が死亡しても、連帯保証人は団信の保障がないため、ローン残高は主債務者である夫がすべて背負うことになります。連帯保証人は団信に加入できないため、その分ほかの生命保険などでカバーする必要があるでしょう。

連帯保証との違い④:共有持分を持てる

連帯債務では、共有持分を持つことができます。
共有持分とは、土地や住宅などの不動産を複数人で手に入れた場合、それぞれの持分の割合のことです。

50m2の住宅を購入した夫婦の例を見てみましょう。
種類債務共有持分
連帯保証夫:3000万円
(連帯保証人:妻)
夫:100%(50m2)
妻:0%
※夫の単有名義
連帯債務夫:1500万円
妻:1500万円
夫:50%(25m2)
妻:50%(25m2)
通常は、その不動産に支払った金額で共有持分は決まります。上の夫婦の場合、半分ずつ出資しているため、共有持分は各50%となります。

このように連帯債務の住宅ローンでは、連帯債務者となる妻も共有持分を持つことができます。反対に、連帯保証人では名義は100%夫になるため、妻の持分はゼロです。

ペアローンか収入合算か連帯債務か?

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連帯保証はなぜ怖い?4つの怖さ・リスク


連帯保証という言葉には、なんとなく怖いイメージがあると思いますが、実際、連帯保証には恐ろしさが潜んでいます。

軽はずみに連帯保証人になるのはおすすめできません。
場合によって住宅ローンで連帯保証人が必要になることもありますが、慎重に検討を重ねる必要があります。

ここで連帯保証に隠れているリスクを4つ挙げてみたいと思います。

  1. 債務者と同じ責任がある
  2. 自己破産したら連帯保証人が返す必要あり
  3. 主債務者にほぼ請求できない
  4. 何も手元に残らない

ひとつずつ解説していきます。

連帯保証のリスク①:債務者と同じ責任を負う

連帯保証の場合、当然のことながら連帯保証人は債務者とまったく同じ責任を負わなければなりません。


以下は、夫の住宅ローンの連帯保証人になった妻の例です。

立場負債内容
債務者:夫3000万円
連帯保証人:妻債務者(夫)が返済不能になれば
3000万円の返済義務あり

一度連帯保証人になると、債務者(夫)に何かあった場合、妻はローンの残高すべてを返済しなければなりません。


連帯保証人でなく「保証人」であれば、催告の抗弁権や検索の抗弁権を行使し、返済を一旦ことわり先延ばしにすることもできますが、連帯保証人は法的にそのような権利もなく、完全に債務を引き継がなければなりません


連帯保証人を立てる場合、あるいは自分が連帯保証人になる場合、連帯保証人には重い責任があることを十分把握しておかなければなりません。

連帯保証のリスク②:債務者が自己破産しても返す必要がある

債務者が自己破産したら、連帯保証人はどうなるのでしょうか。
自己破産した場合、債務者は借金がすべてゼロになりますが、連帯保証人は代わりにすべての借金を引き継ぐことになります。
立場負債内容
債務者が
自己破産したら
債務者:夫3000万円負債は
全額免除される
連帯保証人:妻

債務者(夫)が返済不能になれ

ば3000万円の返済義務あり

3000万円の返済義務あり

連帯保証人は、原則として借金を一括で返済しなければなりません。分割で返済したいと思うかもしれませんが、一般的に分割での返済は認められていません。


何千万円もの請求がきて、西に東に奔走して万策尽きた挙句、連帯保証人自身も自己破産を余儀なくされるでしょう。

連帯保証のリスク③:主債務者に請求できない可能性が高い

債務者Aさんの借金3000万円を連帯保証人Bさんが肩代わりしたとします。
当然、BさんはAさんに「3000万円を返してほしい」と請求することができます。

しかし、Aさんは、Bさんに借金を肩代わりさせるほどの状態です。3000万円を返してもらえる確率はかなり低いです。

Aさんが自己破産をしようものなら、その少ない可能性もゼロになってしまいます。

連帯保証人になるということは、借金を肩代わりしたとしても返してもらえる可能性は限りなく低いです。連帯保証人になるときは、それなりの覚悟を持ってサインするようにすることです。

連帯保証のリスク④:何も手元に残らない

たとえば、自分で住宅ローンに加入した場合、ローン完済すれば家や土地が自分のものになります。途中で返済がむずかしくなっても、借り換えや、家の売却など何かしらの対応策はあるでしょう。

しかし連帯保証人になってしまったら、肩代わりして返済しても何も見返りはありません
連帯保証を受けてしまう人というのは、善意の人だと思います。

その人に世話になったから、恩義を感じているから、連帯保証人のサインをしてしまう。しかし、借金を肩代わりしたところで何も返ってきません。それが世の中の現実というものです。

連帯保証人になる場合、本当に自分が連帯保証人になる必要があるのか、ほかの方法はないのか、慎重に検討する必要があります。

連帯保証人になれる人の2つの条件


さて、連帯保証人には誰でもなれるのでしょうか。収入や年齢の制限などはないのでしょうか。
連帯保証人をどうしても立てる必要が出てきた場合、どんな人に依頼すればよいのか、きちんと理解しておく必要があります。

原則、保証人というのは誰でもなれますが、例外として、債務者が連帯保証人を立てる必要がある場合、民法第450条「保証人の要件」でその条件が定義されています。
  • 1.行為能力者であること
  • 2.弁済をする資力を有すること
  • 連帯保証人であることは信用情報に登録される
ではひとつずつ解説していきましょう。

条件①:行為能力者であること

連帯保証人の要件について、民法450条1項で筆頭に、

行為能力者であること

と記載されています。行為能力者とは、ひとりで契約などの法律行為をおこなうことのできる人を指します。

…といっても漠然としていますね。

制限行為能力者を先に説明しましょう。

民法では、人を行為能力者、制限行為能力者に分けて定義しています。未成年や精神障害がある人など、実際の契約などで意思能力を持たない者のことを「制限行為能力者」と定義しています。

連帯保証人の要件のひとつは、つまり制限行為能力者ではない、とも言い換えられます。

つまり、成人であること、精神障害等がなく、認知症などもなく、契約等の法律行為をおこなう意思能力がある人でなければならない、いうことです。

条件②:弁済をする資力を有すること

連帯保証人の要件の2つめは下記のとおりです。

「弁済をする資力を有すること」


法律はムズカシイ用語が出てきますね。弁済とは借金を返すこと、資力を有するとは一定の財産があることです。要は「借金を返せるだけの財産があること」という意味です。


お金のない人、借金を肩代わりできる財産のない人は連帯保証人になることができません。


この要件に関連して、民法450条2項では、


「保証人が前項第2号に掲げる要件を欠くに至ったときは、債権者は、同項各号に掲げる要件を具備する者をもってこれに代えることを請求することができる。」


との補足があります。連帯保証人が借金を肩代わりするほどの財力がなくなったら、債権者は連帯保証人を代えることができる、という意味になります。

備考:連帯保証人であることは信用情報に登録される

連帯保証人であるという情報は信用情報に登録されると思っておいた方がよいでしょう。

銀行などの金融機関に関連した信用情報はJBA(全国銀行個人信用センター)に登録されます。

住宅ローンは銀行から融資を受けることになるため、住宅ローンで連帯保証人になった場合銀行経由の個人の信用情報を取り扱うJBAに登録されことになります。


信用情報については、のちほど詳しく解説します。また、信用情報開示の具体的な方法についてもご説明しますので、最後まで読んでみてください。

こんな人は住宅ローンの連帯保証人になれない!特徴4選


民法450条1項に連帯保証人の要件の記載があり「弁済をする資力を有すること」という条文があります。


つまり借金を返す能力がある人でなければ連帯保証人になることができません。


具体的にどのような場合、連帯保証人になれないのでしょうか。

  1. 年金生活者
  2. 経営が不安定な自営業
  3. 転職を繰り返す人
  4. 信用情報にキズがある人

これから連帯保証人を頼もうと思っている人は参考にしてみてください。ではひとつずつ見ていきましょう。

連帯保証人になれない人①:年金生活者

収入が年金だけの年金生活者は、連帯保証人になることができません


連帯保証人には、一定の金額、安定した収入があることが望まれますが、年金の収入だけでは収入として不十分だとジャッジされてしまうのです。


年金の受給額が多い場合、まれに通ることもありますが、年金生活者は連帯保証人になれないと思っておくのが無難です。


連帯保証人はなかなか頼みづらいものです。身近で頼みやすい親を連帯保証人として立てようとしている人がいるかもしれません。


しかし年金生活者を融資契約の連帯保証人にするのは原則できませんので注意が必要です。

連帯保証人になれない人②:経営が不安定な自営業

連帯保証人は、安定した収入が必要です。経営が不安定な自営業も、収入が安定しないとみなされ、連帯保証人になることができません。

住宅ローンは借入金が大きくなります。貸付する銀行の立場で考えると、債務者が返済不能になった場合、連帯保証人から何千万円もの大金を回収しなければなりません。

連帯保証人の審査において、この人からは貸付金を回収できない、と未回収リスクありと判断された場合、連帯保証人として立てることはできません。

連帯保証人の候補を立てる際は、経営が不安定な自営業は選択肢からはずさなければいけません。

連帯保証人になれない人③:転職を繰り返す人

収入が安定しないという意味では、転職回数が多い人も連帯保証人としては適しません。転職を繰り返すため、収入が安定しないとみなされます。

銀行は、主債務者の返済が立ち行かなくなった場合、連帯保証人にローンの肩代わりをしてもらう必要がありますので、連帯保証人には十分な支払い能力があることを要求します。

転職を繰り返すような人は、収入面でリスクがあるとジャッジされてしまうでしょう。転職を繰り返す人も連帯保証人としては難しいということを念頭に入れておいてください。

連帯保証人になれない人④:信用情報にキズがある人

信用情報に何らかの問題がある人は連帯保証人になれません。

  • ローン返済で長期的に延滞したことがある
  • 債務整理をしたことがある
  • 現在、借金の滞納がある

このような人は信用情報に一定期間登録されるため、連帯保証人になることができません。


信用情報にキズがあると、ローンの未回収リスクが高く、連帯保証人としての資格なしと判断されます。


しかし、信用情報は永遠に登録されるわけではなく、一定期間を過ぎればデータから削除されます。信用回復を待ってあらためて連帯保証人を依頼するとよいかもしれません。

知らない間に住宅ローンの連帯保証人に⁉離婚後の確認方法2つ


住宅ローンで連帯保証人が必要となった場合、夫(妻)が債務者、妻(夫)が連帯保証人になることもよくある事例です。しかし、夫婦が離婚したらどうなるのでしょうか。

離婚したからといって、自動的に契約書から連帯保証人の配偶者の名前が消えるわけではありません。残念ながら離婚と住宅ローンはまったく別物です。

「住宅ローンの連帯保証人になったような気がするけれど、記憶があやふや」

「住宅ローンの手続きをすべて夫に任せきりにしていて、自分が連帯保証人になっているかどうかわからない」

このような方は要注意です。すぐに住宅ローンの契約内容を確認する必要があります。
  1. 元パートナーに直接聞く
  2. 信用情報の開示
ではひとつずつ解説していきましょう。

確認方法①:離婚した元パートナーに直接聞く

まずは、離婚した元パートナーに直接聞いてみることです。

電話、メールなどで連絡をとり、住宅ローンの契約書の写しを送ってもらうようにしましょう。


離婚後は連絡しづらいことがあるかもしれませんが、連帯保証人というのは非常に重い責任です。自分の身を守るためにも必ず確認しておかなければなりません。


どうしても連絡したくない、あるいは連絡が取れない場合、信用情報を開示するという方法もあります。次の項で解説していきます。

確認方法②:信用情報の開示をする

自分が連帯保証人になっているかどうかについては、信用情報を開示して確認することができます。

3つの信用情報機関があり、そのうち住宅ローンの信用情報はJBA(全国銀行個人信用情報センター)で閲覧することができます。
略称名称会員
JBA、KSC、全銀協全国銀行個人信用情報センター銀行、信用金庫、農協など
CIC株式会社シー・アイ・シークレジット会社、消費者金融、信販会社など
JICC株式会社日本信用情報機構消費者金融、信販会社など
JBAは銀行での個人信用情報を取り扱っています。銀行を介したローンの信用情報はほぼJBAのデータとして登録されています。

自分が連帯保証人かどうか、元パートナーへの確認が難しい場合、JBAの情報開示も検討するとよいでしょう。

JBAで住宅ローンの信用情報を開示する2つの方法


自分が住宅ローンの連帯保証人になっているかどうかを確認したい場合、信用情報機関に情報開示請求するという方法があります。

住宅ローンは銀行から融資を受けるため、JBAに情報開示を依頼する必要があります。
JBAとは「全国銀行個人信用情報センター」の略で、JBAに本人開示の手続きを踏むと、住宅ローンの信用情報を確認することができます。
  1. インターネット
  2. 郵送
2種類の開示方法がありますので、その手順を詳しくみていきましょう。

①インターネットで開示する

JBAにインターネットで本人開示を依頼する方法は、JBA 本人開示の手続きのページで「インターネットによる開示手続」の手順にしたがって手続きをします。手数料は1000円です。

インターネットによる本人開示をすると、信用情報はPDFで確認することができます。

◆JBA本人開示の手順(インターネット)
  1. メールアドレスの登録
  2. 名前、住所、電話番号などを登録
  3. オンラインでの本人確認①②のいずれか
    ①マイナンバーカード(※)
    ②本人確認書類+「顔」の撮影
  4. 手数料の支払い
  5. 開示報告書をダウンロード(PDF)
※本人確認の方法としてマイナンバーカードをつかう場合、専用アプリ「TRUSTDOCK」をインストールする必要があります。

インターネットで本人開示手続きをおこなう場合、SMS認証や、カメラ機能付きのスマートフォン・パソコンが必要になります。事前に利用環境をよく確認しておきましょう。

②郵送で開示する

JBAに郵送で本人開示を請求するには、JBA 本人開示の手続きのページで「郵送による開示手続」の手順にしたがって手続きをおこないます。

◆下記の書類をJBAに送付してください。
  1. 登録情報開示申込書(※1)
  2. 本人開示手続き利用券(※2)
  3. 本人確認書類2種類のコピー(※3)
◆送付先
〒100-8216
東京都千代田区丸の内1-3-1
一般社団法人全国銀行協会 全国銀行個人信用情報センター

※1 登録情報開示申込書(①②いずれかで)
①申込書のPDFを印刷して手書き
②コンビニのマルチコピー機で印刷して手書き
利用方法はJBA 本人開示の手続きの「郵送による開示手続」→「登録情報開示申込書(様式)(コンビニプリント)」を参照。
ブンイレブン、ファミリーマート、ローソン、ポプラで利用可能

※2 本人開示手続き利用券
コンビニで購入します。
セブンイレブン:1124円
ローソン または ミニストップ、ファミリーマート:1200円
JBA 本人開示の手続きの「郵送による開示手続」→「【2】「本人開示手続き利用券」を参照。

※3 本人確認書類
運転免許証など。
利用できる本人確認書類はJBA 本人開示の手続きの「郵送による開示手続」→「【3】本人確認書類」を参照。

連帯保証人になると住宅ローン審査に不利に影響する!4つの対策


住宅ローンの審査では、契約者は十分な返済能力があるか、住宅ローン以外に融資を受けていないか、連帯保証人になっていないか、詳細にチェックされます。

連帯保証人になっていると、返済能力に問題があると判断され、住宅ローンの審査において不利になるのはいたしかたありません。

しかし、連帯保証人であるという理由だけで住宅ローンを組めない、というわけではありません。

連帯保証人であっても住宅ローンの審査に通るためにはどのような対策が必要でしょうか。
  1. 借入れ金額を減らす
  2. 返済期間を短くする
  3. 頭金を増やす
  4. ペアローンやリレーローンを利用する
ではひとつずつ見ていきましょう。

対策①:借入れ金額を減らす

住宅ローンの審査に通るためには、借入額を減らすことも検討しましょう。

住宅ローンの審査では、返済能力に対して融資額が妥当であるかどうか、という点が重要視されます。

連帯保証人であるというリスクがあるのであれば、その分融資枠を小さく見積もることで、審査に通りやすくなることがあります。

融資枠を小さくするとともに、それに応じた住宅の購入金額を設定することも視野に入れて検討しましょう。

大前提として、連帯保証人であるという状態はそれだけでかなりリスクのある状態です。

無理のある住宅ローンを組んではいけないのはもちろん、住宅ローンを組むべきかどうか、その点も含めてあらためて慎重に考えるようにしましょう。

対策②:返済期間を短くする

住宅ローンの審査に通る対策として、融資枠を小さくするとともに、借入期間を短くすることも考えましょう。審査通過のためには、借入額を抑え、短い期間で返済することが重要です。

ローンの開始年齢が遅い場合は特に、短い借入期間で組む必要があります。完済年齢が定年後になるような場合、審査にも通りづらくなります。

できれば定年前に完済できるよう、短めの借入期間を設定することも審査通過のためには必要な対策といえるでしょう。

対策③:頭金を増やす

借入額を減らすということにつながりますが、頭金を増やすことも審査対策には有効です。

頭金を増やせば借入額も抑えられるとともに、まとまった金額を頭金として用意できるというということで銀行からは資金力があると信用を得られ、審査で加点ポイントをもらえるでしょう。

しかし、いくら審査に通りたいからといって、いざというときのための備えの貯金まで頭金につぎ込むのはおすすめできません。その後の生活に差し支えるほどのローン設計は避けましょう。

対策④:ペアローンやリレーローンを利用する

通常の住宅ローンでは、思うような融資枠がとれないという場合、ペアローンリレーローンを候補に入れるとよいでしょう。
  • ペアローン:2人で別々の2本のローンを組み返済していく(夫婦、親子など)
  • リレーローン:2人で1本のローンを組み、引き継いで返済していく(親子など)

通常のローンでは希望の物件が手に入らないという場合には、ペアローンや親子リレーローンをつかって融資枠を増やすという選択肢もあります。


ただし、親子リレーローンを利用する場合は、トラブルにならないよう相続問題などについてあらかじめ親子、あるいは兄弟間でしっかり話し合っておく必要があります。

まとめ:住宅ローンの悩みなら今すぐマネーキャリアの無料相談!


今回の記事は住宅ローンと連帯保証人をテーマにお届けしました。

  • 住宅ローンで連帯保証人は原則不要だが、一部のローンで必要
  • 審査結果により連帯保証人が必要なこともある
  • 連帯保証人は債務者とまったく同じ責任を持つ
  • 連帯債務は債務者が2人、名義も2人分で住宅ローン控除が2人とも使える
  • 連帯保証人になった情報はJBAの信用情報に登録される

連帯保証人になるということは大きなリスクを抱えることです。


問題なくローンが完済されるケースも多いですが、債務を肩代わりするとなると何もいいことはありません。


夫婦間で連帯保証する場合も、本当に連帯保証でよいか慎重に検討する必要があります。離婚になるとなかなか手続きが面倒になります。


連帯保証という形式をとる前に、保証会社による対応、借入額の減額など、連帯保証以外の方法がないか、慎重に考える必要があります。


一旦連帯保証人になると債務者と同じ責任を負うのだということを、今一度胸に刻んでください。


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