住宅ローンの連帯保証人はデメリットのみ!(配偶者の場合は例外)

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頼む側も頼まれる側もデメリットが多い住宅ローンの連帯保証人。住宅ローンで連帯保証人を立てるデメリットについて、配偶者のケースも合わせて徹底解説します。住宅ローンと連帯保証人についてきちんと理解して安心安全な住宅ローン計画を立てましょう。

▼この記事を読んで欲しい人
  • 住宅ローンで連帯保証人を立てるデメリットを知りたい人
  • 住宅ローンの審査で連帯保証人を求められた人
  • 住宅ローンの借入れを多くしたい人
  • 配偶者の連帯保証人になるデメリットを知りたい人

内容をまとめると

  • 住宅ローンの連帯保証人の責任は債務者とまったく同じ
  • 連帯保証人になっても住宅ローン控除を受けられず、団信に加入できない
  • 配偶者の連帯保証人になると離婚したとき抜けるのが難しい
  • 連帯保証人なしで無理なく組めるよう購入物件、ローン計画を見直すことも大事
  • 連帯保証人についてお悩みならマネーキャリアの無料相談の利用もおすすめ
  • 多くの事例を経験したFPがローン審査通過のポイントを伝授
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目次を使って気になるところから読みましょう!

住宅ローンで連帯保証人を立てる大きすぎる3つのデメリット


連帯保証人」という言葉の響きにどんな印象を持っていますか?
マンガやドラマなどで頻出する言葉で「怖い」というイメージがあるかもしれません。


虚構の世界だけではありません。連帯保証人は実際、そのイメージ通り怖いものです。

住宅ローンの連帯保証人となると、借入額も大きいため、そのリスクは非常に大きなものとなります。


住宅ローンの連帯保証人になることのデメリットは3点。

  1. 連帯保証人にかける迷惑が甚大
  2. 連帯保証人の責任は債務者と同等
  3. 連帯保証人はなかなか辞められない

この記事を読んで、具体的にそのデメリットと怖さをイメージしていただきたいと思います。それではひとつずつ解説していきましょう。

デメリット①:連帯保証人にかける迷惑が大きい

住宅ローンで連帯保証人を立てた場合、当然ながら連帯保証人にかける迷惑が非常に大きくなります


住宅ローンは連帯保証人が原則不要です。購入した住宅が担保として融資がおこなわれ、さらに近年は保証会社が利用されるためです。


そのような前提の中、連帯保証人が必要であると銀行にジャッジされた時点で、返済能力が低いと判断されたわけです。将来的に返済が滞る可能性は十分にあります。まずそのことを十分肝に命じましょう。


もしあなたが契約者で、誰かを連帯保証人に立てた場合、あなたが亡くなった場合や自己破産した場合、住宅ローンの残債がそっくり連帯保証人に引き継がれ、支払い義務が生じます。連帯保証人は全額肩代わりしなければなりません


自分は元気だしずっと働ける。住宅ローンを完済する自信がある…というのは過信です。


病気、事故、リストラ…生きていれば何が起きるかわかりません。とりわけ住宅ローンは多額の融資です。もしものことがあれば連帯保証人に多大な迷惑をかけることになります。

デメリット②:連帯保証人の責任は債務者と同じ

連帯保証人になると、主債務者とまったく同じ責任を負うことになります。返済が滞ったら、返済を全額肩代わりしなければなりません。しかも一括返済を求められます。

仮にあなたが3000万円の住宅ローンを組んでいるとしましょう。連帯保証人は妻です。

ある日突然あなたが事故に遭い、働けなくなってしまった。住宅ローンの残債3000万円は、連帯保証人の妻がすべて返済しなければなりません。

「いやいやそんな可能性はかなり低いから大丈夫」だと楽観的にかまえるのはよくありません。可能性は低くても、病気や事故、リストラなどトラブルは起きるときには起きるものです。

住宅ローンを組むとき、連帯保証人はサインひとつの作業しかありませんが、連帯保証人の責任は、債務者とまったく同じ重みであるということを肝に銘じておかなければなりません。連帯保証人になった場合、まさかのときの対策は十分であるか、慎重に準備していく必要があります。

デメリット③:連帯保証人を辞めることは難しい

連帯保証人になると大きなリスクがあるのはなぜでしょうか。一旦、連帯保証人になると辞めることが非常に難しい、という点もそのひとつです。

住宅ローンの連帯保証人になると、住宅ローンの契約書にサインをします。連帯保証人を辞めたいと申し出ても、一旦契約を交わしたものは、なかなか変更することは難しいです。

住宅ローンでは、夫婦のどちらかが連帯保証人というケースがよく見られますが、離婚した場合、連帯保証人の解除を申し出ても、銀行に承諾されないことがほとんどです。

ローン残高がかなり減っている場合、連帯保証人解除の承諾を得られる場合もありますが、それも金融機関によります。原則、連帯保証人を辞めるのは非常に難しいと思っておいたほうがよいでしょう。

世の中には、どんな親しい人に頼まれたとしても、連帯保証人にならないと決めている人も多いです。そういう人は、連帯保証人になることの恐ろしさや、連帯保証人に一旦なったらはずれるのは難しいということをよく知っているからです。

住宅ローンの連帯保証人は原則不要!2つ理由を解説


1人で融資を受ける通常の住宅ローンは、特に問題がない限り連帯保証人は不要です。かつて住宅ローンで連帯保証人が必要だった時代もありますが、今は原則不要となっています。

住宅ローンは金額が多額になる融資ですが、なぜ連帯保証人は不要なのでしょうか。
  1. 土地や建物が担保になるから
  2. 保証会社の保証システム
通常の住宅ローンは原則不要という点は覚えておきましょう。連帯保証人が必要なのは特別なケースです。では解説していきましょう。

連帯保証人が不要な理由①:土地や建物が担保になる

融資をする銀行などの金融機関は、貸付金の未回収リスクを避けるために、担保を設定します。

担保とは、借金が返済不能になったときのために、事前に差し入れるものを指します。
担保には「物的担保」「人的担保」の2種類あります。
担保の種類内容住宅ローンの場合
物的担保ある財産を担保にして
返済不能になったときは
それを売却して貸付金を回収する
土地や住宅
人的担保保証人を立て、
返済不能になったときは
保証人から貸付金を回収する
連帯保証人
住宅ローンでは、購入した家や土地を物的担保として設定するため、通常はそれ以上担保を取ることはしません。

昔は人的担保(連帯保証人)が一般的でしたが、今日では土地や住宅に抵当権を設定して担保とするようになりました。

連帯保証人が不要な理由②:保証会社に保証を頼む

連帯保証人が不要なもう1つの理由は、住宅ローンに保証会社を利用することが一般的になったことが挙げられます。

住宅ローンだけでなく、賃貸契約においても、昨今は保証会社を使うケースが非常に多くなりました。少子高齢化、核家族化が進み、連帯保証人のなり手が少なくなったことも背景としてあるようです。

保証会社と債権者(銀行)、債務者(住宅ローン契約者)の関係は、
  • 債務者:保証料を保証会社に払う(ローン返済の保証を受ける)
  • 保証会社:債務者が返済を延滞した場合、債務者に代わって支払う
  • 債権者:保証会社の保証があるため、貸し倒れリスクを回避できる
このようになります。

返済が遅滞した場合、保証会社がローンを返済しますが、それはあくまで「立替」であり、ローンがゼロになったわけではありません。その後は保証会社に返済していくことになります。

住宅ローンで連帯保証人を立てる2つのメリット


住宅ローンの連帯保証人には悪いイメージがあり、実際デメリットばかりです。しかし、住宅ローンに連帯保証人を立てるメリットもないわけではありません。

住宅ローンで連帯保証人を立てるメリットは、あえて挙げるとするならば下記の2点。
  1. 保証料がかからない
  2. 借入れ枠を増やせる

しかし、住宅ローンの連帯保証人については、そのメリットに対してデメリット、リスクが甚大です。


「メリット < デメリット


住宅ローンの連帯保証人になることは、このような図式をイメージしてください。メリットの何倍ものリスクが潜んでいますので十分注意しましょう。

ではひとつずつ解説していきます。

メリット①:保証料がかからない

住宅ローンでは、通常は保証会社を使います。保証会社に保証料を支払うことで、債務者に何かあったとしても、銀行は貸付金を回収することができます。


一方、連帯保証人を立てる場合は保証会社を利用しないため、保証料を支払わなくてすみます。これは連帯保証人を立てることのひとつのメリットです。


しかし、住宅ローンでは実状、保証会社を利用しますので、銀行から言われない限り連帯保証人は立てないという前提だと理解しておいたほうがよいでしょう。

メリット②:借入れを増額できる

連帯保証人を立てることのメリットはもうひとつ、融資枠を増やすことができる点です。

住宅ローンに加入するためには、銀行による審査にパスする必要があります。
審査では、契約者の収入に対し融資額が妥当であるか、十分返済できるほどの財力があるかという点を重点的にチェックされます。

通常の住宅ローンでは、住宅(建物)を担保とし、保証会社を利用して銀行は貸し倒れリスクを回避しています。

さらに連帯保証人を立てることで、契約者に対して信用が厚くなり、未回収リスクが低くなるため、借入額を増やすことができます。

住宅ローンで配偶者を連帯保証人にするケース2選


住宅ローンは通常、1人で契約しますが、2人でローンを組む場合は連帯保証人が必要となる場合があります


2人でローンを組む場合、1物件に対して収入を足してローン審査を受けることになります。どちらかに何かがあった場合の貸し倒れリスクを防ぐため、連帯保証が必要になるのです。

  1. ペアローン
  2. 収入合算

収入を合わせるという点では同じですが、契約方式など少しずつ異なる部分があります。

ひとつずつ解説していきましょう。

ケース①:ペアローンを組む場合

ペアローンを組む場合、互いに連帯保証人となる必要があります。
ペアローンは同居家族2人で住宅ローンを組むことになります。それぞれ独立した住宅ローンを組む(2人とも債務者)という点がペアローンの特徴です。

下記は夫婦を例に、単独ローンとペアローンを比較した表です。
項目単独ローンペアローン
契約者
(債務者)
夫、妻
契約の本数1本2本
連帯保証人不要夫、妻
(互いに連帯保証)
ローン返済夫、妻
それぞれ返済
住宅ローン控除夫、妻の税金から
それぞれ控除される
1人だけの収入では希望する融資枠が得られないような場合、ペアローンを組むことで借入可能額を増やすことができます。

ペアローンのデメリットとしては、契約が2本になるため手数料等が2倍かかります。また、妻が産休を取った場合、その期間も変わらずローンを返す必要があるため、一時的に返済が苦しくなる可能性があります。

ケース②:収入合算をする場合

配偶者が連帯保証人になる住宅ローンには、収入合算もあります。
ペアローンと大きく異なるのは、契約は1本のみ1人が債務者、1人が連帯保証人となる点です。

以下は単独ローンと収入合算を比較した一覧です。
項目単独ローン収入合算
契約者
(債務者)
契約の本数1本1本
連帯保証人不要
ローン返済
住宅ローン控除
収入合算は、連帯保証人が必要である点が大きな特徴です。

収入合算には、連帯保証人を立てる連帯保証型のほかに、連帯債務型があります。
ペアローン、収入合算の連帯保証型、連帯債務型について、夫婦を例にとって比較してみましょう。
項目ペアローン収入合算
連帯保証型
収入合算
連帯債務型
契約者夫、妻
債務者夫、妻夫、妻
契約の本数2本1本1本
連帯保証人夫、妻
(互いに連帯保証)
不要
収入合算の連帯債務型は、連帯保証人は要りませんが、夫、妻の両方ともが債務者となるのが大きな特徴です。

配偶者と連帯保証型のローンを組むデメリット3つ

2人で住宅ローンを組む場合、配偶者を連帯保証人にするのはとてもオーソドックスな方法です。共働きが普通になった昨今、夫婦で住宅ローンを契約するのはよくある方法です。

しかし、あらためて連帯保証人のデメリットを思い出してください。相手が夫であろうが妻であろうが、連帯保証人のリスクは変わりません。

  1. 控除や団信の保障を受けられない可能性あり
  2. 贈与税が課税されるケースも
  3. 離婚しても連帯保証人をやめられない

配偶者を連帯保証人にすることのデメリットは3点あります。


夫婦で住宅ローンを組むうえで非常に重要な内容になりますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

デメリット①:控除や団信の保障を受けられない可能性がある

収入合算で連帯保証型の住宅ローンを組むと、たとえば夫が契約者、妻が連帯保証人となります。

住宅ローン控除団体信用生命保険(団信)は、原則として住宅ローンの契約者本人に適用されます。連帯保証人は対象外となる可能性が高いです。

◆住宅ローン控除

  • 住宅ローンが10年以上
  • 所得が2000万円以下
  • 広さ50m2以上
などの要件を満たせば、所得税・住民税が減額されるという税制です。非常にお得な制度ですが、住宅ローンの契約者でなければ利用することができません。

◆団体信用生命保険(団信)

団信とは、住宅ローン加入者が死亡した場合、加入者に代わり残債を完済してくれる生命保険です。

団信に加入することができるのは、原則として住宅ローンの契約者本人で、連帯保証人は加入できないと思っておいた方がよいでしょう。

連帯保証型の収入合算で住宅ローンを組んだ場合、収入合算者に万が一のことがあっても、団信に加入できないため、残された人が1人で返済していくことになります。

連帯保証人は生命保険に入るなど、別途リスク対策が必要です。

デメリット②:贈与税が課税される場合がある

夫婦で住宅ローンを組む場合、気になるのは名義や持分はどうなるのかという点ですよね。
住宅ローンの組み方と名義、持分について整理すると、
項目ペアローン収入合算
連帯保証型
契約者
夫、妻
債務者夫、妻
連帯保証人夫、妻
(互いに連帯保証)
名義夫、妻
持分通常は
出資額の比率で按分
夫:100%
妻:0%

連帯保証型では、名義、持分ともに夫のみですが、ペアローンでは支払った金額に応じて持分を分ける必要があります。


たとえば、住宅面積60m2、3000万円のローンを夫が2000万円、妻が1000万円で分担した場合、

ローン金額共有持分持分
夫:2000万円2000÷3000
=1/3
60m2×1/3
=40m2
妻:1000万円1000÷3000
=2/3
60m2×2/3
=20m2

通常は、このように持分が割り当てられます。


しかし、実際の支払い以上の持分が割り当てられると、贈与とみなされ贈与税を納めなければならないため、持分の分け方には注意しましょう。

デメリット③:離婚しても連帯保証人をやめられない

日本の離婚率は約3分割。3人に1人離婚するという時代ですが、たとえば配偶者が連帯保証人であるとき、離婚した場合には連帯保証人からはずれることはできるのでしょうか。

答えは「No」です。

一度連帯保証人になったら、そこから抜けることはできません。新たな連帯保証人を立てることができれば、可能性も残っていますがそれも銀行との交渉によります。

何より、代わりの連帯保証人を探すのはかなり難航することが予想されます。

連帯保証人を辞めることは、基本的に無理だと思っておいた方がよいでしょう。

離婚を機に連帯保証人からはずれたいと思うのは当たり前の心情です。

しかし、一旦連帯保証人になったらはずれるのは非常に難しいです。連帯保証人のハンコをつく前に、連帯保証人になるリスクを十分肝に銘じておく必要があるでしょう。

ペアローンや収入合算以外で連帯保証人を求められるケース3つ


住宅ローンと連帯保証人について、一旦ここでまとめると、
住宅ローンの種類連帯保証人
通常の住宅ローン原則不要
ペアローン必要
(互いに連帯保証)
収入合算
(連帯保証型)
必要
収入合算
(連帯債務型)
不要
このようなかたちになります。

ペアローンや収入合算以外にも、連帯保証人が必要になるケースがあります。
  1. 親の土地に子ども名義で家を立てる
  2. 主債務者の収入が安定しない
  3. 金融機関が要求してきた場合

ひとつずつ解説していきましょう。

ケース①:子ども名義で親の土地に家を立てる場合

子ども名義で親の土地に家を建てる場合、住宅ローンの契約では連帯保証人が必要になります。
通常は土地の所有者である親が連帯保証人になります。

親の土地に子どもが家を建てる場合、住宅以外に親の土地も担保に入れ、持ち主の親が連帯保証人になることが一般的です。
項目内容
契約者子ども
担保住宅(建物)
親の土地
連帯保証人
親に連帯保証人になってもらうことは前もって伝え、承諾を得ておくようにしましょう。

ケース②:主債務者の収入が安定しない場合

住宅ローンでは、月々何万円といった金額を返済する必要があります。

住宅ローンの審査では、安定した収入があり、遅滞なく返済できるかどうか、という点が入念にチェックされます。

自営業者や個人事業主の方は、収入が安定しないという判断を受けやすいため、連帯保証人を求められることがあります。

お勤めの方で転職を繰り返しているような人も、同じような理由で連帯保証人を必要とするケースがあります。

ケース③:その他金融機関が要求してきた場合

その他にも、金融機関が必要と判断した場合は連帯保証人を立てなければいけません。
たとえば、希望する借入額に対して、
  • 収入が低い
  • 勤続年数が短い
このような場合、1人での収入だけでは安定した返済を望めないとジャッジされるため、連帯保証人を依頼されるでしょう。

金融機関は、貸し倒れリスクを防ぐため、安定した収入と延滞のない返済を第一に求めます。融資額に対して心もとないとみなされた場合は連帯保証人を求められます

審査の結果、連帯保証人を求められたとしても、まず一呼吸置いてください。

連帯保証人を立てるデメリットを思い出し、本当に連帯保証人を立てるべきか、借入額を減らす選択肢はないか、十分検討するようにしましょう。

連帯保証人が必要と言われてお悩みなら、まずはお金の専門家に助言をもらいましょう。

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保証人にあって連帯保証人に無いもの3選!それぞれの違いとは?


連帯保証人とは、連帯して保証する人のことです。連帯のつかない「保証人」とどう違うのでしょうか。その違いは民法で規定されています。

連帯保証人には、民法上、保証人には認められている3つの権利がありません。

つまり、その分連帯保証人が負う責任は重くなっているということです。
  1. 催告の抗弁権
  2. 検索の抗弁権
  3. 分別の利益

連帯保証人に重責があり、厳しく取り立てられる訳には、実はこのような法律の裏付けがあるからです。


ひとつずつ見ていきましょう。

連帯保証人に無いもの①:催告の抗弁権

保証人にあり、連帯保証人に無い権利として「催告の抗弁権」があります。

催告の抗弁権とは、債権者(お金を貸し付けている人)に対して使う権利です。
民法の条文を見てみましょう。

民法452条(催告の抗弁)債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる

難しい言葉が並んでいますが、わかりやすく説明すると、督促されたときに保証人の自分ではなく借りた本人に請求してください、ということです。

片や連帯保証人には、このように言い返す権利が認められていません。お金を返してと言われたら、粛々と返済するしか選ぶ道はありません。

連帯保証人に無いもの②:検索の抗弁権

続いて、連帯保証人にない無い権利として「検索の抗弁権」があります。

民法453条(検索の抗弁)債権者が前条の規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない

検索の抗弁権とは、借金している人に返済できる財産があるのなら、まずそちらから回収してください、という意味です。

検索の抗弁権も連帯保証人にはありません。債務者に財産が残っていようが関係なく、督促されたら連帯保証人は返済に応じなければなりません。

連帯保証人に無いもの③:分別の利益

保証人にあり、連帯保証人には無い権利として、3つめは「分別の利益」です。

複数の保証人がいる場合、借金を均等に分けて返済をすることができます。しかし、連帯保証人はそれが許されていません

民法456条(数人の保証人がある場合)数人の保証人がある場合には、それらの保証人が各別の行為により債務を負担したときであっても、第四百二十七条の規定を適用する

民法427条(分割債権及び分割債務)数人の債権者又は債務者がある場合において、別段の意思表示がないときは、各債権者又は各債務者は、それぞれ等しい割合で権利を有し、又は義務を負う

保証人が2人いる場合、借金100万円は50万円ずつ分けることができますが、連帯保証人が2人いたとしても、債務の分割が認められていないため、1人で100万円を返す義務があります。


このように法律の条文からも、連帯保証人に重責があることがわかっていただけたと思います。連帯保証人が借金の取り立てに遭うと非常に厳しい状況になりますので、その点をよく理解しておきましょう。

連帯保証人を立てずに住宅ローンの借入れを増やす4つの方法!


住宅ローンで連帯保証人を立てるリスクについてご説明してきました。

住宅ローンはできるだけ連帯保証人を立てずに契約するのが望ましいのですが、場合によって連帯保証人を立てなければ望んだ借入枠を得られないこともあります。

連帯保証人なしで借入れを増やすことはできないのでしょうか。

  1. 借入期間を長く
  2. 他の負債を完済してから
  3. ボーナス払いを利用
  4. 頭金を増額

借入れを増やす方法は、連帯保証人を立てる以外にもあります。

ではひとつずつ解説していきましょう。

借入れを増やす方法①:期間を長くする

住宅ローンの借入額を増やす、より大きな融資枠を取るには、審査で「収入に対して無理のない借入額で、安定して返済できる」という信用を得ることです。

その信用を獲得するひとつの方法として、借入期間を長くするということが挙げられます。
返済していく期間が長ければ、月々の返済額も少なくなり、滞りなく返済できる能力がある、という銀行の信頼を得やすくなります。

貸し付ける側の銀行は、商売としては借入額が大きくなるのは歓迎です。

しかし、収入に対し月々の返済比率(年収に対するローン返済額の割合)が大きくなると、住宅ローンが家計を圧迫して返済困難となり、銀行は貸し倒れになます。

その点、借入期間が長くなれば、返済比率も小さくなり、延滞などのリスクも抑えることができます。

借入れを増やす方法②:他の負債を返す

住宅ローンの借入れを増額したいのであれば、他のローンを返済しておく必要があります。

住宅ローンの審査においては契約者の返済比率がチェックされています。返済比率とは、収入に対するローン返済額の割合です。

注意しなければならないのは、ローン返済額に住宅ローン以外の借入れも含まれるということです。
  • クレジットカードのキャッシング枠
  • カードローン
  • 車のローン
  • フリーローン
などの返済が残っていないでしょうか。

残債が多いと住宅ローンの審査にも影響しますので、可能な限り解約、返済してから住宅ローンに申し込むことをおすすめします。

一点気をつけたいのは、信用情報の登録にタイムラグがあるということです。

すべて完済しても信用情報機関のデータに反映されるにはしばらくかかる場合がありますので注意が必要です。住宅ローンを申し込む前に余裕を持って完済しておくようにしましょう。

借入れを増やす方法③:ボーナス払いを利用する

住宅ローンには、月々の返済額とは別に、ボーナス払いの設定をすることも可能です。
月に2回、ボーナス払いを追加して設定すると、借入れ枠を増額することができます
ボーナスの分多く返済することになりますので、融資枠が拡大できるというシンプルなしくみです。

融資枠を増やすには、ボーナス払いを設定するのは非常に効果的な方法です。ボーナスのある会社にお勤めの人は、検討してみるとよいでしょう。

しかし、借入額を増やしたいあまり、極端なボーナス設定はおすすめできません。ボーナスはいざという時のために備える資金という側面もあります。家計として無理のない額のボーナス払いを設定するようにしましょう。

借入れを増やす方法④:頭金を増やす

頭金を増やすと、借入額を増やせる可能性があります。
ある程度の金額を頭金として入れると、まとまった金額を貯める財力がある、家計管理能力があると解釈され、審査時にプラスの加点がもらえ、融資枠の増額につながる可能性もあります。

仮に2000万円の融資枠がとれる場合、頭金300万円を入れれば2300万円、頭金500万円では2500万円を資金として準備することができます。

住宅資金を増やす方法として、連帯保証人を立てて融資枠を増やす方法もありますが、連帯保証人を立てずに頭金を増やすという方法もあります。

頭金を増やせば借入れが少なくなり、元本が小さくなってその分利息も少なくなるというメリットもあります。

頭金は、両親や祖父母から譲り受けることもよくあるケースだと思います。

両親や祖父母から頭金をもらい受けた場合、通常であれば贈与税がかかりますが、一定の額までは非課税となる「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度」というお得な制度もあります。条件が合う場合は利用を検討するのもよいでしょう。

連帯保証人を立てずに住宅ローンの審査を通過するポイント5つ


前の項では、借入期間を延ばす、ボーナス払いを使うなど、連帯保証人を立てずに融資枠を増やす方法を解説しました。

連帯保証人は立てたくないとお悩みの方は対応策として、下記のことも検討してみてはいかがでしょうか。
  1. 親子でリレーローンを組む
  2. 太陽光発電設備を設置
  3. 借入希望額を減らす
  4. 安い物件に変更
  5. 他の銀行を検討

借入枠を増やすこと以外に考えるポイントがあります。ではひとつずつ解説していきます。

ポイント①:親子でリレーローンを組む

リレーローンという言葉をご存じでしょうか。ひとつのローンをリレーでバトンタッチするように人から人へ引き継いで返済していくローンの形式です。

連帯保証人を立てたくない場合、親子でリレーローンを組むのもひとつの方法です。最初に返済するのは親ですが、親がある年齢になるか亡くなった場合、子が引き継いで返済していくことになります。

何らかの理由で審査に通りにくい場合、親と親子リレーローンを組むのも一案です。父親が現役世代で十分な収入がある場合、親子リレーローンも選択肢として考えられるでしょう。

1人では審査に通らない場合の対策として、リレーローンの要件などについて調べておくとよいでしょう。

ポイント②:太陽光発電設備を設置する

住宅ローンの審査では、借入希望額に対して十分な収入かどうかが入念にチェックされます。
十分な収入を担保するために、太陽光発電の売電による収入を加算できる場合があります。

新築する住宅に太陽光発電設備を取り付け、売電収入が見込める場合、その収入を加算することにより、より多くの融資枠を得られる可能性があります。

「電気による収入がそんなにあるのだろうか?」と疑問に思う人もいるかもしれませんが、数万、十数万が借入額に影響することがあります。

たとえばフラット35では、年収400万円未満では返済比率30%以下、400万円以上で返済比率35%以下というボーダーがあります。年収が数万違っただけでも融資枠に影響してしまうのです。

一方で、太陽光発電設備の設置費や日頃のメンテナンス費用を考慮し、長い目でメリットがあるかの見極めも重要です。慎重に試算するなど十分検討するようにしましょう。

ポイント③:希望額を減らす

ここで180%考え方を変えてみましょう。

  • 「そこまでの借入額は必要か」
  • 「連帯保証人を立てるリスクを抱えてまで借入額を増やしたいか」


この点についてあらためて自問自答してみてください。


希望する借入額が減ると、月々の返済額が減り、十分な返済能力があるとみなされ、審査にも通りやすくなります


借入れの希望額を減らすには、先述しましたが頭金を多めに入れることも有効です。


身の丈に合った無理のない計画をすることが、住宅ローンでは最優先に考えなければいけないポイントです。

ポイント④:安い物件に変える

発想の転換として、物件価格を見直すのもひとつの方法です。

住宅ローンの審査が通らないのは、購入しようとしている家や土地が、そもそも収入に対して高すぎるのです。

金融機関は、安定した収入と十分な返済能力があるかを厳しく審査します。物件価格が高ければ自ずと借入額も増え、審査に通るのは難しくなります。

一度気に入った物件を考え直すのはなかなか勇気のいることかもしれませんが、銀行の審査に通らないことには話が始まりません。

連帯保証人を立ててください、と金融機関は簡単に言いますが、それは金融機関にリスクがないからです。片や連帯保証人を立てる側はデメリットが多いため、その点は十分考慮しなければなりません。

新築ではなく中古、駅からの時間、広さ、物件を見直すポイントはいくつかあると思います。安い物件に変えることで余裕のある住宅ローンになり、長い目で見れば家族の幸せにもつながるのです。

ポイント⑤:他の銀行に申し込む

住宅ローンの審査を受けた結果、連帯保証人を立てるように言われた場合、他の銀行に申し込んでみるという手もあります。

審査基準は金融機関により微妙に異なります。

融資枠に大きく影響する返済比率(返済負担率)は、たとえばフラット35の場合、
項目年収400万円未満年収400万円以上
返済比率
30%以下35%以下
400万円を境として、返済比率が異なります。どの金融機関もおおむねこのラインですが、年収400万円未満でも30%より高い返済比率の銀行もあります。

金融機関を替えることで審査通過する可能性もありますので、複数の金融機関に申し込んでみるとよいでしょう。

知り合いに連帯保証人を頼まれた⁉納得してもらえる断り方4選


これまで連帯保証人のデメリットについてご説明してきました。

住宅ローンに限らず、知り合いに連帯保証人を頼まれたら断ることです。

その人にいくら世話になっていても、恩義があっても、連帯保証人にはなってはいけません。リスクが大きすぎます。

しかし、一旦頼まれてしまった場合はどう断ったらよいでしょうか。先方は連帯保証人になってもらいたい一心です。おそらく何人かに断られているはずなので、必死に依頼してくるでしょう。

では、どう言ったら諦めてもらえるか、納得してもらえる断り方をご紹介しましょう。

  1. 夫(妻)が許してくれない
  2. (配偶者の)両親の許可が出ない
  3. ブラックリストに載っている
  4. 既に保証人をやっている

ではひとつずつ見ていきましょう。

断り方①:配偶者が許してくれない

連帯保証人になることを夫(妻)が許してくれない、と伝えてみましょう。

配偶者が連帯保証人だけはどうしてもダメだと言っている、説得できなかった、と言ってみてください。

しつこく迫ってくる場合でも、毅然と断る勇気も大事です。

悪い人に思われたくないという思いは捨てた方がよいです。連帯保証人を頼んでくるような人とはあまりつき合わない方がよい、ともいえるでしょう。

夫なり妻なりの許可が出ない旨を伝えて、はっきり断ることが重要です。

断り方②:(配偶者の)両親が許さない

夫(妻)の両親が連帯保証人になることを許さない、と言うのも効果的です。

結婚するときに、連帯保証人にだけはならないよう厳しく言われていると伝えてください。

配偶者の両親から言われている、という点がポイントです。
連帯保証人を黙って引き受けたら、バレたときに離婚を言い渡されてしまう、と伝えましょう。

今までの関係を保ちたいならなおさら連帯保証人にならないことです。人間関係を壊したくないからと、あいまいな返事をしていると、先方でどんどん話を進める可能性もあります。

連帯保証人になることは非常にリスクをはらんでいますので、ハッキリ断るようにしましょう。

断り方③:ブラックリストに載っている

連帯保証人を知り合いのあなたに頼んでいるような人は、すでに何人か断られていると思われます。連帯保証人探しに必死になっている可能性もあります。

夫がダメだと言っている、妻の両親が許してくれない、それが通じないような相手の場合、「ブラックリストに載っているから連帯保証人にはなれない」と伝えましょう。

自分がブラックリストに載っているなどと言うのは、嘘でも嫌かもしれませんが、連帯保証人になって迎える結末は酷いものです。他人の借金を肩代わりして何の見返りもありません。

断り方④:既に保証人をやっている

既に他の人の連帯保証人をやっている、と言うのも有効なセリフです。
連帯保証人になっているため、日々不安でならないということも合わせて伝えましょう。

それでもしつこく頼まれた場合、連帯保証人になったせいで、債権者から督促がきて困っている、返済をどうしたらいいか悩んでいる、と言いましょう。

連帯保証人を頼むような人とは距離を置くのが一番ですが、現実の暮らしの中ではなかなか難しいかもしれません。

しかし、しつこく連帯保証人を頼むような人は問題があり、やさしいあなたの性格につけこんでゴリ押ししている可能性もあります。

1人で抱え込まず必ず家族や友人に相談して、ハッキリ断るようにしてください。

まとめ:住宅ローンの連帯保証人の相談ならマネーキャリアへ!


今回は住宅ローンで連帯保証人を立てるデメリットについてお届けしました。
記事をまとめると、
  • 連帯保証人の責任は債務者とまったく同じ、一旦なると辞めることは難しい
  • 連帯保証人が必要になるのはペアローンや収入合算、親の土地に家を建てる場合など
  • 審査で厳しく見積もられた場合、連帯保証人が必要になることも
  • 連帯保証人を立てたくない場合、借入期間を長くし、他のローンを完済、ボーナス払い、頭金増額を検討
このようになります。

住宅ローンの鉄則は、無理のない返済計画です。審査の結果、連帯保証人を立てるよう言われたら、融資額を低くする、頭金を準備するなど、連帯保証人なしでの計画をまずは検討してみることです。

とはいえ、買いたい物件はあり、希望する借入額で審査を通したい、というのも正直なところですよね。

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