【初心者向け徹底解説】自動車保険はどの勘定科目に仕訳すればよいの?

確定申告の際、企業の経理・会計を担当している方や個人事業主の方で自動車保険料などでどの勘定科目に仕訳すればよいかわからないことはありませんか?自家用車と社用車が同じ場合は経費に計上できるのか等、しっかり確認し正しい勘定科目に仕訳しましょう。この記事では自動車保険の勘定科目について徹底解説します。

自動車保険の勘定科目や仕訳方法はご存知ですか?


保険に入っていると、確定申告や年末調整で控除を受けることができます。


では自動車保険はどうでしょうか?


生命保険や医療保険の確定申告の方法などはよく目にしても、自動車保険となると詳しくまではわからない、という人も少なくないでしょう。


そこで今回は、企業の経理や会計を担当している方や個人事業主の方などが確定申告・年末調整をするときに知っておきたい自動車保険の勘定科目について説明します。


正しく理解しておかないと、せっかく控除を受けられるところで損をしてしまう可能性もあります。


毎年必ずすることだからこそ、今一度しっかり見直しをしておくことも大切です。


初めて個人事業主として確定申告をする人はもちろん、自動車保険の勘定科目に不安がある人はぜひ最後までご覧ください!

事業のためのみに車を利用している場合のみ経費計上が可能

まず基本的に、自動車保険は確定申告の控除対象外です。


対象になっているのは

  • 社会保険料
  • 生命保険料
  • 地震保険料
のみで、
  • 損害をカバーするための保険(損害保険)
  • 保険期間5年未満
などの保険は控除を受けることができません。

しかし、自動車保険を確定進行で控除対象にすることができる場合があります。

それは、
  • 個人事業主
  • 自動車を事業のために使用している
場合です。

事業(仕事の一環)として自動車を使う場合、自動車は経費になります。そのため、自動車の維持に必要な保険料も経費の対象になります。

ただしここで注意しなければならないのは、自動車保険の種類によって勘定科目が変わるということです。

そもそも自動車保険は、
  • 自動車を持っている人は必ず入らなければならない自賠責保険
  • 必ずしも入る必要がない任意保険
に分けられます。

自賠責保険だけで補償されないことも少なくないため、任意保険へ入ることが推奨されてはいますが、あくまで任意保険に強制力はないので、確定申告での勘定科目も変わる、ということです。

自家用車を事業用でも兼用している時の費用の按分方法は?

個人事業主の方であれば、持っている自動車を事業用とプライベート用で兼用しているという人も少なくないでしょう。


気持ちとしては「全額経費計上したい」と思ってしまうかもしれませんが、確定申告で経費計上するには証拠を提示したり説明したりしなければなりませんから、仕事分とプライベート分をきちんと分ける(按分する)ことが大切です。


按分方法

按分する方法は自動車を使うごとに

  • 走行距離
  • 使った時間
をメモしておくと良いでしょう。

記録を残しておくべき理由は、税務署への説明に有効だからです。

按分については、客観的かつ合理的な証拠の提示・説明が必要です。少し手間ではありますが、しっかり管理するようにしましょう。

かかる費用ごとの勘定科目

また、かかった費用ごとに勘定科目が変わります。

勘定科目かかった費用
車両費自動車税・自動車保険料・ガソリン代など
租税公課
自動車税や車検整備にかかる手数料など
修繕費タイヤ交換や車検整備費用など

自動車に関する勘定科目では、車両費がもっとも広く使える勘定科目で、租税公課・修繕費は該当する費用が限られています。

個人事業主におすすめの自動車保険は?【法人or個人】

では個人事業主の方が自動車保険に入るときは、どのようなものが良いのでしょうか。


自動車保険は法人用と個人用がある

実は自動車保険は、法人用のものと個人用のものがあります。


結論から言えば、個人事業主の方はどちらに入っても問題ありません


法人用は特約が充実しているが個人用よりも保険料が高い

そこで気になるのが、法人用自動車保険と個人用自動車保険のメリット・デメリットです。


簡単にまとめると以下のようになります。

メリットデメリット
法人用自動車保険法人用だからつけられる特約がある保険料が高い
個人用自動車保険保険料が安い特約が不十分な可能性がある


このように、どちらのタイプの保険にもメリット・デメリットがあります。


そのため、受けたい補償内容をしっかり吟味して両方のタイプの見積もりを確認してから加入する保険を決めることをおすすめします。


個人用の場合は使用目的を明確にする

もし個人事業主の方が個人用自動車保険に入るときに疑問に思うのが使用用途です。


個人用に入る場合は、使用用途を

  • 日常・レジャー用
  • 通勤用
  • 業務用
から選ばなくてはなりません。

使用用途を選ぶ基準は、「1ヶ月の中で一番多い使用目的はどれか」です。

もちろん月によって多少割合が変わることもあるかと思いますが、基本的には1ヶ月の中で
  • 業務(仕事)のために使うことが多い→業務用
  • 私用(プライベート)のために使うことが多い→日常・レジャー用
を選ぶと良いでしょう。

自動車保険の具体的な仕訳方法【任意保険か強制保険で仕訳方法が異なる】

自動車保険は、

  • 自動車を持っている全員が加入しなければならない強制保険(自賠責保険)
  • 入るかどうかを選べる任意保険
に分けることができました。

そしてどちらの保険に入っているかで、勘定科目が変わります。

簡単にまとめると以下の通りです。

目的内容勘定科目
自動車保険強制保険
損害保険料または車両費
自動車保険任意保険契約期間による
自動車維持ガソリン
修理のない車検
車両費
自動車維持修理や整備のある車検
修理費用
修繕費
自動車維持月極駐車料金地代家賃
自動車維持コインパーキング
高速道路料金
旅費交通費
自動車維持自動車に関する税金租税公課


ただしどちらの場合でも、事業で使った分しか勘定科目に仕分けることができない点に注意が必要です。

強制保険(自賠責保険)の場合

では強制保険(自賠責保険)に入っているときの勘定科目を説明します。


強制保険(自賠責保険)は損害保険料か車両費に仕分けましょう。


なぜ車両費に仕分けても良いの?

自賠責保険は法律で入ることが決められている保険で、保険料も少額です。


また支払い時期を繰り上げたりして不当に利益を得ることもできません。


こういった観点から、自動車を使う上で必ず必要になる経費と見なされ、保険料を全額車両費として仕分けることが許されています。


プライベートと仕事の両方で使っている場合の仕分け方

仕事でしか自動車を使っていない場合は、全額損害保険料または車両費に仕分けます。


ただし、個人事業主の方であれば仕事で使う自動車をプライベートで使う人も多いでしょう。


この場合、計上できる強制保険(自賠責保険)の保険料の金額が変わります。


例えば、

  • 保険料:8万円(1年)
  • 使用率:プライベート4割・仕事6割
の場合、保険料として払っている8万円のうち6割に当たる4万8,000円を経費として計上することができます。

このように事業として使った分だけを計上する点に注意しましょう。

任意保険の場合

任意保険でも強制保険(自賠責保険)と同じように仕分けます。


ただし、契約期間によって注意しなければならない点があります。


パターン1:期間が1年以内

このときは、強制保険(自賠責保険)と同じような扱いになります。


つまり、払った保険料のうち事業として使った割合の分を損害保険料か車両費に仕分ければ問題ありません。


パターン2:期間が1年以上

注意しなければならないのが期間が1年より長いものです。


なぜなら、保険料を払ったタイミングで全額を経費計上することはできないからです。


このときは期間による按分が必要になります。処理の手順としてはまず、長期前払費用として計上します。


説明
長期前払費用とは?払った費用を分割して計上するときの勘定科目 
【4年分の自動車保険料を一括で払った場合】
長期前払費用に仕分ける。

払った保険料を4年で割る。

1年分に相当する保険料の分を計上する。


なので、契約が1年以上のときは、

  1. 長期前払費用で処理する
  2. 契約年数で保険料を割る
  3. 1年分に当たる保険料を損害保険料か車両費に仕分ける
の手順で仕分けましょう。

このとき、契約年数と同じ年数だけ計上することを忘れないように注意します。

仕訳の際に気を付けること・注意点

では最後に自動車保険を仕分けるときに気をつけること・注意点についてまとめていきます。


保険に入ると、補償を受けられるだけでなく所得税が安くなったりすることがあります。


とは言え、自動車保険に関してはあまり詳しく聞いたことがない、という人も少なくないようです。


ここでは、

  1. 年の途中で契約した場合
  2. 保険金を受け取った場合
  3. 所得控除について
の3つのポイントを説明します。

年の途中に自動車保険を契約した場合

まず、1年の途中で保険に入ったときの仕分け方を説明します。


結論から言えば、入ったタイミングから1年の終わりまでの期間で経費計上できます。


例えば、6月に自動車保険に入った場合、6月〜12月までの7ヵ月分の保険料を仕分けます。


保険料を年払いした場合は分割して仕分ける

ここで気になるのが、保険料を年払いにした場合でしょう。


このときは年払いで払った分の保険料を1ヵ月単位の保険料に割って仕分けます。


例えば、先ほどの保険で年払いとして2万4,000円の保険料を払った場合で考えてみましょう。


このとき1ヵ月当たりの保険料は

24,000円÷12ヵ月=2,000円

となります。


そのため仕分けられるのは

2,000円×7ヵ月=14,000円

です。

自動車保険の保険金を受け取った場合どの勘定科目にあたるのかわからない

では仮に自動車事故を起こしたときはどうなるでしょうか?


このとき、自動車保険に入っていれば保険金がおりるでしょう。


保険金も勘定科目として仕分けます。受け取った保険金は「支出」ではなく「収入」になりますから、仕分けも変わります。


保険金は収入として雑収入に仕分けましょう。

自動車保険は所得控除の対象にはなる?

保険に入るときに気になるのが、所得控除でしょう。


所得控除で節税効果が期待できる

生命保険などに入ると、払う保険料に合わせて所得税が減額されます。

つまり、払う税金が減るのです。

自動車保険も保険の一種ですから、「保険料を払ったら所得税が減るのでは?」と思う人も少なくないでしょう。

自動車保険は対象外

自動車保険は2006年まで所得控除の対象となっていました。そのため、申告すれば払う所得税が減額されました。


しかし税制が改正され、所得控除を受けられる対象が変わり、

  • 生命保険
  • 個人年金保険
  • 社会保険
  • 地震保険
などに限定されてしまいました。

つまり、自動車保険で払っている保険料は所得控除の対象にはなりません

自動車保険を節税対策で活用するためには、仕事として自動車を活用し、その分にかかる費用を経費として使用する必要があります。

【まとめ】自動車保険の勘定科目は「車両費」か「損害保険料」に

今回は自動車保険の勘定科目を詳しく説明しましたが、いかがでしたでしょうか。


この記事のポイントは

  • 自動車保険の保険料は経費計上できる
  • 強制保険(自賠責保険)も任意保険も同じように仕分けられる
  • 勘定科目は車両費か損害保険料になる
  • プライベートと仕事で兼用して自動車を使うときは、使った分に応じて按分する必要がある
  • 自動車保険以外にも車にかかる費用は勘定科目に仕分けできる
でした。

特に個人事業主の方は仕事とプライベートで兼用して車を使うという人も少なくないでしょう。

このとき、少しでも経費として仕分けられたら嬉しいですよね。

正しい自動車保険の特別勘定の仕分け方を知って、節税効果を高めていきましょう!

ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい自動車保険に関する記事など多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。 

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