意外と知られてない!自賠責保険が免責になるのはどんな場合?

自動車を運転する方なら誰でも加入する義務がある自賠責保険。実は免責になる場合があることをご存知ですか?「事故を起こしたら必ず保険金を出してもらえる」と思ってる方もいますよね。この記事では、意外と知られてない「自賠責保険が免責になるケース」について説明します。

自賠責保険における免責とは?自賠責保険が免責になる場合がある!

人身事故発生時など、いざという時のために運転者は加入義務のある自賠責保険。

ドライバーの皆さまの中には「自賠責保険に加入してるから保険金は必ず保険会社に払ってもらえる」と思っている方も多いのではないでしょうか?

実は「免責」、つまり損害が発生しても保険会社が保険金を支払う責任を負わない場合があります。

どういう場合に自賠責保険が免責になるか知らないまま「保険金が出なかった!」ということになると、いざという時に困ってしまいます。

この記事では「自賠責保険が免責になる場合」について
  • 「悪意事故」と「重複契約」
  • 悪意事故の免責
  • 重複事故の免責
以上のことを中心に解説していきます。

この記事を読んでいただければ、自賠責保険が免責になるケースについての基本的知識を得ることに役立つかと思います。

自賠責保険が免責になるのは「悪意事故」と「重複契約」のみ!

結論から言うと、自賠責保険が免責になる場合は非常に稀で、

  • 悪意事故の場合
  • 重複契約の場合
上記2つのいずれかに該当する場合のみです。

該当するケースは少ないということですね。

それでは自賠責保険の免責について、より詳しい内容を確認していきましょう。

自賠責保険は法律で免責事由を制限している

保険会社が様々な免責事由を規定する任意保険とは違い、自賠責保険は法律で免責事由を制限しています(被害者の保護・救済の目的)。


自賠法第14条に
  • 保険会社は、第82条の3に規定する場合を除き、保険契約者または被保険者の悪意によって生じた損害についてのみ、てん補の責めを免れる。(第82条の3は「重複契約の場合の免責」)
と規定されているように、免責事由として法律で認められているのは
  • 悪意事故
  • 重複契約
の2点だけなのです。

仮に保険会社が約款でこれら以外の免責事由を定めていても、無効になる

もし保険会社が独自の約款で、「悪意事故」「重複契約」以外の免責事由を定めていたとしても、その約款は無効となります。


仮に保険会社から「悪意事故」「重複契約」以外の事象で免責になることを主張されても、自賠法によって上記2点以外の免責事由は認められていないので、保険会社の主張は成り立たないことを覚えておきましょう。

悪意事故の免責について

ここまでは、自賠責保険が免責になるのは

  • 悪意事故
  • 重複契約
の場合のみであることを確認しました。

ここからはそれぞれの内容について、より詳しく見ていきましょう。
まずは「悪意事故」の免責について説明します。
  • なぜ「悪意事故」の場合だけ保険金が支払われるの?
  • 「悪意」ってどういう状況を指すの?
  • 「わざと」「故意」とは何が違うの?
このような疑問にも順を追って答えていきますので、下記をご覧ください。

悪意事故の場合、免責により保険金が全く支払われない

自賠責法第14条に
  • 保険契約者または被保険者の悪意によって生じた損害についてのみ、てん補の責めを免れる
と規定があるように、実は自賠責保険の免責により保険金が「全く支払われない」ケースは、この「悪意事故」の場合のみです。

後ほど詳しく説明しますが、「重複契約」による免責については「重複分が免責になる」のであって、1契約分は必ず支払われるようになっているのです。

では、悪意によって生じた損害とは具体的にどのような状況なのでしょうか?
以下で説明します。

「悪意」と「故意」では異なる

保険法第17条では保険者の免責について
  1. 保険者は、保険契約者または被保険者の故意または重大な過失によって生じた損害を填補する責任を負わない。戦争その他の変乱によって生じた損害についても、同様とする。
  2. 責任保険契約(損害保険契約のうち、被保険者が損害賠償の責任を負うことによって生ずることのある損害を填補するもの)に関する前項の規定の適用については、同項中「故意または重大な過失」とあるのは「故意」とする。
と規定があります。しかし、保険法における「故意または重大な過失によって生じた損害」と、自賠責法における「悪意によって生じた損害」、言葉のちがいが分かりにくいかと思います。

「悪意」と「故意」、その違いを簡単に説明します。

「悪意によって生じた損害」とは、
  • 「人を轢く目的で車を発進し、確定的故意犯として有罪判決を受けた」
  • 車を使って無理心中を計り、殺人罪が成立した」
など、明らかに他者を殺傷する目的・意思が見える損害を指します。

一方「故意によって生じた損害」は、
  • 他者を傷つける目的はないが、傷つけても構わないという気持ちで車を発進した
など、決してその結果を望んでいるわけではないが、それが起こりうることを自覚した行為による損害を指します。

どちらも「わざと」という言葉で表されますが、そこに「他者を傷つける」という確定的故意(=悪意)があったかどうかで、自賠責の免責に該当するか否かが判断されるのです。

また、悪意による人身事故が起きた場合でも、被害者であれば加害者が自賠責保険を契約している保険会社に対して、直接損害賠償請求をすることができます。

もともと自賠責保険とは「被害者を救済するための保険」ですので、その点はご安心ください。

重複契約の免責について

それでは次に、「重複契約」の免責について説明します。


そもそも「重複契約」とは、1台の車に対して2つ以上の自賠責保険や自賠責共済が契約されている状態を指します。

先ほども述べたように、「重複契約」による自賠責保険の免責については「重複で契約した分が免責になる」ものですので、1契約分は必ず支払われるようになっています。

その点が、保険金が「全く支払われない」悪意事故による免責と異なる点です。

では、自賠責保険で支払われる部分について、もう少し詳しく見ていきましょう。

保険金が支払われるのは”一番最初”の1契約分のみ

重複契約の場合、契約の締結時期が最も早い自賠責保険の契約のみが適用され保険金が支払われます(契約の始期ではなく、締結時期が早いものだと覚えておきましょう)。

つまり自賠責保険における「重複契約」の免責とは、最初の「1契約」のみ自賠責保険が有効となり、それ以外に結んでいた契約が免責となるということです。

2つ目以降に結んだ契約の保険金は支払われませんので、注意しましょう。

最も早い契約が2つ以上ある場合はどうなる?

仮に契約締結時期の最も早い契約が2つ以上ある場合、保険金として支払われる金額は自賠責保険から支払う総額を重複契約数で割った金額となります。

具体例を説明します。

A社・B社という2社と自賠責保険に契約し、契約締結日がどちらも同じだったとします。

事故により100万円の請求があった場合、
  • 100万円(自賠責保険で支払う総額)÷2(重複契約数)=50万円
よってA社・B社はそれぞれ50万円の保険金を支払う義務が生じ、残りの50万円の支払いは免責になるということです。

それぞれの保険会社から保険金を満額(例でいえば100万円)もらうことは出来ません。どこの保険会社と自賠責保険を契約したか、しっかり把握しておきましょう。

高すぎるバイク保険に加入していませんか?

バイクに乗っている方であれば、自賠責保険だけではなく、バイク保険(任意保険)にも加入しているのではないでしょうか。


自賠責保険だけでは賄えないたくさんの補償をしてくれるので、必ず入るべきですよね。


ただ、その保険料について見直したことはありますか?バイクを購入する時のショップで言われるがままに加入していたりしませんか?


実は、バイク保険は少し条件を見直すだけで年間の保険料が1万円近く安くなることがあるのです。


ただ、自分で多くの保険会社で見積もりをして比較するのは大変ですよね。


そんな時は一括比較サービスを利用してみましょう。一括比較サービスであれば、一度の入力で多くの保険会社の見積もりを取ってくれます。


しかも何度利用しても無料です。一度利用してみてはいかがでしょうか。

まとめ:自賠責保険における免責

自賠責保険における免責について解説していきましたが、いかがだったでしょうか。


今回の記事のポイントは
  • 免責に該当するのは「悪意事故」と「重複契約」の2つのみ
  • 「悪意」と「故意」は異なり、「悪意事故」のみ免責の対象となる
  • 重複契約の場合、最初の1契約に対しては保険金が支払われる
以上の点でした。

事故を起こさないのが一番ですが、自賠責保険に加入しているのであれば、いざという時はきちんと保険金を出していただきたいものです。読者の中に「悪意事故を起こそう」と考えている方はほとんどいらっしゃらないと思いますが、この記事が悪意事故の被害を想定して気を付けたり、自分がいくつ自賠責保険を契約しているか見直したりするきっかけになればと思います。

ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。

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