学資保険と個人年金保険に併せて加入することによる問題の有無を解説

学資保険と個人年金保険は、掛け金の控除がそれぞれ独立してできることや受け取り時の課税を考えても基本的には併せて加入することに問題はないでしょう。ただ、契約中子どもが死亡の際には学資保険と個人年金保険で事務処理に差が出ることがあるので留意しましょう。

学資保険と個人年金保険の掛け金の所得税及び住民税の控除について

学資保険は将来の教育資金への充当のため、個人年金保険は老後の生活資金等への準備のために毎月等掛け金を積み立てて、その積み立てた金を保険会社が運用し、契約時に約束した金額を受け取るという契約です。


併せて掛けて問題はないでしょうか。それぞれの取り扱いについて、まずは、掛け金の課税の取り扱いについてみていきましょう。

学資保険の課税の取り扱い

学資保険は、死亡時に満額学資が受け取れる場合があり、生命保険の機能を有しています。


掛金については、生命保険料控除という控除の制度があり、この制度の中では生命保険を控除する一般生命保険料控除、介護医療の保険料を控除する介護医療保険料控除、そして年金を控除する個人年金保険料控除の3つの枠があります。


学資保険については、生命保険の機能から一般生命保険料控除という枠で控除されます。

個人年金保険の課税の取り扱い

個人年金保険は、介護医療に係る支払を想定する介護医療保険でもないので、生命保険料控除の3つの枠の中の介護医療保険料控除に該当しません。そこで、個人年金保険については一般生命保険料控除と個人年金保険料控除(個人年金保険の種類によります)の枠で控除します。生命保険料控除という3つの枠については、それぞれの枠が独立して控除することが可能です。



学資保険と個人年金保険の各控除による所得税、住民税の税額への効果

学資保険と個人年金保険で控除の枠が異なることが分かったのですが、その効果としては、それぞれが独立に税額を減額する効果を有しているということです。


では、その所得税及び住民税への税額への影響をみていきましょう。学資保険を月1万円、個人年金を月2万円掛けると仮定してみましょう。

学資保険の税額への効果

学資保険の控除額は年間に支払った保険料の総額により、所得税については8万円を超える場合は一律4万円、住民税については56000円を超える場合は一律28000円といった保険料払い込み額に応じた段階設定となっています。今回のケースは年間12万円となりますので8万円を超えてきます。


したがって所得税の計算の際は課税所得から4万円を控除し住民税の計算では28000円を控除します。その分減税となります。

個人年金保険の税額への効果

個人年金保険の控除額についても控除額の計算方法については、学資保険と同じ計算方法で行います。


したがって、年間24万円払い込んでいるので、所得税の控除額は4万円、住民税の控除額は28000円です。学資保険と個人年金保険を併せると所得税については8万円控除、住民税については5万6千円控除が可能となります。この観点からいうと学資保険と個人年金保険は併せて掛けた方が税額が減るということが言えます。

学資保険と個人年金保険の受取時における税額について

学資保険は、子どもが一定の時期にまとまった一時金を受け取るのに対し、個人年金は、高齢となった一定の年齢以降に一時金、又は年金方式でお金を受け取ることとなります。


その受け取りの際には、学資保険と個人年金を併せて契約していることで支障はないでしょうか。受け取り時の税額の算出方法をみていきましょう。



学資保険の受け取り時の課税について

学資保険を一時金として受け取る際には、税制上は一時所得となります。この一時所得については、(所得金額-所得を得るために必要な経費-控除50万円)×1/2で算出された金額を他の所得と合算して税額を算出します。


所得金額は一時金の額、所得を得るために必要な経費は掛け金総額と考えればよいので、運用益が50万円以上を想定されるもの以外は、原則的に課税されないと考えてよいでしょう。

個人年金保険の受け取り時の課税について

個人年金保険の場合は、一時金で受け取る場合と、年金で受け取る場合とで課税方法が異なります。一時金で受け取る場合は上記の学資保険と同じ計算方法で税額を算出します。


一方、年金方式の場合は、雑所得として当該年の年金額から当該年の受取年金額×(掛け金合計額/当該年の年金額×支給期間(確定年金の場合)で算出した金額を差し引き雑所得を出して、その他の所得と合算して課税所得を算出します。

保険契約期間中に事故があった場合の対応について

以上から、学資保険と個人年金の課税方式等をみてきましたが、一時金としても受け取り時期が異なるであろうこと等を考えると相互に影響はなく、個人年金保険を年金方式とする場合もすでに学資保険の受給は終わっているであろうから併せて加入することに問題はないでしょう。


最後に、契約中に死亡した際の取り扱い等の留意すべきことがあるのでみておきましょう。

掛け金払込み中に親が死亡した場合

学資保険の払込み中に親が死亡した場合は、学資保険の機能としてその後掛け金を払わずとも契約時の金額を受給できます。


ただし、その受給権は親から子へ相続という形となり相続税の対象となります。


課税される場合は、学資保険の受給者が未成年であることから未成年者控除という年間10万円の税額控除を活用しましょう。個人年金保険の場合も子ども相続人となる場合は同様の控除を活用する対応をしましょう。

掛け金払込み中に子どもが死亡した場合

個人年金保険については、自分が受給権を有しているので何も影響を受けませんが、学資保険の場合はその際に積立の目的が終わってしまうので終了します。


その際には、契約によりますが、積立金が返ってくることが多いです。併せて掛けている場合には、このような不幸なことが起きた場合は学資保険について返還の手続きを行いましょう。

まとめ

学資保険は子どもの教育資金のため、個人年金保険は自らの老後の資金のために掛け金を積み立てるものでそれぞれ掛け金について所得控除が可能であり、それぞれについて独立して控除できること、また、受け取り時についても基本的には相互に影響がないことから併せて加入することがよいでしょう。


ただ、契約中の死亡時の取り扱いについて差が出る場面があるので留意しましょう。

この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、保険相談や選び方のポイントを伝える「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

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